バレンタインデー。
起源を遡ると諸説あるので割愛するが、2月14日に、欧州などで主に大切な人に贈り物をあげる日として知られてきた。
日本で流行したのは古くは昭和30年代ともいわれ、そこから様々な思惑も重なり独自の文化を形成していった結果、主に「女性から男性へ、チョコレートを贈る日」というのが定着した。
「と言うわけでワタルくん!サキさん!これを試食してみてくれないかな!?」
「どーいう訳だよ」
2月13日。ここは都内新宿区にあるレンタルDVDショップタチバナ。
レジの前に立っていた西沢歩は、神妙な面持ちでタッパーを差し出していた。
「まぁまぁ若。協力してあげましょうよ」
椅子に座ったまま、さも怪訝そうな表情をする店主、橘ワタルにそう声をかけるのは従業員の女性、貴島サキである。
緑色のロングヘアーに、メガネがよく似合う一見知的そうな女性。しかし彼女を語る上で外せないのは、メイド服を着用していることであろう。
何故従業員がメイド服なのか、店を訪れた客はまず必ず疑問に思うものの。
「明日は女子にとっては大切な、決戦日なのですから」
彼女も周りもあまりにも堂々としているので、ツッコむのも野暮かと思いそのまま当たり前の光景になっていくのである。
「そりゃ分かるけど、なーんで俺らなんだよ?弟とかに頼めばいいだろ」
「ほら、毒味だから。家族は巻き込めないっていうか」
「せめて嘘でも『家族だと恥ずかしい』とかにしておけよ」
悪びれもなく差し出されたタッパーには、少し大きめのチョコの破片がいくつか入っている。ワタルは渋々といった様子でその中の一枚をつまむと、口の中に放り込んだ。
「まぁ、いいんじゃねーの。甘過ぎなくて」
「ホントに!?」
「別に特別美味いってわけじゃねーけどな」
サキもならうように一口。
「うん、これならきっと思いも伝わりますよ!」
「良かったー!ありがとうサキさん!」
しっかりと背中を押してくれるエールに歩は目を輝かせて彼女の両手をとる。チョコも心も準備万端といったところか。
「しっかし、バレンタインなんてそんな重要なもんか?告白なんてしたけりゃいつでもすりゃいーじゃん」
背もたれに身体を預けたまま、どうでも良さそうに呟くワタル。2人の女子は思わず目を見開いて食ってかかる。
「分っっっかってないなぁ!ワタル君はァ!!」
「そうですよ若!それが出来れば苦労しないと、ロマンスの神様もご立腹ですよ!」
歩はぐっと拳を握りしめて天を見上げる。
「バレンタインっていうのは、世界に誇る日本企業が年に一度、か弱い乙女心を後押ししてくれる唯一のイベントなんだよ!!それと、死んだ先祖の霊が後押ししてくれる盆踊り大会とか、赤い服のあんちくしょうが後押ししてくれるクリスマスとか」
「唯一じゃねーじゃん」
「とにかく!」
びしっと擬音が聞こえてきそうなほどの勢いで、歩はワタルに指を突きつける。
「乙女心にはバックアップが必要なの!だから明日、彼の学校の前で待ち伏せしてこの渾身のチョコレートを私の思いと一緒に叩きつけて」
「そもそも、受け取ってもらえんのか?」
「え?」
決心を固める彼女はきょとんとして振り返る。
「だってそいつ、お前が散々アプローチしても振り向かないんだろ?それって気付いてないんじゃなくて、実はもう別に好きなやつとか彼女がいるとか、そういう可能性もあるんじゃ」
雑誌を読みながら話すワタルの肩をサキが慌てて引っ張る。若!ちょっと空気を呼んでください!と耳打ちしたときはもう後の祭り。
「!?」
レジの前では、目に涙をためた歩の姿が。
「大丈夫だ、絶対にもらう!!そいつ絶対チョコ好きだし、彼女もいないだろうからチョコもらうって!お前ら2人の絆を信じろ!」
「そうですよ西沢さん!諦めたらそこで試合終了ですよ!」
大慌てでフォローをする店主らの声援を受けつつも、お店をあとにした歩だったが、その足取りは重い。やがて、ふと商店街のお菓子屋の前で足を止めた。
店外にはハートが描かれたピンクの垂れ幕やチョコが並んだバレンタインを推しまくるコーナーが。
(確かに、ワタル君の言うとおりだ。そもそも彼女や好きな子がいるのかも、私はしらない。それにハヤテ君の性格を考えれば、告白は……本命のチョコはきっと受け取ってもらえない)
浮かない表情のまま、『義理』と書かれたコーナーに並ぶチョコを手に取る。
(だったら、義理でも受け取ってもらえるものを選んだ方が……)
そんなこんなで2月14日。
「え?お嬢様学校にいかないんですか」
「無論だ!」
三千院家。
扉の前で困惑するハヤテをヨソに、少しだけ顔を覗かしたナギは険しい表情。
「今日は私は重要な任務があるので学校には行かん。お前1人で行ってこい!余計な詮索や無駄な質問は全て却下する、以上だ」
そうまくしたてて、ピシャリと扉を閉められる。
「どうしましょう」、ハヤテは困惑顔のまま隣にいたマリアへ振り返る。普段から呆れてため息をつきそうなものだが、この日ばかりは微笑ましそうに口元を緩めるメイドさん。
「まぁ、いいんじゃないですか。今日は女の子にとって、色々大変な1日でしょうし」
場所は変わって。
白皇学院。時計塔の最上階にある生徒会室。
「バレンタインとは、女性が男性にチョコレートないし贈り物をする日。というのが日本では主流と記憶していましたが」
紅茶を注いでいたアイルは、驚いたような表情で、ふと給仕の手を止める。
アイルだけではない。資料を整理していた愛歌も、文庫本をめくっていた千桜も、手を止めてどこか生温かい視線を向けていた。
「何ですか、皆してその視線は……それくらい分かってますよ、私だって」
それぞれの視線の先はといえば。それは生徒会長の机に座る、ヒナギクへと続いていた。厳密には、彼女の机の至る所に山積みにされたチョコレートの数々へ。
四角、丸、ハート型。可愛らしくラッピングされ、リボンが添えられたそれらは、各々が1番と言わんばかりに輝きを放ちながら存在を主張している。
バツが悪そうな表情で、ヒナギクは手に持っていたチョコレートをかじる。パキッと心地よい音を立てて、カカオの甘い香りが室内に漂う。
「しかし、聞きしに勝る豪傑ぶりですね。まさかこれほどの女性の相手を一気になさるとは」
「アイルさん!?とんでもなく誤解されかねない発言ですよねそれッ」
「ほう、薄い本が厚くなるな」
「何を言ってるのか全く分からないけど、絶対に違うとだけ言えるわハル子」
勝手に納得する執事と書記に立ち上がって異議を唱えるも。
「あら、ご存知なかったの。彼女の手の早さったら、それはもう飛天○ 剣流に勝るとも劣らないと生徒会では有名で」
「愛歌もやめなさい、誰かに聞かれたら冗談じゃ済まなくなるから!」
副会長も悪ノリし始めたので本格的にストップをかける。
「大体おかしいと思いません?私、こんなに女の子らしくしているのに……もはや何かの陰謀だわ」
ヒナギクの言葉に顔を見合わせる生徒会グループ。
「ちなみにヒナ、自分が進むべき道にもし困難な障害が立ち塞がっていたらどうする?」
「当然、乗り越えるように努力するわ」
「それが簡単に乗り越えられ無さそうなら」
「最後まで諦めないわよ。対話でもなんでも、理解し合えるまで負けるもんですか」
「それでも聞く耳を持たなければ」
「実力行使ね」
そう言ってどこからともなく木刀を取り出す生徒会長。
「って!何故遠い目をしてるんですかッ!!」
「いえ、やっぱりヒナギクさんは素敵な女性だなーと」
「すごく棒読みじゃないですか!見えないなにかに負けた気分だわ」
勝手に色々と察する一同。
「ま、結論は出たな。ヒナはその辺の男子よりも強くてカッコイイ。男子にあげるくらいならヒナにあげるって事だ」
「そういうことね。ふふ、流石我らが生徒会長だわ」
勝手に色々と結論づける一同。
全く身に覚えの無い敗北感を感じつつ、それでもヒナギクは山積みになったチョコレートに手を伸ばす。
「それ、全部食べる気か?太るぞ」
「分かってるわよ。でも、誰かにあげたり捨てたり出来るわけないでしょ」
1つ1つ、女の子の想いがこもったものなんだから。
添えられた手紙はしっかりと分けて並べてあるし、どれだけ量があろうとも、包みまで丁寧にはがしている。几帳面さというより、彼女の心の優しさと誠実さがその挙動ひとつひとつに現れていた。
「なるほど、モテるわけだ。皆さんは良いリーダーに恵まれましたね」
「そこ!いい話で納得して終わらないで」
チョコだけに、こんな甘いオチは許さないらしい。
「で、そんな格闘中に悪いんだが、これ生徒会からな」
「は?」
千桜はすすっと大きめの四角いラッピングを差し出す。送り主は白皇学院生徒会役員メンバーのようである。
「更に申し訳ないのですが、これはお嬢様からです」
「んなッ」
今度はアイルが小さめの可愛らしいラッピングで追撃。送り主は白皇学院理事長のようである。
天下無敵の生徒会長もさすがにここまでか。がくっと机に突っ伏して試合終了……かと思いきや。
「甘いですね!私はこんな所で屈するわけにはいかないんです!」
「なんと!?」
カウンタートラップ発動。
「千桜!愛歌、それから生徒会役員の皆にもちゃんと義理チョコを用意しているんだからッ!」
目にも止まらぬ早さで生徒会役員の腕の中にチョコレートを返していく我らが生徒会長。
「なんという一転攻勢!」
「甘いですね、それだけじゃありません!天王州さんにもちゃんと友チョコを用意してます!日頃からお世話になってるアイルさんはもちろん、従者のマキナくんやヨゾラさんの分までも!」
それだけでなく。アイルにまで4人分のチョコレートを渡し返す完璧ぶり。ホワイトデーを待つこともなく、即数倍返しである。これが白皇学院生徒会長の実力。
「ふ、これで私の勝ちですね」
「お見それしました」
何故か勝ち誇るヒナギクに対し、膝をついてかしづく執事。存外ノリが良い2人である。
「彼女は何と戦ってるんだしかし」
「さあ?でも面白いから別にいいんじゃない?」
そんな様子を、呆れたような書記と微笑ましそうな副会長は見届けるのであった。
「はぁ……何故かしら、無駄に疲れたのは」
生徒会室を出たヒナギクは、近所のコンビニに向かうべく敷地内を歩いていた。ばっちりカウンターを決めたとはいえ、あの大量のチョコレートに無策で特攻していくのはあまりにも愚行。
ということでせめて牛乳が欲しいと足を運ぶことになったのである。なお、学院の購買に向かわなかったのは、またチョコが増える可能性を考慮してだったりなかったり。
「――離してッ」
そんな折り、正門付近から聞こえてくる喧噪にふと足を止める。見れば、黒服のSP達が数人が誰かを取り押さえているようだった。侵入者だろうか。しかし聞こえてきた声は女性のような。
「あの、どうかなさいました?」
「あ、これは桂お嬢様」
思わず声をかけると、サングラスをかけた1人が慌てて振り返る。
「いえ、学院に侵入しようとしていた不審者を捕まえまして」
「侵入者?」
SPに捕まえられていたのは、同い年くらいの少女だった。肩を掴まれており、彼女の足下には紙袋が落ちていた。中からは可愛らしいラッピングが2つ。一つはハート型、もう一つは四角型。
なるほど。彼女は納得したように内心で頷くと、屈んで紙袋とラッピングを拾い上げる。
「こんな可愛い侵入者ならウチの男子生徒は大歓迎だと思いますよ」
「し、しかし!」
「とにかく、後は私が引き受けますから。離してあげてください」
SPたちは「まあ、桂お嬢様がそう言うのであれば」と納得したようにうなずき合って引き下がっていった。
ヒナギクはそれを確認して、紙袋を少女に渡した。
「ごめんなさいね、まったくバレンタインだっていうのに気の利かない人たちなんだから」
「あ、いえ!私も勝手に入っちゃったので」
少女は恐縮したように頭を下げる。
「わ、私西沢歩って言います!助けていただきありがとうございました!」
「えぇ、私は桂ヒナギク。この学校の生徒会長よ」
少女は他でもない、歩であった。格好こそ制服なものの、白皇の制服とは似ても似つかないことも不審者と思われた一因か。
簡単に自己紹介を済ませて、ヒナギクは紙袋に目を向ける。
「でもチョコ2つなんてやるわねー。もしかして2人に届けに?」
「えぇ!?ち、違います!ずっと1人、1人だけです!!」
顔を真っ赤にして否定する歩。そんな反応ひとつ取っても可愛らしいなと、微笑ましく思う。
「でも、この学校相当広いから探すの大変よ?」
「た、確かにそうですね……初めて来ましたけど、まさかこれほどまでとは」
歩の言うとおり、この学院の広さは規格外だ。なにせ敷地が杉並区ほぼ全てなのだから。通っていれば慣れてくるとはいえ、改めて考えると学校といって納得していいレベルでは無い。
「だったら、私がその〝幸せ者〟を呼びだしてあげましょうか。貴女と2人きりになれる場所に」
「ほ、ホントですか」
「えぇ、任せて。これも何かの縁だしね」
そう言って微笑むと、歩は身を乗り出した。
「じゃ、じゃあ綾崎君を!1年生の綾崎ハヤテ君をお願いします!!」
また場所は戻って生徒会室。
「えっと、あの、すみませんでした、ヒナギクさん」
「いや、なんで開口一番謝られてるの私」
ひたすら困惑したように眉を下げるハヤテに、ヒナギクは思わずツッコむ。
「いえ、いきなり時計塔の最上階に呼び出しされたので……何かをやらかして怒られるのかと思って」
「確かに、屋上に呼び出されるよりも怖いですよね。ここ東京タワーよりデカい設定ですし」
「設定とか言わないでください」
脳天気に隣で頷くもう1人の執事を軽く窘めつつ、彼女はハヤテに向き直った。
「別に何かを注意するとかそういう訳じゃないわ。向こうの会議室に貴方へお客様がいるから呼んだだけ」
「お客様、ですか?」
「そ。だからさっさと行く!」
「あ、ちょっとヒナギクさん!」
半ば強引に背中を押して、ハヤテを会議室に押し込んだ。
「聞こえたら悪いですし、私たちは外にいきましょうか」
「そうですね」
2人はそのまま生徒会室を出て、廊下に。
「しかし、急に他校の女子生徒や綾崎君を連れてくるので何事かと思いました」
「まぁ、放っておけなかったというか」
そう言って頬をかくヒナギク。困っている人がいればまず手を差し伸べる、いかにも彼女らしい。
「制服を見るに、綾崎君の前の学校のご学友のようですし。彼も隅に置けませんね」
微笑ましそうに話す執事に、ふと彼女は疑問に思って視線を向ける。
「前の学校……アイルさんは、彼の昔のことを知ってらっしゃるんですか?」
「そうですね」
アイルは思案するように目を細めた。
真実を言えば、昔から〝彼〟を追いかけている人間の1人でもある。それはひとえに雇い主の願い故。捜索の過程で彼の過去や交友関係はある程度調べたこともあるし、本当は歩のことも知っている。姿こそ違えど、彼女には接触もしているのだから。
と、そんな事を馬鹿正直に言うわけにもいかず。とはいっても、真っ赤な嘘をつくのも後々にどういった影響があるかも分からない以上は
「彼が三千院家で雇われることになった際に、関係者に家庭環境なども含めて少し事情をお聞きしました。ご両親に借金を押しつけられて行く当てもなく彷徨っていたところを、拾われたと」
アイルが話している最中、一瞬だけヒナギクの表情に影が差した気がした。
「その過程で学校のことも――って、ヒナギクさん?大丈夫ですか、顔色があまりよろしくないような」
「あ、いえ!なんでも!」
ハッと我に返ったように目を見開くと、ぶんぶんと両手を大げさに振ってみせる。
「ただ、その、両親に借金を押しつけられるなんて大変だっただろうなーって」
「並々ならない苦労だと。それが彼の強さにもつながってるのだと思いますが」
「そう、ですよね」
気のせいか歯切れが悪い。彼の境遇に思うところがあるのだろうか、あるいは何か触れてはいけない話題で気を悪くしてしまったか。アイルが気を遣ってかけようとした言葉は、しかし勢いよく開いたドアの音にかき消されてしまった。
「え?」
飛び出してきたのは歩。廊下にいた彼女たちには目もくれず、エレベーターホールへと走って行ってしまったのだ。
一瞬のことだったが、ヒナギクは見逃さなかった。彼女の目にうっすらと涙が浮かんでいたことに。
暫くすると、ハヤテも出てくる。手には渡されたであろう四角のラッピングが。
「ハヤテ君、彼女どうしたの?」
「え、いや、特に何もなかったというか」
少し照れたように、ハヤテは頭を掻く。
「義理チョコもらっちゃいました。これからも友だちでいようって」
「……義理?」
「はい。僕なんかのために、そんな気を遣っていただかなくてもいいのですが。本当に優しい方で」
彼女とは今日あったばかり。知り合いとも言えないくらい関係だ。
それでもしっかりと見た、紙袋に入っていたのは2つのチョコレートだ。片方は四角、片方はハート。
正門で彼女は、はっきりとこう言った。『ずっと1人だけです』と。
以上の事から推察すれば、答えは明確だった。
「今すぐ追いかけて、交換してもらいなさい」
「へ?」
きょとんと小首を傾げるハヤテに、彼女は木刀を突きつける。
「つべこべ言ってないで、さっさと追いかけなさいッ!!」
「えぇ!?」
問答無用。
意味も分からず、それでも大慌てで駆け出していったハヤテを見送る生徒会長と執事。
「実力行使ですか」
「うぅ……良いんです、時に言葉よりも拳が有効な時もあるんです」
なるほど、けだし至言である。
そして1時間後。
「あの、すみません!」
生徒会室の扉を開け放ったのは歩であった。
「貴女はさっきの」
「せ、生徒会長さん!」
真っ赤にしたまま、歩は机の前までやって来る。座っているヒナギクと向き合った格好だ。
「想いは、伝えられた?」
「はい!!あ、いや……伝えたけど、返事はまだもらえなかったっていうか。返事は言わなくていいって言っちゃったっていうか」
彼女が持っていた紙袋には四角いチョコレートが一つ残っている。
告白と本命のチョコレートこそ渡せたものの、返事は保留状態のようだ。
「それでも!伝えられないよりはずっとずっと良かったから」
「そう」
それを聞いて、満足そうに小さく口元を緩めるヒナギク。
「あの、本当にありがとうございました!」
「別に、私は何もしていないわ」
「いえ、そんな!あの、お礼がしたくてまた来てしまって……でも、あの渡せるものがこれしかなくて。1回人にあげたチョコレートなんて失礼かと」
歩がおずおずと差し出した四角いチョコレートを、ヒナギクはそっと受け取った。
「ではありがたくいただくわ、西沢さん。貴女の努力と想いが成就することを願ってるわ」
「あ……は、はい!!」
そう言って微笑む彼女はまるで天使のように可愛らしく、しかし凛とした態度は研ぎ澄まされた格好良さ。
深く頭を垂れて、生徒会室を出た歩は、「こんな格好良い
「なるほど。そうやって格好良く立ち回り続けた結果、年々チョコが増えていくに至ったと」
「言わないでください、今気付いたので」
執事の指摘に思わず机に突っ伏す生徒会長であった。
ちなみに。
「……え。西沢さんが。僕を?本命?え?」
敷地内では、メデューサに睨まれたごとく石化しきっているハヤテが目撃されたとか。
ヒナギクさんは常に強く優しく、そしてカッコイイ(確認)
原作では完全には明らかにならなかった彼女の過去も、妄想で補いつつ、原作の8-9巻に合わせていきたいなーとぼんやり思ってます。
次回もバレンタイン、メイドさん活躍回です(予定)
物語の終わり方について
-
エンディングは一つのみが好ましい
-
各ヒロインのルート分岐などがあっても良い
-
どうでもいい