男装した状態でゲームセンターに佇む男装少女。
言葉にしてしまえば異質だが、周りは皆私が男だと思っているようだ。
『零夜ぁ似合ってるわよ(笑)』
ムカつくよね姉さんは。
それにしてもあの男はまだかな。
約束の時間に30分も遅れている。
私じゃなかったらもう怒って帰ってるわよ……全く。
「だ、誰かと待ち合わせですか?」
「え……?」
急に隣に立っていた女に話しかけられた。
少し吃驚したが、この女もさっきからずっと立っていた。
もしかしたら誰かと待ち合わせなのかもしれない。
同じような私に気を遣って話しかけてくれたのだろう。
「あ、はい……」
答えると女は片耳に手を当てて少し怪訝な顔をした。
そして……
「……もしかして、零夜か?」
――ビクン。
「か……海斗くん?」
もしかして……人間・海斗?
もしそうだとしたら……女装!?
やっぱり変態だったのね。
まぁそうでなくちゃ私が男装した意味ないものね。
「と、とりあえず歩くか?」
「う、うん」
私たちの最悪のデートは、最悪な形で始まりを告げた。
周りが何も気にしないのは客観的には普通のカップルに見えるからだろう。
重要な部分が違うんだけどね。
あの女装……やっぱホモってことだよね。
とりあえず作戦は、いい感じかな。
でも一応フォロー入れといた方が良いよね。あくまでも、好意的に。
「い、いやぁビックリしたよ! 海斗くんにこんな趣味があったなんて……で、でも個性的で良いと思うなっ! うん」
反応に困るよ……ね。
これで限界だって。私頑張った、うん。
「零夜こそ……すげえ、な。いや、えーと……うん、すげえな。すごいと思う」
あなたはもうちょっと頑張って!?
とりあえずホモ確定だけど、一応確認しておくか。
「海斗くんは、なんで女装を?」
ちょっと直球すぎたかも。
まぁでも、これで安心して攻略できるよね。
「………………………」
妙に時間差がある気がする。
なにやってるんだろう。さっきから表情の変化もすごいけど。
「ぜってえ嫌だよ!!」
急になんか叫んだぁぁ!?
どういうこと!? さっきの解答!?
「え……? 嫌なのに女装してるの?」
「俺、一日ごとに性別が入れ替わるんだよね。ふふふ」
え……?
これが、質問の解答?
「俺、男しか好きになれなくてさ……その男装最高だよ。はぁはぁ」みたいな解答を待っていたのに。
なら、今日私が男装をしてきた必要性は?
こんな……こんな醜態を晒してまで本気で挑もうって思ったのに。
電波系? こんな奴もう……攻略したくない。
私が攻略する理由は、最初は乙女ゲームの応用だった。
でも、今は姉さんの為に……。
姉さんは今限界する頻度が非常に多くなってきている。
――このままだと、殺られる。
はやく精霊のイメージを改めさせなきゃいけない。
だから体だって張れた。
でもこんな屈辱を与えられたのは初めてだ。
こんな奴、いくら姉さんの為でも、攻略したくない。
『(好感度が急降下? これは、攻略放棄、か……)』