「新人……ここが私たちの本拠地」
薄暗い部屋に案内され気が付けば椅子に無理やり座らせられ、彼を囲うように彼女の部下達が取り囲む
「盛大に歓迎しよう一夏=織斑」
「それはどうも」
「こいつが男性で二人目の適正持ちか」
「えぇ、腕はまだまだだけど優秀な人材であり、貴重な第三世代型IS雪羅を保有している」
ガタッ!と椅子を倒す勢いで立ち上がり、目の前の椅子優雅に腰掛けている女性の机に拳を打ち付ける一夏
「そんな事はどうでもいい!本当に俺が求めてる物は手に入るんだよな!」
「ええ、そこまで焦らなくてもあなたが求めている物は手に入るわ、保証してあげる私達、いえ我々亡国企業には優秀なバックアップが
いるのだから」
「んじゃ、初めっか?S」
「はいはい、それじゃ施術をしましょうオータム、M」
そうSが命じるとかなりいやいや互いに見、一夏を背後から強引に机に叩きつけ左右の腕を拘束する。
「がっ!何する気だ!」
「あ?何っててめぇが欲しがってたもんやるんだよ、欲しいんだろ?力が」
「ふざけるな!そんな力が欲しい訳じゃない!放せ!」
「あまり暴れるな……腕を折るぞ……」
抑えていた左腕の肩関節に圧を加えるM
「がぁぁ!」
ミシミシと骨が軋む音が聞こえ痛みが増していく
「折るのはやめなさい、実験できなくなるじゃない」
そうSはMを諭しながらもアンプルをポシェットから出す
「なんだよ!それは」
「これは剥離剤を元に私が開発した新薬『固着剤』待機状態のISに直接打ち込む方式のアンプルでね」
一夏の左腕の袖を捲り待機状態の雪羅へアンプルを押し当て打ち込む
「この液体の中には私の組み上げたプログラムをナノマシンに記憶させたものが入っている」
アンプルの薬剤が全て雪羅へ流しこまれる
「M、オータム、離れていいわよ」
ー拘束が解放された!今ならISを使用して逃げれる!
雪羅を起動しようと念じたと同時に身体的変化はすぐに起きた
左腕に刃物を刺された激痛が走りそれを皮切りに全身めった刺しされたかのような激痛が襲う
「ああああああああああ!」
痛みに耐えきらずに床をのたうち回る
「あらあら、薬剤が浸透する前にIS展開したら拒絶反応出ちゃうでしょう」
雪羅の展開を強制遮断かけるが止まらない
「一度ISを展開したが最後、あなたはもう2度とISを脱ぐことはないわ、そして完全に薬剤が回り切った時あなたは一夏としてではなく、雪羅として生きることになる」
「おっそろしいもん作るなS」
「そうかしら」
「どうでもいい、Sこいつはすぐに使えるのか?」
「すぐは無理ね調整が必要よ」
メギリ、バギバギと一夏の体を媒体にしながら雪羅が展開されていく、両手足が生まれ変わり、背中からは翼が生え、全身を覆うように装甲が纏われる。
「さぁこれが我々の新たな同志雪羅です、スコール」
「そうそれじゃ行動を開始しましょうか、世界の変革を」
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織斑一夏失踪から一週間
左腕はまだくっついてはいないが無事退院日を迎えた
「荷物は私が持ちますよ優様」
「いえ、これぐらい一人で持てますって」
「いえ、手荷物は増えるでしょうから」
「?あぁそう言うことか、ならお願いします」
手に持ったボストンバックをクラリッサさんに渡す
「準備はできたか?」
「ええ、いつでもいいですよ」
「わかった、では行くぞ」
3人揃って病室を出、エレベーターを降り病院を出ると、そこにはラバーズと他何人かが出迎えてくれた。
「「赤城さん退院おめでとう!!」」
「ありがとう、と言っても完治はしてないけどな」
「生徒一同から花束の贈呈と私厳島からサプライズ「よーしお前ら車に乗り込め邪魔になるからな」
「「はーい」」
厳島から差し出された婚〇届けをガン無視して花束を肩に担ぎながら車に向かう
暖気運転していた二台の車に乗り込み病院を後にする
車に乗り30分ようやく我が家が見えてきたかと思い外を見ると、千冬さんの自宅へついていた
「あ、あれぇ?」
「流石にお前の家ではパーティーなどできまい?」
ー言われてみたらそうですね
ラバーズ達に背中を押される形で千冬邸に入っていくと、中は結構凝った飾りをしており、普通に驚いた
「お前ら結構頑張ったな」
「そりゃね、皆あっかぎ~んにはお世話になってるしね」
そう笑みを浮かべ答える綾瀬
「がやがやするのは席に着いてからにしろ」
千冬さんの言葉に皆従い各々席に座っていく
「ちょっと待て俺上座か?これ」
「当たり前だいったい誰のパーティーだと」
隣のラウラに言われとりあえず頬を引っ張る
「全員座りましたね、それでは赤城優様の退院祝いパーティーを始めましょう、皆さまグラスを片手に乾杯」
「「かんぱーい」」
カチャンとグラスを当て皆飲み始める
「うまい、ようやく好きな飯が食える」
どうやら、鈴音と箒辺りが腕を揮ったらしい
「お前の体ではあの病院食は物足りないのは目に見えていたからな、好物ばかり用意した」
「ですが流石にそればかりではと思いサラダ等もご用意させていただきました」
「なるほど」
「という訳だ」
サラダを取り皿に盛りこちらに渡すラウラ
「サンキュー」
ー食事をワイワイと食べるのはやはり気分がいい
ちらりと横を見るとあまり食が進んでいない箒が目に入る、心無しか少し顔色も悪く目の下にうっすらとクマもできている。
箒が作ったであろう唐揚げを箸で掴み
「箒?」
「は、はい」
「あーん」
「え!あ」
口にねじ込んでやる
もぐもぐと食べる箒に次から次へと料理をねじ込み続ける
「ま、待ってください、じ、自分で食べますから」
「お、そうか、ちゃんと食えよ、どんな時でも飯はしっかり取れ、心と体はバランスが大事だ、どちらかが欠けているなら欠けていない方を多くするんだ」
「でもそれは欠けた方を治した方が早いのでは?」
「そうだな、でも欠けた方を治すには時間がかかるだろ?その間バランスが欠落したままだと欠けていない方も欠ける事になる」
「……」
「だから欠けた時は欠けていない方を増やすんだ」
ーそう俺は左腕を折った、箒は心に傷をおった、治る時間は違うかもしれない、それでも双方ともに欠けたことには変わりないのだから
「今のお前がすることはよく食べてよく寝てよく体を動かすことだ」
「少しでもそれに添えるように明日から頑張ります」
「おう、頑張らない程度にな」
「はい!」
久々の箒の笑みを見、心なしか心が安らいだのが分かった、ただ一人箸を加えたまま瞬き一つせずにこちらを凝視していた厳島を見るまでは