ガチャコン、ガチャコン
自販機から人数分の飲み物を取り出し、そして財布の中を見て軽く絶望する。
ーまたモヤシに頼るしかないか
「はぁぁぁぁぁ」
頭を抱え、ため息をはく
「赤城先生ため息ばかりしていては、幸せが逃げますよ」
ガチャコン
そう言い箒は小銭を自販機に入れコーヒーを買い赤城に渡す
「悪いな」
「稽古をつけて貰ってるお礼です」
「「ジー」」
そんな二人を生暖かいまなざしで見る四人
「な、なんだ」
「「別にー」」
「本当なら一夏のやつも鍛えてやりたいんだがな」
渡り廊下から外を見ながらそう呟く
「一夏なら会長がしごいてるから大丈夫でしょ」
「確かに『純粋に力』だけならそれでもいいかもしれないが」
鈴音の言葉にそう返す。
「どういうことだ私にもわかるように説明してくれ」
「一夏が求める強さは守りの強さであって敵を倒す強さとは根本的に違う」
「騎士道のようなものかしら」
「うーん、主君のためとはまた違うんだよな・・・
例え勝てない敵に出会っても最後まで立ち上がり戦うそういう強さ」
「でもそれは大丈夫だと思うけど、僕は」
「いや、あいつはまだ本当の強敵にであっていない」
「本当の強敵・・・・」
皆飲み物を口にしながら淡々と会話をする。
ーたとえば俺が倒しきれないほどの敵とかな・・・・
コーヒーを一気に飲み干し空き缶をゴミ箱めがけ投げる。
きれいな投球フォームで投げられた空き缶はゴミ箱の淵に辺り上に跳ね上がり中へと入る。
「うっし今日も絶好調」
「それでは赤城先生我々はこれで」
「あぁ気をつけて帰れよ」
一夏ラバーズの後姿を見送り、肩を回し少量のやる気を出した所で職員室に戻ることにする。
ー山積みになってるんだろうな・・・・
気が滅入りながらも職員室の扉を開け中に入り自身の机を見る
ーあれ?珍しい何も置いていない?
不思議に思い自身の机の引き出し等をすべて開け中に何か無いか探す。
「赤城先生何か探し物ですか?」
「ああ、山田先生いつもならどっさりある仕事がないもので」
「それでしたら織斑先生がやっていましたよ」
「え!あの千冬さんが!?」
「はい」
ーあのめんどくさがりで、ずぼらで、人を物のように扱う鬼の皮を被った死神が!?
どっと冷や汗が流れ出る。
「お、俺殺されるんですかね、これ」
「何故いきなり殺害されるのか疑問なのですが」
「いや、だっていつもなら、ほら仕事だ、それが終わったら次はこれだ、で口答えしたら・・・・」
脳裏に浮かぶ木刀と追加される仕事、それを思い出すだけで顔が青白くなる。
「まぁ確かにいつもはそうですが、今日はなにやら違ったみたいですよ」
「へ?」
そうこうしているうちに噂の人が職員室に戻ってきた。
「遅くなったな今「ガダン!!」・・・戻った」
すぐさま自身の机の下に隠れる、無論でかい体がすべて収まりきるわけなく。
「頭かくして尻隠さずとはこの事だ・・・な!」
ハイヒールで思いっきりふくらはぎを踏んでやる。
「いぎぃぃぃぃぃぃ」
あまりの痛さに机にも頭をぶつけ二重の痛みでもがき始める
「久々に仕事を肩代わりしてやったと言うのに」
「それが怖いんですよ・・・・普段そんな事しないから・・あだだだだ」
ふくらはぎを撫でながらゆっくりと立ち上がる。
「優が忙しそうだったから・・・・」
小声でぼそぼそと答え視線をきる
「今なんて」
「うるさい、今回だけだからな肩代わりしてやるのは」
視線だけでは無くぷいっとそっぽを向く
「いやいや、やってくださいよ!さすがに人の三倍はきついですって」
「お前のポテンシャルはこんなものではないはずだ」
そんな二人のやり取りを見てうれしそうに笑う山田先生
「ふざけあいはこの辺にして」
封筒を一つこちらに手渡す
「?これは?」
「中身を見ればわかる」
カッターで封を切り中身をガサゴソと探ると英文で書かれた物が五枚ほど入っていた。
ーアメリカ語かよ
「・・・」
「貸してみろ」
強引に書類を取られスラスラと流し読みしていく
「・・・・・・・・・要約すると国籍取得の内容についてと職の話だ」
ー相変わらず早いな・・
「職?転職しないと駄目なんですか!国籍取得って」
「はい、恐らく雇用ベースで永住権習得、そして五年以上その土地に住み、市民権の試験をパスが条件だったかと、ですが日本は二重国籍は認めていないため、日本国籍はなくなります」
場がなんとも言えないくらい重くなる
「お前が取るべき道は『現役復帰するか』『このまま教師を続けるか』の二択だ」
「っ!」
いてもたってもいれずに、携帯を開きイーリスにコールする。
「はいはーい、こちらイーリス」
「イーリスか書類を読んだがこれはどう言う意味だ」
「どうもこうも読んだまんまだよ、職を変えろって話」
「どうにかならないのか、それは」
「無理だな、言っちゃ悪いがこんな良い話は無ぇ、職は今と同じ人を育てる職だ、まぁ軍属だが」
「そうだが「お前・・・なんの犠牲も無く代表候補になれると思ってるのか?さすがにそれは舐め過ぎだぜ赤城?まぁ、今年中には答えだせよ、それ以上は待たないらしいからよ、んじゃな」
ひどくドスが効いた声とともに電話が切れる
ー二択・・・やめるか?夢追うかのどっちか・・・
「あ、赤城先生期間はまだあることですから急いで決めなくてもよいのでは」
「え、あ・・・はい、そうですね」
「私から言えることはたった一つだ、難しく考えるな、どちらを選んでも私はお前を応援する」
「あ、ありがとうございます」
ー難しく考えるな・・・か
机に広げられた資料に視線を落としながらそう思う
「それでは帰宅するとしようか」
「はい」
もやもやの気分のまま駐車場へ向かいヘルメットを被りエンジンキーを回し乗る
脳裏には、イーリスに言われた言葉だけがこびり付いていた。
「あ、赤城さん」
何分間こうしていただろうか、簪の声で我に返る
「おう、簪かどうした?」
すぐさまエンジンを切る
「いえ、ボーとしていたのでどうしたのかなと」
「ああ、しばらく考えごとをしていてな、ISの方は順調か?」
「はい!順調です一日余裕を持って完成できそうです」
声に張りがあるし笑顔が絶えない、相当いいことがあったらしい
「そうか、専用機タッグマッチがんばれよ」
「はい、赤城兄さんもがんばってください」
そういいパタパタと元気そうに走っていく簪
「俺もがんばれか・・・」
ーあの子はもう大丈夫そうだ・・・
「俺も巣立ちの時期なのかもな・・・」
再びエンジンキーを回し今度は迷い無く帰路に着くとする