アテネちゃんの執事!   作:通行人A'

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Task05:3歩下がって執事たれ

 名家=お嬢様。お嬢様=名家。

 そんな式が思い浮かぶなどと言えば古臭いと笑われるだろうか。

 

 ともあれ、天王州家は間違いなく超級の名家であり、そこの一人娘である天王州アテネもまた、超級のお嬢様である。

 財力、人力、知名度、実績。どれを取っても申し分ない

 

 

 

「本日はご足労いただき誠に恐縮でございます、天王州様」

 

 アテネ市街の中心、国立庭園からほど近い高級ホテル。

 入り口に停まった黒塗りのリムジンから降車すると、駆け寄ってきた中年の男性2人が深々と頭を下げた。

 右手では白髪に小さな丸眼鏡をかけた小太りの男が、左手では黒髪をオールバックに固めた細身の男が。

 

 

 親と子か、それ以上に歳の差がある相手だというのに。そのあからさまな態度に、天王洲アテネは辟易するように視線だけを空に向けた。

 

「お待たせ致しました」

「とんでもございません。ささ、おみ足が汚れますので」

 

 どこから出てきたのか、ホテルの従業員らがせっせとレッドカーペットを広げてみせた。

 

 どこの王族を相手にしているんだか──

 ため息を押し殺し、頭を下げる男たちに声をかける。

 

「別に、このままで構いませんが」

「とんでもございません。天王州様には平素より大変お世話になっております故、この程度のことは何卒」

 

 

 彼女の後ろからは、やや大きめな執事服に身を包んだ白髪の少年──マキナがひょいと飛び出してくる。

 

「マキナ、貴方は彼と一緒に待っていなさい」

 

 頭に優しく手を乗せる。まだ幼さを残した赤い瞳で2、3回瞬きしたあと、コクリと頷くのを確認すると、車のドアを開けて待機していたもう1人の執事服の男に目配せをする。

 

 彼はスッと目を細めて了解の意を伝えると、そっとアテネの耳元に口を寄せて。

 

「どちらの男を拉致します?拷問用具の準備はバッチリ──」

 

 持っていた扇子で頭部を叩くと、彼女はそのまま男たちとホテルの入り口へ。その後ろを、頭をさすりながら、アイルたちもついて行くのだった。

 

 

 

 市内でも指折りのこの超高級ホテルでも特に有名なのは、全国から集められた選りすぐりシェフらが辣腕をふるうレストランだろう。特に屋外のテラスは、世界遺産のパルテノン神殿などアテネを代表する遺跡群を一望できる贅沢な空間が非常に人気を呼んでいる。

 

「1回の会食で貸切とは……」

 

 テラスに続く扉を閉めると、誰に言うわけでもなく呟くアイル。

 

 扉にはギリシア語で「本日貸切」の文字が。ドアのガラス窓越しには、アテネと男性らがテーブルを囲んでいる。

 並んだ皿には色彩豊かな前菜と、男性らのグラスにはウェイター手によって注がれたワインが滑らかに波打っていた。

 

 色彩豊かなテーブルを遠目に、マキナは今にも鳴り出しそうなお腹に手を当てる。

 

「俺たちは食べられないのか?あっちに行けないのか?」

 

 執事服の裾をくいくいと引っ張ると、アイルは困ったように頬をかいてみせた。

 

「ここでお留守番だ」

「ちぇー」 

 

 唇を尖らせると、所在なさげに地面を蹴る。厨房からはの美味しそうな魚料理の香りが漂ってくるのだから無理もない。小腹が減る夕刻には中々手強い誘惑である。

 

「……」

 

 つまるところ、納得して引き下がるのには空腹が過ぎている。

 何とかならないかと未練がましい視線を送り続けると、彼は考えるように口元に手を当てた。

 

 ここで腹が減ったと屋内席に座り、あまつさえ料理を頼むなど愚の骨頂。大富豪の従者、ないし一流の執事たる者、主人がどれだけ豪勢な会食をしていようとも、3歩下がって毅然とスマートに直立不動で

命令を待つ──

 

「……まぁ、別に食べるなとは言われてないわな。なんか頼むか」

「おー!」

 

 少年の無垢な視線には、執事の流儀も容易く屈するらしい。一転した提案にマキナは顔を綻ばせる。

 

「失礼、なんかこうテーブルに座らなくても食べられる料理をいただけませんか」

 

 アイルが近くのウェイターにそう尋ねると、何とも言いようのない表情が返ってくる。「え?コイツらここで食べるの?マジ?」と。

 

「手が汚れにくい、例えば食べ歩きできそうなもので」

 

 しかし執事たちは特に気にする様子もない。

 

「……かしこまりました」

 

 ならばウェイターもプロである。何とも言えない表情は一瞬で隠し、涼しげなスマイルを作って厨房へ。何やら迅速な指示が飛び交い、僅か10分足らずで2人のもとへ戻ってきた。

 

 差し出されたトレーに乗っていたのは、パン生地に肉や野菜などが挟まれた食べ物。ピタ・ギロスでございます、とウェイターは付け加えた。

 

 ギリシャの肉料理の一つ。ピタと呼ばれるパンにギロス(肉)やポテト、トマト、ヨーグルト風味のソースなどを挟んだファーストフードの定番である。

 

 酸味の効いた香りが、マキナの鼻腔を刺激する。ヨダレを我慢するのもそろそろ限界か。

 礼を言っている執事を横目に、彼は大きく口を開けて齧り付いた。

 

 

 パリパリとした食感の直後に、口内に広がる肉のジューシーな旨味。ピリ辛なスパイスの刺激が塩胡椒で味付けされたポテトやトマト、ふっくらとしたパン生地と絡まる。そして最後に爽やかなヨーグルトソースがそれら全体を優しく包み込む。

 

 

「ほら、頬に付いてるぞ」

「んんッ」

 

 無我夢中で食べるマキナの頬には白いソースがべったり。アイルはハンカチでそれを丁寧に拭き取ってあげると、自分も一口、ゆっくりと咀嚼した。

 

 

 あっという間に平らげたマキナが裾を引っ張り、お代わりをねだるので、隣の執事は食べかけの分を半分分けてあげる。

 そんな従者の様子は、ガラス窓を通してもテラスの方へも筒抜けで。男性らは勿論、外で待機するウェイターたちもこれには思わず苦笑い。

 

「いやぁ、天王州様の執事の方は相変わらずユーモアがおありですね」

 

 アテネは今にも拳を震わせたい気持ちを何とか秘めて、努めて冷静に会釈を1つ。

 

「お見苦しいところをお見せしまして」

「ハハハ、いえいえ」

 

 男性の1人が2人を見つめながら、ふと小首を傾げる。

 

「天王州様……あの小さい子は以前はお見かけしなかったように思いますが」

「ええ、彼は最近……ちょっとした事情で引き取ることになりまして」

「ほほう、それはそれは。天王州様の親戚の方でしょうか」

 

 男は口調こそ丁寧だが、どこか品定めするように少年を見つめる。

 

「そんな所ですわ」

 

 その視線に少なからず嫌悪感を抱いたアテネは軽く咳払いをしつつ、姿勢を正した。

 

「それよりも、本題に入りましょう」

 

 

 

 日も大分傾き、空も薄暗がりに覆われてきた頃合いに会食は解散となった。

 

 話もまとまり、男たちは深々とお辞儀をして礼を尽くすと、連れ立ってレストランを後にする。テラスを出て、2人が振り返ると、彼女はまだ席に残り、ぼんやりと市街の夜景を眺めていた。

 

「全く忌々しい、何故私があんな小娘に頭を下げねばならんのだッ」

 

 でっぷりと肥えたお腹を叩いて、男は吐き捨てるように呟いた。全くです、と隣を歩く細身の男もへつらうように首肯する。

 

 

 理解はしている。彼女は世界最強の大財閥を引っ張る当主だ。

 しかし2人は納得がいかなかった。仮にもこちらだって国の大企業を経営するツートップだ。それが年端もいかない小娘1人の機嫌を伺いながら媚びへつらう。その構図を彼らのプライドが許すことが出来なかったのである。

 

「まあいい。少し怖い目をみてもらうか。準備は」

「お任せください、ばっちり集めておきました」

 

 ホテルを出るや否や、小太りの男が葉巻を加えると、細身の男はすかさずライターを点火して差し出す。

 

「ふん、少しは態度を改めてもらいたいものだ」

 

 うんざりとした思いをもまとめて、宙に向けて煙を吐き出した。

 

「サツにも事情を理解している奴を手配してある。連中には少し多めに薬をくれてやれ、数日勾留されても文句は言わんだろう」

「はい、手筈通りに」

 

 細身の男が頭を下げると、小太り男は迎えに来た黒塗りのリムジンに乗って去って行く。

 車が角に消えて見えなくなると、下げていた頭を上げて、忌々しそうに唇を噛み締めた。

 

 

 全く、面倒な仕事を押し付けられたものだ。

 どこで誰が聞いているか分からない。声に出すのは憚られても、内心あの上司に悪態の一つでも付かないとやっていられないのもまた事実。

 

 暴漢に襲わせろ。

 

 あの小太りの男──上司は会食前日に、そんな無茶振りを突きつけてきた。

 無茶を言ってくるのは常日頃から。故に彼は表向きは媚びつつも、その上司の存在を快く思ったことは一度としてなかった。

 

 傷付ける必要はない。脅かしてやればいい。

 

 上司はそう言っていたが、しかし相手は世界でもトップクラスの資産を誇る大財閥の令嬢、ないし当主である。曲がり間違ってもこちらの足が付くわけにはいかない。

 

 

 細身の男はホテルのある大通りから、住宅街の集まる路地の方へと歩いて行く。進むたびに細くなっていく路地を越えると、開けた場所にたどり着いた。

 

 だらしなく地面に座り込んでいた男たちが十数人、どんよりとした瞳が一斉に細身の男に向けられる。

 首に、腕に、顔に。至る所に赤いタトゥーを入れたその連中は、手に持ったナイフやチェーンを弄んでいる。

 

「派手な怪我はさせるなよ。執事を痛めつけて脅かしてやればいい」

 

 連中に声をかけると、たむろしているうちの1人がのろのろと立ち上がった。赤いバンダナの下の瞳は虚ろながらも怪しげな光を帯びている。

 

「ブツは?」

 

 底辺分際で、一体誰に向かって口を聞いているんだ。

 ぶっきらぼうに差し出された右手に、ムッとしそうになる気持ちを堪えながら、彼は紙袋を差し出した。

 

 バンダナの男は袋を開いて覗き込むと、ニヤリと口元を歪めてみせる。欠けた前歯はヤニで黒ずみ甚だ不気味だ。中から注射器や白い粉の入ったビニールを取り出すと、後ろの連中に投げて寄越した。

 

 

 たむろしていた連中はどいつもこいつも、詐欺や強盗の常習者──彼に言わせれば所謂小悪党だ。善行など皆無に等しい生活を送り続け、学もなく、社会のレールから外れた落ちこぼれ。しかし手を汚させるにはもってこいの末端──トカゲの尻尾である。

 

「いいか、女には手を出すな。周りの執事連中を痛めつけて脅せばそれでいい」

「あぁ」

 

 その時、後ろで足音がするのを男は聞き漏らさなかった。

 

「誰だッ」

 

 慌てて振り返ると、そこには1人の老人が。

 よれた白髪に薄汚れたコートと茶色のハット、欠けたサングラス。前傾姿勢のまま、杖を付きながら、ヨロヨロとした足付きで、男たちの元へと歩いてくる。

 

 

 何だ、物乞いか。

 細身の男は安堵するように息をつく。大方、住む場所もなく裏路地で生活しているのだろう……とはいえ、今の会話を聞かれていると面倒だ。

 

「おい、コイツを」

 

 始末しろ。目線でそう指示すると、連中はさも面倒そうにのろのろと立ち上がった。

 

「社長さんよぉ、仕事を増やすなら報酬を」

「構わん、あとで薬を上乗せしてやる」

 

 バンダナの男は満足そうに頷くと、ナイフを片手に、物乞いの前に立ち塞がった。周りの男たちが「楽にやってやれよ」と囃し立てたのを合図に、男は刃物を振り上げた。

 

 

 

 身元も分からないホームレスなど、1人消えてもどうと言うことはない。問題は遺体の処理か。連中にトラックで山奥にでも廃棄させるのがベターだが、肝心の襲撃もあるので手間は取らせにくい。

 

 どうしたものかと、細身の男は目を閉じて額を揉む。そうこうする内に、鈍い音とうめき声が耳に滑り込んできたので、ひとまず顔を上げて──

 

「は?」

 

 間の抜けた声がこぼれた。無理もない、目の前の状況に全く理解が追いつかないのだから。

 

「え」

 

 

 立っていたのは老人。杖をくるくると軽快に回している老人が1人のみ。

 

 周りの男たちはもれなく路地の壁に頭からめり込んでいる。いや、比喩表現でもなんでもなく、文字通りめり込んでいるのである。

 

 寸分の誤差もなく、突き出された尻が均等に壁の前に並ぶその光景は最早芸術的ですらある。アートオブジェと言われたら信じるかもしれない。現実味が無さすぎる。

 

 

 いやいやいや。

 細身の男はまだ混乱した頭を振ると、目を閉じて深呼吸をする。落ち着け、想定外のことにすぐにパニックになるのは自分の悪い癖だ、とにかく落ち着け。もう一度深呼吸。

 

 目を開ける。

 

「えぇ……」

 

 しかしやはり、男達が綺麗に並んで壁にめり込んでいる異様な景色は変わらない。

 ゆらりと、老人が近づいて来た。先程の前傾姿勢はもう見る影もないほど、しっかりとした足取りで。

 

「ひっ」

 

 携帯を取り落とすと、そのまま壁へともたれかかる。尚もゆらりと物乞いは迫る。

 

「おおお前何者」

「まぁ、気持ちは分かる」

 

 大袈裟にため息をついて、老人はしゃがれた声で話し始める。

 

「お嬢様……やたら偉そうだし自信家だし人の忠告は聞かないし思い込み激しいし」

「……」

「意外と偏食だし寝起き悪いし機械音痴だし、おまけに妙なところでお人好しだしで」

 

 それも次第に若々しい声色へと変わってゆき。つらつらと列挙する物乞いの言葉には、実感がこもっているようであった。

 

「まあでも、一応うちの主人なんで」

 

 言いながらよれよれの白髪が、薄汚れたコートが、次々と脱ぎ捨てられると……見覚えのある赤い髪と黒服が男の瞳に飛び込んでくる。

 

 

 間違いない、アテネと一緒にいた執事だ。

 どうしてここが。そんな疑問を挟む余地もなく、彼は無言で1枚の写真を差し出してきた。そこには、細身の男が紙袋を渡す場面がばっちりと。

 

「こ、これは……」

 

 男はみるみる青ざめていく。口をパクパクと動かすことしか出来ない。

 

 目の前の執事は何も語らないが、言わんとしていることは明白だ。世に出れば言い逃れ出来ない証拠を握られている。いつでも絞め殺す準備は出来ているぞ、と。

 

「待て……待ってくれっ」

 

 足にすがりついて懇願する。

 

「金か、金ならいくらでも払う……だから」

 

 足から両手を払いのけると、杖で男の顎をグッと持ち上げた。サングラス越しに覗くその黒い瞳には何の感情も見て取れない。遊び飽きたおもちゃを見るような、あるいは道ばたにある石ころを見るような、そんな恐ろしく冷淡で、何の興味もない瞳。

 

 それだけで、彼が次に言おうとしていることが分かった。手を出してはいけない領分が存在すると、その瞳は語っていた。

 男が真っ白になった顔で辛うじて頷くと、すぐにニッコリと作り笑顔を一つ。

 

「良かった。では、今後もお互いに友好な関係を」

 

 生きた心地など微塵もない。この世の終わりのような表情で、男はそのまま這いずるように路地を後にした。

 

 

 

 

「マキナ、何をしているの?」

 

 アテネは当然の疑問を口にした。

 テラスの席を立とうとすると、少年執事が両とうせんぼするように両手を広げていたからだ。

 

「アテネ、良いお天気だな!」

「えぇ、そうね」

 

 マキナは特に空を見るわけでもなく、ぎこちない笑顔でそう問いかけてくる。何かを隠していることは火を見るより明らかだ。

 彼女は暫く考えるように彼を見つめていたが、もう一人の執事の姿が見当たらないことに気が付いた。

 

「そういえば、アイルはどうしたのかしら」

「あ、アイルはえっと、ナンパにしいったんだ」

 

 明後日の方向を見てそんな事を口走る少年。どこでそんな言葉を覚えたのかと突っ込みたくなる気持ちを抑えつつ、続ける。

 

「あらそう。主を放ったらかして随分良い度胸ね」

「え、あ、違くて!ナンパしてる悪い奴らを退治し」

「彼にそんな純粋な正義感があるとは思えないけれど?」

「じゃあ、アレだ!お腹が空いてマックにハンバーガーを買いにいったんだ」

 

 じゃあと言ってしまっている事に本人は気が付いていないようだ。ぶんぶんと両腕を振る競るマキナを見て、もういじめるのも可哀そうだと思った矢先。

 

「申し訳ございません。遅くなりまして」

 

 もう一人の執事がそくさくと帰ってきた。台詞とは裏腹に、全く申し訳ないとは思っていない表情である。

 

「お帰りアイル!ちゃんと足止めしておいたぞ」

「ありがとう。ただ本人の前で言っちゃダメだからな」

 

 あまりに正直な態度には怒る気にもなれなかったようで、彼は苦笑するに留めたようだ。

 

「何かトラブルかしら?」

「それが聞いて下さいよ我が主。腹が痛くてトイレに駆け込もうと思ったんですがね。いきなり、割り込んで来た中年の紳士と少し揉めまして」

 

 軽く笑う従者の顔を、アテネはじっと見つめていたが、小さく息をつくと隣に視線を向けた。どうせこの男が本当の事を言うはずもない、と。

 

「マキナ、応急箱を持ってきてちょうだい」

 

 駆けていくマキナの一方、いきなり何を言い出すんだと怪訝な表情になる執事だったが。

 

「ではその傷は?揉めてナイフでも使われたのかしら」

 

 アイルの右手の甲からは滴る赤い血が流れている。切り傷であることは一目瞭然だ。彼自身も気付いていなかったらしく、目を丸くして驚くような素振りを見せた。

 

「そんな所です。物騒ですからね最近」

「そう」

 

 彼女は特に追求するわけでもなく、静かに頷くにとどめた。持ってきた応急箱を開けて、執事に隣に座るように促す。

 

「平気っすよ、このくらい自分で」

「天王州家の執事がだらしない格好のままでいられては迷惑なのよ」

 

 つべこべ言わずに座れと命じると、観念したように大人しく席について、治療を受けることを了承した。

 アテネはガーゼに消毒液を濡らし、丁寧に彼の傷口に──

 

「いや気味が悪いな、毒でも盛る気じゃ」

「あら手が滑って」

 

 力一杯ねじ込むと、執事の声にならない叫びはアテネの夜空へと消えていった。

 

 

 

物語の終わり方について

  • エンディングは一つのみが好ましい
  • 各ヒロインのルート分岐などがあっても良い
  • どうでもいい
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