ISてぃーちゃあ〜/upper!   作:BlueRider

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第ニ時限目~恐怖!?動き出す四角関係!?~

―………ん

 

目を開き、起き上がると横には目にタオルを乗せられた一夏と一夏ラバーズがズラリと寝ていた

 

「ここは寝室か?布団敷いてあるが……」

 

立ち上がりふすまをあけると日が沈み月が見え始めていた

 

「本当にだいぶ寝てたみたいだな」

 

―正確には気を失っていたが正しいがな

 

背伸びをして居間に向かうと意外な人物が居間でくつろいでいた。

 

俺が最も会いたくないナンバーワン、そう彼女である

 

「ハロー!ゆーくん!おひさー束さんだよ」

 

ピョコピョコと耳を動かしながら料理を、ぱくぱく、むしゃむしゃと食べていた

 

―嘘だろ嘘だと言ってくれ

 

あの劇物に近いような料理を平然と平らげている様は誰だってそのような事を言いたくなる

 

「てか、さり気なく俺の事ファーストネームで呼ばないでください」

 

「えー!」

 

「えーじゃなくて」

 

「だって、ちーちゃんクラちゃん「クラちゃん!?」はゆーくんの事ファーストネームで呼んでるじゃん」

 

―どっから突っ込めば?

 

「んーまあいいか、心が広い束さんに免じて許してやろう」

 

―殴りてぇ!マジでダイヤの指輪はめて殴ってやりてぇ

 

わなわなと拳をふるわせながらも、空いている席に着席する

 

「束……本題に戻れ」

 

「はいはーい、今回ここに来た理由はね~」

 

「どうせまた、新しいISが出来たから持ってきたんでしょ?」

 

「さすが、ゆーくん察しがいいね!でも全くの新型って訳でもってないんだな~これが」

 

―はい?てか、呼び方直さないのね…

 

一同頭に?を浮かべながらも束の話を聞く

 

「まぁまぁ、後は見てのお楽しみってことで……」

 

立ち上がり居間の一角に向かい指を鳴らす。

 

するとお馴染みの人参が姿を現した。

 

「いつからそこに……」

 

固定ボルトが弾け外れたと同時に白煙が噴き出し綺麗に割れていく人参

 

白煙の中から現れる一機のIS

 

「そのフォルムは!」

 

すくっと立ち上がり驚きの表情を隠せないクラリッサ

 

腰部にはスカート状に装備された5つのブースター、背部にはゴツいコンテナのような物が搭載、そして………黒いウサギ耳のようなヘッドセット

 

「あれ?何かラウラのISに似ているような…………」

 

「馬鹿者、このISはそれを元にしているのだから似ていて当然だ」

 

「へ?」

 

「さすがはちーちゃんお目が高いね~その通りこのISはシュヴァルツェアシリーズを元にしたからね~」

 

飛び跳ね解説する束に、静かにかつ迅速にホルダーに収めていたルガーを向けるクラリッサ

 

「例えあなたが天才科学者でも、これは許される事ではない」

 

「大丈夫!大丈夫!束さん軍事機密何て全然見てないし、それに……これくらいの『レプリカ』どうって事ないし」

 

面白おかしそうに笑いながら話す束

 

―おいぃぃ、今この人ドイツを敵に回したぞ

 

「確かにあなたの言うとおりこれくらいの事は、造作もなくやってのけるでしょうね…………『天才科学者』なら」

 

ルガーを静かにホルダーに収めるクラリッサ

 

「あれ?ゆーくんみたいに襲ってこないの?」

 

「襲うって……」

 

「えぇ、合理的な案が浮かびましたので」

 

「わぁお!束さん是非とも聞きたいな」

 

「この事を知っているのはこの場の4人だけですので、ドイツへ流れてしまう事は事実上ありえません、流れるとしたら私が束氏を追い詰めた時くらいでしょう、しかし、それでは逆にこちらにダメージがあります」

 

「軍事機密漏洩の疑いか」

 

「はい、千冬氏の言った通り、それを食らっては元も子もありません、言うなればハイリスクノーリターンと言うことです」

 

―何か…次元が違う話をしているな…

 

「では、どうするか?簡単です『私が束氏のISに乗ればいい』そうすれば全て丸く収まります」

 

「そうだね~でも束さんがクラちゃんに、このISを渡さなかったらどうしたの?」

 

「「それはない」」

 

3人声を揃えて言う

 

―なぜかって?それはコイツが生粋の科学者だからだよ

 

「ありゃー束さんの事よくわかってるね」

 

「一度目で大体わかるもんですよ」

 

―嫌でもな

 

「なら!このISゆーくん「入りません」

 

「と言うかあんたの新型ISは……断固拒否する」

 

「ちぇ…まぁ、ゆーくんならそういうと思ったけどね、んじゃ、ちゃちゃっとやっちゃうよー」

 

「わかりました」

 

スタスタと歩いていき新型ISを装着するクラリッサ

 

「あ!そうそう!ゆーくん!」

 

「話は後から聞きますから、ちゃんとセッティングしちゃってください」

 

「はーい!」

 

―この人とはなるべく話したくは無いんだがな……そうも行かないよな…あの事、ちと言わないとマズいだろうし

 

「優」

 

「何ですか千冬さん?」

 

「数日…開いてるか?」

 

「開いてますけど……どうしました?」

 

と言うかぶっちゃけする事ありません

 

「そうか…なら……」

 

ゴソゴソとポケットから何かを出す

 

「アメリカに行くぞ」

 

「はい?唐突ですね千冬さん」

 

「仕方ないだろう、今日招待状が届いたんだからな」

 

テーブルにポケットから出した封筒を置く千冬、それを手に取り蛍光灯に透かしてみる

 

「…………便せん……ですかね?後三枚はチケットぽいですけど」

 

「透かさなくても開けてみればいいだろ」

 

―それもそうか

 

封筒の中身は航空券三枚と三つ折りにされた紙が入っていた

 

「えーと何々………」

 

三つ折りにされたいた紙を開き内容を把握しようとする………が

 

―アメリカ語!わかんねぇ!!

 

冷や汗をダラダラとかき始める

 

「貸してみろ」

 

スパッと手に持っていた紙を千冬に取られる

 

「…………要約すると、アメリカ行きの航空券を入れとくので来てくださいだそうだ」

 

「何か前文飛んでませんか?」

 

―確かLOVEの文字が何ヶ所かあったような…

 

グシャ!

 

「ひぃ!」

 

千冬の手に握られていた紙がクシャクシャに丸められていく

 

「優、何か言ったか?」

 

「いえ!!何も!」

 

激しく死の恐怖がよぎった

 

―おいぃ!マジでさっきの千冬さんの顔はヤバいって……瞳孔開きっぱなしだぞ

 

「機内は刃物持ち込めないしな……ブツブツ」

 

―おぞましい、誰か誰か…

 

「これでセッティングは終わりだよ~」

 

「………感度等はあまり変わりませんね」

 

「まぁねぇー!実際束さん今回そう言うところには力入れてないのだ!そして私が力を入れたところそれはね」

 

―何となく想像はつくがツッコまないでいいよな……

 

「唯一仕様ですか?」

 

「チッチッチ、唯一仕様は破月ちゃんでやってるから、今回この子には、ゆーくん用の追加武器を搭載してるのだ」

 

―え?

 

「優様用のですか?」

 

「そう、そのコンテナとスカート状のがねーぇでも今は使えないけど」

 

「何故です」

 

「ある事をしないと使えない仕様だからなのだ!はっはっは!後その方がかっこいいから」

 

「「……………」」

 

3人同時に頭を抱える

 

「でも、多かれ少なかれ近々使用できると思うよ?」

 

「そうですか……」

 

「それじゃあこれでこの件はおしまい!ゆーくん!ゆーくん!」

 

「な、何ですか?唐突に」

 

「あの打鉄!どう!」

 

「結構いい感じですよ、感度もいいし、しっくりきますしおすし」

 

「他には!ねぇ他には!」

 

「他ですか……声が聞こえました」

 

「声?」

 

俺の言葉に食いつく千冬

 

「えぇ、何でしょうね、こう………脳内に直接流れてくる感じで……声の感じだと幼い女の子ってイメージです」

 

「誰かの通信が紛れたという可能性は?」

 

良くありそうな質問をぶつけてくるクラリッサ

 

「無いな、最初聞いた時は回線を拾うだけのSE(シールドエネルギー)ありませんでしたし、次聞いた時はIS展開してませんから」

 

「うんうん、ゆーくんにこの子を渡して正解だね、それじゃあコレ」

 

スカートの中から、指輪を取り出し渡す束

 

「何ですか?これ?」

 

「結婚指「質屋に売るか」

 

「うそうそ!うそだからね!本当は待機状態のゆーくんカスタムの打鉄だよん!んじゃ束さんお忙しいからバーイバーイ!」

 

「え!ちょ!」

 

バビューンと飛んでいく束

 

「しかし」

 

「謎だけが残りましたね」

 

「だな…んじゃ、準備しますか?チケットの日付今日ですし」

 

「ああ、当然クラリッサも来るだろ?」

 

「えぇ、御一緒させていただきます」

 

いそいそと準備を始める3人の元へ、のそのそと歩いてくる一夏

 

「おぉ一夏、戻ってきたか、わりぃが今からアメリカ行ってくる」

 

「え!今からアメリカですか?」

 

「おう、2泊3日だから直ぐに帰ってくるけどな」

 

「2泊3日ですね、わかりました」

 

「わりぃな色々と」

 

「大丈夫ですよ、こっちも明日出掛けようと思ってた所ですから」

 

「そうか、何か土産買って帰っからな」

 

「楽しみにしてます」

 

「うい、では行きますか」

 

纏めた荷物を背負い織斑家を出、タクシーに乗り10分かそこらで空港に到着し時刻表を確認

 

「9:00丁度に出発予定だそうです」

 

「そうなるとまだ時間ありますね」

 

「そうだな」

 

―…………誰かツッコミの許可を

 

現時刻8:00

 

そして……2人の装備、お二人はどこかに進軍するんですかね……

 

「俺ちょっと売店に寄ってきますね」

 

「わかりました」

 

「我々はしばらくここでのんびりしている」

 

「了解しました…」

 

―とは言って出てきたものの……

 

「時間どう潰そうかな……立ち読みはアレだし軽く中見て終わりだよな…はぁ…」

 

なけなしのお金を出し、飲み物と食べ物を買い売店を出る

 

2人の元に合流するとクラリッサはおもむろに

 

「…優様コレに待機状態のISを入れてくれださい」

 

A4サイズの箱を取り出し蓋を開ける

 

「コレは?」

 

「機内では携帯すら使えないからな、当然ISも例外ではない」

 

―あぁ…精密機械の塊だもんな航空機って

 

「わかりました」

 

指輪を外し専用の箱に収めると、千冬も同様に左手に着いている籠手を外し専用の箱に収める

 

「へぇ、破月の待機状態って籠手だったんですね、知りませんでした」

 

「ちなみに優様!私のヴェレも」

 

クラリッサはスッと袖をめくりと右手の籠手を見せた

 

「え!クラリッサさんのも籠手型なんですか…ん?ヴェレって?」

 

「はい、そして誠に勝手ながら命名させていただきました、私のISの名…『 シュヴァルツェア・ヴェレ』です 」

 

その籠手を外し専用の箱に収める

 

―ふむ……両方の同系の形…違いは真ん中についた結晶の形だけか

 

破月の結晶の形は五角形で、ヴェレの方は縦長の六角形、見方によっては盾と矛にも見えなくもないそんな形状をしていた

 

パタン

 

待機状態のISを収めた専用の箱を閉める

 

「さて、では行くか」

 

「りょーかい」

 

千冬を先頭に赤城、クラリッサの順で歩いていく

 

「お客様、こちらにケースをお預け下さい」

 

「わかりました」

 

荷物検査前で係員に言われ、素直にケースを渡すクラリッサ

 

そして3人とも別々の列に並ぶ

 

―アメリカか…………いつ以来だったか

 

しみじみと暫し過去の余韻に浸りながら、身体検査をパス、自分の荷物を携え機内へと向かう

 

3人席で、席順は左からクラリッサ、赤城、千冬と言う形になっていた。

 

―落ち着かねぇ…………

 

千冬さんは腕を組みつつ読書、クラリッサさんはイヤホンを差し機内ラジオを聞いていた。

 

この状況から、導きだされる答えはただひとつ…………

 

俺は考えるのを止め、目を閉じた。

 

――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――

 

「……て……さい……!」

 

―もう少し眠らせてくれ…疲れてるんだ…

 

「きて…ださい…様!」

 

しかしこの展開…何回も経験したような?気がしないでも……

 

パチン!

 

唐突に指ぱっちんの音がしたかと思うと鮮明に織斑千冬と言う女性に『死者の目覚め(物理)』で起こされる場面が瞬く間に蘇った

 

―あ、あれ?俺マズくね!?起きぬぇと!コレがデジャヴか!

 

それと同時に目が開く前に体が飛び起きる態勢に入り前へと動き出す

 

ゆっくりと目が開くと前にはクラリッサさんの顔が迫ってきていた…否!俺が迫っていた

 

―やべぇ!避けられぬぇ!

 

急に動いた物体はすぐには止まれない、無論急に動かれた物体を回避するのも無理な話

 

要は……

 

ズキュュュン!

 

マウストュウマウスである

 

―やってしまった……

 

キスした体は席へと着席し、キスされた者とそれを横で鬼の形相で見ている者を残して…

 

冷や汗が止まらない…

 

視線が…視線が痛い!

 

何か見えない何かに押しつぶされそうだ……

 

「お、お客様」

 

添乗員をギロリと睨む千冬

 

「ひ、ひぃ!」

 

添乗員の悲鳴を後目にそそくさと歩き始める千冬、その後ろを頬を赤くしながら軽いトランス状態で続くクラリッサ、そして…………

 

「………」

 

終始無言のまま、2人の荷物を持ち機内を後にする俺がいた

 

―……コレが勝負に勝って試合に負けたと言うことか……へへ、また賢くなったな俺……泣きたい

 

空港を出ると2人の女性が軍用車の前で、1人は両手で手を振り、もう1人は軍用車に腰掛け腕組みをしていた。

 

―ナターシャさんの隣の女性……何処かで

 

暫し考えようと視線を切った瞬間、腰かけていた女性がこちらめがけ走りはじめる。

 

「「優(様)!」」

 

2人の声で視線を戻すと、ほぼ間合いに入るか入らないかの値まで距離が詰まっていた。

 

荷物をすぐさま離し、バックジャンプしながら両腕を十字にクロスさせる。

 

ゴスと鈍い衝突音、女性の左掌がガードの上から当たる

 

続けざまにコンパクトにガードをくぐるように、右掌をこちらの顎目掛け放つ。

 

―ガードの崩し方を知ってやがる!

 

クロスの上にしていた左腕を、女性の右肘の内側へ裏拳を放つようにぶつけ上体を反らす。

 

「ぐ!」

 

顎を狙った右掌は掠らずに止まり、女性の口から歯を食い縛った音に近い声が漏れた。

 

両者ともに一歩半の距離が出来、構えを取る

 

―構え的にCQC、もしくはそれに近いもの…………先のガードの崩し方を見る限り、対打撃戦闘は慣れてると見た。なら…………

 

握っていた拳を解き、構えを変動、前に出していた左足を後ろに下げ、あたかもスイッチしたかのようにみせる。

 

それを見て、女性はじりじりと距離を詰め、後一歩残しといったところで今度は掌ではなく拳に構え放つ。

 

顎狙いの右ストレートを左手で強引に鷲掴む

 

続けざまに心臓への左掌を身を捻り右脇で挟み動きを封じる

 

されど連撃は止まらず、鳩尾目掛け右膝放つ

 

鷲掴んでいた左手を離し、裏拳でフリーになった右手を弾き、左肘を直下で振り押し相殺。

 

一連の動作が終わり追撃は無いと思い力を抜くと、それを好機と悟ったのか女性は挟んでいた左腕を腰へ回し、左足で右足を払い左腕を彼女自身の方へと引く。

「しまっ!」

 

―倒される!この女性にマウントは不味い!

 

倒れる中、両腕を伸ばし女性の服を掴む

 

「なに!」

 

焦った声が聞こえたが構わずに、払われた右足を女性の腹部に当て、こちらの背中が着くと同時に思いっきり蹴り上げる。

 

その瞬間だけゆっくりとスローモーションがかかったかのように女性の軽い体が宙に浮き、自分の頭上方向へと流れていく。

 

「うおぉぉぉぉりぁぁぁ」

 

あとは流れるように掴んだ服ごと腕を振り上げる。

 

「かは!」

 

ドザ!と背中から倒れる女性

 

「決まり手は巴投げか」

 

「優様、御無事ですか!?」

 

「あぁ何とかな」

 

両足を上げ振り子のように使って立ち上がる

 

「もう、イーリったら…」

 

倒れた女性にそう声をかけ近寄るナターシャ

 

―イーリ?…………あ

 

「お前イーリス=コーリングか」

 

ナターシャが呼んだ名前で思い出し、大の字に倒れている女性にそう声をかける

 

「今更かよ、たく相変わらずだな、てめぇは」

 

彼女も俺と同じように体を使い立ち上がり砂を払う。

 

「取り敢えず、ようこそアメリカへ、歓迎するわ」

 

「立ち話もなんだ、さっさと戻るぞナタル」

 

「それもそうね、赤城君荷物を荷台に積んでくれる?」

 

「わ、わかりました」

 

投げた荷物を拾いに戻る間に荷台のカバーを外す面々、そして荷物を荷台へと積んでいく

 

「これでラストっと…………」

 

「あいよ」

 

「あれ?イーリスだけか、他3人はどうした」

 

「あぁ、じゃんけんしてる」

 

「…………はい?」

 

―状況がわからんのだが

 

イーリスが指差した方向を向くと確かにじゃんけんをする3人の姿が見えた。

 

「「最初は!グー!じゃんけん…………!」」

 

それも大人が割りと本気でじゃんけんしている光景が…………

 

「めんどくぇ、おい!赤城お前助手席に乗れそれで丸く収まる」

 

「え!アッハイ」

 

言われた通り助手席に乗ろうとすると

 

「そっち運転席だバーカ」

 

「あ」

 

真面目に左ハンドルなのを忘れ、運転席に座るところだった

 

「お前そう言うとこ変わってないよな、現役の頃から」

 

「うるせー」

 

「「ジー」」

 

そんな2人のやり取りをじゃんけんをやめ遠くから見る3人

 

「あ!じゃんけん終わりました?そろそろ行きますよ」

 

そう言い残し助手席に座ると、トボトボと先程の元気を無くした3人が静かに後部座席に乗り込む。

 

一人は腕組み、一人はドアに寄りかかり、一人は頭を抱え、3人共にうなだれていた

 

―席順でそんな落ち込まなくても

 

「んじゃ出発するぞ」

 

イーリスの声だけが車内に響いていた

 

車窓から見えるのは荒野の風景ばかりが続いていた。

 

「にしても、お前が現役引退するとは思わなかったぜ」

 

「あぁ、いろいろあったんだよ…………いろいろ…………な」

 

イーリスの問いに対し景色をぼんやりと眺めながら答える。

 

―親父、母さん…………

 

「そうか、まぁ深くは詮索しねぇさ」

 

「あぁ」

 

その後も単調な会話続き車に揺られる事数時間、ようやく目的の場所が見えてきた。

 

研究施設を想像していたが、そこにあったのは一隻の船だけだった。

 

厳重な警備を抜け、船に乗り込み停車、それと同時に皆一斉に降り出す。

 

当然あのお二方は荷物など降ろす訳無く

 

「ういしょ…」

 

荷物を荷台から降ろし、案内された部屋にあらかた壁に寄せて置き4人を探すと、席をバンバンと叩く千冬さんの姿が見えた。

 

なにも言わずに叩かれた椅子に腰掛ける

 

席順はやはりと言うか何というか……俺が2人に挟まれる形になっていた

 

―ははは、はぁ…

 

もはや溜め息しかでない

 

「まぁとりあえず…………乾杯!」

 

「か、乾杯…て!コレお酒じゃないですよねって」

 

ゴクゴクと盛大に一気に飲みきる4人

 

「乾杯と言ったらビールに決まってるじゃない」

 

「そうだぞ優、たまには酒を飲め」

 

「優様」

 

「細かい気にすんな、男だろ?」

 

4人の視線の中コップに注がれたそれを見る

 

「そうそう、男ならグイグイっと」

 

―ナターシャさんもう酔ってるし

 

「すまない、お代わりを頼む」

 

「私もお願いします」

 

―お代わりって……

 

「てぇ!半自立型ISが運んできた!」

 

テーブルにビール瓶を三本置き、椅子に座る半自立型IS

 

「ああ、それ一応銀の福音(シルバリオゴスペル)の後継機よ」

 

半自立型ISは俺に向け軽くお辞儀をする

 

―あ、ちゃんとお辞儀するんだ、礼儀正しいな

 

「今回、ご招待した理由は」

 

ビシ!っと俺を指差しながら語るナターシャ

 

「あなたにテストパイロットをやって欲しかったから」

 

「お、俺…」

 

「えぇ、私たちの研究グループは前の失敗をふまえ、今回は最小限の近接戦闘を覚えさせようと言う事にしたの」

 

「最初に言っておきますが優様はそのISには乗れませんよ?」

 

「大丈夫、大丈夫、実際にやってもらうのはモーショントレースだけだから」

 

―あぁ、動きだけを読み込ませるだったか

 

酒を注がれたコップを静かにテーブルへと置く

 

「あれ?飲まないの?」

 

「すいません下戸な者で、悪いコーラ貰えるか?」

 

そう半自立型ISに呼び掛けると瓶コーラを冷蔵庫から運んでくる

 

「悪いな」

 

ゴクゴク……

 

「酒飲めねぇなんて、人生の半分は損してるぜ?赤城」

 

「いいんだよ損してて、それにアルコールは脳細胞をだな「まぁなんにしても、今日の所はこの飲みで眠らせてもらおう」

 

こちらの会話を遮るように言い放つ千冬

 

「言い忘れてたんだけど…………就寝用のベッドって4つしか無いのよねぇ」

 

そのナターシャの言葉に対し俺は

 

「俺床に寝ます!」

 

そう即答した

 

「客人に、んな無下な態度とれねーだろ」

 

「そうだぞ優、私と寝るぞ」

 

「お待ちください千冬氏、ここは千冬氏に何かあっては行けませんので私と優様が寝るのが良案かと」

 

「それを、言うのならば日頃から接点の無い私が「めどくせぇな、赤城にはソファーで寝てもらえばいいだけの話だろ?それで構わないだろ?赤城」

 

「あぁ!もちろんさ!」

 

「だとよ、ナタ…………ル?」

 

イーリスの言葉に青筋を浮かべピクピクと顔をひつりながらも笑顔でこちらを見るナターシャ

 

―後が怖いなこれ

 

そしてこれが後に引き起こす不幸のトリガーであるとは誰も予期しなかったのである

 

 

 

 

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