ホロライブラバーズ外伝 有り得たかもしれない未来   作:アズール

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 番外編に力を注ぐので初投稿です。ちょっと追い付いてないということを言われたので先にこちらを埋めていこうと思います。気になる方のみ見ていただけたら嬉しいです。


 先に言っておく、フレアは一切喋らない。………先にイチャイチャ書くから許して!


遊星七夜 とある1日

 風が吹き荒れ、森をざわめかす。しかし、その森に生命の気配は少なく、淀んだ空気が、漂う。そんな中、森の奥から、声が聞こえる。争う音、悲鳴、怒号。

 

 

 ──まとめて死ねぇッ!"精霊装填(リロード)、精霊共ッ!その命、燃やし尽くせッ!"『精霊分解(ディスインテグレイト)ッ!』

 

 

 「精霊様を…人間ごときがッ!ぐはぁッ!」

 

 

 超大型の拳銃を持った青年が、そこら辺に居た小精霊を取り込み、黒色の光に、中央が血のような赤い光を放ちながら、それは一直線に敵に向かう(某ビームみたいな感じ)。それと同時に、取り込まれた精霊の存在も消滅し、その一撃は耳の長い一族に当たる。彼らはエルフと言われるもので、精霊と共存し、森の中でひっそりと暮らす一族だ。

 

 

 彼らは今、青年によって、攻撃を受けていた。当たったエルフ達は、その場から影も形もなく消滅する。周りの妖精も、悲鳴をあげながら消滅していく。掠り傷で消滅する。それがこの銃の特徴だ。

 

 

 ──はぁ、はぁ、ようやく、この辺りの奴らは全滅したか…次に里周辺を警備してる奴を誘き寄せたら、今日は終わろう。少し疲れた。

 

 

 彼はエルフを憎んでる。その理由は後程明かされるが、憎んで仕方がない。絶滅する勢いで、彼はエルフを狩り殺してる。現状、彼がエルフの人口の7割を絶滅させている。たったの半年で、殺し回ったのだ。時折妨害も受けたが、大半は一度の襲撃の時に刈り取ったのだ。

 

 

 ──…里を発見。やっぱり居るよな、気配でわかる。全く、懲りもしないでよく俺を止めるよ。…アキ先輩。

 

 

 

 「…魔切君…もうやめてよッ!なんでこんなことを…!」

 

 

 ──わかるだろ…?エルフは皆殺さないと、あんな奴らが居たから、彼女は…彼女が犠牲になったんだろッ!?

 

 

 青年は魔切と言い、かつては優しかった青年。しかし、とある事件から、絶望し、怒り、この世のエルフを殺し尽くさんとする災害になってしまった青年だ。

 

 

 彼は、こうなったのは、ひとえに愛するものを失ってしまったから、そしてそれが、エルフが原因だということを知り、全てをエルフを殺すととある星の元に誓ったのだ。

 

 

 「それは、何かの間違いだよッ!だって…」

 

 

 ──何故、そう言いきれる。あいつらは…フレアが犠牲になって、喜んでいたんだぞッ!陰でそんなことを言っているのは、俺が知っている。だからこそだ。自分の身を絶対だと信じる奴らに、俺は制裁を味わってもらってるのさ。そんな存在は、この世に居ないってことをなッ!

 

 

 「魔切君…」

 

 

 彼は息を荒くしながら、そう叫んだ。その目は憎しみの炎を宿してギラギラしている。そしてまた、口を開いた。

 

 

 ──そこを退いてくれ、俺はハーフエルフを殺すつもりはないんだ。殺すのは、純粋なエルフのみ。…混じっているという理由だけで迫害する高貴なエルフ様には理解してもらわないとな…お前らが下劣という人間に惨たらしく殺されるのを。

 

 

 「…ダメだよ。私は退かない。これ以上、魔切君を、傷付いてほしくないから。」

 

 

 ──傷付く…?ハッ!もうあれ以上の哀しみや傷は、増えないよ。だから…そこを退けッ!

 

 

 そう言って、彼はそこら辺に漂っていた精霊を吸収する。そして、それをアキの後ろに隠れていたエルフに向けて、放つ。

 

 

 ──"精霊装填(リロード)、精霊共ッ!その命、燃やし尽くせッ!"精霊分解(ディスインテグレイト)ッ!

 

 

 「なにッ!?ぐあぁぁ!?」

 

 

 「そんなッ!なんで…」

 

 

 それは、アキを通り過ぎ、後ろに隠れてたエルフに直撃した。そのエルフは先程のエルフ同様消滅する。

 

 

 ──ふんッ!所詮はエルフ。先輩を囮にして俺に攻撃を仕掛けようとしたんだろ?下らねぇ!だから嫌いなんだよ!エルフって言うのは、自分を絶対だと信じ、誇りだのなんだの言って、結局は無駄に何にもしないで長生きするだけの種族なんだよ!

 

 

 「ッ!そんな言い方…ッ!」

 

 

 魔切がそう吐き捨てると、アキは涙ぐみながら睨み付ける。そうすると、バツが悪そうに顔を反らし、黙り込む。

 

 

 ──俺を、そう思わせたのは…あいつらだ。…世界樹は、そんなに大切なものなのかよ…ッ!人の命を使ってでも静めないと行けないものだったのかよッ!フレアが…生贄になる価値が、あの木にはあるのかよ…

 

 

 「魔切君…それは、」

 

 

 ──…良かったな。興が削がれた。今宵の狩りはここまでだ。また、邪魔だけはするなよ?…全部終わらせるまで、俺は止まれないんだ。

 

 

 そう言って、魔切は立ち去る。それをアキは彼の姿が見えなくなるまで、憂いを帯びた表情を浮かべながらずっと見つめていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 数刻歩いて、とある建物が見えた。それは、木製の家屋であったが、辺りには花が咲き誇り、一つ一つ丁寧に手入れされている。彼の拠点であり、フレアとの思い出の場所でもある。

 

 

 ──…ふっ、ここまで、侵食されているとはな。力を使っても居ないのに、なんでここまで侵食されてるんだろう?…いつか俺は、侵略者になるだろう。

 

 

 彼はそう言って服を少しはだけさせる。そうすると、普通の人間ではあり得ない紫色に黄色い線が入った、まるで、バグに侵食されているような状態の右腕になっていた。それは胸の辺りまで広がっており、すでに首の辺りまで届きそうな速さで侵食されているようだ。

 

 

 ──力を使う代償とはいえ、随分と早いじゃないか。そんなに適合しやすかったのか…?俺が、侵略の尖兵としての適正が、…この星を滅ぼすのに、そんなに都合がいいのかよ…まだ、俺はこの身体を渡すわけにはいかない。終わったら潔く渡してやるから、少し待ってろ。■■■■■■■。

 

 

 彼が、この身体になったのは、今から数か月前。とある事件により、この身体になり、エルフを皆殺しにすると誓った時でもある。   

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~約半年前~

 

 

 

 

 

 

 

 ここは学園の研究室。教授と言われる先生が特別に設けている教室だ。不人気の黒匣(ジン)を取り扱ったり、研究するための教室で、この学園では、1人の生徒しか、この教室に入っていない。

 

 

 ──教授、荷物はこの辺りでいいですか?

 

 

 『おお、その辺りで大丈夫ダヨ。いつもすまないネ。』

 

 

 ──いえ、それよりも、今日こそお願いしますよ?黒匣(ジン)をみんなのために使えるようにするって、テロやそう言ったことを騒いでる人達を捩じ伏せて研究している、そんな教授に感銘を受けて手伝ってるんですから。

 

 教授は、基本は数学を教えている初老の男性なのだが、黒匣(ジン)の医療や介護への転用。共存のための改良も、研究として行っている。《精霊のための家というものを作りたい》と言っていた教授に憧れて、魔切はその研究を手伝っている。

 

 

 実際、まだ研究段階なのであまり成果は出ていないが、少しずつ精霊が苦しまない方法が産み出され、今度医療用の黒匣(ジン)を試作し、それを論文にして発表するというところまで来ているのだ。

 

 

 

 『ハハハ、勿論だヨ。私が彼らのような凶悪な犯罪を犯さないように、医療や共存のために研究している。それを片時も忘れた事はないヨ?魔切クン?』

 

 

 ─えぇ?本当ですかぁ?前は娘が寄り付かないようにするにはどうすれば良いか全力で悩んでたじゃないですか?

 

 

 教授には中等部の子供が居る。その子は大変モテて、最近気になる男子が居るかもしれないと、親バカを発動しているのだ。そのせいで、研究を放り投げて、1日付き合わされたこともあったぐらいだ。

 

 

 『私の大切な娘に寄り付くクズ共など星を数えるほど居るのは仕方ない。だからこそだヨ。私が守らなければならないのだヨ!それぐらいは許して欲しいんだけどネ!?』

 

 

 ──はいはい、また後で考えてあげますから、医療黒匣(ジン)の論文の発表の方が早いんですから、早く纏めますよ?…あれ?これは何ですか?拳銃…にしてはかなり(いびつ)な…

 

 

 魔切は資料を纏めるために棚から色々な資料を手に取っていると、棚から拳銃のようなものが出てきた。それは、普通の拳銃ではなく、少し、マグナムよりも大きくて、そして、特徴的なのは、カートリッジが存在しない。まるで、弾を使わない銃だと、魔切は感じた。

 

 

 『それは触らない方がいいヨ。失敗作だ。君が持つには相応しくないヨ。それは破壊しか出来ない代物だ。今度破棄しておくから、資料を纏めておいてくれないかネ?』

 

 

 ──…わかりました。早く終わらせて、フレアのところへ帰らないと、今日はさっさと帰りますよ。いつも遅くなって、怒られるの俺なんですから…

 

 

 魔切は、そう言うと、銃を元にあったところに戻し、再び資料を纏め始めた。教授もそれを横目に資料を纏め始める。そして、ふと、教授は何かを企むような顔をして

 

 

 『…!それにしても、君達もお熱だねネェ…熱々だネ!何処まで関係を進めてるんだい!良ければ私にも教えてくれないかネ!』

 

 

 ──ちょっ!?なんでそれを今思い出したかの様に聞くんですか!?そんなことより!!早く仕上げますよ、じゃないと今日も明日まで延長コースなんですから!!

 

 

 彼は、顔を真っ赤にして、照れながら、怒りながら、資料を纏めあげている。教授はその反応が面白かったのか、笑いながら、資料を纏めた。

 

 

 

 『ハッハッハ、すまないネ。それじゃあ始めるとするヨ。まず、この回路が…』

 

 

 そして、講義の練習や、ミスがないかの確認しながらリハーサルをしている。ようやく、悪い印象しかない黒匣《ジン》を(おおやけ)に出せる様になった。それを証明する。大事な事なのだ。失敗は許されないため、念入りにチェックしているのだ。

 

 

 『…ということで、これを新たに《精霊匣(オリジン)》として我々人間と共存のための第一歩をここに発表したいと思う。…どうだったかネ?私の演説は?』

 

 

 ──…特に問題はないと思います。…しかし、エルフは良い顔をしないでしょう。彼らしか扱えないと言っていたのに、そんな物が出来れば、何をして来るかわかりません。…最悪、圧をかけてなかったことにされるかも…

 

 

 『…確かに、そうかもしれないネ。でも、私は諦めないヨ!どれだけ掛かろうとも、必ず、これを広めて見せる。協力してくれるかネ?魔切クン?』

 

 

 ──ここまで乗っかった船です。フレアとも一緒に協力させて貰いますよ。…フレアも、これでようやく、魔術が使えるんですから。ちゃんと、良い報告出来そうだ…

 

 

 『フフフ…嬉しそうだネ?当然だネ、君の恋人のフレアクンもハーフエルフとはいえ、魔術を使えない、そんな体質の彼女が魔術を使えるようになるのだ。キミにとっても、これ程嬉しいことはないだろうネ!』

 

 

 そう、彼の恋人、フレアはエルフの血が入っているが、魔術を使えない、いわゆる、回路があっても、魔術を行使できない身体になっている。

 

 

 ──はい!フレアがこれで自分に自信を持ってくれたら嬉しいです。…って、もうこんな時間!?急いで帰らないと…

 

 

 時刻を見ると、7時を回っており、夜の帳も落ちて、街は街灯がポツリと照らし始めてた時間帯になっていた。

 

 

 『大事な彼女さんが待ってるぞ?早く帰ってあげなさい。心配しなくても、後片付けはやっておくヨ!』

 

 

 ──すいません、教授ッ!。お先に失礼します!

 

 

 『気を付けるんだヨ~!』

 

 

 彼は研究室を出て、夜の街を駆けていく。全速力で帰るため、屋根やビルを飛び越え、一直線にエルフの森のはずれの方へ駆けていく。

 

 

 ──フレア、怒ってるだろうなぁ…早く帰るって言ったのに、こんなに遅くなってしまった…急いで帰るぞッ!

 

 

 魔切が、フレアの家に着くのに、そこから30分位であった。木造家屋の花が一面に咲いている家は、彼とフレアが今、共存している家だ。

 

 

 ──着いた…あれ?明かりが付いてないな…?何処かへ行ってるのかな?…心配だな…フレアはこんな時間に留守にするはずもないしなぁ…

 

 

 家へと着いた魔切であったが、明かりが付いておらず、人気もないので、おそらく留守にしているというのがわかった。

 

 

 

 ──取りあえず、中に入ろう。もしかしたら寝てるだけかもしれないしな。

 

 

 そう言いながら、ドアを開ける。明かりを灯し、中を見渡すが、あるのは机の上の1通の手紙のみ。書き置きにしては、封に入っていて、きっちりとしていた。…魔切の脳裏に、嫌な感じがよぎった。

 

 

 

 ──…何故、こんな所に手紙が…俺宛か?…違うな、これは…フレア宛だ。…誰からだろう?

 

 

 少し怪しかったが、封は切られていたので、取り出し、拝読し始めた。

 

 

 

 《当然の手紙、誠に申し訳ない。私はとある族長を勤めている者だ。これは全てのエルフ、ハーフエルフに送っている。…世界樹様の怒りを我々は買ってしまった。それを沈めるには、この世に生きるエルフ族の血を引くものを、1名、世界樹様に捧げるというものだ。

 

 しかし、木元で暮らすもの達は自身の保身しかしない。なので、私が身を捧げようにも、反対が多く、どうにも身動きが取れなくなってしまった。…元を辿れば、貴様らのやったことなのにッ!…愚痴っぽくなってしまったな。

 

 本題を伝える。その御身を捧げる…もしくは世界樹様の怒りを、別の方法で止められるものが居るのなら、どうか、我々に力を貸してほしい。…君達には、愛するものも居るだろう。だから、無理にとは言わない。

 

 

 よく、考えてから行動してほしい。長くなってしまったが、エルフの存命に掛かっていることだ。よく、考え、悩んでから来てほしい…》

 

 

 彼は、その手紙を読むと、一目散に世界樹の元へ向かった。フレアはもしかして自分を…そう思い、夜の森を駆ける。嫌な予感を胸に抱えながら…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~世界樹の広場~

 

 

 

 

 

 彼が、その場に付くと、何事もなく、佇んでいる世界樹の姿があった。怒りを買っているのであれば、なにか変化があるはずの物が、何も変わっておらず、ただそこに悠然と構えている姿しかない。

 

 

 ──…(どういう…ことだ…?なにかあったからだと思ったのに…ドッキリか?イタズラであんなものを入れられたのか…?いや、そんなことはない。あの文章を書いたものは、そんな感じはしなかった。…じゃあこの現状は、一体…)

 

 

 彼が思考を巡らせていると、不意に声が聞こえた。耳を澄ませて、その会話を聴くことにした。

 

 

 「一時は、どうなるかと思ったが、案外、早く解決したな…」

 

 

 「全ては、あのハーフエルフが身を捧げると言ったからだな…」

 

 

 片方は煌びやかな格好をしたエルフ。もう一人は、ハーフエルフの男性のようだ。

 

 

 「無能なハーフエルフも、その身を使えば、多少の価値はあったというわけだな。素晴らしい。名誉ある行動だったじゃないか。死ぬ瞬間に、価値を作るとは…」

 

 

 「おい!その言い方は…」

 

 

 「何を言う?当然のことではないか!エルフのような高貴な血を、別の種族を入れて汚したものに、何の価値がある?世界樹様の贄になれたのなら、私達のために身体を張ってくれたのなら、罪を償ったのと変わりはない。だからこそ、感謝を述べているだけと言うのに…」

 

 

 「…これだから…エルフ至上主義派は…」

 

 

 「何か?」

 

 

  「…なんでもねぇよ…ほら、警備を続けるからどっか行けよ…」

 

 

 「あなたも、下賎なもの達の1人なのですよ?…生まれを恨みなさい。下賎な者のリーダーとして、あなたはここを任されたのですから…」

 

 

 エルフの方は、そう言って立ち去る。おそらく、ハーフエルフであろう男は、世界樹の前で膝をおろし、祈るように佇む。

 

 

 「すまねぇ…フレア、俺は止められなかった。お前も…愛するものが居たのに…何で…あいつらの為なんかに…」

 

 

 ──リーダーさん、こんばんわ。

 

 

 魔切は、自然と身体が動いていた。その顔は、まるで、何も感じさせない顔だった。

 

 

 「君は…フレアの…すまない!俺が、俺があんな手紙を出したからッ!フレアが来ちまったッ!ただでさえ、彼女は責任感が強いのは知っていた!だがッ!エルフの連中は、それを嬉々として利用したッ!実際に、手紙を出したのは、住所の分かるエルフとハーフエルフだけ、あんなの…ほぼ狙い撃ちみたいなものなんだッ!なのに…フレアは来ちまったッ!」

 

 

 ──それは、そうですね。…一つ、言っておきます。リーダーさんは悪くありません。…悪いのは…エルフ、ですね?

 

 

 魔切は、淡々と話す。まるで感情がないように、

 

 

 「違うッ!俺だ!俺が反対を押しきって犠牲になっておけばッ!こんなことには…!」

 

 

 ──それこそ、ダメですよ。リーダーさんはハーフエルフ達の纏め役、それこそ、死んではいけないじゃないですか?

 

 

 魔切は、無表情だった。しかし、目からは、僅かに、涙を流していた。ショックは受けている。でも感情が整理できず現実は見れていない。しかし、悲しいという感情は、止めどなく彼の中で、蠢いていた。

 

 

 「すまねぇ…すまねぇ…」

 

 

 ──リーダーさん、俺、ちょっと帰りますね。…まだ、整理が付いてないので…

 

 

 魔切はそう言ってその場を後にする。後ろで、懇願しているのを聴きながら…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 宛もなく数時間、彼は歩いている。そうすると、見覚えのある所に来てしまった。彼が、通っている学園。それが見えてきていたのだ。なんとなく中を覗いてみると、数刻前まで手伝いをしていた研究室にまだ明かりがあった。

 

 

 彼は、それに誘われるように、歩みを進める。

 

 

 ──教授…少し、良いですか?

 

 

 『おや?どうしたのかネ?こんな時間に……酷い顔だ。何かあったのかネ?』

 

 

 ──…実は…

 

 魔切は、ここで先程何があったかを、説明した。説明しているとき、彼の目からは、涙が流れていた。説明も途切れながら、でも、きちんと何があったかを説明した。

 

 

 『…まさか、そんなことが、仕方ないとはいえ、それは許されざる行為だ。冒涜といっても良いだろう。』

 

 

 ──…おれは、もう、フレアに、会えない…約束も…あったのに…ッ!

 

 

 彼が、俯きながら泣いていると、教授は、とあることを話し出した。

 

 

 

 『もし、先程の君の話が本当なら、生贄は、無理やりだったのかも知れないネ…きっと、彼女は抵抗したのかもしれない…可能性の話ではあるのだがね?』

 

 

 ──どういう…ことですか…?

 

 

 魔切は、教授の言葉を聞くと、泣き止み、真剣な眼差しで教授を見る。

 

 

 『簡単な話だヨ。手紙を見た、つまりは、手紙を届けた人間が居るわけだヨ。その人物が、無理やり従わせて…という可能性もある。約束がある人間がその約束を破ってまですることじゃいはずだ。』

 

 

 ──望まずに行った可能性が…?

 

 

 『そうかもしれない。実際、操られていれば、彼女に自由意思などないに等しい。だからこそ、エルフに取って扱いやすく、価値がそこまでないと彼らは言っているハーフエルフ。そして、一番犠牲にしやすいフレアクンが狙われた可能性が高い』

 

 

 ──…許せない…ッ!そんな理由でフレアをッ!

 

 

 教授は、可能性の話をしているが、その話は信憑性が高く、それ魔切は完全に信じてしまっている。教授は、そんな彼を見て、一つ提案をする。

 

 

 

 『…もし、報復をするのなら…エルフは厄介だヨ。…だから、君が、今日触った銃を持っていきなさい。あれは、失敗作だが…それは人に役に立つという点においての話だヨ。』

 

 

 

 教授はそう言って、銃を取り出す。そして、彼に見せるように1つの紙を渡す。軽く見ると、それは、取扱い説明書だった。

 

 

 『これは、簡単に言えば、精霊を吸収し、その吸収した精霊の命を最大限に利用し、強力な魔力弾を生成して放つ拳銃型単発ビーム砲みたいなものだよ。大精霊なら一発分なら生命活動を維持するくらいの魔力を保てるけど、それ以下の精霊なら間違いなく、命を落とす凶悪な武器だよ。

 

 

 名付けて、簒奪者の銃(ガンズ・オブ・クルスニク)かつて精霊の呪いを受けた一族の怨念の塊とも言われる銃になる意味も込めてネ!

 

 

 使うも使わないも君の自由だよ。…使う時には、君はもう普通の生活に戻ることは出来ないヨ。それだけは伝えておこう。もし君が戻ってこなかった時のために、今伝えておこう。…私の研究に、よくぞ付き合ってくれた。それは選別だ。また、君が会おうと思えば会えるが、…お互いに、頑張ろう、さらばだ、魔切クン。君の武運を祈ってるよ。』

 

 

 教授は、そう言うと、彼を研究室から出して、背中を押す。そして、その後扉を閉めて何事もなかったかの様に電気が消えてしまった。

 

 

 魔切の手には先程の銃と説明書。そして、教授から激励を受けた彼は、目が据わっていた。彼はゆっくりと歩き出す。彼が愛していた、彼女のもとへ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~世界樹の広場~

 

 

 

 

 

 

 

 ここには、先程のハーフエルフの姿はなく、エルフが警備をしている。

 

 

 「全く、何故私達が警備など…」

 

 

 「仕方ありません。彼が体調を崩されたのです。元より、この素晴らしい世界樹を目の前で拝めるのです!それだけでも良いではありませんか?」

 

 

 「それもそうですね。いやはや、あの醜いハーフエルフは、ようやく我々の役にたてたのです。誇りをもって死んでほしいですね。ハハハ…ガフッ!」

 

 

 「!?何者だッ!」

 

 

 突如、目の前で話していたエルフが倒れ、気が動転する。冷静に判断すれば、精霊の力を使い、敵を索敵していたであろう。だからこそ、背後に居る存在に気が付かなかった。

 

 

 「うぐっ…かはっ…」

 

 

 ──あんた、俺の顔は見たことあるか…?

 

 

 「い、息が、でき、…」

 

 

 ──いや、覚えるわけないか。高貴なエルフは、下賎で野蛮な人間を覚えるわけないもんな。…死ねッ!

 

 

 魔切は今、弓の弦の部分を使い、ゆっくりと手元に引くように首を絞めている。そして、力一杯首を刎ねた。

 

 

 ──案外、こういう森では、弓の方が何かと動きやすいな…よし、それじゃあ次に行こう。

 

 

 彼は、警備の二人を殺すと、里のある方へ向かう。そこには、エルフしかおらず、至上主義が蔓延っている里だ。

 

 

 彼はその里に忍び込み、外警備は弓を使って、家屋の中で寝てる住人は全てナイフで首を切って回っていった。女子供関係なく、その里に居る全てのエルフは、一夜にして全滅したのだ。

 

 

 エルフが無防備だったのではない。ただ、警備を精霊に頼らせたのがいけなかった。警備システムを運営している精霊を吸収し、そして、侵入して殺していった。

 

 

 彼は、もう何十人とエルフを殺している。幸せに生きていた夫婦も、元気に駆け回っていた子供達も、1人も残さずに、殺していった。

 

 

 ──…さて、後は、これだな。精霊装填(リロード)、精霊よ。その命を燃やし尽くせ。…だっけ。…これ、精霊を殺すんだよな……いや、フレアを殺したエルフを皆殺しにするんだ…ごめん、精霊達、俺はお前達を犠牲にして前に進むよ。だから、許せとは言わない。恨んでくれ。

 

 

 彼はそう言って、その銃を構える。手は震えてる、足もおぼつかない感じ、でも、眼だけは、その眼だけは完全に里に向かって、睨み付ける。彼がトリガーに指を置き、先程の言語トリガーを発する。

 

 

 ──……"精霊装填、精霊共ッ!その命を燃やし尽くせッ!精霊分解(ディスインテグレイト)ッ!

 

 

 彼は苦悶の表情を浮かべながら、無慈悲にも、その銃口を、里に向けて引き金を引いた。その威力は里に居た全ての家屋の精霊分貯まっており、一撃でその場を更地に…いや、クレーターが出来ていた。

 

 

 ──流石にやり過ぎだな…今度からは、一匹の精霊で撃った方が…いや、家ごと消すなら、これ位…必要か?

 

 

 等と、言いながら、その場を後にする。何もなかったかのように。そして、その虐殺は、何度も繰り返し行われていった。ある時には、

 

 

 

 ──赤ん坊…なるほど、こいつの子供か…一応調べておくか…

 

 

 いつも通り、侵入してエルフを殺害をした彼であったが、ふと、傍らから泣き声が聞こえた。どうやら、その殺したエルフの赤ん坊のようだ。

 

 彼は眼を凝らす、エルフか、ハーフエルフかの判断をするためだ。彼の浄眼は、色の濃さでどっちか判断する。そして、色を見てみると、その色は濃く、間違いなく純種のエルフだった。それを理解すると、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ──例外なく、皆殺しだ…一匹残らず…ッ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その赤ん坊に凶刃を振り下ろした。

 

 

 

 

 

 

 幾度となく、鏖殺を繰り返してきた彼であったが、その心は段々と壊れてしまっていた。彼に、道徳や慈愛の心が残っていたのであれば、その赤ん坊は助かっていたかもしれない。

 

 

 しかし、彼の中に住まう憎悪が、殺戮を繰り返す。それはもう、エルフを滅ぼすだけの機械に、成り始めていたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして、月日は流れて、彼はとあるエルフの里に来ていた。フレアの父親が居た里だ。この里には、エルフの里と言われているが、全て、エルフと関わった人間や、ハーフエルフのみが滞在する里だ。そこで、彼はフレアの父親と対面していた。

 

 

 

 「連続殺戮犯、やはり君だったんだね。魔切君…」

 

 

 ──親父さん、俺は、あなたが愛したエルフを殺していきます。これは、フレアの為とかじゃないんです。…これは、俺の、ただの八つ当たりですから。でも、誓って、人間やハーフエルフを殺すつもりはありません。ただ、俺はもう許せないんです。あいつらが、生きていること事態が、もう…。

 

 

 そう言った魔切の目には、光はなく、機械的な表情をしていた。それを見た父親は、少し悲しそうにするが、すぐ顔を真剣な表情にし、話し出す。

 

 

 「…少なくとも、エルフの決断をとやかく言える立場ではないが…私から言えることは、1つだけだ………ありがとう、そしてすまない。本来は私はこんなことを言える立場ではない。だが、君の行動に、とても感謝しているんだ。…行きたまえ、私は、ここにいるもの達は皆、誰も訪問してないことにする。」

 

 

 ──御配慮、感謝します。では、失礼します。

 

 

 「彼は、もう止まれないだろう。…エルフを滅ぼしたら、次は我々が終わる。そうなるだろう。…あれは、破滅の尖兵だ…フレアよ、彼はここまで狂ってしまった。君は、何故、私に相談せずに、あんなことをしたんだ…?」

 

 

 

 

 

 

 

 それから、幾つか時が経ち、エルフの7割を死滅させた彼だが、2つの里に避難され、途中からアキとラミィが噂を聞きつけ、防衛に入ったせいで、そのどちらかの里を滅ぼすのを攻めあぐねてた。2つの里を交互に防衛していた。アキのルーチンをしばらく観察し、ラミィはハーフエルフ達の里の奥を防衛している事を理解した、。…エルフしか狙わないが、一様魔切の気が変わって攻撃してきたら不味いとの事…その判断は、彼の自我がなくなれば必要になっていたであろう。

 

 

 

 

 ──残り、2つ…きっと、今日、こっちにははアキ先輩はいないはず……今がチャンスか…行くか。

 

 

 

 彼は駆け出した。アキのいない里の方へ。里の近くまでつくと、警備は厳重で、とてもじゃないが侵入は不可能だった。

 

 

 

 ──…仕方ない。正面から行くかッ!

 

 

 魔切はわざとその身を晒した。そして、彼らはその姿を確認すると、怒りを(あらわ)にして、魔切に叫んでいる。

 

 

 「貴様かッ!我らが同胞を殺しまくっているのはッ!何故そのようなことをするッ!」

 

 

 

 ──…しいて言えば、駆除だよ。虫が家に集っていたら、駆除するのと同じだろ?…世界樹に集る(お前ら)を駆除するのに、理由とかあるのか?

 

 

 

 「ッ!貴様…ッ!やはり野蛮で愚かな…」

 

 

 

 ──…後、お前らが、その道を選んだんだ。俺は、それを執行しているだけだ。…お前達の破滅を、終焉を望んだんだ…

 

 

 「誰がそんなこと望んだんだ!誰も望んでいないぞッ!狂人めッ!」

 

 

 ──(あれ?そうだ。誰がそんなのを…望んだんだ?…フレア?世界樹?…違う、違う、違う!誰だ!誰が望んでるんだ!)

 

 

 彼は急に、頭がぼやけ始めた。何故、こんなことをしているのか、理解が出来なくなってしまった。そして、その隙が、とある星の、とある力を覚醒させてしまった。

 

 

 ──…目標、破壊する。エルフは、皆、滅ぶが良い…

 

 

 彼はそう言うと、弓を構える。金属製の装飾が施されていた弓は、血で染まったような赤の線が施され、全体が黒く、変貌していき、おぞましい弓の形になっていた。ゆっくりと、それを構えるが、何もせずに、ただそこに立っているだけになっている。

 

 

 「ッ!なんだ…様子が変だ…総員ッ!早くあの狂人を…」

 

 

 

 そして、彼らは隙と見たのか号令を掛ける。しかし、彼は隙なのではなく、もう、発射準備に入っていた。

 

 

 

 ──…そうか、お前が俺に…力をくれるのか…わかったよ。■■■■■■■。それなら、俺も、お前に従ってやるよ。…刮目しろ、これはいずれ文明を、人間を、地球上のあらゆる生命を滅ぼすだろう。しかし、今は俺が担い手、俺はまず、エルフを滅ぼす。故にそれを今から証明しよう。『■■■■■ッ!』

 

 

 彼は、淡々と独り言をつぶやくと、黒い弓に、謎の魔力が集中した。それは、全てを破壊し尽くさんとするほど、高濃度の魔力だった。そして、彼は以前戦ったサーヴァントの宝具を模倣して、その弓を放つ。

 

 

 「ッ!総員ッ!退避ッ!全力で逃げろッ!」

 

 

 

 彼らは、その弓が放たれる前に避難しようとした。しかし、その矢は、流星の如く、里に降り注いだ。逃げた先に救いはなく、里周辺は、何もない更地へと変貌していった。…否、何かに、侵食され、毒々しい見た目へとその土地は変わっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ──生きてる…?何故だ?撃った時に体は爆散したはず…

 

 

 そう、彼の体は、一度爆散した。かの大英雄の真似事は、そう簡単に出来ることではないが、それに相応しい力を使えば、それ相応のデメリットが帰ってくるはずだった。…しかし、それに待ったを掛けたのが、彼に交信したとある星だったのだ…

 

 

 ──なるほどな、それで、俺は今後死ねないって訳か…随分と迷惑な…いずれその体は使うからってか?なるほど?それなら今後は撃ち放題ってことか。…だが、エルフのみがいるところはもう此処ぐらいだ…後は、アキ先輩が守るだろう。…ラストは、どうも、面倒だ。

 

 

 彼はそう言いながら歩き出す。その日から、彼は毎日、その星の尖兵として、彼の体を蝕むようになってしまった。彼は、毎日、エルフを殺しながら、自身を蝕む者と戦っている。

 

 

 

 

 『ごめん、アタシ。間違えちゃったのかな……魔切。ごめんな?止められなくって。』

 

 

 

 

 

 

 

 現在まで戻らなくても、もうわかるだろう。彼はもう、心は壊れ、体は蝕まれ、しかし、愛だけはその体に、魂に刻まれている。故に彼がまだ、完全に、侵食されていないのは愛ゆえだった。

 

 

 

 彼はもう、救われない。救おうにも、もう手遅れになった。エルフを8割死滅させ、森にいた精霊を道具とし、とある星の影響で、人間としての機能を幾つか喪った彼は、ただの殺戮兵器と化していた。

 

 

 …全ては、1つの勘違いから始まった悲劇。勘違いは、止まらず、誰にも指摘されず、全てを台無しにしていった。犠牲になった彼女の決心は全て無駄にしたとは知らずに。彼女は、今も、見守っているだろう。愛するものの愚行を。

 

 

 この世界は救われず、しかし、その世界を壊すのは彼らではなく、別の存在だとわかるのは、もう少し先の話になる。今は、破滅へのカウントダウンをゆっくりと進めよう。

 

 

 

 




 長いッ!長過ぎるッ!編集辛い…二度と此処まで書きません!…あー書きたいこと一回で終わらすのは辛いなぁ…前編後編で分ければ良かった…

 難産過ぎて他のが書けなかった。ので頑張って他も投稿しようと思います。
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