秋川やよいさんが推しです   作:スーパータヌキ

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 1話

「俺は! 秋川やよいさんが推しなんだァァァァァァァァっっっ!!」

 

 よく晴れたある日、取柄菜士郎こと俺はトレセン学園の教室でそう叫んだ。

 

「なあトレーナー、警察って119だっけ?」

 

「110だろ、いやその前に警察に通報される事してねえだろゴルシよ」

 

「そのうちリジチョー誘拐しそうなんだもんしゃーないじゃん」

 

「しないから! 風評被害やめて!」

 

 何故か近くにいた担当ウマ娘であるゴールドシップことゴルシに通報されそうになったがそんなのは関係ねえ。俺は、秋川やよいさんが推しです。異論は認める。

 

「お前、リジチョーどう見てもロリだからな? まさか彼女にしてぇとか言わねぇよな?」

 

「ゴルシお前、いつの間に瞬間移動だけでなく思考も読めるようになったんだ?」

 

「いやつい最近にさっておい!! お前、まじかよ!!」

 

 ゴルシにドン引きされて少し嫌な感じである。俺が誰を推そうが勝手だろうが。

 

「何がおかしいんだよ!!」

 

「何もかもだよ!! リジチョー、多分アタシのレースのあとに遊んでやってる子供と同い年くらいだろ!!」

 

 ゴールドシップ、彼女はすごく麗しい容姿を持ち、さらに彼女のステータスは賢さ以外SS+とえげつない実力を持つウマ娘だ。えっ? 賢さはどうしたんだ、だって? ほっとけ。

 

 彼女は見た目もいい、実力もある。だがそんな彼女にも欠点があった。そう、頭が色々狂ってやがるのである。

 

 今でこそはもう慣れたが、彼女のトレーナーになった時はいきなり無人島に連れて行かれたり、そこで宝探しさせられたり、レース後ドロップキックをかましてきたり、まあ、とにかく狂っているのである。出身地も体重等も何も明かされていないので謎だらけである。ぶっちゃけ怖い。

 

 そんな彼女だが、子供には優しかったりする。彼女曰く面白いかららしいが、その優しさをもっと俺にも分けてほしい。毎日であいがしらに前方倒立回転跳びからのデスロールからの牛殺しをするのほんとやめてほしい。え? 牛殺しって何だよ、だって? ググってみ? うわってなるから。あ、グロいやつじゃないよ。

 

「それでなんだ? リジチョーが好きなのかトレーナーよ」

 

「ああ、大好きです。推しです。結婚したい」

 

「警察って119だっけ?」

 

「だから110だって言ったろさっき!! てか通報しようとすんのやめてもらえません!?」

 

「いやさ? もうアタシわかったんだよ。お前狂ってんな? なんならアタシより。だから警察に言って相談に乗ってもらおうと思ったんよ」

 

「ハッお前より狂ってるだぁ? 昼の首都高のど真ん中で裸で腹踊りからの一発芸でもしてなきゃお前より狂ってることにはなんねえよ!!」

 

「あ──っ!! お前さりげなく今アタシのことディスったな? ぶん殴ってやる!!」

 

「なんでだよディスってねえよあとすぐに暴力に走るなジャ○アンかお前はってごめんなさいやめて痛い痛い痛い!」

 

 まあ一悶着あったが、なんとかゴルシをなだめることが出来たため、病院送りにならずに済んだ。まじやばいこいつ。限度ってやつを知っているのだろうか。今度聞いてみよう。

 

「なあ、何でリジチョーを好きになったんだよ。トレーナーいつだったか年上が好きとか言ってなかったか?」

 

 そう、俺は半年前まで年上のナイスボディーな女性が好みだった。だが理事長はまあどう見ても年下である。

 

「いやさ、年上の女の人って怖いなって」

 

「目が死んでんぞ大丈夫か取り柄なし」

 

「その名で呼ぶなァァァァァァァッッッ!!!!」

 

 まあ色々あって年上の女性が怖くなったのだ。理由は言いたくない。言わせないでくださいお願いします。

 

「前までは何とも思わなかったけどさ? 結構優しいしウマ娘の事を誰よりも考えてるし、ウマ娘の為に影で色んな事をやってくれてるし何より俺みたいなのにもやさじぐじでぐでるがらざ?」

 

「ほんとに何があったんだよお前」

 

 いかんいかん、つい悲しくなってしまった。決して年上の女性から受けた仕打ちを思い出したとかそういうのじゃないです。信じて。

 

「いや〜ほんとに可愛いよねやよいさん! 色んな所に連れて行ってあげたいよね! 海とか山とか山とか山とか!」

 

「どんだけ山好きなんだお前」

 

「んでもって連れてったあと一緒に風呂入ったり」

 

「お前今やべえこと言ってる自覚ある? 相当やばいよ、めちゃんこキモいよお前」

 

「夜に興奮っ! ドキドキが止まらないっ! とか言わせたいよねぇ!!」

 

「駄目だこいつ……早くなんとかしないと……」

 

「やべえことなんか言ってねぇだろうが!!」

 

「やばいことだらけなんだよ!!」

 

 軽く怒鳴りあいになってしまった為、近くを通りがかった清掃員の方にお叱りを受けてしまった。反省。

 

「つまりトレーナーは優しくて努力家で可愛げのある女のコが好みになったんだろ?」

 

「…………まあ、そうだな?」

 

「それアタシじゃね?」

 

「へっ?」

 

「アタシ全てに当てはまってねえ? なんでアタシを好きにならねえんだよ」

 

「頭おかしいから」

 

「太平洋に沈めんぞ」

 

「サーセン」

 

 殺意の籠もった目で見られた為条件反射で謝ってしまったが、事実である。おかしくなかったらなんだってんだよ。

 

「許してほしかったら今度買い物すっから荷物持ちしろよ。やってくれんならゴルシちゃん優しいから許してやる」

 

「はいわかったよわかりました! はあ……また休日がなくなるよ……」

 

 ゴルシの付き合いで休日が潰れるのはもうお馴染みになってしまった。ぶっちゃけ辛い。こいつ9.4分に一回プロレス技かけてくんだもん。彼女曰く9.4分に一回はしないと気が済まないらしい。かけられてる間の周りから見られる目が結構辛いのでやめてほしい。ほんとに。

 

 この時はそっぽを向いていたから気がつかなかったのだが、この時ゴルシは顔がちょっとニヤけていたらしい。何故なのだろうか。

 

 その後ゴルシに絶対に誰にも言うなよと釘を刺したあと仕事をする為自室に戻った。

 

 その後俺は自室に戻って山積みになった資料を片付けていたのだが、1時間ほどが経ったある時、やよいさんの秘書である駿川たづなさんが部屋に訪ねてきた。

 

「トレーナーさん、お仕事お疲れさまです!」

 

「あっはいどうも。それで何か御用でしょうか?」

 

「ええ、理事長が話をしたいとの事で……」

 

 真っ先にやってくれたなゴルシとか思ったが、きっと違う。流石に。……流石に違うよね? えっ違うよね? えっ不安なんだけど。

 

 理事長室につき、かなり裏返った声で、

 

「シツレイシマス。トリエナデス」

 

 と言ったあと駿川さんにソファに座るよう言われた。彼女は少し小走りで出ていってしまった。えっふたりきりはまだ緊張しまくりなんですけど。やばい。特に心拍数やばい。

 

「謝罪っ!! いきなり呼んでしまって申し訳ないっ!!」

 

「あっいえあの大丈夫ですはい謝るほどのことではないですむしろ嬉しさのほうがでかいですホントです」

 

 やべえ緊張しすぎてヲタクみたいになっちゃったよやべえよ落ち着け平常心。

 

「質問っ!! 今から私が聞くことに素直に答えてほしいっ!!」

 

「あっはい、何でしょうか」

 

「一つっ!! 君が私の事をよく思ってくれているのは本当かっ!?」

 

「もちろんでございます憧れの極みです」

 

「ふっ、2つ目っ!!! 君が、私の事好きみたいな事を聞いたのだがっ!? それもっ、異性としてっ!?」

 

 おい、おい、おい、ゴルシ、どうなってる、まさかやったのか、やっちゃったのか、バラしちゃったか、えっどうしよう。

 

「…………異性かどうかは分かりかねますが、私個人としては非常に理事長は尊敬できて、皆から愛される存在だと思っております」

 

「う、うむっ!! そうかっ!!」

 

 よし誤魔化せたぞ。なんならいい印象を持ってくれたんじゃあないか? 我ながら完璧だな! 

 

「終了っ!! もう戻って良いぞっ!!」

 

 部屋に出た後一気に安堵感でいっぱいになった。プレッシャーえげつなかった。手汗すげえもんマジで。

 

 今日は色々大変だったとトレセンの窓から夕焼けを見ながらそう思った。だが明日からはまたゴルシのトレーニングを再開しなければならないし、やる事もある。そしてやよいさんともっと良い関係になれるように頑張らなくては。だが、まあその前に俺することがあるけどな。それはただ一つ。

 

 

「ゴルシィィィィィィィィィィっっっっ!!!!!! テメエッッッ何処だああああああああああッッッ!?!?!?」

 

 

 ゴルシにマジの飛び膝蹴りをくらわせること、だ。




書き終えて一言。この主人公やべえ。

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