アテネちゃんの執事!   作:通行人A'

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Task44:一点突破フルダイブ

 

 前回までのあらすじ。

 三千院家に新人執事として雇われた綾崎ハヤテは、一流の執事になるために精進する毎日を送っていた。しかし、新しく母校となった白皇学院にて、ライバル執事達の実力を目の当たりにし、改めて「一流の執事」への覚悟を固める。そして、執事長クラウスの紹介のもと、新宿区内にあるアレキサンマルコ教会の門を叩いた。ここには、一流の執事を目指す執事たちが切磋琢磨の修行をする「執事とらのあな」なる施設が密かに存在していたのである。

 殺人レスラーを育成するでも、同人誌を売るわけでもないこの施設にて過酷な試練に耐え抜き、がむしゃらに一流の執事を目指し走り抜けるハヤテ。そしてついに、最終試練が始まろうとしていた。

 

 

「ふむ。珍しくまともなあらすじだったな。ま、それはさておき、ハヤテの最終試練とやらを聞かせてもらおうではないか」

 

 都内某所にあるアレキサンマルコ教会。礼拝堂では、ナギが腰に手を当てて、挑戦的な笑みを浮かべている。これから降りかかるであろう難題にも一歩も引かない力強い決意を感じる。しかし、それはそうと。

 

「いやお嬢様、その前に何故ここにいらっしゃるのですか。めちゃくちゃ前回までいましたけど何か?みたいなオーラ出してますけど」

 

 当然の疑問を口にする執事。それもそのはず、この試験に合格するまでは三千院家の敷居はまたげない、そんな決死の覚悟で主人とも別れたばかりだというのに。

 

「私がお呼びしたのですよ」

 

それに答えたのは、シスター・フォルテシアだった。

 

「シスターが?」

「はい。執事とらのあなの最終試練は過酷を極めます、そんな時主人の方が側にいれば最大の力を発揮できるというもの。何より、執事の精進するその姿を主人に見てもらう絶好の機会ですから」

 

 祭壇で礼拝を捧げていた彼女は、振り返って笑顔でそう言うと、2人の元に歩み寄ってくる。

 

「うむ、私も心配していたのでちょうど良いとその提案に乗ったのだ。むろんマリアたちにも言ってある」

 

 なお、Sp達は教会には入り込んではいないものの、ナギに気が付かれない範囲で教会周囲を警戒はしている模様。

 

「そうだったんですね。確かに、お嬢様がそばにいてくだされば、僕も覚悟を決められると思います!」

「馬鹿者。そんな人前で、恥ずかしいではないか」

 

 ナギの両手をとって決意を新たにするハヤテ。礼拝堂で繰り広げられる主人と執事の美しい愛の形もそこそこに。

 

「では、さっそく最終試練の説明に移りましょう。アンドレさん、皆様をご案内してください」

「御意」

「どんなキャラなんですかアンドレさん」

 

 拳を床に付け、仰々しく跪くアンドレ。その姿は修道士というよりは忍者の方がしっくりくるほどだ。

 

「では、三千院様、綾崎様。それから――」

 

 振り返ったアンドレが、順番にナギとハヤテを見て、そしてこれまたいつの間にか彼らの隣にいたメイドさんのところで視線を止める。

 彼女はスカートの両裾をつまむと、初対面であるナギとアンドレに丁寧にお辞儀をしてみせた。

 

「ご挨拶が遅れて大変申し訳ございません、ナギお嬢様、アンドレ様。私は白皇学院に仕えるメイドのヨゾラと申します。今回は自身の研鑽と教会への関心、ひいては……まぁアレです、世界の平和的なもののためにこの執事実習を見学したくはせ参じました」

「丁寧な姿勢とあまりにも真逆な薄っぺらい台詞だ」

「世界平和です」

「しかもこれで押し切るつもりだぞこのメイド」

 

 ナギが呆れたような視線を送るが、ハヤテも軽く肩をすくめるばかり。

 

「委細承知しました。では3人とも私のあとに続いてきてください」

「すごい、話が早いにもほどがある」

 

 一方で、バイトとはいえ修道士の懐は並の広さではないようだ。

 アンドレは胸に手を添えて一礼すると、背を向けて歩き出す。

 

「私は当施設で修道士をしております。アンドレと申します。以後何卒よろしくお願い致します」

「うむ、よろしく。しかしさすが聖職者、いろいろな意味で冷静だな」

「ありがとうございます、ちなみにシフトは週3です」

「バイトかよオイ」

 

 その件はもう昨日やりましたから、と苦笑気味にツッコむハヤテ。無理もないが。

 

「アンドレさんはここの前は何をされていたのです?」

「フィリピンの密林でバナナのたたき売りをやってました」

「くっ、流れるように嘘を。どうやらかなりの手練れのようですね」

「ヨゾラさん対抗しなくていいですから」

 

 闘争心を燃やしかけるボケ担当(ヨゾラ)に執事は頬を掻きつつ早めの消火。そんなこんなで一行は礼拝堂の脇にあった螺旋階段を下って地下のある部屋にやってきた。

 

「ここは……」

 

 ナギたちの目の前に広がっていたのは、天井も床も一面真っ白な空間だった。教会の中にしてはかなり異質だ。

 

「というか、なんかの研究施設みたいだな」

「教会の地下と言えば、人体実験が十八番ですが」

「物騒な発想ですねヨゾラさん」

 

 歩いて行くと、部屋の奥には巨大なモニターが。

 更にその両脇には人1人がちょうど入れるカプセルのような機会がずらりと並んでいた。さらにそのカプセルの横には、なにやら複数のコードに繋がれた黒いヘルメットのような被り物まで。

 

「見ろハヤテ、SA○のフルダイブシステムがあるぞ!」

「お嬢様位置!○の位置!隠せてないですから!!」

 

 目にも止まらぬ速さで危険発言をシャットアウトする執事の鏡。

 

「ご安心ください。当施設のフルダイブシステムはどこからもインスパイアされていないオリジナルのシステムです故」

「やっぱフルダイブシステムなんだ!?」

「決してナー○ギアなどに影響はされていません」

「その単語が出る時点で嘘でしかないだろ」

 

 いずれにしても、教会に似つかわしくない場所であることは確かだ。

 アンドレは一同に改めてお辞儀をすると、手に持っていたバインダーに目を落とした。

 

「それではこれより、執事とらのあな最終試練『Re:ゼロから始める執事クエストVR(仮)』の説明を始めます」

「もうタイトルで何をやらされるか検討がつきましたが一応お願いします」

 

 執事クエストVRときた。

 

「これは教会のツテでとある研究機関に特別制作いただいたフルダイブ型VRマシン『詩織ちゃんウルトラスペシャルVRカプセル:プロトタイプ』略して『SUV』です。詩織ちゃんとはこの機械の製作者のようですね」」

「制作者の主張強いな」

「これを使って、専用の仮想世界にダイブしていただき、その世界を完結させる、いわゆるゲームをクリアしていただくことが最終試練になります」

 

 顔を見合わせる一行。つまり、このVRで何かしらのゲームに挑戦する、ということらしい。言わんとしていることは辛うじて理解できるが。

 

「さて、このSUVでは様々な仮想世界が体験できる予定なのですが、まだ試作品が完成したばかりでソフトも種類がありません。というか1つしかありません。それも一部の仮想世界しか体験できないデモバージョンのみです」

「つまり、まだ体験版しかできないみたいなことか」

「その通りです」

 

 ナギの言葉に頷く修道士。

 

「なので、今回の試練はこのデモバージョンをクリアすれば合格とするようです」

「え、いいんですか。せっかくこんな最先端の機械を用意しているのに」

「まぁ長くなるのもあれなので」

「やる気があるんだがないんだが分からなくなる展開ですね」

 

 マラソン大会で開始同時に全力疾走してダントツトップにたったものの、ものの数十秒で抜かされたときのような、若干の肩すかし感を感じるハヤテ一行。

 

「さて、ここからが本題です。この仮想世界の試練ですが、5人パーティを組んでいただくことが必要になります」

 

 またも顔を見合わせるハヤテたち。

 

「パーティって、これ1人で挑戦して、それをモニターで応援する的なものじゃなかったんですか」

「はい、今回はチームで勝利を求めるタイプのようです。どういったメンバーを集めて、どんなチームを編成するのか。それが試練に合格する大きな鍵になりますね」

「な、なるほど」

 

 ゲーム開始前から試練は始まっているということらしい。人を集めるのもまた執事の腕の見せ所といったところだろう。

 

「ふむ、大胆不敵、電光石火。勝利は私のためにある大冒険か。なんだかよくわからねぇが、オラわくわくしてきたぞ」

 

 一歩前に出て某主人公のように声を上げるお嬢様。

 

「って、お嬢様も行く気ですか!?」

「無論だ。この三千院ナギ、VRMMOと聞いて黙っているわけがなかろう!アイン○ラッドが私を呼んでいる!」

「いや参加者僕らしかいないと思うんですけど」

 

 とはいえナギの瞳はわくわくと輝きを放っていた。ここまで来て一人留守番していろとは言いがたい。

 

「あの、アンドレさん。これってフルダイブってことですが、その刺激とかはどうなんですか?」

「えぇ。五感などもしっかり再現されるようです。ただ最大限安全を考慮されており、設定でも膨大なセーフティー機能がありますので、過剰すぎる刺激やショックが直接脳にはいかないように設定をされているようです。ま、某作品のようにゲーム内で死亡みたいな展開は心配無用かと」

「そ、そうですか。だったら」

 

 と安堵したのもつかの間。

 

「ただ、参加者の身体能力などはなるべく現実に忠実に反映されるようです。例えばパラメータや仮想世界の反応などにも大きく影響するかと」

「え」

 

 つまり、引きこもりのお嬢様は仮想世界にいっても引きこもりのパラメータを引き継ぐということになるのではないか。

 

「何故そこはリアルなんですか!」

「現実を忘れないでほしいという製作者の優しさでしょうか」

「優しさと厳しさって表裏一体ですね」

 

 夢の世界みたいに簡単にはスーパーヒーローにはなれないってことだろうか。肝心のナギは何も気にしていない、というか自覚をしていないようで目を輝かせたままだ。

 

「ご安心ください綾崎様。ナギお嬢様は私も最大限サポートします、メイドですから」

「って、ヨゾラさんもですか!?」

「パーティーの生存力を高めるサポートはメイドのたしなみです」

 

 ヨゾラの瞳もまた、わくわくと輝きを放っていた。ここまで来て一人留守番していろとは言いがたい。とはいえつい昨日知り合ったばかりの他人である。

 

「ふむ、確かにパーティーに使用人は必須だな。某RPGでは加護を使った使用人が無限の紅茶や薬で無双しているしな。よし、採用だ」

「ありがとうございます、ナギお嬢様。ごく一部にしか伝わらないマニアックな知識まで有しているとは、お見それしました」

「はっはっは、褒めい褒めい」

 

 上機嫌に笑い手で団扇を仰ぐナギ。

 

「いや僕も使用人なんですが」

 

 綾崎ハヤテ。三千院家の執事。確認。

 

「ご安心ください綾崎様。そのへんのチンピラなら八つ裂きにできます故、白兵戦要員に数えていただいても構いません」

「さすが白皇のメイドさん、体術などにも長けているということですか」

「いえ、そんな気がするだけです」

「えぇ……」

 

 まあしかし。段差から落ちて死ぬようなスペ○ンカー(ナギ)よりは十分戦力にはなるのではないかと考え直す。

 メンバー集めといっても悠長に集めているような時間があるとも限らない。

 

「分かりました、ではヨゾラさん。よろしくお願いします。あと僕のことはハヤテでいいですよ」

「分かりました、ハヤテ様。メイド服を着た華麗なる戦士、『2人はキュアキュアマックスハート』として仮想世界を無双しましょう」

「やっぱチェンジでいいっすか」

 

 三千院ナギが仲間になった!

 ヨゾラが仲間になった!

 

 

「では、仲間が集まったらまた教会に集合してください。ちなみにジャンルはRPGのようです。世界設定ですが、これはまたダイブしたときにシステムから説明があるみたいですね」

「近未来だなぁ」

「あと、製作者から。できればゲーム内の不具合やバグを見つけて欲しいと。特に大きめのやつは早急に報告を」

「それもうゲームのデバックじゃん」

 

 

 まだ見ぬ冒険へ向けて。最後の試練の突破に向けて。

 必要なのは、最強の戦士の力である。これは3人とも意見が一致した。

 

「となると、やはりここはあの方に声をかけた方がいいと思うんですよ」

「うむ、確かにアレの力があれば百人力だな」

「なるほど、例のあの人ですか」

 

 教会を出た一行が真っ先に向かった先は――

 

「というわけで、最強のその力を貸してください。共に世界を救いましょう」

「脈絡がなさ過ぎて絶句だわ」

 

 白皇学院の生徒会長、ヒナギクだった。

 

「あれ、「桂ヒナギクが仲間になった」のファンファーレ音が聞こえない。これ不具合ですかねおかしいな、セーブしたところからやり直そうかな」

「あのね、ハヤテ君。私今仕事中なんだけど?怒られたいのかしら」

「本当にすみませんふざけ過ぎました」

 

 即効で机の前で土下座をする綾崎少年。

 

「もう周りの出来事にツッコむのも疲れてきて、魔が差したっていうか。ほんのちょっとだけのつもりだったんです。すぐに止めるつもりだったんです、でも気がついたらもうアレ(ボケ)なしではいられなかったというか」

「依存症の導入みたいな話し方止めなさい」

「でも僕から言わせてもらえば、人間誰しも何かに依存してるっていうか。タバコやお酒は良くて――」

「ストップ、波紋が広がりそうな発言をしない!結局ボケっぱなしじゃない!」

 

 何事も依存しすぎは良くない。あと薬はダメ、絶対。

 

「あー、もう!分かったわよ、話を聞くからとにかく頭を上げなさい。今紅茶入れてあげるから」

 

 ハヤテをソファに促し、ヒナギクは紅茶を入れにキッチンの方に向かうのだった。

 

 

「で、少しは落ち着いた?」

「はい。先ほどはホント調子乗ってすみませんでした」

 

 10分後。

 ソファに座って向かい合う2人。ハヤテも紅茶で一息ついたのかすっかり調子も取り戻したようだ。

 

「というか、今日はヒナギクさんお一人なんですか」

「愛歌は体調不良で、千桜は今日もまだ出張。あの子たちは……きっとサボりね」

 

 そう言って軽く息をつく生徒会長。机の上には相変わらず山のように積まれた資料。職務上仕方ないとはいえ、やはり一般の生徒の何十倍も多忙なのが見て取れる。そんな状況で勧誘をしようというのだから、ハヤテも今更になって罪悪感がみるみると沸き上がってきたのだが。

 

「で、話っていうのは?」

「まぁ、その、話すと短いようで長いんですが」

 

 こうして聞くと言ってくれているので、正直に話すことにした。

 

「つまりまとめると、ハヤテ君は一流の執事になるため教会に泊まり込んで試練を受けていて、その最終試練のVR?とかいう仮想世界でゲームをクリアするためにチームを集めてるってこと?」

「はい、簡単に言うと」

「全く意味が分からないのだけど」

「まぁ、もう意味は分からないことだらけなので考えないことにしました」

 

 考えるなというのも無理がある話ではあるが。

 

「けど、私ゲームとかよく分からないし。力になれるかしら」

「いえいえいえ!こういうゲームには往々にしてアタッカーとサポーターの役割があるんですが、ヒナギクさんは間違いなく単体最強のアタッカー!しかもTire0並の力があるわけで、やっぱり攻略にはそういった人間がパーティーに一人は必要ということです」

「何を言ってるのか分からないけどバカにされている気分だわ」

「えぇ!そんなことないですよ!」

 

 むしろ褒めちぎっているまである。

 

「ま、仕事も一段落したところだったから、そんなに時間がかからないなら協力してあげてもいいかな」

「本当ですか!」

「この前剣道部が色々迷惑かけちゃったから。そのお詫び」

「いえお詫びなんてそんな!でもありがとうございます」

 

 交渉成立か。今度こそ「ヒナギクが仲間になった」のファンファーレが鳴るかと思われたそのとき、携帯電話の着信音が鳴り響いた。

 

「あ、ごめん。ちょっと待ってて。はい、桂です」

 

 彼女の携帯だったらしく。電話を取ったヒナギクだったが、徐々に表情が険しくなる。

 

「はい、はい。え?あー、はい、分かりました。そっちは私が代わりますから、えぇ、はい。すみません姉がご迷惑をおかけして。あとできつく言っておきますので」

 

 通話を切ると、彼女は申し訳なさそうにハヤテに視線を向けた。

 

「ごめんなさいハヤテ君。ちょっと急用ができてしまって、手伝いがちょっと難しそうで」

「え、いえそんな全然!というか大丈夫ですか。桂先生になにかあったんですか」

 

 ヒナギクはため息を一つ。

 

「ううん、姉の方は大したことじゃないんだけど。『今山奥で熊と戦ってるから補習授業に間に合わない』って学校に連絡があったみたいで」

「いや大丈夫じゃないですよねそれ!?何その奇想天外な理由!?」

 

 どこぞ錬金術師の特訓でも受けているだろうか。

 

「昨日どこかの山奥に幻の日本酒蔵があるからそれを探しにいくとか意味不明な事を言ってたけど、多分その関連なんじゃない?」

「お姉さんそろそろどこかの格闘漫画に進出予定とかありません?」

 

 立ち上がると、腰に手を当てて軽く気色ばんでみせた。

 

「それで、穴が空いた分私が補習を代わることになったの。まったく大問題だわ、、生徒の大切な授業をなんだと思ってるのかしら」

「あれ!?これ僕の反応が間違ってます?僕だけがいない街ですかこれ?」

「ということで、ごめんねハヤテ君。力になってあげたいんだけど」

「あ、はい。もちろん、はい」

 

 やはりハヤテだけが間違っていたようである。

 

「けどお詫びに、腕の立つ頼りになる人を紹介してあげるわ」

「え、ホントですか!」

「えぇ。連絡してあげるから待ってて。きっとハヤテ君達の力になってくれるわ」

 

 

 時計塔を出ると、ナギ達が待ってましたとばかりに駆け寄ってきた。

 

「どうだったハヤテ?ヒナギクの勧誘は成功したか?」

「いえ、それがヒナギクさんの方に急用が入ってしまって」

 

 一同は落胆の色を隠せない。最強の剣士を仲間に出来れば試練の難易度はぐっと下がること間違いなしだっただろうに。

 

「仕方ない、このミッションはガチャを引かずに既存キャラだけでいけというソシャゲ運営的な意図だろう」

「心配無用です、昨今のガチャキャラ以外でも強力なものが多いです。ストーリークリアだけなら配布だけでも可能な調整をされているかと」

「何の話をされているんですかお二人は」

 

 謎のフォローをする二人を横目に、ハヤテは咳払いをひとつ。

 

「その代わり、ヒナギクさんが腕の立つ人を代わりに紹介してくれるそうです。きっと大きな力になってくれると」

「おお、それは期待できるな!ヒナギクの推薦だ、きっと暗殺拳の使い手に違いない!」

「あるいは二丁拳銃を自在に操る商会きっての凄腕かもしれません」

 

 落胆から一転。再び期待に色めき立つ一行。

 

 そして待つこと、十数分後。

 

「ふふん!会長の頼みとあっては仕方が無い!君たちに直々に力を貸してやろう!」

 

 

 その人物は、颯爽とハヤテ達の前に現れた。

 

 

「しけた顔をしているようだが、大船に乗ったつもりで安心するがいい!試練とやらはもうクリアしたも同然だ!!」

 

 

 差し込む日差しを背に、その自信に満ち満ちた声色で、ハヤテたちを絶望の淵からすくい上げるがごとく。

 

 

「この僕、東宮康太郎が仲間になったからにはなッ!!」

 

 

 ・・・・

 

 

「はい、解散。じゃ、1回昼休憩挟んでから仲間集め再開なー」

「ちょ、待てよ三千院!もうちょっと何かリアクションあるだろ!?」

「っていうか誰ですか?遊びなら余所でやってくれません?僕ら忙しんで」

「いくらなんでも冷たすぎるだろ!?一緒に剣道をしあった仲なのに!?」

 

 

 東宮康太郎が仲間に……なった?

 

 

「では、ファンファーレは無しの方向で」

「せめて鳴らして!?」

 

 

 






 はい、リアルではなく、VRという特にひねりもない展開でした。もう数話続くかと思いますが、一部キャラの方向性などもすこしずつ固めていきたいなと思っております。何卒よろしくお願いします!

物語の終わり方について

  • エンディングは一つのみが好ましい
  • 各ヒロインのルート分岐などがあっても良い
  • どうでもいい
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