運営が本気でメイプルを潰しにきたようです 作:名無しの固有名詞
「そういえば今日はメンテナンスだった。ログインできないなぁ」
ワーカーは昨日からプレイヤーの一人となったため、直接メンテナンス内容の決定権はなく、他のプレイヤーと同じ情報しか手に入らなくなる。しかし、自身の意見は他のプレイヤーよりも大きな声で発信できるのは確かだ。
「そんなに勝ちにこだわるわけでもないし、仕事さえできればいいか。」
仕事の一環ということもあり、勝敗は気にしないようだ。
「やることもないしメンテナンス内容だけでも見ておくか。」
メンテナンス内容は主に三つだ。一つ目は一部スキルの弱体化。これは例で挙げるとメイプルの【悪食】だ。
「予定だと回数制限と反射ダメージの弱体化をつけてもらっているはず。流石にこれは聞き入れられるはず。」
攻撃を全て吸収されてしまっては勝ち目など存在しない。増してや威力を上げられてしまったら本当に一対一では最強だろう。
次に、フィールドモンスターのAI強化。モンスターがプレイヤーに奇襲を行ったり、勝ち目があからさまにない場合は逃走したりという判断が組み込まれるようになる。これは第二、三のメイプルを防ぐためだ。
そして、一番と言っていい今回の目玉、防御力貫通攻撃スキルの実装だ。これで相手の防御力がいくら高いとしても最低でも一ダメージは入ることになる。非効率的だがこれでどんなプレイヤーでも条件さえ揃えられればメイプルへ勝利する可能性ができたのだ。
「相手を弱くするわけではなく全体を強くする、個人的にはこっちの方がいいかな。」
最後の追い討ち、状態異常耐性の装備の商品化だ。様々な状態異常耐性の装備を作ることによって直接メイプルの毒攻撃を抑えることができる。
「まあ、装備自身のステータスは高くはないけど。」
なぜメイプルがあそこまで活躍できたかとなると状態異常攻撃、もとい毒攻撃を使うプレイヤーが多くなかったからということも原因の一つだ。これで少なからずメイプルに対抗する手段が増える。
「まあ、毒以外の攻撃を覚えられたらかなり厄介なんだけど。」
とはいっても、メイプルは防御極振りなので主流な攻撃はできるわけではない。これで大方問題はないだろう。
「現状のスキルとかだと攻撃値利用以外の攻撃で目を見張るものはないし、これなら問題ない、はず。」
一度、誰にも考えられない手を編み出したメイプルにはやはり何かしらの才能があるのだろう。手は打ったものの、一抹の不安が残る。
「いや、攻撃手段を失ったんだし問題ないか。」
そう自分を納得させようとする。そのとき、ちょうどメンテナンスが終わったようで通知音が響いた。
「よし、もう少し頑張らないと。二層はもう解禁されちゃったし、第二回イベントも近い。早くレベルを上げなくきゃ」
第二回イベントはワーカーも参加するつもりだ。どのような行動をするか、はまだ細かく決まってはいないがおおよそやることの検討はついているようである。
「そのためにも、早く。」
勤務時間のほとんどをNWOに費やしているがそれでも時間が足りない。時間外労働という名の遊びに成り果てる。
「まあ、自分がやりたくてやってることだし。」
いくらかは自分が創り上げた景色とはいえ、それが現実のように見えるのはテンションが上がる。時間はあっという間に過ぎ去ってしまっていた。検証も全て終わり、現実世界に戻る。
「レポート書かなきゃ」
レポートを書くのは学生ぶりだろうか、パソコンで打ち込むとはいえ文字と睨めっこするのはあまり楽しいとは言えないだろう。結局、仕事で楽しいことだけをするというのは無理なのだろう。
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「なんとか第二回イベントが始まるまでに終わった。」
一層の探索がなんとか終わり、ワーカーは二層へと続く遺跡の入り口にいた。何回か周回する必要もあったせいか、レベルはかなり上がっており、スキルも熟練度もかなりのものとなっている。
「週五で八時間以上もやれば誰でもこうなるか。」
ワーカー
Lv.38
HP 102/102
MP 155/155 〈+40〉
【STR 0〈+10〉】
【VIT 25〈+15〉】
【AGI 35〈+40〉】
【DEX 25〈+15〉】
【INT 100〈+35〉】
装備
頭 【空欄】
体 【魔術師のローブ】MP+20 VIT+15 AGI+10
右手 【深淵の杖】 MP+20 DEX+15 INT+20
左手 【魔導短剣】STR+10 INT+15
足 【空欄】
靴 【ライトニングシューズ】AGI+30
装飾品 【空欄】
【空欄】
【空欄】
スキル
【大魔術師】【状態異常無効】【魔法の心得Ⅴ】
【超加速】【気配察知Ⅳ】【跳躍Ⅳ】【罠の心得Ⅲ】
【MP強化小】【追撃】
「とっとと終わらせて第二回イベントの対策しときたい。」
【超加速】で中ボス以外のモンスターを全てパスして進む。ある意味一番効率が良いと言えるだろう。
「はぁ、はぁ。思ったより早かったな」
【超加速】が途中で切れる。どうやら中ボスのようだ。目の前に現れたのは熊だった。その場から動く気配はなかったのだが熊がその太い腕をブンッと振ると、爪の形の白いエフェクトが飛んでくる。
「【スラッシュ】」
ワーカーが杖を振ると斬撃が飛び、熊の攻撃を相殺した挙げ句、熊にもダメージを与える。
「【ファイアボール】」
熊はなんとか耐え切ったものの、ワーカーの二度目の攻撃でやむ無く倒れた。
「よしっ、もう一回。【超加速】」
そのままボス部屋まで駆け抜ける。ワーカーの目の前にはボス戦ならではの大きな扉が用意されていた。
「さて、今回も【跳躍】が必要かな?」
扉を開け、中へと入るも先制攻撃はなくそこにあったのは大樹だった。扉が閉まると、大樹は形を変え巨大な鹿へと変貌した。頭には大きな林檎が実っている。
「これは、どこかで見たような…」
ワーカーは一層の製作までは携わっていたため少し見覚えがあるが、対処法まではよく知っていなかった。
ワーカーが杖を構えると、鹿はその大きな脚を地面に鳴らし、上にあった林檎が落ちてくる。
「威力高そう」
ドシドシと落ちてくる林檎を避け、鹿の元へ走るが、足元には魔法陣が用意されており大きな蔓が行手を阻む。
「【ファイアストーム】」
杖から放たれた一筋の光線が蔓を打ち抜き、鹿への道を作る。が、ちょうどその真上から林檎が落ちてくる。
「【ダブルスラッシュ】」
腰につけていた短剣を取り出し、杖と併用して林檎を綺麗に四等分に分ける。そのまま勢いをつけ、鹿の直前まで移動し
「【ファイアストーム】」
鹿を炎が包み込む、かに見えた。しかし、鹿にぶつかろうとした瞬間、炎が障壁によって阻まれたのだ。
「どういうこと?」
うねりながら攻撃してくる蔓を避けながら考察する。しばらく考えた後、出た答えは
「魔法陣が原因か」
魔法陣内の鹿は攻撃が通らないが、そうでない蔓や林檎には攻撃が通っている。しかし、問題は魔法陣をどう消すかだ。
「【ファイアボール】」
炎の弾が何度も魔法陣に直撃するが鹿は依然とした態度でこちらを見つめ、蔓は攻撃を続けてくる。
「魔法陣は直接破壊不能、か。そういえば、林檎は落ちてこなくなったな。」
上を眺めてみるとまだいくつか林檎が残っていた。
「あれを壊してみるか。【超加速】」
凄まじいスピードで壁を登り、林檎のところまで駆け寄る。あと一歩のところまで近づくが蔓が行く手を阻み、ワーカーは下まで降りることとなった。
「守ってくる辺り、あれが弱点に違いない。」
絶望するかに思えたが、ワーカーは前向きに弱点を発見したと捉えた。次に出た作戦は
「罠発動」
突如として、先ほどまでワーカーがいた辺りの、林檎があった部分が燃え上がる。既に罠は準備されていたようだ。
「地面だけじゃなくて物体や空中にもつけられる、なかなか汎用性高そう。」
燃え上がる鹿を横目に出口らしき光へと歩いていく。
「二層到着」
かくして、ワーカーは無事に二層へ進んだのであった。
オリジナルスキル説明
【スキル名】
条件
効果
【大魔術師】
全系統の魔法スキルを会得、及びレベルを上限まで上げる。
ゲームシステム上の全ての魔法スキルを使用可能。(個人の魔法系統スキルは使用不可)
【状態異常無効】
あらゆる状態異常耐性を会得、及びレベルを上限まで上げる。
あらゆる状態異常にも影響されない。
【魔法の心得】
魔法の使用度の熟練度によってレベルアップ
魔法系統スキルにおいて威力増加、消費MP削減
【罠の心得】
罠スキルの使用度の熟練度によってレベルアップ
罠系統スキルにおいて威力増加、消費MP削減
【追撃】
戦闘において逃走したモンスターを100体討伐
自身から逃げた敵への威力が1.2倍増加