「ふえええだって! あはははははは! それなのに! 好感度は! 変わらないって! やっばお腹痛い! あははははは! なにあの声……ぷぷっ」
あぁ、一発殴りたい気分。
「んで、どうすんのよ。ぶっ! ひひひひっ悪い思い出したら…ぷくくく」
「あーもう! しつこい!」
正直、自分だって恥ずかしいんだ。
これも全部あのホモ男のせい。
海斗……絶対に攻略してやる。
「とりあえず、あの人間は異性に興味無いものだと判断したわ。異質な存在を攻略するすべを今考え中」
「そんなに長考にならなくても、分かってるんだろ? どうすればいいか、さ」
「っ……それは、無理」
「あれれー? おっかしいなー? あの零夜様にー出来ない事があったなんてー。こんなんじゃ攻略できませんよー?」
「っ……! ……やろうと思えば出来る。ただ、私が男装なんてしても可愛すぎちゃうから」
「うふふ。大丈夫よ。可愛い男の子ってモテるんだから」
「そういう問題じゃ!」
「なにか問題でも?」
「う……。はぁ……分かったわ! やればいいんでしょ」
「うふふ。楽しみね」
絶対楽しんでるわね。
それに、強がってはみたものの……男装なんて無理に決まってる。
男性向け恋愛シミュレーションゲームだってやってことあるけど、それとこれとは別の事で。
でも、この人に逆らうことは物理的に不可能なのだ。
あれは、12回目の攻略だった。
人間、鬼毛井(きけい)。決してキモイではない。
27歳。無職。童貞。そして……
――ドM。マゾヒスト。masochist。
攻略するにあたって、必ずやらなければいけないことがあったんだ。
ドSに、なること。
もちろん嫌だ。そんなことするなら死んだ方がマシだ。
でも、あの人は……
『やらなきゃ、あなたのこの自作ポエム「月と太陽と混沌~世界はどうして暗いのか~」を……』
『わあああああ!! やるっ! やらせてくださいっ!』
別に……一生に一度はポエムくらい書くわよ……。え……? 書かない?
まぁ、そんなこんなで演技するはめになったのだが……
『なんでそんなにキモイ顔してんの? 不快なんだけど』
『あふぅっ』
『気持ち悪い声出さないでよ。周りの人に見られるじゃない。バカなの? 死ぬの? 死にたいの? だ、だからってそんなに遠くには行かないでよ……ほらっ。被害者が増えるじゃない?』
『はぁはぁ』
あの時のキスはもう、思い出したくない……首輪をつけながらとか、ありえないでしょ。
男装なんかしてキスとか……おぞましいわ。
でも、姉はポエムを握っている……うう、仕方ない。
次のデート、絶対あなたを落としてみせる!
恋愛精霊王(自称)の名にかけて!!
ちょ……痛いとかやめてよ。