秋川やよいさんが推しです   作:スーパータヌキ

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 4話

 ゴルシと出会い、そして正式に担当トレーナーになる為、必要な書類を書いていたのだが……

 

「なあ!! 宝探しに行こうぜ!!」

 

 どうしてこうなったのか、俺は今ゴルシに首根っこを掴まれ、トレセン学園内を引きずられていた。時折手に力が入って首が閉まる。辛いからやめてほしい。息できないから。

 まず連れてこられたのはトレセンの倉庫だった。入るとなんとも言えぬ匂いがして少し気分が悪くなった。ゴルシは呻いていた。いきなり呻き出すと怖いのでやめてもらいたい。

 

「よし!! 宝探しを始めんぞ! なんか見つけられなかったらお前のあだ名取り柄なしにすっからな!!」

 

「トレーナーをなんだと思ってやがるてめえ」

 

 とりあえずお宝みたいなのを探し始めたのだが、結果から言ってしまえば何もなかった。びっくりするくらい普通だった。殆どが書類。あとはガラクタのようなものばかりだった。

 

「何もねえじゃねえか!! ここに宝あるって言ったのお前だろ責任取れ!」

 

「言ってないんだけど? てか言い出しっぺお前さんだろ」

 

「うるせえ知ったことか! ……ってん? 何だこれ?」

 

 ゴルシが持っていたのはどこか古いデザインの時計だった。

 古そうなデザイン以外は普通の時計のはずなのに、何故かその時計が他にはない凄い力を秘めているように思えた。

 

「時計だな、でもなんかすげえ重要なものな気がするぞ」

 

「お、お前見る目はあるな取り柄なし」

 

「いい加減ひどいとは思わないのかこいつは……」

 

「思いません」

 

 断言されちゃったよ。解せぬ。今度のトレーニングは座学4時間にしてやる。

 

「おい取り柄なし、この時計に不思議な力があるとしたらどんな感じになると思う?」

 

「しれっと言うのやめてね? うーん。地面に叩きつけて壊したらその日の朝に戻る、とか?」

 

「そんなんなるわけねえだろあほか」

 

「物凄い速さで否定すんのやめてもらえる?」

 

 聞くだけ聞いて否定されるってつらい事をゴルシは知ってんのかな? 今度試してみよう。高確率で蹴られる気がするが。

 てか絶対蹴る。ふざけんなおめーとか言いながら蹴ってくるに違いない。ゴルシの事はまだよくわからないのだが雰囲気がやばい。

 某ガキ大将と同じくらい凶暴な気がする。ぶっちゃけ怖い。

 

「ここにめぼしいものはねえなあ……よし! 無人島行くぞ!!」

 

「ねえなんで? なんでトレセンの倉庫の次無人島なの? まだトレセンに探せるとこあるよね? ていうか無人島にどうやって行くつもりなんだお前は」

 

「お前細かすぎるんだよもっと豪快に生きようぜ?」

 

「お前は豪快すぎるけどな?」

 

 結局無人島に行くことになったのだが、どういう訳か気づけば無人島についていた。ここに来るまでの記憶が全くない。

 ゴルシ曰くゴルシワープを使ったとか言っていたが、真相は不明だ。なんか知ったらいけない気がする。もうゴルシに関しては考えたら負けみたいな所あるしもう何も考えたりはしないようにしよう。

 

「ん!? ここになにかあるとゴルシちゃんレーダーがそう言ってやがるぞ!?」

 

 ゴルシは砂浜の上でよくわからないことを言っています。もうほんとにわけがわからない。

 

「よしボーリングマシン組み立てっから手伝え!」

 

 おいちょっと待てそれどっから出した。さっきまで何も持ってなかっただろ。お前は四次元ポケットでも持ってんのかよ。

 

「おお!! それっぽい宝箱があったぞ!!」

 

 駄目だもう訳わからん。こいつといると普通のはずの世界が狂っているように感じてしまう。

 

「中に本があったぞ!? おいトレーナー!! 一緒に見ようぜ!!」 

 

 えっと題名は……GO TO EDEN、かな? ……なにこれ? 題名は英語だけど、書いてある文章の文字が全く見たことがないのだが。

 

「なんだと!? この世界にはエデンがあるのか!?」

 

 なんで読めんのさお前は? ねえ、なんで読めんの? お前マジで何者なんだよ? 

 

「よっし! これからのアタシの目標はエデンにトレーナーと一緒に行くことだ!!」

 

 一緒に行くって言ってくれるのは嬉しいんだけどさ、マジでエデンって何なのよ。説明してよ。頼むよ。すげえ今置いてかれてんだけど。 

 

「ちょっ、ちょっと? エデンってなんだよ説明してくれよ頼むマジ」

 

「そんなことはどーでもいい!! 早く帰ってトレーニングだ!! いっくぞ──っ!!」

 

「どうでも良くないね? 頼むから教えてっておい! 走んな! 追いつけなくなるだろ!! ってかマジでここどうやって来たんだよ! 帰りどうするつもりだ!!」

 

「そんなん電車で帰るに決まってるだろ? 何当たり前なことを……」

 

「てめぇさっきゴルシワープで来たとか言ってたじゃねえか」

 

「あ? ワープなんざ使えるわけねえだろ?」

 

「てかここ電車あんのかよほんとに無人島かここ?」

 

「ああ? 何いってんだ取り柄なし無人島な訳ねえだろ?」

 

「うっわぁ……こいつ殴りたい、一発殴りたい」

 

「殴ったらみぞおちえぐる」

 

「ごめんなさいみぞおちは勘弁してください」

 

 今日でゴールドシップというウマ娘についてだいぶわかった。

 やべえやつだこいつ。もしかしてこいつやべえのかとか思ってたけど、そんなレベルじゃない。やべえのか、じゃない。やばい。

 

 うまくやっていけるかぶっちゃけ不安である。 

 そんなこんなで1日目が終了した。ちなみに帰りはゴルシに言われた通り電車があったのでそれに乗って帰った。ゴルシは駅員に顔を見せただけで乗せてもらえていた。もう何なの訳わからん。

 

 

 ∼∼∼∼

 

 2日目、試しにゴルシを走らせてみることにしたのだが、恐ろしいくらい強かった。レース形式だったのだが、一緒に走っていたウマ娘全員を圧倒し、2位とかなりの差をつけて勝利した。

 多分見た感じステータスは賢さ以外B+位あるんじゃないだろうか。

 えっ? 賢さはどうなんだ、だって? こいつにそんなものはないだろ。そんなものがあるなら昨日のような事はしないだろ絶対に。

 

「いい走りだったじゃないかゴルシってぐぼァっっっっ!?!?」

 

「ヘヘッ!! どーよ!!」

 

「な゙ん゙で゙ド゙ロ゙ッ゙プ゙ギッ゙グずん゙の゙! ゙? ゙! ゙? ゙」

 

「えっ? いや、アタシの趣味だよ」

 

「趣味でドロップキックするバ鹿がいるかこのオタンコナス!!」

 

 走っている時結構かっこよかったから油断していた。ゴルシはいきなりドロップキックをかましてきた。痛い、すごく痛い。

 これ以上ないほど痛い。えぐいくらい痛い。他のトレーナーがいなければ痛みで転がり回っていただろう。

 見ていた他のトレーナーは何か悲しいものを見るような目で見てきた。同情するなら痛み止めください。そんな目で見ないでください。悲しくなるから。

 

「貴方、大丈夫?」

 

 そんな中、一人だけそう聞いてくる人がいた。この人は去年からトレーナーをしている冴菜いろはさんだ。聞いてくれるのは嬉しいけどさ、ウマ娘の渾身の蹴りを受けて大丈夫なわけないでしょうが。

 

「医務室まで連れてってあげましょうか?」

 

「あっいえ大丈夫っすお気になさらず」

 

 一応今日の帰り病院に行こう。折れてたらすぐに治療といけないからね。

 

「おいトレーナー? 早く帰ろうぜ!! 退屈なんだよこっちは!」

 

 ゴルシは走れて満足したのかそんな事を言っていた。どうせ帰りに焼肉奢れとか言うぜこいつ。絶対言う。もうなんとなくわかる。

 

「おいトレーナー! 帰りにケバブと寿司と洋菓子奢れよ!!」

 

 おっと違ったぞ。てか全部一気に済ませられねえじゃねえか。全部付き合えと? 病院行けないじゃんか。

 

「嫌だって言ったら?」

 

「ガチビンタ」

 

「ひっど」

 

 本当にこいつは理不尽なやつである。なのに時折優しいとこ見せるからよくわからない。流石に3年いたらわかるようになるはずなのだが、自信はない。理解できる気がしない。ゴルシと俺の目標を達成する為にこいつの事を理解するのは最重要。なんとかしてゴルシの事を知らなければ。

 

 ゴルシの事を知ろうと練習中や一緒に出かけた時、レース後やウイニングライブ後などに聞いてみたり、彼女と親しいウマ娘にも声をかけていたのだが、全くわからない。出身地も家族構成も何もかも謎だらけ。わかっているのは身長くらい。170センチらしい。ギリ俺が勝ってる。ゴルシより小さかったら絶対イジられる。そんな気がする。

 

 そんなこんなでゴルシの担当トレーナーになってから2年が経ったある日、その事件は起こったのだ。

 

 

 

 

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