ホロライブラバーズ外伝 有り得たかもしれない未来   作:アズール

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 アライズ楽しいので初投稿です。



 今回も愉悦かな?愉悦が多くなるのは……悪くないよねぇ?


 ※これは、まつりちゃんのシナリオです。決して他の人ヒロインのシナリオではございません。後、苦手な描写があるかもしれないので、ご了承下さい。


正義の味方七夜 とある1日

 ビルの屋上に、黒いスーツを着た人間がいた。髪は長く、目は、死んだ魚のような、濁った目をしている。その少年の名は魔切、銃を構えており、標的を待っている。その姿は、かつての少年を知るものからしたら、想像出来ないくらい、冷酷な姿であった。

 

 ──やっぱり、目標は結界を貼っている……か。狙撃では、対処できないな。……仕方ない。目標(ターゲット)に接近に変更。

 

 

 『了解。気をつけてね。私はここから狙撃出来るよう準備しておくね。』

 

 

 

 ──待機了解。こちらは目標(ターゲット)に接近する。オーバー

 

 

 彼等は今、とある任務を受けており、今回はとある魔術師の暗殺が命じられ、バディと2人での任務となっている。バディの相手は、獅白ぼたん。銃使いでは、一番信頼でき、なおかつ、実力を持っているのは、彼女だけだからだ。

 

 

 ──(さて、奴は僕の存在に気付いているだろう。その上で、あそこにいるのは、間違いなく誘っている。余程自信がある奴のようだ。笑えないな。やはり魔術師というのは、傲慢で、強欲で、どうしようもない奴らばかりだ。)

 

 

 魔切はそう心の中で思いつつ、目標(ターゲット)になっている魔術師の元へ歩き出す。近くに寄ると、不敵な笑いをしながら、こちらを品定めするように、見つめてくる。

 

 

 「凄腕の暗殺者を雇ったと聞いたが、この様な小僧に私がやられると思っていたのだろうか!嘆かわしい。小僧、さっさと私の前から失せろ!」

 

 

 ──僕を侮っているな。さしずめ、結界を信頼しているから、一方的な、下らない戦いになると思っているのだろうが、その考えは改めた方が良い。

 

 

 

 魔切は、淡々とそういうと、魔術師の方は青筋を浮かべ、激怒している。

 

 

 「小僧、言うではないか…それは、私のこの最高傑作と言える結界を破れると言うのかね?」

 

 

 ──(どうやら、噂を耳にしていないらしい。もしくは、信じていないのか。ま、そのまま油断してくれた方が、僕としてはとてもやりやすい。)

 

 

 魔切は、そう思いながら、ある銃を構える。トンプソン・コンテンダー。簡単に言えば、様々な種類の弾丸を撃てる拳銃である。彼は、その銃を構える。中に込めている弾丸は……

 

 

 ──(起源弾。自分の起源を込めた弾丸。作るのに、幾つか肋骨を失ったが、それ相応の価値はある。)

 

 

 「ほう、何かするようだが、その様な玩具で私の結界を破れるとは……愚かな!」

 

 

 ──……今に解ることだ。魔術師にとって、この玩具がどれだけ恐ろしいものか。理解できるさ。

 

 

 魔切はその銃口を、魔術師の方へ向ける。魔術師はふてぶてしく笑いながら、結界を信頼し、なにもしていない。そして、コンテンダーから、銃弾が放たれ、真っ直ぐ魔術師の方へ放たれる。

 

 

 「無駄だッ!私の結界は何重にも重ねてあるから突破など………ぐぇぁ!?あがぁぁぁぁぁぁァァァ!?」

 

 

 ──(この起源弾は、相手の結界を術式から崩壊させ、再構築出来ないほどボロボロに崩す。いくら重ねても、当たった地点から崩壊させる。だから、減衰せずに、相手の結界を壊し、直接弾丸を浴びせれる。着弾すれば、その人間は、結界を貼ることすら出来なくなる。これだから、魔術師相手には扱いやすい。絶対を崩さない。魔術師相手にはね。)

 

 

 撃ち込まれた弾丸は、結界に当たり、止まるはずだった。しかし、弾丸は威力を衰えさせず、そのまま魔術師の肩にヒットした。魔術師は目の前で自身の結界が破られ、撃たれた事による混乱が起こり、のたうちまわっている。

 

 

 ──どうやら、ご自慢の結界とやらは、意図も簡単に壊れたな。あの程度であれば、コンテンダーで事足りる。

 

 

 魔切はそう言うと、その場から立ち去ろうとする。すると、後ろから悲痛にも似た叫び声が聞こえる。

 

 

 「私は……ッ!必ずお前を……殺すッ!今ここで殺さなかったことを…………………」

 

 

 最後まで言いきる前に、魔術師は頭を撃ち抜かれる。狙撃ポイントの方を見てみると、ぼたんが狙撃を終わり、連絡しようとしている所だった。

 

 

 目標沈黙(ターゲットダウン)だよ。お疲れ様。』

 

 

 ──君も、よく頑張ってくれた。報酬は……

 

 

 次の言葉を言おうとすると、「しぃー……」と囁かれ、

 

 

 『……いつもの、だよ。』

 

 

 と言われる。魔切は少し動揺するが、諦めたように頷く。

 

 

 ──それは……わかった。……すまない。いつもの場所で落ち合おう。

 

 

 2人は、意味深なやり取りをし、夜の街に消える。そして、特に騒がれることもなく、夜が明けていく。初めから何もなかったかのように。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「また依頼?最近多くない?」

 

 

 ──仕方ないさ、ある意味、今の時代、粗悪な魔術師が多くなっている。早めに潰して、神秘を秘匿するのも、魔術協会の意向だろう。

 

 

 2人は、喫茶店で食事を取っている。食後のコーヒーを楽しみながら、魔切の方から、依頼がまた入ったということで、打ち合わせをしている。

 

 

 ──今回も2人までならという依頼だが、別に断ってくれても……

 

 

 魔切がそういうと、ぼたんは首を横に振り、返答する。

 

 

 「まさか、当然付いていくよ。今さらでしょ?」

 

 

 自信満々に言われて、少し微笑む(目が死んでるけど)が、直ぐに真剣な表情をし、説明しだす。

 

 

 ──毎度すまない。ぼたん。さて、今回は、目標(ターゲット)は複数いる。……まつりを…操った奴らと、関係があるらしい。

 

 

 「!?」

 

 

 魔切の言葉を聞いて、驚くぼたん。まつりとは、彼の元恋人で、今はとある事件により、魔切に殺されてしまった、ぼたんや魔切にとっては先輩であった人だ。

 

 

 ──信憑性はあまり無いが、確かめる必要がある。あの事件を2度と起こさないためにも、まずは情報を集めてから殺害するのが、今回の目的だ。決行は5日後の夜だ。そこで集会があるらしい。

 

 

 「……わかった。それじゃ、私は準備してくるから、またね。」

 

 

 ──あぁ、わかった。集合場所は近くのホテルだ。そこで落ち合おう。

 

 

 支払いを済ませ、お互いが別れていく。ぼたんの姿が見えなくなったら、自分の家の方へ歩き出す。

 

 

 ──(何故、こんなことになったんだろうな………まつり、君が生きていてくれたら、僕は、こんな生活を送らなくても良かったのかも知れないな……)

 

 

 魔切は、歩きながら、過去へ想いを馳せる。

 

 

 

 

 

 

 

 ~数ヶ月前~

 

 

 

 

 

 

 

 

 かつて愛した少女、まつり。彼女は、とある儀式により、連続殺戮犯として、活動していた。その儀式は、とても卑劣で、残虐なものであった。

 

 

 彼女は、望んで殺しをしているわけでなく、自我が壊れる寸前で、ずっと殺しを続けていた。悲鳴をあげながら、悲鳴を受けながら、殺しを楽しんでいた(嘆いていた)

 

 

 それを相談しに、呪いを解除出来ないか、魔切は教会へ行き、綺礼の元を訪れた。

 

 

 「残念だが、彼女のそれは、私が解くことは出来ない……」

 

 

 「…!何でだよ!神父だろう!?毒や呪いなら……」

 

 

 「君の思っているよりも、私に出来ることなど少ないものよ。現に、私はまだこれでも修行の身でね。八極拳ならまだしも、そちらの方は高等な技術はまだ身に付けて居なくてね。我が父も、こちらに戻るのは到底後だと言っているが、その父でも解けるかどうか、それ程までに、あの呪いは強力だ。討伐隊が来るとしても、被害は止めることは出来ない………君を除けば、な。」

 

 

 魔切はそう言われ、動揺する。自分がどうにか出来る状況でもないのに、自分にしか解決出来ないと言われて、頭の中が混乱する。それを説明するように、綺礼は次の言葉を放つ。

 

 

 「君が、あの夏色まつりを殺害し、この連続殺人を止めなければ、被害は広がると言っているのだ。」

 

 

 ──なんだって……何を言っているだ!僕がそんなこと出来るわけ……

 

 

 「出来るか出来ないかではない。やるかやらないかで、この街の住民の命が掛かっているのだ。当然、やらなければ、私もただでは殺られぬが、相当な深傷を負うだろう。しかし、君なら既に彼女との付き合いが長く、癖なども知り尽くしているだろう。」

 

 

 その言葉を聞き、一瞬たじろぎ、でも、諦めずに、綺麗に対抗する。

 

 

 ──それでも、僕は彼女を殺すなんて……やれるわけが……

 

 

 「そうか、君は夢を諦め、そのまま朽ち果てるのを待つというのか、愛するものと共に。その道を選ぶというなら、私から言うことは何もあるまい。」

 

 

 ──なんだって……?

 

 綺礼に夢の話をされ、反応してしまう。その姿を見て、ニヤッと笑い、話し始める綺礼。

 

 

 「君の夢は、"正義の味方"であるのだろう。それであるならば、今、彼女のやっていることは、悪そのものではないかね?それを止めないと言うのであれば、君は夢を諦め、彼女が苦しむのを見届けるということであろう?君は、"正義の味方"になれない。愛人すら殺す(助ける)覚悟がなければな。」

 

 

 ──僕は……

 

 

 

 綺礼の言葉を受け止め、窓の外を見る…窓の外は、先程まで曇っていた天気が悪化して、雨が降り注いでいた。しんしんと降り注ぐ雨を見て────魔切は、決心した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ~とある路地裏~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 雨がザーザーと降り注ぐ中、傘を差さずに立っている人影が2つ、いずれも、学生服を来ており、片方には、染み付いているのであろう血が付いており、そのシミの持ち主こそ、夏色まつり本人であることを証明してしまった。

 

 

 

 

 

 「あは☆久しぶりだね?魔切君。まつりの事心配で迎えに来てくれたの?」

 

 

 ──…………

 

 

 「つれないね……そんなんじゃ、まつりの心は奪えても……」

 

 

 ──まつり、やはり、やめられないのか……殺しを。

 

 

 まつりが楽しそうに会話を始めようとするのを遮り、本題を繰り出す魔切。それを聞いて、一瞬真顔になるが、直ぐに笑顔に戻し、話し出す。

 

 

 「何?まつりが辞めたいと思ってるとか?ないない。だってこれほど楽しいことは……」

 

 

 ──僕は、お前に聞いているんじゃない。夏色まつり本人に聞いているんだ。部外者が口を挟むな。

 

 

 そう言うと、まつりは笑顔を顔から消し、殺気を此方にぶつけてくる。魔切は、それをもろともせずに言葉を続ける。

 

 

 ──お前は、まつりじゃない。お前は今、作られた人格で話している。僕が知っているまつりは、お前みたいな快楽殺人を犯す人間ではない。今も、まつりは苦しんでいるはずなんだ。だから、僕は断じてお前をまつりとは認めない。

 

 

 魔切がそう言うと、先程よりも更に強く殺気を振り撒き、こちらを仇のような目で睨む

 

 

 ──(一応、これで元の人格のまつりが出れば、一番楽だったんだが。そう簡単に上手い話があるわけないか。殺人を楽しんでいるこの人格を、徹底的に叩きのめさないと、出てこれないのかもしれないな。)

 

 

 「へぇ……まつりの事を否定するんだ……」

 

 

 ──いや、まつりの事は否定しない。お前のような、作られた人格が、まつりの真似をするのを、否定するだけさ。

 

 

 魔切の言葉を聞き、魔切に向けて駆け出すまつり。近づき、剣を振るうが、それを読んでいたと言わんばかりに、懐に隠してある幅広のナイフで、それを受け流す。そして距離をとって、ベレッタで応戦する。しかし、弾はすべて見切られ、弾かれる。

 

 

 ──まさか、作られた人格にも、怒りという感情を持っているとは驚いた。こちらの言葉に、耳を傾けるのは、僕がまつりの恋人だから、という理由からか?

 

 

 ──(動きの癖は、全く同じだ。しかし、狙うところが全く違う。幼稚な部分が多い。狙いが解りやすいところばかり狙ってくる。まつりならば、あえてそこを狙うふりして、別の所を不意で狙ってくる。その思考がないということは……)

 

 

 「ねぇ、なんでさっきからまつりの事を偽物扱いするの?まつり、そろそろ怒っちゃうよ?」

 

 

 ──まさか、偽物扱いか、僕は元からお前は偽物だと言っているんだ。狙いも甘い、考えも甘い、まつりに似ているのはその容姿だけの存在だ。

 

 

 「……………殺すッ!」

 

 

 まつりが、そう呟くと、先程と同じように、距離を詰めてくる。魔切は、それを躱すと、再びベレッタを発砲するが、すべて弾かれる。魔切は、観念し、背中の銃を使う。

 

 

 ──(ハープーンガン。銛を装填し、発射する銃。この銛に魔術的付与を行っており、起源弾の代わりに撃つことも出来る。ま、今装填している銛には、何も付与していないが、十分に活躍する。ロープ付きだから、切られない限りは何回でも使える優れものさ。)

 

 

 魔切がその銃を持つと、まつりは何かを察したのか、全力で此方に接近してくる。

 

 

 「その銃は使わせないよ!」

 

 

 ──使うつもりはない。本命は……こっちだ!

 

 

 「うぅっ………がはぁ!?」

 

 

 

 魔切はその銃を再び背中にしまうと、近付いてきたまつりに対して、ナイフで振るった剣を弾き、蹴りを入れる。蹴られたまつりは、そのまま壁に激突した。

 

 

 「……………………うぅ、わ、私……」

 

 

 しばらく、動かなかったが、気絶はしておらず、ゆっくりと顔をあげるが、その顔から狂気の色はなく、いつものまつりの顔をしていた。

 

 

 ──!まつり!まさか意識が……?(いや、油断させて僕を襲おうとしている可能性がある。迂闊に近寄ることは、よそう。)

 

 

 魔切はある程度近寄るが、対処できる位置から、様子を伺う。まつりは、その姿を見て、少し笑いながら話しかけてくる。

 

 

 「はは……心配しなくても、大丈夫だよ。今は、私を、まつりを演じているあいつじゃないよ。」

 

 

 まつりの言葉から嘘を感じなかった魔切は、いつ先程の人格に替わるか、警戒しながら、まつりに話しかける。

 

 

 ──まつり、君は、もう………

 

 

 「あー……うん。もう、ダメみたい。私自身耐えられないから……」

 

 

 魔切は、その言葉を聞き、僅かに抱いていた希望を打ち砕かれる。

 

 

 「もうさ、私がいっぱいの人間殺してるわけじゃん?後、こんな事をされる前も、犠牲なった子どもだっていっぱい居て……私、もう無理だよ……」

 

 

 まつりは、そう嗚咽しながら、語った。その涙は、雨なのか、本物なのかは、見分けがつかないくらい。しかし、本当に流しているように見えた。

 

 

 ──(今のまつりは、確実に本物が言っているのだろう。だけど、僕は……君を抱き締めることすら、出来ない。油断から、命取りになる。残酷だが、君を救うために、僕は……)

 

 

 心のなかでそう自分を戒めていると、まつりが泣き止み、ポツリと呟いた。

 

 

 「……ねぇ魔切君。夢、叶えてよ。」

 

 

 ──…………夢……?

 

 

 「そう、魔切君の夢。"正義の味方"になるっていうの。」

 

 

 ──…………!

 

 

 

 魔切は、突然言われたことに、動揺を隠せず、思わず銃口を下げてしまう。

 

 

 「だってさ、もうまつりは元に戻れないよ?これ以降は多分、あいつがずっと私の真似をして生きて、死んでいくの……だから、お願い。まつりを

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ────殺して。」

 

 

 

 ──まつり!?まだ助かる可能性が……!

 

 

 まつりの言葉を聞き、思わず対抗してしまう魔切、しかし、まつりは首を横に振り、否定する。

 

 

 

 「言ったじゃん。もうまつりの真似事するあいつしか残んないって、今私を殺さないと、魔切君だって危うくなるよ?だからさ、私の最後のお願い…………魔切君。(まつり)(まつり)のまま、殺して。」

 

 

 

 ──僕は………僕は………!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  

雨が降り注ぐ中、路地裏から、日常では聞くことないはずの、とても大きな雷鳴が響いた。

 

 

 

 

 

 

 

そして、雨が止み、月明かりが路地裏を照らす。そこには、壁にもたれ掛かったまま血を流している少女と、それを見てなのか、膝から崩れ落ちた少年の姿が、照らされた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ここは教会。事のすべてを報告しに、魔切は訪れたのだった。

 

 

 「見事だ少年。君のお陰で、この街に平和が訪れ、君は無事、"正義の味方"として称えられるであろう。」

 

 

 綺礼はそう言ってこちらを祝福してくる。魔切はというと、面は完全に生気を感じさせないほど、腐り果て、死んだ魚のような目で、項垂れている。

 

 

 「だというのに、君はさほど喜んでいない様子。無理もない。恋人を殺すのはとても苦しいことだ。しかし、なすべき事をする君は……"正義の味方"そのものであろう?」

 

 

 と、綺礼はニヤニヤしながら、魔切をずっと誉めている。さすが愉悦部。

 

 

 ──僕は、彼女の願いを叶えてあげただけさ。彼女が苦しんでいたから、その痛みを解放しただけ。僕は、まだ"正義の味方"とは言いきれないよ。

 

 

 「謙遜は美徳だが、あまり度がすぎるのも良くない。故に好意は素直に受けて取っておくと良い。私は報告しなければならないのでね。これにて失礼する。」

 

 

 綺礼はそのまま奥に消える。魔切は、ふらふらと歩きながら、帰路につく。そのまま歩いていると、誰かにぶつかってしまう。

 

 

 「っと、すいま………あれ?魔切じゃん?どうしたの……ってその顔……酷い顔してるけど…?」

 

 

 ぶつかったのは、同じ学園で同じクラスの獅白ぼたんだった。魔切の顔を見て、心配そうにこちらを見てくる。

 

 

 ──ぼたん……か?大丈夫だ。

 

 

 大丈夫だと振り切って去ろうとするが、逃さないと云わんばかりに腕を掴まれる。

 

 

 「いや、大丈夫じゃないでしょ?……良くみたらびしょ濡れだし……ほら、家近いから行くよ!話は後で聞くから。」

 

 

 魔切は、そのまま強制的に、ぼたんの家に連れていかれる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 風呂などを借りて一段落した魔切は、事の経緯を、搔い摘まんで話し、説明する。

 

 

 ──僕は……彼女を……殺した。この手で、間違いなく。

 

 

 「そっか……まつり先輩。駄目だったんだね。そりゃあ辛いよね。……でも、私は、まつり先輩の気持ち、分かるな。」

 

 

 ──…………

 

 

 魔切は、その言葉を聞いて、更に聞こうと、顔を上げ、ぼたんを見つめる。

 

 

 「だって、自分の意志がなくなるんでしょ?だったらさ、意識がある内に、愛している人にさ、最後を看取って欲しいじゃん?そのまま消えるよりはさ。」

 

 

 ──そうか、そうか………

 

 

 魔切は、納得したように、でもまだ振り切れてないような感情が身体の中で渦巻いてる。それを見て、ぼたんが提案する、

 

 

 

 「……今さ、私しか居ないから、弱音。吐いちゃいなよ。」

 

 

 

 魔切はそれを聞き、しばらく悩んだが、顔を上げ、礼を言う。

 

 

 ──すまない。

 

 

 「ほら、気にしないで。」

 

 

 

 ──……!ふざけるな!ふざけるなッ!馬鹿野郎ぉぉぉぉぉ!!うわあぁぁぁぁ!?

 

 

 

 先程まで、冷静に、感情が死んでいるような、そんな魔切が、泣き叫んでいる。溜め込んだ悲しみ、ぶつけることが出来ない感情が、今、すべてここで吐き出される。

 

 

 魔切はこの後、呪いをかけた魔術師達を探すため、魔術師を殺すのを特化した仕事を始めた。相棒のぼたんと共に、各国を渡り歩き、今もまだ、見つかっていない奴らの痕跡を探しながら、今日も仕事をする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 さて、残酷にも、恋人を殺すことになった主人公。この世界はもう、救われることはない。もし、この世界が動き出すとするなら、それはまた、少し先の話になるだろう。

 

 

 

 

 

 

 




 知ってるか?これ、まつりちゃんの話なんだぜ?ドロドロな昼ドラしちまってるのはZEROの特権だからさ。


 あ、綺礼は嘘付いてませんよ。この世界では、璃正さんの方がまだ上の神父として、健在して、教えてもらっている身なので…愉悦の片鱗は見えてますがね?
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