ホロライブラバーズ外伝 有り得たかもしれない未来 作:アズール
過去話は、本編で明かされますので、期待しててね。(血反吐)
とある場所にて、2人の少年少女がいた。片方はローブを纏い、片方はいかにも魔法使い、のような格好をした2人だ。片方には杖が、もう片方には本とブローチが特徴的な持ち物だろうか?何やら2人は旅をしているらしく、今日も1日、歩きっぱなしのようだ。
「ねぇー、シオンもう疲れたんだけどー!」
──もう少しじゃ、後もう少し歩けば、儂らの目的地に到着する。
「えぇー、シオンもう休みたいんだけどー?」
そう駄々こねるのは、紫咲シオン。ある日突然、魔術が使えなくなり、落ちこぼれになってしまった少女。今は、
──別に休んでも構わぬが、到着も1日遅れ、野宿することになるのじゃぞ?それでも構わぬと言うなら………
「あー!待って待って!やっぱり元気出てきちゃったなー?なんかもっと歩きたいんだよなー!」
──全く、扱いやすい奴じゃのぉ……
先程から古臭い喋り方をしているのは、毎度お馴染みの主人公、魔切君である。シオンの代わりに大魔導士になるという夢を叶えるため、また、シオンを、再び魔術が使えるように出きるかもしれないという希望を持って、旅に出ている。
「ねぇ!次の街って、どんな街なの?」
シオンは駆け出した足を止め、後ろにいる魔切に向けて振り向く。魔切は、鞄から資料を取り出すと、それを読み上げる。
──えー……っと?魔術都市オラシオン。別名『全世界図書館』この都市には、存在しない本以外はほとんど揃っていて、まだ見ぬ本を求めて、様々な世界からこの都市へ流れ着く魔術師も多いとか。儂らもこの都市で情報を集めて、お主の魔術が何故使えんくなったのか、それも検査も出来る場所という訳じゃな?ちなみに、ここにない本を贈呈すると報酬が貰える。
「えー!検査!?ちょっと聞いてないんだけど!!」
シオンは、検査という言葉を聞き、露骨に嫌な顔をする。それを見て、肩をすくめる魔切。やれやれと言いながら、魔切は説明をする。
──あのな、お主の今の状況を調べるだけで、別に注射やレントゲンなんかはやらぬ。安心せぇ。じゃがな、痛みは生ずるかもしれぬのは覚悟しておけ。
魔切の言葉に、シオンはうー……という顔をしながら、呟く。
「むぅ………それで、使えない原因がわかるかも知れないから……?だけどさ!」
──心因性……まだその話を信じておるのか?お主の夢は!その程度の戯れ言で惑わされるほど、軽いものなのかッ!
魔切は、弱気になったシオンに対して叱る。こうしなければ、シオンはどんどん卑屈になっていき、いつもの可愛らしさがなくなるとかいう、自分の都合だが、それ以上に元気な姿を見たいという、魔切自身の願いもあり、魔切はシオンが弱気になると、叱る。
「──!……ありがと。落ち着いた。」
──……そうか、お主は見ておらぬとすぐそうやって卑屈になるのは、表のお主しか知らぬ者からすると奇怪なものじゃな。
「えー!シオンはそんなにいつも可愛い~?やだなーそんなに当然なこと言われても~?」
──………全く、こやつは……!
そう言って、少し微笑みながら、街へと目指す。無事に街に着けた2人は、宿を取り、街を散策することにした。目的地は、今回は2つあり、1つ目は、シオンの体を調査するための研究室。2つ目は、大図書館だ。
「シオンは~図書館に行きたいなぁ…って?」
──だめじゃ、検査の研究室から探し出すぞ。お主は早く治りたいのか治したくないのかどっちなんじゃ……ったく。
「うぇ~やだなぁ……」
シオンはあからさまに嫌そうな顔をしながら、魔切の後へついていく。魔切は色んな研究室を見て周ったが、どれも魔術の研究ばかりで、人体などの解析を行っていない研究ばかりだった。
「ねぇ~!もうやめようよー!後でも良いでしょ!」
──うーむ、もう少し周ってからじゃな。……お?
魔切が目に止まったのは、とある研究室。そこは、魔術の研究と周りと変わらない様な研究室だったが、彼は、そこではなく、名前の方に覚えがあり、つい凝視してしまう。その研究室はこう書かれている。
『天才モルディオの研究室』
──……(モルディオ……かの有名な魔導士が、ここに研究室を構えておるとは……そうじゃなぁ……一か八か、行ってみるか?)
「?どうしたの?………あの研究室が気になるの?」
──おん?そうじゃのぉ。ちと聞いたことある名での。つい見てしまっておったわ
魔切は、そう言って歩き出す。勿論、その研究室に、だ。
「え!?そこに行くの!?怪しさバリバリじゃない!?天才って自分からいってるし!」
──心配せんでも、おそらく本人でやった訳じゃなさそうじゃがのぉ……むしろ、本人は付けられて怒っているじゃろ。まぁ、早く来んかい。シオン。お主の原因を、ようやく理解できそうな奴が見つかったからの。
魔切は、そのまま研究室の扉の前へ行き、ノックした。しかし、反応はなく、留守の様であった……が、魔切はそのまま扉越しに話しかける。
──心配せんでも、魔術協会の奴らでも、ここの住人の奴でもないわ。それとも、旧友の事はもう忘れたか?モルディオ
「はぁ……あんた、次その名前で言ったらぶっ飛ばすからね?
扉を開けて出てきたのは、おそらく同じくらいの年の少女だった。彼女は魔切に向けてジト目をしながら、反論してきた。
──お主だって言っておるではないか……いや、儂から喧嘩売ったから当然ではあるがの。
「………むぅ(誰なの?しかも女の子。シオンの知らないところで吹っ掛けてきたのかぁ魔切?)」
2人は、そう挨拶を交わす。関係を見れば、悪友同士の再開のような挨拶であるが、置いてきぼりになったシオンは、その2人の関係を見て、少し拗ねてしまった。
──…おっと!すまんすまん。拗ねてしまったのぉ。シオン、こやつはモルディオ。リタ・モルディオじゃ。昔、ちぃとばかり知り合っての?約2年、こやつの助手をやってたんじゃ。
「?あぁ、連れ添いが居たのね?気付かなかったわ。リタよ。こいつとは腐れ縁ね。よろしく。」
魔切は、学園に入るおよそ2年前に、リタと共に各地の遺跡や洞窟に調査をしに行き、リタが調査、魔切が敵の殲滅を主にしていた。(リタがキレたり、魔族の文字になったら魔切が調査をしてたりとか自由にしてたが。)
「ふーん、そうなんだ。それで?何でそんな人がここに?」
シオンがムッと膨れっ面しながら問いかけると、リタがため息を吐きながら説明する。
「あたし嫌って言ったんだけどね~?協会の人間が"是非此処で学びを極めて下さい!"とか言ってあたしを幽閉したのよ。しかも断ったら封印指定ですって、脅しも良いとこよ。」
そう言うと、魔切は目をキラッキラの少年のような眼をしながら、リタに聞いた。
──おぉ、ついにそこまで至ったか!!お主は!何を極めたのじゃ?
「……別に?あいつらあたしの
リタにそう言われると、魔切は残念そうな顔をしながら不貞腐れる。
──なんじゃつまらん………いっそ、儂の血筋みたいに擬似的第二魔法の呪いを受けて命狙われる方が面白いわ。
「いつ聞いてもそれは面白いわね。呪いもそうだけど、何人退いたんだっけかしら?」
──100から数えておらんわ。学園に入ったらピタリと来なくなったがの。
魔切とリタはそう言い合って笑い合う。シオンも、不貞腐れていたが、自分の知らない魔切が知れて、実は得をしているという。
「んで?何にも無いのにうちに訪ねるなんて無いでしょ?用件は何よ?」
──察しが良くて助かるのぉ………シオン、こやつが最近、魔術が使えなくて悩んでおる。その原因を調べて欲しいんじゃが………
「……ま、良いわよ。今別にやることなんてあんまり無いから暇してたし、それに、あんたに貸しが出来るのが良いわ。」
そうニヤニヤしながら言われ、経験上、頼みごとをさせられると踏んだ魔切は仕方ないと諦め、用件を聞く。
──………仕方ないのぉ、シオンのためじゃ、無茶振りさえしなければ叶えてやる。
「あら、そっちも察しが良いわね。それじゃ、明日にはその子含めて出発ね。」
──おい!いきなりじゃのぉ!しかもシオンも同伴させろとな?なかなかに言うではないか……!
つい驚いて声をあげた魔切。まさかシオンも巻き込んで依頼してくるとは思っていなかったらしく、理由について言及を求めた魔切。それを平然とした顔で、リタは答える。
「当然じゃない。もしかしたらショックを与えたら治るかもしれないのよ?荒療治も視野に入れておいて、本音はもしかしたら荷物が増えるかも知れないからそれを持たせるための人員も確保しておきたいのよ。」
──ぶっちゃけたのぉ…お主。……シオン。無理ならこやつに付き合う必要はないんじゃぞ?ぶっちゃけ、荷物持ちを欲しがっておるだけだしの。
魔切はシオンに慣れてるような感じを出しながら、シオンにどうするか訪ねるために振り向く。シオンは、先程とは売って変わって、キラキラとした目で、こう答えた。
「行く!シオンも遺跡の中とか入れるかも知れないんでしょ!?行くよ!」
──……しまった。シオンの癖が出た……
魔切は忘れていた事実に頭を抱えた。シオンは、昔の歴史物や、文明を知ることが好きな珍しい人種なのだ。だからこそ、今回の勧誘は断る所か、無理やりついていく可能性もあったのだが、相手からの誘いもあって、行く気満々になってしまった。
「ふーん。見所が有るわね。シオンだったかしら?荷物はコイツに任せて色々見せてあげるわ。」
「ホント!?絶対だかんね?魔切。荷物持ちよろしく!!」
先程まで膨れっ面のシオンが、満面の笑みをして、魔切の方へ顔を向ける。魔切はそれを見て、観念したように頷き、諦めた。
魔切の姿を見て、シオンは小躍りしながら、リタの方へ行き、プランを話し合っている。魔切はそんな姿を見て、心の中で、こう思った。
─(これが、惚れた弱みかのぉ?全く、困ったもんじゃ…)
そう思いながら、口は少し微笑みを浮かべ、2人を見守る魔切。
「ねぇ、もしかして、あんたさ…あたしの事が好きだった?」
──何世迷い言言ってんじゃ、はっ倒すぞ、お主?
魔切は真顔でそう答えると、リタは更にこう言った。
「だってこの子、完全にあたしと似てるから、ついそう思っちゃったわけ。……ま、決定的に違うところもあるけどね。(……地味に素直な所とかね。)」
──確かに似ておるが、そうじゃな、お主と決定的に違うところかある。
「シオンは……そういうのあんまり経験してないのはさぁ……普通の生活してたから当然じゃない?」
2人の息のあった意見に、ついきょとんと首を傾げてしまう。しかし、2人は、まるで打ち合わせをしていたかのように、どんどん喋り出す。
──経験の1つ目は行った場所じゃな。こればっかりは仕方ない。最近までずっと魔術の研鑽と云わんばかりに缶詰されておったからのぉ、その点、リタは色々飛び回っておったから、経験豊富な天才じゃからなお主。
「ハイハイ、褒めてんのか貶してるのかどっちなのよ。まぁ、そうね、普通ならあたしのあの時の年なら完全に缶詰にされてても不思議じゃないわ。普通ならね。」
──シオンよ……こやつはな?両親が無能じゃったがこやつが天才だったから、両親は使い潰そうとしたんじゃがな、その両親は返り討ちにあったんじゃ。こやつのファイヤーボールでの。
「当然じゃない?正当防衛よあんなん。それで絶縁したけど清々したわ。お陰でまさか、此処までの事が出来るようになったんだから。その点だけ感謝してるわ。」
──っと、脱線しすぎじゃ。話を戻そうかの。
2人は、シオンに喋らせる暇もなくどんどん話していく、シオンは2人の話しに必死に食い付いて置いてかれないようにしているが、いつ爆発するかわからない状態になっている
──2つ目は、1と少し似ておるが……
「修羅場の数かしら?」
──まぁ、そうじゃの。探索だけでなく、戦闘……魔物やゴーレム、たまに人間。すべて、相手の対処法が変わるから、慣れていないともう苦労ものじゃな。特に人間は加減をせねば死ぬと思えば尚更じゃな。
「その点ならあんたの方が上手いじゃない。毎日狙われてたんでしょ?」
──お主よりかはな。シオンには何回か遭遇されたが、お主と程ではない。じゃからこそ、完全に手加減を覚え、撃退出来る状態は、お主の方がまだ上じゃ。シオンにはこれからここも頑張って貰うからの。
魔切は、そう言ってシオンの方を向くが、そこには、理解が追い付かずぐるぐる目をしたシオンがパンクしていた。それを見て、微笑みながら、介抱する魔切。
──仕方ない。少しここで休ませて貰うぞ?
そう言うと、床で倒れているシオンに膝枕する魔切。リタはそれを見て、ニヤニヤしながら話しかける。
「んで?なんでこの子を気に入ったの?相当ベタ惚れじゃない?」
──なんで……か。簡単じゃ。
魔切はそう言って、少しだけ、当時の事を思い出す。シオンが、泣きながら、宣言するあの時を。
泣きながら、とある家の前で、叫んでいる彼女を見て、彼は、その手助けをする事を決めた。自分は持っていたものを、彼女は、何故か使えなくなって、それが自分の心だと、そう言われ、弱気なのに、なっていた彼女に喝を入れ、奮い立たせるくらい。彼女にその時惚れてしまったという。その記憶は、今でも鮮明に思い出せるのだろう。
目を開け、再び語る魔切。
──あの時、シオンと出会ったあの時から、儂はこの子を完全に強くしたい。そして、儂と共に歩んでいける人生を、出来てから、改めて告白する。儂がどれだけ好きかを、な。それまでは……どうか、早く改善させ、健やかに生きて欲しいんじゃ。
魔切はそう言って、ショートしてるシオンの頭を撫でる。そして起き上がって来るまで、床で寝かせるのはしのびないなぁと思っていた。
当のシオンはというと……
「(え!なに!今の告白!?しかもめっちゃ嬉しいし!!しかも何!?付き合うだけじゃなくて、もう既にこの先まで考えてるの!?はー、好き!!しかも膝枕固いけどなんか安心するし、めっちゃ良い!!お父さんっぽい感じだったけど、どうしよう……なんか話を聞いてて嬉し過ぎて死にそう!!!)」
等と限界オタクみたいな感じに壊れてしまった。おそらく、一時的な混乱が混じっているので、直ぐには復帰は出来ないが、それでも元には戻るだろう。
ちなみに、リタは起きているのを知っているので、その姿を見て、リタは肩をすくめながら、ため息をつく。
「はー、こりゃ完敗だわ。あんた達のバカップルさにはあたしついていけないわ。さ、シオンが復活したらとっとと帰ってイチャイチャしてなさい~。」
リタは手をヒラヒラさせながら、奥の部屋に入っていった。2人だけになり、まだ起きてると気付いていない魔切は、シオンに対して、追い討ちを掛けるように語り掛ける。
──シオン。これから先、儂はお前に苦労を掛けさせると思う。儂は、正直、あの事がなければ、お主には、無理をさせたくない。それくらい、お主は、脆く、儚い。
魔切はシオンに対し、そう言う。魔切からすれば、無理してまで、魔術を使わなくても、自分がすべて補える。そう思うくらい、彼は魔術師としては完成していた。
──……それでも、儂は、お主の戦い、抗う姿に惚れたのじゃ。お主の心の底では諦めない不屈の心が、儂の心に響いたんじゃ……
魔切はニコニコ笑いながら、シオンにずっと語り掛ける。周りから見ると、まるで、愛を語り掛けてるように、言葉を紡いでいく。
──シオン。お主が儂をどう思っておるかはしらん。じゃがな、儂はお前を厳しくしておるが、本当は無茶をして欲しくない。大切にしたいくらい想っておる。……本当じゃぞ?
魔切は優しく語り掛けた。シオンはずっと俯いており、起きないシオンをゆっくり眺めている。ちなみにシオンの心の中はというと………
「(好きーーーーーーーーー!!!わーーーーーーーー!!!!?)」
という状態でとてもじゃないが復活は出来ない。シオンがあまりにも起きないので、魔切は起こさないようにゆっくり頭をおろし、離れる。
──さて、あまり起きぬ様じゃし、これ以上リタに迷惑は掛けられんの。よっと。リタ。儂らは帰るぞ。迷惑掛けたな
魔切はシオンを背中に抱え、別れの挨拶をすると、研究室を後にした。リタはそれを確認すると、一言呟いた。
「……リア充これ程燃やしたいと思ったこと無いわね……。せいぜい仲良くしてなさい。」
リタはそう呟き、再び奥に戻る。魔切は何も語らずに、黙々と宿に行っているが、シオンは背中の感触に悶えている様子。
「(うわー!!?抱っこされてる!あんまりがっちりとはしてないけど、不思議となんか安心する………)」
──んお?寝てしまっておったか……帰ったら部屋まで寝かせに行かねばな………
色々あって、シオンは完全に寝入ってしまった。それを見て、魔切は微笑みながら、宿へと足を進める。
シオンは何故魔術が使えなくなったのか?シオンの過去とは、真実は、今は語られることはない。真実はいずれ語られる。
その語られるのは、果たして何時になることやら。もう少しかもしれないし、遥か先かもしれない。
──さて、明日のために、色々準備でもするかの……どうせ、ろくでもないボス魔物だっておるじゃろう。久々に暴れまくるかの。
余談だが、彼は戦闘狂である。
イチャイチャ疲れた……シオンはなにもしてないのに壊れたよ。これが、キャラ崩壊だ!
次の話が出たら、アンケートします。どうかご協力お願いします