――恥ずかしい。
女装し、ゲームセンターに佇む俺。18歳。童貞。
周囲からの視線はなんだろう。
あまり、考えないことにする……。
『い、いやぁ……に、似合ってるわよ……すご……い、個性的でいいんじゃ……ない?』
「どん引きじゃねえか!? お前がやれって言ったんだろ!! どうせならまだ笑ってくれた方が良いよ!?」
『なに急に大声出してるのよ変態女装男」
痛い……周囲の視線が物凄く痛い……。
やめろ。こっちを見るな子供たち。
「んで、ちょっと遅くねえか?」
こうして女装してまでゲームセンターに居るのは、もちろん俺が変態なわけじゃない。疑うな。
変態レズ女であり、攻略対象の超難関精霊、零夜だ。
待ち合わせの時間に30分遅れている。
隣に居る美形の男も待ち合わせだろうか。時計を頻繁に確認している。
少し女性っぽい顔立ちだ。あんな奴が女装すればもう少し様になったんだろうな、と思う。
『おかしいわね。零夜の精霊反応はあなたのすぐ隣からなのだけど?』
「え……?」
だって、俺の隣に居るのはこの男しか……。
ま……さか。
さりげなく、話しかけてみることにした。
「だ、誰かと……待ち合わせですか?」
「え……? あ、はい……」
一瞬戸惑いながらも返答してくる。
が、雰囲気が違う気がする。もうちょっと、明るい感じがしたというか……
『海斗、今あなたが話しかけたのが零夜で間違いないわ』
……ま、まじかよ。
だって、こいつ男装……。
本物の、変態だ……こいつ。
もう直球で聞くしかないな。
「……もしかして、零夜か?」
――ビクン。
「か……海斗、くん?」
俺達の最悪のデートは、最悪な形で始まりを告げた。
周りからは、普通のカップルのように見えてるんだろうな。
でも、本当は逆なんだよな……性別が。
「い、いやぁビックリしたよ! 海斗くんにこんな趣味があったなんて……で、でも個性的で良いと思うなっ! うん」
「零夜こそ……すげえ、な。いや、えーと……うん、すげえな。すごいと思う」
すごいしか言えてねえ……。
いや、だって無理だって。さすがにね? これは反応に困るって。
「海斗くんは、なんで女装を?」
うわ、直球だ。なんて答える……。
ん……そうだ。今日は、アレがあったんだったな。
『選択肢ーッ!!』
①「俺、男しか好きになれなくてさ……その男装最高だよ。はぁはぁ」
②「俺、一日ごとに性別が入れ替わるんだよね。ふふふ」
③服を脱ぎ、察してもらう。
おかしい!? これどれもおかしいよ!?
『総員選択開始!』
空中艦のクルーが思い思いに選択していく。
『うーん、どれも同じ票数って感じね』
なんで!?
インカムにクルーの声も聞こえてくる。
『男しか好きになれないと性癖を晒すことで、相手に自己開示し、包容してくれる可能性にかけましょう』
そんな一か八かの可能性やだよ!?
『②ですね。その方が面白いです。私が楽しめます。ぶっちゃけ好感度とかどうでもいいです』
それはもうクルーとしてどうなの!?
『③一択ですよぉ。ぐふっ。街で全裸とか……ぐひひ。興奮しますね』
絶対③は選ばねえ!!
『海斗、③よ』
「ぜってえ嫌だよ!!」
「え……? 嫌なのに女装してるの?」
やべ。誤解させてしまう。
『なにやってんのよ。冗談よ。②でいきましょう』
本当はこれも嫌だけどな……。
「俺、一日ごとに性別が入れ替わるんだよね。ふふふ」
「………………」
「………………」
沈黙が、痛いっす。
『海斗、良かったじゃない』
ん……?
『好感度に変動があったわよ』
ま、まさか……
『好感度が下がったわ……ぷっ』
選択肢はもう信じねえ。