(そういえば、ナイスネイチャさんって今、どこにいるんでしょう?)
『待ってくれ・・・おっ、ちょうど君の部屋にいるようだ』
(そういえば合鍵渡していたんでした)
『は?』
(だって、勝手に作られるよりかは遥かにマシというか・・・)
とりあえず、トレーナーは自室に向かう。
そして、自室のドアノブに手をかけた瞬間、トレーナーの脳内に溢れ出した
トレーナー: ただいま。(19:04:09)
ナイスネイチャ: お帰りなさい、あなた。(19:04:12)
[ナイスネイチャ、トレーナーのコートを脱がせる] (19:04:15)
トレーナー: 1ヶ月も家を空けてしまってすまない。(19:04:17)
ナイスネイチャ: 仕方ありませんよ。大切なお仕事なんですから。今回はゆっくり出来て?(19:04:22)
トレーナー: あ、いや、明日にはまた発たないといけなくて。(19:04:29)
ナイスネイチャ: じゃあ、夕食だけでも召し上がって下さいな。あなたの好きな鴨のローストも作りましたよ。(19:04:34)
[食卓には様々な料理が並んでいる]
トレーナー: 食べきれるかな。(19:04:39)
ナイスネイチャ: 大丈夫ですよ、タキオンもいるんですから。(19:04:43)
トレーナー: ちょっと待ってくれ。(19:04:48)
[トレーナー、自室に入り、専属記憶処理班に連絡する] (19:04:59)
処理班オペレーター: はい、3S-07です。(19:05:02)
トレーナー: 夜分にすまない。妻の記憶処理が弱まっている。(19:05:05)
処理班オペレーター: 了解、直ちに"救急車"を向かわせます。[沈黙]T、差し出がましいようですが。(19:05:10)
トレーナー: ああ、分かっている。「娘は死んだ」ではもう限界なのだろう。「私たちに子供はいない」に上書きを。(19:05:17)
[トレーナー、自室から出る] (19:05:25)
ナイスネイチャ: タキオンはまだかしらね。デザートにはあの子が好きなイチジクのタルトを作ったのよ。(19:05:28)
トレーナー: 大丈夫、すぐ来るよ。(19:05:35)
『部屋に入る前から妄想と記憶の捏造をするんじゃない。
君の好物は
というか、そのルートだと私ずっと死ねない状態で鬼神扱いじゃないか。
そもそも、ネイチャくんの口調もまったく違うし・・・』
(シーチキンおにぎりは正義。異論は認めます)
今度こそ本当に部屋に入ると、良い匂いが漂ってきた。
シーチキンおにぎりの匂いだ。ぼく、シーチキンおにぎり大好き。
「おかえり、トレーナーさん!」
「ただいま!」
奥の方からネイチャの声が聞こえる。
(今度こそ・・・今度こそ嫌われ度が高いはず!
せめて-200でもいいから、お願いします!)
『ぷっ』
だが、期待は大外れであった。
「トレーナーさん、今日はたくさんおにぎり作ってあげましたよ!」(-40000)
「わーい!(わーい!)」
『大好物とショックの相乗効果でトレーナーくんが幼児退行を引き起こした⁉』
「ありがとうございます!(なんとか一瞬で正気を取り戻しました)」
「えへへ、どういたしまして~」(-40000)
『一瞬で正気を取り戻せるトレーナーくんもだけど、ネイチャくんもすごい蕩けた表情してるね』
(これくらいは余裕ですが・・・いつもと比べて表情が暗いですね)
『えっ、わかるってすごい・・・コレハマズイ』
トレーナーだからわかったのだが、実際、彼女の表情は少し悲し気だった。
そして、同時に気付いたことなのだが、おにぎりの匂いがいつもと違う。
眠気を誘うような、色欲を誘うような、そんな匂いだ。
そして、あることを察したトレーナーはネイチャの頭を撫でて、おにぎりを食べる。
その行為で、ネイチャもトレーナーの考えていることがわかったようだ。
「うん・・・うまいですよ」
「・・・なんで、食べたの?」(-40000)
「ネイチャさんが作ってくれたからですよ」
彼女の表情はトレーナーでなくてもわかるくらいに、悲哀に満ちたものになった。
「でも・・・でも・・・アタシ、トレーナーさんの大好物を汚しちゃった・・・」(-40000)
「いえいえ、むしろ新感覚ですから嬉しいくらいですよ」
そう言って、もっと頭を撫でる。
「新感覚って・・・そんな・・・睡眠薬と発情薬ですよ・・・?」(-40000)
「いいんです。それほどネイチャさんの気持ちが詰まってるってことですから」
『それで、実際のところはどうなんだい?本当に旨いのかい、その劇薬おにぎり』
(旨いのは確かですね。さすがはネイチャさん。色欲と睡眠欲はあの二人にワープさせましたが)
『君、本当に天才だな・・・うん?あの二人?』
どこかの北の国のテント(C418のSwedenをBGMにしてお楽しみください)
オグリ「急に欲情してきた」
オグリT「急に眠たくなってきた。もう駄目だ、おしまいだ」
オグリ「トレーナーは本当にかっこよくて優しくて美味しそうだな」
オグリT「や、やさしくしてね・・・?(※男性です)」
オグリ「安心してくれ、激しくするから」
オグリT「いやああああ!」
※フィヨルドと魚が名物の国
『C418さんとマインクラフトとスウェーデンに謝れ。
というか、スウェーデンですらないじゃないか、その国。
そもそも、あの二人そこに新婚旅行に行っていたのか。初耳だよ』
「ネイチャさん、あなたの気持ちは伝わりました。
でも、僕は逃げませんし、卒業してからもあなたの人生は続きます。
だから、急がなくてもいいんです。僕よりもっといい人に出会えるでしょうから」
そう言って、トレーナーはネイチャを抱きしめる。
彼女は彼の胸の中で泣き出した。
「ごめんなさい・・・!トレーナーさん・・・!」(-41000)
「安心してください。僕はこれしきのことであなたを嫌いませんから」
彼女はずっと泣いたままだったが、さっきより表情は柔らかくなった。
おそらく、罪悪感から解放され、トレーナーからも許されたからだろう。
あと、自分の気持ちを彼に伝えられたというのも大きい。
(ふう・・・何とかなりましたよ、タキオンさん)
『・・・』
(タキオンさん?)
「ダメなんだよ・・・何とかなっちゃ・・・」
声のした方向を振り向くと、そこにはハイライトを失ったタキオンがいた。
相変わらず、彼女からの嫌われ度は表示されていなかった。
「ふむ・・・君には特別に管理者レベルのクリアランスを付与してあげよう」
彼女が言うと同時に、視界にメッセージが表示される。
ログイン資格情報の確認。
管理者オーバーライド(CODE HOWLING BLACK MOON)を識別しました。
あなたのU5-4からの嫌われ度が表示されます。
「さて、今、どんな気持ちだい?モルモットくん・・・?」(-150000)