専用機タッグマッチ戦まで残すところ後三日、前夜祭の事も考えると残り二日
専用機持ちのタッグ申請も締切、放課後になれば各々それに向け最終チェック段階へと入る。
各種兵装のチェックをするもの、機体チェックをするもの、時間の許す限り自身の技を磨くものと、皆様々に動き回る中IS整備格納庫内では、盛大にバーニアを噴かす簪が乗る打鉄弐式がいた。
「簪、機体出力を上げるぞ」
「はい、上げてください」
機体出力を外部端末のレバーを手動で操作し出力を上げていく、皆バーニアの轟音で耳がやられないようにイヤーパッドをしインカムと手振りで連絡を取りながら作業をする
「一夏君、機体出力10%増加」
「了解!簪上げるぞ」
「はい」
再度レバーを操作し出力を上げる。
「冷却機構問題なし!」
「機体制御機構今のところ異常なし!」
轟音と暴風が襲う中、皆冷静に着々と動く
「一夏君!出力はそのまま維持!簪さん!次は武装のチェックにはいるから!!」
「了解!」
「はい」
簪は電子キーボードを操作し各武装を展開していく。
まずは薙刀型近接武器の夢現(ゆめうつつ)を展開、SEも供給されしっかりと具現化する
続いて背中の連射型荷電粒子砲、春雷(しゅんらい)
「SE供給完了、春雷射撃展開完了、荷電粒子チャージを開始・・・・チャージよし!春雷問題なし」
「了解、次が山場ね」
両肩の内部に搭載された八連装ミサイルポッド、山嵐(やまあらし)マルチロックオンによる高性能ホーミングミサイルを最大で48発同時発射可能という、このISの切り札であり、それらすべてを独立稼動可能ときている
電子キーボードで山嵐起動のコードを打ち込む
両肩の装甲がスライドしミサイルポッドが顔を出し、視界に複数のロックオンマーカーが出現する
「マルチロックオンシステム正常稼動確認、全武装正常稼動OKです!」
「了解!!簪さん武装解除、一夏君機体出力を徐々に下げていって!!」
「了解!」
「わかりました」
バーニアの轟音と突風が徐々におさまり皆イヤーパッド外し安堵の顔をする。
「簪やったな!」
「うん」
打鉄弐式から降りる簪にそう投げかける一夏
簪が降りてきたところで皆出来上がった打鉄弐式を見上げる
「ハードな数週間だったな」
「そうだね」
「おりむーは特訓もだったからね」
「はははは」
「さ!もう時間はないけど後は実践あるのみだよ」
「「おー!!」」
そう言い出来立てホヤホヤの打鉄弐型と共に皆アリーナへと移動を開始する。
そんな中赤城チームは・・・・
道場内でひたすらに稽古をしていた
箒、鈴音で打ち合い稽古、デュノア、ラウラ、セシリアで代わる代わる組手稽古といった具合に追い込みをかけていた。
バシバシ、バシーン!
竹刀のぶつかる音を聞きながら例の資料をボーと流し読む彼
ー現役か教師か・・・
明白な答えは今だ出ずに、ただ時間だけが過ぎていく。
「はぁ、どうしたものか」
「何にそう悩んでいるかは知らんが、悩む暇があるなら体でも動かしたらどうだ」
休憩に入ったラウラがそう言いながら、横に座る。
「悩むなら行動しろと言いたいのか?お前は」
「そうだ、戦場ではそれが命取りになる」
「ここは戦場ではな「戦場だ、人生と言う名のな(ドヤッ)」
「…………」
誇らしげにドヤ顔をするラウラの頬を目一杯つねる
「だけど、赤城さんが悩むなんて珍しいですね」
打ち合い、組手稽古を終えた四人が汗を拭きながらこちらに歩み寄ってくる
「俺でも悩むさ、今回ばかりはな」
溜息を軽くつきそう答える
「ふーん、いったいどんな悩みなのよ」
「気になりますわ」
ーこいつらには話していいか
軽く息を吐き、ポツリポツリと話す
「国家代表にならないかと、アメリカからオファーがきてな」
「「え?・・・・えー!!」」
「声がでかい」
「すみませんあまりの出来事に」
「まぁそういう反応になるよな」
ポリポリと頬をかき答える
「だが、オファーを受けるということは」
「教職をやめることになる」
その言葉に皆口を紡ぐ
「・・・だが、これを逃してはもうないぞ」
そんな静寂の中切り出したのはラウラだった
「わかってるさ・・・」
そうこのチャンスは二度と来ないことくらいわかってる、夢は叶う手前まで来ている。
今まで追い続けたものがようやく叶うし、親孝行できなかった両親のためにもなる。
きっとそうなる定めなのだろう、だが本当にそれでいいのか?
待機形態の打鉄を眺める。
「打鉄は答えてくれない」
「当たり前のことを聞くな、どちらも選んでも正しいことなんてない」
「なんかラウラいつになく真面目だね」
「そうですわね」
「失礼だな私はいつでも大真面目だ」
「ま、どっちにしてもあたし達がとやかく言う問題ではないでしょう」
「そうだな」
皆、汗を拭き飲み物を軽く飲む
「あーどうすっかな」
盛大に頭をかきむしり大の字に寝そべる
「小休憩はこの辺にして再び特訓開始と行くか」
「そうだな」
飲み物やタオルを置き立ち上がり特訓へと戻る
ー正しい答えはないか・・・
「ほんと人生って難しい「ぬわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
吹き飛ばされたラウラがかなりえぐい落ち方で腹部に落下、そしてすぐに立ち上がる
「す、すま・・・」
腹部を軽く押さえながらピキピキとこめかみに青筋を浮かべ冷や汗を流すラウラの前に立ち上がる。
「どうやらまだ特訓が必要みたいだな・・・なぁ」
赤鬼が再起動を開始した。