秋川やよいさんが推しです   作:スーパータヌキ

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 8話

 よく晴れたある日、何故かいきなり放送でゴルシに呼び出しがかかった。

 

「フ──ッ、すぅぅ──ー、は────いっっっっ!!! ゴルシやらかしましたァァァァァっっっっ!!!!」

 

「アタシは何もやってねぇよ!!!」

 

「じゃあ何で呼び出されんだよおい!! どうせお偉いさんにドロップキックしたんだろ!! やらかすとは思ってたけど、ほんとにやるとかさあ……」

 

「だから何もやってねえんだって…………あっ」

 

「なんのあっだよおい!! もしかして心当たりあったり!?」

 

「この前、学園内にいたおっさんのかつら取っちゃった……」

 

「それだこのバ鹿!!!! 何やっちゃってんの!?」

 

「ほんと、まじごめん」

 

「……まあ、真面目に謝れば許してくれるよ……怪我とかじゃないんだろうし……」

 

「……うん」

 

「じゃあちゃんと謝ってきな? 真面目にな?」

 

『あ、すみません。ゴールドシップさんのトレーナーさんも来ていただけませんか?』

 

「ええ……」

 

「ドンマイ取り柄なし」

 

「……ほんと真面目に謝るからな?」

 

 とりあえず急ごう。相手を待たせるわけにはいかないからね。

 ゴルシはしばらく毎日反省文でも書いてもらおう。そうすれば流石に許してくれるはずだ。

 

 ∼∼∼∼

 

「要望っっ!! ハーフアニバーサリーの新曲とライブのセンターをやってもらいたいっ!!」

 

 よかった、ゴルシがなんかやらかした訳ではなかったようだ。ほんと良かった。

 

「あたしが!? まじで!?」

 

「はい! ゴールドシップさんはURAファイナルを制覇した素晴らしいウマ娘ですから! ぜひゴールドシップさんにと沢山の人々から要望があったので!」

 

 ゴルシがすげえにっこにっこになっていて可愛いな。性格がまともだったらきっとモテてたんだろうなぁ……

 

「ていうか、ハーフアニバーサリーってなんです? 半年前になんかありましたっけ?」

 

「…………」

 

「…………」

 

「…………」

 

「えっ? なんで黙るんです? ゴルシもなんで黙るんだよ?」

 

「この事は気にしないほうがいいぞ取り柄なし、消される」

 

「ええ……まぁ分かったよ、それで俺達はこの後どうするんです?」

 

「うむっ!! これからゴールドシップ君にはダンスの練習と歌の練習をやってもらうっ!! 一週間後が本番だっ!! 完成度の高い歌とダンスを期待するっ!!」

 

「えっそれってゴールドシップのワンマンライブなんですか?」

 

「いえ、ゴールドシップさんを含む3人に歌っていただいて、あとはダンスだけの方が何人かいますね」

 

「ヘイヘーイ!! アタシの他に誰が歌うんだ!?」

 

「シンボリルドルフさんと、スペシャルウィークさんですかね」

 

 くれない奴と最近しょんぼりしてる奴か。ずいぶんと豪華なメンバーだなぁ。まぁハーフアニバーサリーだから仕方ないか。ていうか本当に半年前になんかあったっけ? 全く思い当たらないんだけど。

 

 まぁそこから一週間はダンスと歌の練習をしまくったのだが、ゴルシスペックいいからそんなに時間はかからなかった。ホントすげえよゴルシ。性格がまともだったらもっと良かったのになぁ……

 

 そんなこんなで遂に本番がやってきた。

 

 ∼∼∼∼

 

 遂に本番、俺は観客席でやよいさんとたづなさんとの3人でライブを見ることになった。ていうかやよいさんすごいワクワクしてる。可愛い。嫁にもらいたい。……ん? 嫁になるってことは、割烹着かエプロンをつけたやよいさんが見られるってこと? なにそれ可愛すぎるだろ想像だけでもわかる絶対可愛い。割烹着やよいさんは神。エプロンやよいさんも神。異論は認める。

 

 そしてしばらくしてライブが始まったのだが、なんかゴルシがいつもと違う気がする。

 

 なんか歌い方かっこよくねえ? いやいつもよりかっこいいぞ? 

 ていうかダンスかっけえ。まじかっけえ。

 歌詞がいい。すごくいい。かっこよさの極み。いやすごいぞこれは。

 後服装が多分今回の為に新しく作られたやつかな? すごい可愛いしかっこいい。

 

 …………いやすごかった。流石ハーフアニバーサリー。この調子だと一周年アニバーサリーはもっとすごいんじゃないか? 期待できるぞ。ほんとに何に祝ってるのかは知らんけど。

 

「おーいトレーナー!! アタシのダンスとかどーだったよ!!」

 

「すごくよかった」

 

「感想が大雑把すぎんだろ」

 

「いやほんと良かったよ。流石ゴルシだな!!」

 

「フヘヘ〜〜もっと言え取り柄なし」

 

「いい加減やめてね? あるから取り柄の一つや二つくらい」

 

「奢ることしかないだろ。あっ!! この後焼肉奢ってくれよ!」

 

「いいけどさぁ……」

 

 またしばらくもやし生活になるようだ。まぁゴルシの為ならいいんだけどさ。そう思いながら、ゴルシと焼肉店へと向かうのだった。

 

 

 ∼∼∼∼

 

 それは土砂降りの雨の日だった。

 その日ゴルシのレースについての書類を何十枚と書いて、ようやく帰ると思っていた時だった。

 

 いきなりどこからか怒鳴り声がしたのだ。

 

「だからっ!! 君は勝てるレースだけに走ってればいいんだ!! そんなことより、モデルとかに集中しようよゴルシ!!」

 

 ????? …………? どうゆうこと? なんでどこの誰とも知らないやつがゴルシに指図してんの? いや、その前にだ。

 

「おいちょっと? その言い草はないんじゃないの?」

 

「はぁ? なんだいきなり」

 

「お前がゴルシにモデルとしてやってほしいのは聞いててわかったけどさ、ゴルシはトレセンに来てんだ。モデルの専門の学校に来てるわけじゃねえ」

 

「……?」

 

「走って強くなって強いレースで優勝してえからトレセンに来てるはずなんだよ。お前ごときがゴルシの夢とか否定してんじゃねえよ」

 

「ッッッ!!」

 

「後俺の担当ウマ娘に何勝手にあれこれ口出してんの?」

 

「はぁっっ!? ゴルシは俺の担当だ!!」

 

「……えっっ!?」

 

「えっ!?」

 

「…………いや、俺結構な付き合いよゴルシとは……」

 

「なんだよくそっっ!! あいつはつまり俺を弄んでたわけだ!! 狂ってやがるよあいつは!!」

 

「今更すぎない?」

 

「畜生!! もともとここの理事長がクソガキだったところから怪しかったんだ!! こんなとこに来るんじゃなかった!!」

 

ああ!?!?!? んだとてめえ!?!? 

 

「ひっ!? 何なんだよくそっ!!」

 

 なんだあいつ。理事長をクソガキだと? 形がなくなるまで殴ってやろうか? 

 

「何だあいつ……ってかゴルシ珍しく蹴ったりとかしなかったんだな、褒めるべきなのか心配すべきなのかわからないよゴル……シ?」

 

 あれ? ゴルシがいないぞ。ていうか目の前にいるウマ娘やたら見てくるんだけどなんで? 

 

「……あの、助けてくれてありがとうございます」

 

「…………あーあの? どちら様で?」

 

「ゴールドシチーです」

 

 ………………??? ん? ゴールドシチー?? 略すとゴルシになるな。珍しい、ゴルシとかぶって…………えっ? 

 

 つまり、今までゴールドシップだと思ってたけどそれはゴールドシチーで? 

 

 俺は勘違ってゴールドシチーさんのトレーナーだと名乗ってたの? 

 

 つまりゴールドシチーさん俺のせいでトレーナーいなくなっちゃった? 

 

 …………やっべえ、まじやべえ。

 

「……あの、トレーナーさん?」

 

 ああやらかした。ああ帰りたい。布団に潜って現実逃避したい。後30時間くらい寝てしまいたい。

 

「あのー、すみません?」

 

 いやでも、でもだよ、ゴールドシチーさんもあんな考えが破綻してるやつの担当ウマ娘は辛いはずだそうだ! つまり俺は悪くなーい!! 

 

「…………トレーナーさん?」

 

「はい! はい、何でしょうか!?」

 

「っっっっ!! あっあの!! 今度、あなたのチームを見学させてくださいっ!! 失礼します!!」

 

「ああちょっと!? ゴールドシチーさん!?!?」

 

 見学するのはいいけどさ、顔真っ赤だったな、大丈夫だろうか、不安である。そんな事を考えていると、本物のゴルシがやってきた。

 

「お~~いトレーナー!! そこで何やってんだ〜〜?」

 

「いやまあちょっと……あっそうだ!! 今度見学がくるから覚えといてくれ!!」

 

「そりゃあ良かったな!! オメー名前伝えるとすぐにやめるって言われるからな!!」

 

「やめてください」

 

「……なんかごめん」

 

「ガチ謝りやめい!! 悲しくなるから!! ほらもう帰るよ!!」

 

「ホ〜〜イ」

 

 何かが変わる予感がしたが気のせいだ。そうだ、絶対そうだ。

 だが、一週間後に気のせいでは無かったと気づくことになる。

 

 

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