「タキオンさん・・・どうして?」
トレーナーは信じられなかった。
まさか、彼女からの嫌われ度がこんなにも低いだなんて。
茫然としていると、ベランダの開く音が聞こえた。
トウカイテイオーとツインターボが入ってきたのだ。
「へへっ・・・トレーナー・・・来ちゃった♡」(-150000)
「ターボ、もう我慢できないや・・・」(-160300)
・・・しかも、嫌われ度がさらに下がっていた。
「モルモットくん・・・いや、トレーナーくん、これが私たちの気持ちだ」(-150000)
トレーナーはすべてを察した。
今日の一連の出来事は何もかも仕組まれたことだったのだ。
桐生院のことは別にしても、とにかく仕組まれたのだ。
それは間違いなく、彼女たちが自分の好意を伝えるための行動だったのだ。
「・・・もしかして、何とかなってほしくなかったのは・・・」
「そう、本当だったらネイチャくんのおにぎりで君を捕まえるはずだった。
まさか、君が彼女のかすかな表情の変化を読み取れると思わなかったけどね。
でも、だからこそ、私たちは君を好きになったんだろうな・・・」(-160000)
トレーナーはネイチャの方を見た。
彼女からの嫌われ度は-174320となっていた。
常人だったら逃げ出すであろう。
だが、彼は逃げなかった。むしろ、そのままネイチャを抱きしめたままだった。
まだ話し合える。そう信じていたからだ。
このまま彼女たちの暴走を許せば、結果的に彼女たちの人生は失われる。
月刊トゥインクルが祝福しても、世間は祝福してくれない。
別に自分がどうなったっていい。ただ、彼女たちは幸せになってほしい。
「皆さん、話が・・・」
「やだよ!ターボ話聞きたくないもん!」(-180000)
ターボが嗚咽しながら叫ぶ。
「確かに言ったよ!ターボ、トレーナーを傷つけたくないって!
でも、頭でわかってても、やっぱり嫌だもん!
トレーナー、ずっとはぐらかして、ターボたちが卒業するの待ってるんでしょ⁉」(-180000)
「・・・ええ、正直に言ってしまうと、そうなります」
「それが嫌なんや!」(-210000)
タキオンの背後から、タマモが現われる。
「トレーナーがウチらのこと、大事に思ってるのはわかってるんや!
ウチらもそんなトレーナーが大好きなんや!
でもな、そんなウチらも一つだけ大嫌いなことがある!
それは・・・トレーナーが自分を大切にしてないことや!」(-210000)
「自分を大切にしていない・・・確かにそうですね。
でも、僕にはあなたたちが一番大切なんですよ。僕なんかよりも・・・」
「そこが大嫌いだって言ってるんや!」
タマモが壁を叩く。
壁<ソロソロ、ウッタエテヤル
「・・・アンタからはずっと浮いた話を聞いたことがない。
友人も他のトレーナーぐらいやし、趣味もSFの読書くらいやないか。
しかも、その読書だって、中国SFを除いて最近しなくなっとる。
ウチらはもうこれ以上、アンタの人生が擦り減っていくのを見たくないんや・・・!」
(-210000)
タマモが涙を流し始める。
トレーナーが頭を撫でに行こうとすると、ネイチャが強く抱きしめ返してきた。
「・・・アタシが初めてこの部屋に来た時、本当に殺風景だったよね?
ベッドや本以外、何もない部屋だったじゃん・・・!
アタシ、もうトレーナーさんにそんな生活送ってほしくない!」(-189034)
「ターボもだよ!ターボ知ってるもん!
トレーナーが実はこっそりタキオンのお薬飲んでたって!」(-180000)
「えっ、タキオンさん話しちゃったんですか?」
「話しちゃったも何も、チームメイトだから情報共有くらいするだろう?
君が私のお手製精神安定剤を飲んでるなんて話題は特に共有しなくちゃ」(-165000)
「トレーナーの・・・ばか!」
テイオーが近づいてきて、頬をつねる。
「ボクたちのことばっかり大事にして、自分を大切にしないトレーナーなんて・・・!
だいきらい・・・だいっきらいだもん!うわああああああああん・・・!」(-190453)
テイオーも泣き出して、トレーナーを抱きしめる。
「ターボもトレーナーに幸せになってほしいもん!」
ターボもそう言って抱きしめる。
「はは・・・アンタ、こんなに愛されてるんやで・・・。
ウチからも、他の子たちからも・・・だから、幸せになり」(-240000)
タマモも抱きしめる。
「・・・でも、僕には」
口を塞がれた。タキオンの舌が、トレーナーの舌と絡み合う。
「ぷはっ・・・幸せになる資格なんてない、なんて言わないでくれよ?
トレーナーが私たちが絶対に幸せにするんだから・・・」(-198921)
「皆さん・・・
感動的な雰囲気の中で、僕の口に薬剤を押し込むのはどうかと思いますよ?
タキオンさんも、口移しで何か飲ませたのわかっていますからね」
「「「「「バレたか」」」」」
「文章しか見えない読者は騙せても、この場にいる僕は騙せませんよ?
あと、薬剤の効果は全部、例の二人にワープさせたのでご安心を」
やっぱり北の国(BGMはやっぱりSweden)
オグリ「ふう・・・」
オグリT「俺もうお婿にいけない・・・って既に婿だったわ」
オグリ「トレーナー・・・その、すまなかった」
オグリT「やだ、許さないもん」
オグリ「えっ・・・うっ、急に体が熱くなったうえに動かない!?」
オグリT「俺も体が熱くなったけど、今ならすごく運動できそうだ!」
オグリ「そうか・・・私、今からお仕置きされちゃうんだな♡」
オグリT「愛してるよ♡」
オグリ「私もだ・・・♡」
「とにかく、僕は簡単に皆さんの気持ちに応えるわけにはいかないんです。
とりあえず、何らかの試練を僕の方から課しておかないと・・・」
そう言って、彼はいつもの眼鏡に替える。
嫌われ度眼鏡は丁寧に眼鏡ケースの中にしまった。
なお、念に念を入れて、電波妨害となるアルミも入れておいた。
「鬼ごっこをしましょう。僕が逃げて、あなたたちが捕まえる。
もし誰かが僕を捕まえれたら、皆でうまぴょいしていいですよ。
僕のような人間一人すら捕まえられないようでは、幸せを掴むことは難しいでしょうから」
その提案に、誰もが唖然とした。
当然だ。ウマ娘の脚力に人間がかなうはずがない。
例の第四戦速があったとしても、水増しにもならない。
「それでは皆さん、少し離れてください」
トレーナーの言うことに従い、全員が離れた。
「・・・実は最近、あるスキルを開発したんです」
「どうやって開発したかは聞かないでおくよ・・・」
タキオンは溜息をつきながら言った。
もう中国SFを読んで開発したのがわかっているからだ。
「その名も・・・水滴です。さあ、もう始まってますよ?」
次の瞬間、トレーナーの姿は消えていた。
「なっ・・・!そんな・・・!」
「タキオン、驚くのは無理はないけど、よく考えたら、あのトレーナーや!
こんなことできても不思議やない!急いで追うで!」
「やっぱりボクたちのトレーナーだけはあるね!絶対に逃がさないけど♡」
「早く捕まえて、ターボうまぴょいするんだー♡」
「トレーナーさん、アタシが絶対に幸せにしてあげるからね♡」
五人のウマ娘が一斉に走り出す。
ネタバレすると、捕まる(最後の最後まで書き手の屑)。
トレーナーはそれから数時間ぐらい逃げ続けた。
彼の担当バは必死に追いかけたが、どうしても寸前で取り逃してしまう。
「ふう・・・ここで、一息つけるはずです」
トレーナーは保健室の前でいったん深呼吸した。
なぜか視界がちょっとだけ赤くなったが、気にしなかった。
「おや、トレーナー、いいところに」
扉から出てきたのはルドルフと桐生院だった。
桐生院は気まずそうに、顔を赤くして、もじもじしている。
「その・・・ごめんなさい!愛しています!」
「うーん、最後の言葉が不穏ですけど、何がありましたか、ルドルフさん?」
「ルナと呼んでいいぞ」
「ルナさん」
「えっとね!ルナと桐生院さんでね!トレーナーを愛していることお互いに確認したの!」
「トレーナーさん・・・私、もう迷いません。
一人の女性としてあなたと接することに決めたんです。
・・・ごめんなさい、こんな形で伝えることになってしまって」
「いいんですよ・・・ただ、ミークさんが黙ってないでしょう・・・」
「私はDX3906のトレーナーさんなら任せられる。ぶい」
「ミークさん・・・」
ふと、遠くからタマモの呼び声が聞こえてきた。
そうだった。鬼ごっこをしている最中だったのだ。
「おっと、僕は用事があるので・・・」
「ルナ、知ってるよ?タキオンから電話で教えてもらったもん♡」
「あっ、私も飛び入り参加が認められました♡」
危うく、二人に捕まるところだった。
だが、なんとか逃げ切れた。
さらに視界が赤くなったが、逃げるのに支障はない。
なんとか理事長室まで逃げ切ることができた。
ここは最も学園内で安全な場所だ。
中にはやはり秋川やよいと駿川たづながいた。
「ふう・・・」
「歓迎ッ!よく来てくれ・・・目が赤いぞ⁉」
「ちょっと運動しましたからね・・・」
「ほら、目薬ですよ」
そう言って、たづなはコップに入った液体を飲ませようとしてくる。
「正しくは目薬入りの酒ですよね?」
「あら、間違えちゃいました♡」
「あはは・・・ちょっと待ってくださいね」
トレーナーは嫌われ度眼鏡をもう一度かける。
彼は信じられないものを見てしまった。
「・・・見ちゃいましたね♡」(-98679276982367928762)
そして、今度はやよいを見る。
「結婚ッ!私はウマ娘だけでなく、君も幸せにしたい!」(負数値が膨大すぎます)
・・・終わりだ。だが、同時に安心もした。
彼女たちは、トレセン学園が完全に守ってくれる。
なぜなら理事長も秘書も、彼女たちの協力者だったからだ。
そして、ドアが粉砕される。
ドア<オボエテロヨ。イツカバケテデルカラナ
「トレーナー♡ボクたちから逃げれるわけがないんだよ♡」
「ターボ♡♡♡もう我慢できないよ♡♡♡」
「ルナ、絶対にトレーナーを離さないよ♡♡♡」
「ミークと約束しました♡あなたを絶対に幸せにするって♡」
「ウチらと幸せになろうや♡♡♡♡」
「アタシがいる限り、愛の巣は殺風景にさせませんからね♡♡」
そして、タキオンも理事長室に入ってくる。
「・・・だと思ったよ。君の新しいスキルのデメリットは体への異常な負荷。
ほら、今度は回復効果以外は何もない薬だよ。飲んでくれ。
私たちはそこが嫌いだと言っているだろう?自分を大切にしてくれ・・・」
そう言って、数時間前にやったように、口移しで薬を飲ませる。
すると、トレーナーの視界は一気に元の色に戻っていった。
「さて、この鬼ごっこは私たちの勝ちだね」
「・・・ええ、合格です。本当に僕はあなたたちと幸せになっていいんですか?」
「もちろんだよ、トレーナーくん♡」
気が付けば、すでに日は沈んでいた。
こうして、トレーナーは全員に担ぎ上げられていく。
彼は闇の中で、貴重な数秒を得ることを許される。
そしてトンネル・・・もとい廊下の先には、光がある。