妖精王としてカレコレの世界に転生した もう一つのカレコレ屋 作:ikkun
sideカゲチヨ
今日の依頼人は少女だった。
「私の兄は友人に騙されて借金を背負わされ、地下労働施設に拉致されてしまったんです・・・」
そう言って写真を見せてくれた。見る感じ優しそうな人だそれにしてもその労働施設はなんかブラック臭がするな・・・
「その労働施設では何が行われてるんですか?」
フィーアが聞くと
「貴重な鉱石を掘り起こすための採掘場です。返せない程の借金をした人たちが集められて
きつい現場で働かされているそうです。兄は体が弱いからもし病気になってしまったらと思うと・・・」
依頼人は辛そうな顔で言う。
「わかりました。必ず助け出します。」
フィーアが依頼人にそう言った。
「そうだね。一刻も早く助け出さないと心配だしね・・・」
ヒサも依頼人の兄を心配している。
シディもカンナも
「じゃあ、アーシたちもその施設で働きながら探すってことだね!」
「ああ、そうなるな。場所はわかるか?」
依頼を引き受ける気だ。俺も可哀そうだと思ったしやりますか!
こうして俺たちは場所を聞いて潜入したのであった・・・
そうして施設へとはいり中を案内してもらったのだが・・・
「ここがお前たちの今日から暮らす部屋だ!」
そう言って向かった先にあったのは壁も仕切りもないタコ部屋だった。
そのことを言うと
「返せない借金をするお前たちに住む場所を与えてやっているだけありがたく思え!」
と怒られてしまう。
こうして仕事の割り振りへと移った。
俺とシディは採掘現場での仕事なのだが・・・
「女には違う仕事があるからな・・・」
そう言って無理やり連れていかれてしまった・・・
三人とも大丈夫って言ってたが早く依頼人の兄貴を見つけないとやべぇな・・・
そうして俺たちは採掘現場へと向かっていた。
「三人とも大丈夫だろうか・・・」
シディが心配する。俺だって心配だ、けどアイツ等だってカレコレ屋だ。
「弱いわけじゃないんだ。きっと三人でなんとかできるさ。それを俺たちが信じないでどうすんだ・・・」
「そうだな・・・」
まぁ、俺たちも三人のこと言える立場じゃなくなるしな・・・
「しっかしこんなきつい現場に配属されて安全の保障できんのはヘルメット一つだけだし彫るものもツルハシ一つって効率悪すぎだろ!」
ドリルとかねーのかよ!
「俺は頑丈にできてるし大丈夫だ。」
シディは呑気のそう言ってるけど普通の人だったら崩落とか起きないかって恐怖で怯えてるぞこの装備・・・
そうして六時間立って午後三時になったころ
「ハァ・・・ハァ・・クッ・・目の前がかすんできた・・・」
幾ら不死身の体っていっても休憩なしで六時間も労働すればこうなっても仕方ないと思う。それに精神的にも辛いしな・・・
しかしシディは
「早くないか?まだ午後三時だぞ。終業まであと六時間もあるんだへばってどうする。」
体力お化けなところを見せつけていた。
「それでも休憩なしだとこうなるだろ!45分以上の休憩を与えないとこういう場合は
労働基準法違反なんだぞ・・・」
そう言ってると
「おい、そこ!口じゃなくて手を動かせ!」
監督に怒られてしまう・・・変に目立つのは得策じゃねーな・・・
そうして続けていたんだが手がしびれてツルハシを落としてしまった。
そのとき
「大丈夫ですか?ここの仕事は辛いですよね・・・」
そういって声を掛けてきたのは少しやつれてはいたが写真で見た依頼人の兄だった。
シディが正体を話そうとするが。
「ちょっと待て!脱走の計画はまだ出来てねーし正体は隠しておくぞ!」
「そうか・・・わかった。」
あの人嘘付けなさそうだからな・・・
「どうかしましたか?」
こそこそと話していたのでお兄さんが不審がる
「いえ、なんでも!それよりここ空気悪くないっすか?」
俺は素早く話題を切り替える。
「ええ・・・採掘の度砂や石の欠片が舞いますから。肺を悪くしないように気を付けた方がいいですよ。」
お兄さんも親切に心配してくれた。必ず助け出さなくちゃな・・・
「こんなところで働いてて辛くないですか?」
「仕方ないです。逃げ出せば暴行されますし家族に危害を加えると脅されています。」
まったく外道なやり口だな・・・
「それに悪いことばかりじゃないんですよ。」
それがどういう意味か知ることとなった。
sideシディ
俺たちは監督から給料をもらったのだが・・・
「三千円!?朝九時から働いて今は十九時・・・時給三百円じゃん!!」
カゲチヨが給料の安さに驚いていた。
するとお兄さんが
「このお金はあそこの売店で使えます。薬も買えますし、ぜいたく品も少しなら売ってますよ。」
金の使い道を教えてくれた。本当に親切な人だ。
しかし周りを見てみたが・・・
「みんな表情に覇気が無いな・・・」
「違法労働で体はボロボロ、逃げ出す気力もないってとこか。」
カゲチヨも周りを分析する。
すると向こうから盛り上がってる声が聞こえた。
「ありゃ、違法賭博だな。安い給料で働かさせれてるストレスの発散になるってわけだ。」
確かにその気持ちはわかるが・・・
「ただでさえ少ない給料があれではすぐに消えてしまうだろう。」
俺が心配していると
「楽しそ~」
なんとカゲチヨが興味を持っていたのだ。
「カゲチヨ?」
俺が声を掛けると察したのか
「じょ、冗談だよ。そんなことより抜けるぞ。」
そうだ、ヒサメたちと合流しなくてはな。
sideヒサメ
私たちは人気のない坑道に集合していた。
「三人とも無事だったか?」
シディが心配してくれた。
「何とかね・・・」
女子の仕事は裁縫や炊事だったんだけど
「さっき女子の部屋に侵入してきた男の人に襲われそうになったんだよね・・・」
あったことを話すと二人とも驚いていた。
「マジかよ・・・無法地帯だな・・・」
カゲがそういうけどその通りだよ・・・
「まぁ私がしっかり気絶させたので二人には傷一つついていませんけどね。」
フィーアちゃんの腕前にはいつも助けられてるなぁ・・・
「それよりも脱走の計画練ろうよ!」
カンナちゃんもここにうんざりしているようでやる気満々だ。
「そうだな!依頼人のお兄さんとついでに全部ぶっ壊してやるか。」
カゲも頼もしい限りだ。
sideフィーア
翌日全員が朝の集会をやっているときにカンナちゃんとシディさんが布団に能力で
火をつけた。そしてカゲチヨが全員に火をつけたことを宣言して依頼人の兄にところに向かいました。
「シディ、カンナ!火はあとどれくらいでまわる?」
「あと一時間もない。」
「ここからさっさと逃げ出すよ!」
そして依頼人の兄は驚いた様子で
「ご、五人ともこれはどういう・・・」
とたずねてきた。
「俺たちは妹さんに依頼されてあなたを助けに来たんです。」
シディさんが素早く丁寧に説明する。
「そうか・・・ありがとうございます!」
「あなたたちも早く・・・」
シディさんは他の作業員にも言いますが
「余計なことしやがって!」
「俺たちはここを出ても行くところなんかねーんだよ!」
「俺たちは自由なんか望んでねーんだ!」
まさに諦めた人たちの言葉がそこにはありました。
「そんな・・・」
それでもシディさんは助けようとしますが火はどんどんまわっていきます。
「シディ!早く逃げないと!」
ヒサメちゃんの言葉で私たちは逃げ出しました。
「火事の他にもヒサが電気系統も壊滅させたし向こうもすぐには追ってこれねーだろ・・・」
「そうだね・・・とりあえずこれで依頼は無事にできたね。」
カゲチヨやカンナちゃんはほっとしていましたがシディさんは苦い顔でした。
「他の労働者は俺たちにはほとんどついてこなかったな。」
するとお兄さんは
「あの場所は環境は酷かったですが給料である程度の自由を得られましたから。ギャンブル中毒に陥って借金を抱えてた人たちにとってはいい環境だったのかもしれません。」
他の作業員の心情を話してくれた。
「そんなんじゃ外で降りかかる自由のための責任には耐えられないってことだね。」
「そうだな・・・結局俺たちには逃げ出したいって気持ちのあるやつしか助けられない。」
カンナちゃんもカゲチヨも冷静な目で施設のある方を見ていました。
「でもそういう気持ちのある人は助けられたよね・・・」
「だから後悔しちゃいけませんねシディさん。」
ヒサメちゃんと私が言うと
「そうだな・・・」
それでもシディさんは施設の方を見ているのでした。