ISてぃーちゃあ〜/upper!   作:BlueRider

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第十四時限目~分岐点そして選ぶ新たな道~

目が覚めると特有の匂いが鼻を刺激する。

 

ーああ、ここは病院か……

 

恐らくあの戦いの後、そのまま病院へ担ぎ込まれたのだろう。

 

視線を右往左往し自身の体を確認する。

 

左手には当たり前のようにギプスがされ、首や足、腹部には包帯が巻かれている。

 

「相当やばかったらしい……」

 

戦闘中はアドレナリンが分泌されて痛みが鈍っていたのが今にしてわかる。

 

ーさてどうしたものか

 

体を起こすのも億劫なくらい倦怠感が凄まじい

 

「寝るか……」

 

再び瞳を閉じようとするとベットの周囲を囲っていたカーテンが開く

 

「目を覚ましたか馬鹿者め」

 

「……おはようございます」

 

視界に入ってきたのはジャージ姿の千冬さんと私服姿のクラリッサさんであった。

 

「あ、あの?」

 

「話の前にナースコールだ、何分この話は酷く長くなる」

 

2人とも椅子に腰を降ろし、クラリッサさんがナースコールボタンを押す。

 

静寂がしばし病室内を支配する、押してからその間は無言が続き、数分と立たずにナースが来る。

 

「目が覚めましたか、今主治医を呼んできますので少々お持ちを」

 

パタパタと病室を出、主治医を連れて戻ってくると、軽い問診をし脈を計り絶対安静とだけ言い残しさっさと去っていく

 

「さて、では話をするか……」

 

固く閉ざしていた口を開く千冬

 

「まず現状アリーナは一機稼働になった」

 

「え?仮に使えなくなっても二機で動け……あぁ、そうか」

 

二つのアリーナは大元が一緒で、どちらか一方が稼働できなくなると安全装置が作動し、もう片方も稼働できなくなる仕様でIS学園設立時に建てられた、これとまた別に建てられたのが独立稼働の第三アリーナである。

 

「ここからは悪い話の連続になる、今年のIS学園の学祭は延期が決定した」

 

「え?……ちょっとまってっく!」

 

その言葉に反論しようと体に力を入れると体に激痛が走る。

 

「優様!」

 

椅子から立ち上がり赤城の体を支えるクラリッサ

 

「昨日の会議で決まった事だ、全員が全員賛成した訳ではないがな……」

 

「二年や一年はまだいい……三年は今年で終わりなんですよ?あいつらにとって学祭は「わかっている、だが生徒の命には代えられない……我々教師は生徒を指導するだけではなく、親の元へ安全に返す義務もあるんだ……その所を分かれ優」」

 

「…………」

 

そう諭すように言われ口を紡ぐ

 

ー無力だ……無力すぎる……

 

右手がギュッと力強く握られる。

 

「少し一人にしてもらっていいですか?」

 

「優様ですが!」

 

クラリッサの肩を軽く掴み首を横に振る千冬

 

「わかった、しばらくしたらまた来る、それまでには気持ちの整理はつけておけ」

 

椅子から立ち上がり病室から出ていく二人の背中を見送り、テレビの上に置かれていた自身の携帯を使いとある人へ電話をする。

 

数秒のコールの後、男性の声が返ってくる

 

「もしもし赤城です……十蔵さん」

 

「来る頃だと思ったよ赤城君……君なら確実に今回の事で、かけてくる踏んでいた」

 

「……覆ることはないんですね?」

 

「ああ、残念ながらこれは決定事項だからね……」

 

「でしたら、せめて何かしらの手は打たせてください」

 

「ふふ、君ならそう食い下がることも計算通りだとも」

 

「え?」

 

「なんだそのことについては聞いていないのか……」

 

ーやべ……頭に血が上っててラストまで聞いてない

 

「まあいい、学祭の開催される期間中は学園を休みとする」

 

「休みですか」

 

「ああ、この二日で何とかアリーナの復旧を行うことにするつもりだ、一機稼働は流石に要領が悪いのでね」

 

「業者を入れるんですか」

 

「そうせざるを得ない状態なのが現状だ……こんな状況で部外者を入れるのは気が引けるのだが……」

 

ー当然だ襲撃されているのに外部からの業者を入れるなんて、どうぞホイホイ入ってくださいと敵に言っているようなものだ

 

「これに関してはかなり厳重に行うつもりではあるがね」

 

「と言いますと?」

 

「このことを話したのは君が初めてだ、あとは感のいい君ならわかるね?」

 

「……やはりそう言うことなんですね」

 

「残念ながら……ね」

 

ー内部犯……つまり十蔵さんはスパイがいると踏んでいる

 

「君は信頼のおける教師の一人だ、故に最初に話した……恐らくIS学園は暫く波乱が続くだろう」

 

「でしょうね……」

 

「ここからは私の身勝手な話になる……聞いてくれるかね?」

 

「嫌だ……なんて言える人ではありませんので、どうぞご自由に」

 

「各国から来る引き抜きを全て断ってくれないか?」

 

ー…………え?

 

数秒思考が停滞する

 

各国からの引き抜きを全て断ってくれないか?この言葉が意味することは、単純に選手としての復帰をしないで欲しいという意味

 

「赤城君の力ならまず間違いなく世界に通じる、だが日本は君を復帰させる気がない、ならば他国は自国の国籍を取らせ君を選手として起用したいはず、そうなると貴重な戦闘ができる教師が取られることになる、それにこの学園の守りも必然的に愕然と下がる、その矛先は当然私の妻と私に向く訳だ、早い話が妻の地位と私自身を守る為の身勝手な話だ」

 

「なるほど……確かに身勝手ではありますね」

 

「ああ、それを重々承知で君に頼む事になる……IS学園の切り札になってはくれないか?」

 

しばし考える、視線を布団から折れた左腕に移す。

 

選手として生きる為にここを捨てるか

 

それとも、ここに残り選手としての生き方を捨てるか

 

二つに一つの選択肢だ……

 

「この返答は時間を置いてもらってけ「構いませんよ」

 

「今なんと?」

 

「構いません、IS学園の切り札になりましょう」

 

「そんな簡単に決めてしまっていいのかね?」

 

「ええ、流石に今育てている奴らほっぽりだして行けるほどの胆はありませんので」

 

そう、前の俺なら時間を要求しただろうが今の俺は違った。

 

選手としての復帰と言う目標を塗り替える、新しい目標がしっかりとできた。

 

<今育てている奴らを一人前にする>それが今の俺の目標

 

その為ならば喜んでこの拳を振るい降りかかる火の粉を払おうではないか

 

この半年での記憶が蘇り自然に笑みがこぼれる。

 

「ありがとう、ではこのことについては私から米国に伝えておこう」

 

「お願いします、もし何かあれでしたら俺が直々に出向くとも」

 

「ああ、わかった」

 

ブツ

 

通話が切れる。

 

「あーあ、決めちまったな……」

 

携帯を枕元に投げゆっくりと体を横にする。

 

ーもっと強くならねぇとな……

 

静かに目を閉じる。

 

 

 

 

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