妖精王としてカレコレの世界に転生した もう一つのカレコレ屋 作:ikkun
四人とも、森暮らしなので同じ心境になりそうです。
sideシディ
今日の依頼はフィーアと一緒に異宙の住人用の刑務所で刑務官として働くことだった。
「人で不足でな、二週間だけ頼むぞ。」
依頼人である先輩看守が挨拶をしに来た。
「うむ、これもカレコレ屋の仕事だ。」
「緊張しますね・・・」
俺たち二人は気合十分だったのだが外を見てフィーアが言った。
「砂漠の中の刑務所ですね・・・」
そうここは砂漠の中に立つ刑務所並大抵の人間なら脱獄は不可能だが・・・
「異宙人にとって砂漠を超えることなんて簡単なんじゃないのか?」
俺が質問すると先輩は、
「大丈夫だろ、なんたってこの刑務所は・・・」
そういって真実を話してくれた。
「そんな・・・」
「その話が本当なら・・・お前らは命を使っているのか・・・?」
sideフィーア
まずは今日入所する囚人の身体検査です。
「体のチェックをするから一列に並べー」
先輩はそう言いますが当然反抗するものもいます。
「ざけんなっ!!どーせ身体検査とか言って体中触るんだろ!」
どこの漫画のスケベ看守ですか・・・
「落ち着け、金属探知機に入ってもらうだけだ。異宙人は武器以上の能力を身に着けている者も多いただの身体検査だ。」
そうこれは反乱可能性を考慮した最も原始的な対処です。
そう言ったらその猫の異宙人は
「そ、そうか・・・」
シディさんの真摯な態度に動かされたのか大人しく入ってくれました。
けど、あんな幼い子まで入れられるなんて地球は治安が悪いんですね・・・
シディさんも幼い彼女の姿に戸惑いを隠せないようでした。
次の業務に行く前にシディさんが何かの表を見つけ先輩に質問しました。
「この表は?」
「ああ、受刑者たちの罪の重さと能力の高さを表にしたものだ。能力は七段階罪状は三段階に分けて管理してるんだ。」
けれどその表をよく見ると・・・
「上の方は全然いませんね。」
私が言うと
「まぁ、上の奴らはそもそも強すぎて捕まえること自体無理だからな。」
と答えてくれました。おそらくカゲチヨさんと因縁のある吸血鬼や子供をさらう天狗なんかがいい例ですね。
「強者は罪を犯しても捕まらないのか・・・」
「そうみたいですね・・・」
シディさんのつぶやきに私も答えます。
森では森に邪な想いで侵入したいかなる人間も異宙人も裁かれました。
中の住人も皆種族なんて気にしないで共存していたのに・・・
そんな思いを抱いても業務は続きます。
次は食事中の囚人の監視です。
まぁ、たいていは残さずに食べていますが・・・
「なんだこれ・・・食えたもんじゃねぇな・・・」
あの猫の異宙人がまた文句を言っていました。
「残さず食べろよ。」
シディさんが優しく注意しますが
「こんなの味が薄くてくえっかよ!」
まぁ不満は尽きないのはここでは当たり前ですね・・・
「あー猫缶食いてぇ。」
「猫缶がいいのか。」
確かに・・・というかそれ以上高級なものを知らないとか・・・?
なんだか少女の前の環境が心配になってきました。
そしてトラブルは起きました。
「おい!今俺の飯盗っただろ!」
六本腕の異宙人があの子に掴みかかりました。
「い、言いがかり・・・!」
あの子は弁明しますがそんなことあの男は聞き入れません。
これも刑務官の務めですよね・・・
「やめろ、折られたくなかったら離せ。」
「懲罰房行きにしますよ・・・」
私とシディさんであの子から引き離しました。
そしてその場は収まりましたが
「化け物同士の争いなんて日常茶飯事なんだ。勝手にやらせとけよ。」
先輩に言われて私たちのもやもやはさらに大きくなった。
異宙人の中には人間と変わらない人だっているのに・・・
まるで人じゃないからいいと言わんばかりでした。
そして刑務作業の見張りとなったのですが・・・
砂漠の中で野菜を作らせるための耕作作業でまるで異宙人全員が体力のあるものだと思っているような内容でした。
すると
「おい!そこ!休むな!」
あの子が倒れていました。私たちは急いで医務室へと運び医師から熱中症だと聞かされた。あの子が起きるまで待っていたのですが。
「私なんて最初から終わってんだ育ちは異宙なのに親に地球に捨てられた。盗みをしなきゃとっくに野垂れ死んでた。習ったこともない人間のルールで捕まって・・・チクショウ・・・皆嫌いだ・・・」
この子の事情も分かります・・・確かに習っていないと分からないことで罪が重くなるのはおかしいですし、この子が異宙人だからってなにも教えなかった人も悪いですしね・・・
「そんなこというな、ここは罪を償いやり直す場所・・・なはずだ。」
やっぱりシディさんもこのやり方に不満を持っていますね・・・
「んだ?歯切れ悪いな。」
「ここの仕組みには疑問がある。」
「はっ!知るかよとにかく人間のルールにしたがうなんて納得できねーだから、アタシを逃がしてくれよ。」
「それはできん。」
「シディさんは公私混同しない人ですからね。」
「だよなー」
「だが、お前のこの先に幸があるように応援したいと思っている。」
「私も同じです。」
そういうと
「んなもんなんの腹の足しにもなんねーよ。」
戸惑いながらもそう答えてくれました。心に届くといいんですけどね・・・
sideシディ
夜になり囚人たちが皆寝静まったころ看守たちの一部は、トランプなどをして宿直をしていた。
すると、先輩に
「お前たちあの猫に入れ込みすぎだぞ。アイツは犯罪者なんだ甘やかすな。」
叱られてしまったがそもそも彼女はそのルールに従う必要があるのか?
それは人間の勝手、森のように皆自然や良心に従って生きるべきでは・・・?
そんな考えが頭をよぎったとき、足音が聞こえた。
「アイツ!」
「シディさん!まさか・・・」
フィーアも察したようで俺たちはすぐに音を追いかける。
しかし・・・
「そんな・・・」
「・・・っ!」
そこにいたのはあの子を咥えた異宙人の姿だった。
先輩の話を思い出す。
ー脱走者は砂漠の中にいる悪魔が狩る。ー
その言葉どおりになってしまった・・・
「分かってくれよ、これが弱者である人間が秩序を保つための方法だ。人類はやっと異宙人の犯罪を取り締まれるようになった。それでも全体の二割以下だ。」
だが・・・
「彼女は人間の法に従う必要があったのか?」
「もともとこの星は人間のものなんだ。この星に住むなら人間のルールに従ってもらう。お前たちの出身は妖精王の森だが人間と異宙人が共存出来ているのは妖精王という力の象徴がいるからだ。」
そうだろうか・・・?あの笑顔は力によって強制されて生まれたものではないぞ・・・
「なるほど、悪魔との契約の代償は囚人の心臓ってことですか・・・」
フィーアは怒りと呆れを滲ませていた。
「異宙に転生する前は人間同士で星の奪い合いで争っていたのに異宙人がきたら団結とは皮肉ですね・・・」
「そうだな・・・これが人間のやり方か・・・」
俺たちの呟きは満点の星しか聞いていなかった・・・
シリアスって慣れないから上手くできたか不安ですが楽しんでくれたら幸いです。