ISてぃーちゃあ〜/upper!   作:BlueRider

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第十八時限目~花鳥風月~

パーティーと言う名の騒ぎが終わり各々片づけを始め手伝おうとして皆から笑顔で台所から追い出された自分

 

「笑顔なのに凄みがある辺り障害を乗り越えてきた猛者達だよな、ホントに」

 

「あ、皆から追い出された赤城さんだ」

 

「一言余計だぞ刀奈」

 

縁側で一人夜風に涼んでいると楯無こと刀奈がこちらの横に腰掛ける

 

「赤城さん明日は新しくできた水族館に行くんですよね?」

 

「そのつもりだ、その予定だからな」

 

「……あまりこう言ったらあれですが、お気をつけてください」

 

「それはあれか?直感的な奴か」

 

「ええ、まぁ、一夏君の事もありましたから」

 

刀奈から空に視線を移すと今日は雲が広がっており月がよく見えない

 

「俺を狙う奴なんてそうそういないだろうから、あまり気にするな」

 

笑みを浮かべて返答してやる。

 

「赤城さんならそう返すと思いましたよ、くれぐれもその体で無理はなさらないようにお願いします」

 

「あいよ、お前もいろいろ立て込んでて大変だろうに」

 

「いいえ、これくらい平気です」

 

ーお互い無理しても平気な顔するのは悪い癖だな

 

「さて、片付いただろうし中に入るか、流石に夜の秋風は身に染みる」

 

「そうですね」

 

今に戻ると凄まじい数の布団が敷き詰められていた

 

「反応に困りますねこれ」

 

「仕方ないだろうこうしないと全員寝れんのだからな」

 

千冬さんの会話を聞きながら敷き詰められた布団を見ると、真ん中の布団だけ開いていた

 

ー俺の場所かな?あれは

 

冷や汗がじんわりと背中を伝うのがわかる

 

「何をしているさっさと寝るぞ」

 

千冬さんに背中を叩かれ

 

「そうですよ明日は早いんですから」

 

クラリッサさんには尻を叩かれる

 

双方共に真ん中を脇に綺麗に分かれ布団に入る

 

「で、ですよねぇ」

 

半ば諦め布団に腰を降ろし、吊っていた左腕を刺激しないようにやさしく布団に降ろし体を横にする

 

ー久々に見たなこの天井

 

就寝してから数十分、閉じていた目を開き左右を確認すると、二人ともぐっすり眠っているらしい

 

布団から起き上がり左腕を再度吊り直し、自分の荷物から病室で入手した髪の毛と破片を包んだハンカチとライトを出しキッチンに向かう。

 

ー確かこの辺に使い捨てのパウチがあったはず

 

引き出しを何ヵ所か開けているとお目当ての物があり一枚拝借し、口にライトを加えパウチに髪の毛と破片を入れる。

 

「とりあえずはこれでいいか、問題はこれをどこで鑑定してもらうかだな」

 

毛髪鑑定と何かの破片鑑定、まず日本では無理だろう、そして欧州もダメだろうな、どうしても彼女達(千冬とクラリッサ)に話を通すことになる。

 

「となると答えは絞られたな」

 

携帯を取り出し通話ボタンを押す

 

「よう赤城、お前からかけてくるとは珍しいな何用だ?」

 

「あぁ、ちょいと頼みごとを頼みたくてな」

 

「んぁ?いいけどよ…は、はーん、さては厄介ごとだな?」

 

「ご明察、相変わらず察しがよくて助かる、毛髪鑑定と何かの破片鑑定を頼みたくてな」

 

「ちょい待ち、ナタルに聞いてくる」

 

「わかった」

 

折り畳み式の椅子を引っ張り出し腰掛け、パウチに入っている破片を見る

 

ーどこで見たんだっけかな、これと似たような物

 

身近であり、でも特別な物だったはず

 

「うーん」

 

思い出したいが思い出せないもやもやした感覚

 

「悪い悪い少し手間取った、それで本題に戻るがその頼みはできるそうだ」

 

「本当か!恩に着る」

 

「ただし、この問題がお前だけでどうにもならないと踏んだ場合、千冬=織斑とクラリッサ=ハルフォーフにこの情報を伝えるって言う条件だ」

 

「な!」

 

「それが交換条件だ」

 

「…わかった、不承不承ながら了承しよう」

 

「了解、ならこっちからそっちに直接出向くから日付と時間決まったらメールで送ってくれ」

 

「あぁ」

 

通話を切る

 

ーこっちの状態がわかってると見ていいんだろうか

 

とりあえず前には進んだ、後はどう転ぶか、ポケットにパウチと携帯を入れ居間に戻る事にしよう。

 

寝静まった居間に戻り壁に掛けてあるカレンダーで、大体の日付を決めようと見ると九月二十七日に丸印がしてあった。

 

ーあぁ一夏の誕生日か…

 

どうやら、学祭から数日後がそうらしい

 

「ひでぇ話だな、まったくよ」

 

折れた左腕に視線を移す

 

ー待ってろよ、必ずこの場所に連れ戻してやるからな

 

パウチをカバンに隠し、皆起きていないことを確認、静かに布団に横になり目を閉じる

 

 

 

 

 

 

AM7:00

 

皆起き始める中、この男だけは目を開けようとしない

 

「相変わらず朝には弱い男だ」

 

「ですね」

 

千冬に頬を軽く叩かれようやく目を開け、体をのっそりと起こす

 

ぼやけた頭を覚醒させる為に洗面所に向かうが、洗面所はごった返しており暫く使えそうにない

 

この調子だとトイレも暫く使えないだろう

 

ー朝からこれはきついぞ、おい

 

頭を抱え居間の椅子に座るとクラリッサさんからコーヒーが注がれたマグカップを渡される

 

「あったかいのどうぞ」

 

「あったかいのどうも」

 

コーヒーを啜りごった返しが収まるのを待ち、バタバタと皆身支度する中、のそのそと支度を開始する。

 

そうこうしているうちに、織斑宅を出発するまでに軽く一時間近く時間が過ぎていた

 

「皆乗ったか?」

 

「はい、全員いますね」

 

二台の黒と白のワゴン車が動き出す、それを監視している者がいるとは知らずに

 

「こちらM、目標が移動を開始した、追跡する」

 

「はん、しくじるなよ」

 

「オータムお前もな」

 

通信を切り、Mの体より大きい大型バイクのエンジンをかけ追跡を開始する

 

「目標は規定通りのルートを進行、予定時刻より少し早めに着きそうだ」

 

時々入る通信を聞き流しながら、そうそうに先回りし水族館内へ入場するオータム

 

ーたく、めんどくせえったらありゃしねぇぜ

 

S曰く赤髪は今後の作戦に支障が出るから今の内に潰しとくべきと発言し、スコールはそのまま了承、仕方なくあたしらが動くことになった訳だ

 

「発言した、てめぇも動けっての…」

 

トイレに入り、リュックサックからMP5を出しドラムマガジンを装着し壁に立てかける。

 

更にリュックサックからセムテックスを利用したスティッキーボムを取りだしパーカーのポケットへ入れ、底板を捲りC4を取り出しトイレに仕掛ける。

 

「わりぃが派手に行くぜ」

 

仕掛け終わり、後はMから到着の合図を待つだけ

 

ーさぁ来いよ、戦争しようぜ赤髪

 

「こちらM、目標が水族館に到着した」

 

「了解、こっちはいつでもGOできるぜ」

 

「まぁ待て、少しばかり泳がせておけ、後数十分で見世物が始まる、それが合図だ」

 

「まどろっこしいな」

 

「スコールからの命令だ、仕方ない」

 

「け」

 

バイクを止め、USPを腰のホルスターに二丁差しフルフェイスヘルメットを外しバイクに置きつかつかと歩いていく

 

 

 

襲撃者がいるとは知らずに水族館に悠々と入場する赤城一行

 

ー流石新しく出来ただけあって綺麗だ

 

周囲を見渡すと人はそこそこ多いが、大きめの水槽のお陰でさほど気にならない程度ではある

 

先頭を歩いているラバーズの面々が笑顔ではしゃいでいるのもよく見える。

 

ーやっぱこいつらには笑顔がよく似合う

 

「優楽しんでいるか?」

 

「ええ、楽しんでますよ、水族館なんて小さい頃以来ですから」

 

「そうか、ならばいいんだがな」

 

ラバーズ達の後ろで、そんな会話をしながら優雅に泳ぐ魚を眺めていく二人

 

「優様!見てください!ドッシーです」

 

「え?ドッシーってあのドッシー軍曹?」

 

「はい、あのドッシー軍曹です!どうやら今日だけ来てるみたいです!」

 

「行きましょう、ぜひサインと記念写真を」

 

「待て、ドッシー軍曹とはなんだ?」

 

「あぁそうか、ドッシー軍曹とはですね」

 

ドッシー軍曹、正式名はドッシー、ゆるキャラとして生まれた頭がサメ、体がイルカの珍妙生物である。

 

ツイツイで『ハワイで射撃しちょる』と言う名の動画から火が付き皆からは敬意を払いドッシー軍曹と呼ばれている。

 

今でもちょくちょく、実射しに海外に出向くほどらしい。

 

「と、言った感じですかね、かなり端折りましたが」

 

「なるほどな」

 

そうこう話しているとヒョコヒョコと尻尾を振り歩いて来るドッシー軍曹が見えた。

 

「な、なんだあの珍妙な生き物は」

 

「あれがドッシー軍曹ですよ千冬さん」

 

「ほ、ほう」

 

「行きましょう優様」

 

「ええ」

 

早歩きでドッシー軍曹に迫り話しかける

 

「すいませんドッシー軍曹さんですよね、よろしければ握手とサインを頂けないでしょうか?」

 

そう聞くと握手とサインを黙々としてくれるドッシー軍曹、2人分書き終わると最後にハグと記念写真までしてくれた。

 

「ありがとうございました」

 

「ドッシー軍曹またどこかで会いましょう」

 

そう歩き去るドッシー軍曹の背中に語り掛けると、こちらに向き直り敬礼をし再び歩き始めた。

 

「やはりドッシー軍曹はいいですね」

 

「ええ、今を生きる伝説ですね」

 

そう二人でご満悦でいると千冬さんが咳ばらいをする

 

「んん!もういいか?そろそろショーが始まる時間だが」

 

「「あっ」」

 

我に返りショーが開始されるであろうホールへ急いで移動する三人

 

「おっそーい」

 

「どこで時間を潰していたんですか」

 

「いや、ちょっとな」

 

「大人が着ぐるみにサインをねだっていると聞いたが?」

 

「まぁ色々あんだよ」

 

「そろそろ始まりますわよ」

 

貰った色紙をカバンに仕舞いながらクラリッサと千冬の間に座る

 

飼育員がステージに上がり挨拶が始まると奴らは動いた。

 

「オータム目標が檻(ステージ)に入った」

 

「あいよ」

 

待機形態のISにコネクトし先ほど仕込んだC4を遠隔で起爆させる

 

ドゴーン!と会場に響き渡る耳をつんざくほどの爆発音が轟き渡り、観客たちが悲鳴を上げる。

 

「な、なんだ」

 

「爆発音です、それも恐らくですが爆薬による物かと」

 

立ち上がった俺の耳元でそう囁くクラリッサ

 

係員達も戸惑っているようで避難誘導がままならないのが見てとれた。

 

ーパニックじゃないか

 

「クラリッサお前はこの場で待機、私が様子を見てくる」

 

「隊長!」

 

「おいおい、お前1人で行く気か?なら俺も」

 

「ダメだ、その左腕で何ができる、けが人は引っ込んでいろ」

 

ラウラに口を挟んだ所ぴしゃりと正論で返答され、言葉が詰まる

 

「あーじゃ僕ついていくよ、それなりの訓練は受けてるし」

 

「…いいだろう足は引っ張るなよ」

 

「任せて」

 

そう言うと二人は元来た道を警戒しながら向かう。

 

「我々はここにいる人たちの避難誘導をする、その方がスマートに終わるだろう」

 

2人の背中を見届けるや否や皆を指揮する千冬

 

「了解、二手に分かれて作業しましょう」

 

「ああ、お前たちは私についてこい、クラリッサ、優の事は任せたぞ」

 

「はい、お任せを」

 

東と西に分かれ両端に二つある非常口へ避難誘導を開始する。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「ここが爆発の現場と見ていいな」

 

「だね」

 

来た道を戻る事数分、派手に吹き飛ばされた一角を見つける

 

「爆発大きさから推測してC4と判断していいだろう」

 

物影からトイレだった空間を見てそう判断する二人

 

ラウラは靴底に忍び込ませていたナイフをそっと引き出し、少しづつ爆発現場に距離を詰めていく彼女の後方を警戒しながらついていくデュノア

 

「あばよ、候補生のガキンちょ」

 

そんな二人の目掛けMP5の引き金を引きフルオートでぶっ放すオータム

 

ダダダダダダダダダダ!

 

発砲音より早くに気付いたデュノアがラウラの背中にそのまま体当たりをしながら近くの柱になだれ込み身を低くするニ人

 

その隠れた柱を銃撃をしながら左腕でスティッキーボムをポケットから出し、柱目掛け投げつける。

 

柱に粘着後炸裂、ものの見事に粉々に消し飛ぶ柱だがそこに二人の姿はなかった

 

「あ?ち!うまい具合に切り抜けたか…」

 

トリガーから指を放し、ドラムマガジンを自重で落下させ標準マガジンに変えつつ索敵を始める

 

「間一髪と言った所か、しかしどうしたものか」

 

砕け散った柱を見つめながら後方の小部屋で今後の行動を考える二人、武器が武器なだけに下手に動けない、しかしここに居ては間違いなく撃ち殺されるだけ

 

「ど、どうしようか?」

 

「どうしようもこうもない、一気に向こうの部屋へ突っ切るしか方法はないだろうな」

 

ー問題はタイミングだ…少しでも間違えば

 

嫌な汗が背中を流れる

 

コツコツと歩いてくる音が近づいてくる

 

ほぼ時間は無いに等しい中、思考をぐるぐると回していると小さな子供の声が聞こえた、それもすすり泣くような小さな声、声の方向へ少し顔を出し周囲を見渡すと小さな物陰で子供が泣いていた

 

「子供だね、親とはぐれたみたいだけど」

 

「非常にマズいぞ、このままではあの子供殺されるぞ」

 

ーテロリストの動きを見るにほぼ無差別だ、子供であろうと容赦なく撃ち殺すはず

 

もうこちらが走りこんで子供からこちらに意識を向けさせるしか

 

「あ?赤髪が出たか!わかったそっちに合流する」

 

テロリストの動きが止まりすぐさま元来た道を駆け足で戻り始める。

 

「なんだったんだろう?」

 

「なんだっていい、とりあえず子供の確保と建物から退避するぞ、これだけ派手に暴れているんだ、いつ崩落が起きても不思議じゃない」

 

「だね、みんな大丈夫かな」

 

「避難誘導が終れば自然と退避しているだろう、我々も急ぐぞ」

 

「うん…大丈夫?怖かったよね?」

 

物陰に隠れている子供の元へ駆け寄るデュノアとラウラ

 

「よし、さっさと逃げるぞ」

 

子供を抱きかかえたデュノアにそう言い移動しようとした時、ダン!ダン!、ダダダダ!と言う単発的な音と持続的な音が遠くで響く

 

「い、今のって」

 

「そうこうしている暇はないな、入口まで走るぞデュノア」

 

その掛け声と共にダッシュする二人

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

ーこんなものか?

 

ラウラ、デュノアが行ってから数分後、避難誘導もほぼ終わり辺りを見渡す

 

いないみたいだし、俺も退避するか…

 

クラリッサへ視界を向けようとぐるりと回した時、視界の片隅で何かが動いた

 

ん?逃げ遅れたのか?

 

何かが動いた方向へ歩みを進め、通路に出るとやはり人が歩いていた

 

声をかけるよりも走り出しその人との距離を詰めていく

 

ーなんだってこの人、奥へ奥へと移動するんだ?

 

ある程度進んだ所でピタリと歩みが止まる

 

髪の長さ背丈から考えて少女だろう、まぁ男性という線がないわけではないが今回はその可能性は排除していいはずだ。

 

その娘へ歩みを進めながら声をかける

 

「お嬢さん、ここは崩落の危険があるから避難しよう」

 

「人を探しています」

 

「人?どんな人?特徴とか」

 

「髪が短髪で赤くて」

 

「ほうほう」

 

「男性で中肉中背」

 

「ん?」

 

「名前は優赤城と言う」

 

USPを腰のホルスターから二丁引き抜きこちらに向き躊躇いなく発砲

 

振り向くと同じく反射的に近くの壁に飛び込む

 

ーどうなってんだ、千冬さん似の少女が銃を二丁構えて撃ってきたぞ

 

世の中には似ている人が三人いるとは言うが、にしても似すぎだ、やばい軽く志向がショートしてる

 

「おいおい、冗談にもほどがあるぞ」

 

「冗談?日本人は撃たれても冗談というのか?」

 

軽口を言ってみるが少女は問答無用でこちらに近づいてくる

 

「はは、まさか流石の日本人でも実銃ぶっ放されたら冗談とは思わないはずだぞ」

 

ー現に俺は冗談と捉えていないからな

 

周囲を見渡し何か使えそうな物がないか探す

 

消火器か…いいね、ついてる

 

右手で強引に扉を開き消火器を吊っている左腕で抱きかかえる

 

ー急げ敵はすぐそこだぞ

 

ピンを引き抜きホースをクリップから外し、自由の利かない左手でホースを持ち右手でノブを持ち構える

 

姿を現した少女目掛けノブを押し込み消火剤を吹きかける

 

「く、小癪な」

 

何発かこちらに撃ってきたようだが関係なしに走り出す

 

「見えてない今に逃げないでいつ逃げるよ」

 

消火器を担ぎ来た道を全速力でダッシュする

 

ーこうなるならクラリッサさんに声くらいかければよかったな

 

後悔後にたたず、泣き言を言ってる暇はないもっと距離を稼がなくては…

 

走っている真横の壁に銃弾がめり込む、消火剤の煙幕を抜けてきたようだ

 

迷わず右の通路へ入り射線を切り、深海魚達が泳ぐ暗いトンネル水槽の中を猛然と走り抜ける

 

「ちょこまかと」

 

ダンダンと発砲、銃弾が水槽にめり込んでいく

 

「おいおい勘弁してくれよ、深海魚の水槽だぞ、それ」

 

「うるさい、おとなしく死ね」

 

トンネルを抜け今度は左にサイドステップし再び走りだすと目の前にもう一人銃を構えた女性がいた

 

「よう赤髪」

 

「あぁどうも、では俺はこれにて失礼」

 

「んな簡単に逃げれるわけねーよな!」

 

左手でスティッキーボムを赤城目掛け投げる、それを持っていた消火器をサイドスローで投げ相殺、爆発

 

「さらば消火器一号!」

 

踵を返し走り出そうとすると先ほどの少女が追いつきこちらににじり寄っていた

 

ー完全に挟まれた

 

「お前に選択肢を与えてやる、私に撃たれるか、後ろの女に撃たれるかだ」

 

「どっちも嫌という選択肢は?」

 

「あるわけがないだろう」

 

銃口がこちらに向けられる

 

逃げ道はどちらか一方に突撃してこいつらを盾にするくらいしか

 

ーやるならすぐ行動すべき

 

拳を握り締、決意し突撃をするべく走り出そうと踏み出すと

 

パリン!

 

「優様!伏せてください」

 

ISを装着したクラリッサが天窓をぶち破りガラスの破片と共にこちら目掛け突っ込んでくる

 

「ち、ISだと」

 

下手に動けばガラスに串刺し、注意がクラリッサにいっているのであれば今自分がとるべき行動は恐らく…

 

頭上のクラリッサの位置を確認し姿勢を低くし到着を祈る

 

ガシャン!パシャーン!

 

丁度こちらに覆いかぶさる形で着地するシュヴァルツェヴェレと降り注ぐガラス

 

音が止んだ瞬間、二方向からMP5とUSPの弾丸が同時に撃ち込まれる

 

「うひゃー」

 

「優様余裕そうなので申し上げますが、お怪我をなされている時に単独での行動は慎んでいただけると助かります」

 

面と向かって言われる、その顔には青筋が浮かんだ笑顔をしていた

 

「あい、申し訳ございません、以後気を付けます」

 

「ごちゃごちゃうるせーな!おい!」

 

MP5のマガジンを抜き捨て、残りのスティッキーボム投げ始める

 

投げられたスティッキーボムはシュヴァルツェヴェレの背部にマウントされたボックスに吸着し爆発

 

「ぐ!」

 

「クラリッサ、ISの損害状況は?」

 

「背部強化兵装損害Aクラス相当」

 

「パージだ!このまま受け続けるのであれば他にもダメージが「そんな事できません、これは優様の特注兵装ですよそれをパージするだなんて私には」

 

「お前ができないならば俺が外部接続でパージしてやる、こんなとこで二人ともやられるくらいならの尚更な!」

 

そう言いあっていた時だった、シュヴァルツェヴェレの背部ボックスが光輝きだした

 

「「え!」」

 

「なんだこの光は!」

 

《閉殻モードから開殻モードへ移行》

 

《起動プロセスを開始…パターン4まで省略強制覚醒へ》

 

《全行程完了…承認しますか?》

 

そんな文面が見つめあった状態の二人の間の電子画面につらつらと流れてきた

 

「一体何のことでしょうか?」

 

「なんだっていい、この状況を打破できるなら…承認する!」

 

《音声認識完了、承認が受理されました》

 

《玉翼鳥ーギョクヨクチョウー起動》

 

ヴェレの背部ボックスが四方に吹き飛び中から球体が現れ、勢いよく前方のオータム目掛け射出される

 

「ぐ!」

 

とっさにISの腕を部分展開し飛んできた球体を弾き返すが勢いを相殺できずに後方に態勢を崩す

 

「今しかない!」

 

「了解」

 

その隙に俺を抱えジャンプし割れた天窓へと向かう

 

「させるものか」

 

MはISの両腕を部分展開をしライフルを構え、躊躇うことなく発砲

 

複数発撃ち出された弾丸がヴェレに着弾する前に先ほど弾かれ宙を舞う球体が、鳥の形へ変形しヴェレと弾丸との間に入り翼で防ぐ

 

「なんだと」

 

そのまま天窓から上空へ離脱する二人、そしてそれに続くかのように飛んでいく一羽

 

Mとオータムを残したまま、崩落を開始する水族館

 

「ああ、水族館が」

 

「戦争とはこんなものです、あったものが一瞬でなくなる」

 

「…重みが違うな」

 

「死線をくぐり抜けてはきましたから」

 

数分間の飛行の後みんなが待つ駐車場へ降り立つ

 

「無事なようだな」

 

「ええ、クラリッサさんに助けられました」

 

「だろうな」

 

「お見通しで?」

 

「最悪のことを考えていた結果だ」

 

ーあぁ、これ怒ってるな…まいったな

 

右手で後頭部をかきながらどうしたものか考える

 

「とりあえずは丸く収まったということで今日はもう帰りましょう」

 

肩に乗せた玉翼鳥を愛でながらこちらの間に入ってくれるクラリッサ

 

「だな」

 

 

 

 

 

 

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