ゼノブレイド2ソード・オブ・メモリーズ ~目覚めよ、幻想の聖剣~   作:ヒビキ7991

9 / 10
第九話

~ノルキア森林区 旅人の止まり木~

 

 

レックス達は無事トリゴの街を脱出し、《ノルキア森林区》の高台にある《旅人の止まり木》にたどり着いた。

 

 

天馬

「よかった、追ってこないみたい。」

 

クリス

「上手くまけたみたいだな。」

 

レックス

「取り敢えず一休みしよう、もう限界………」

 

 

レックスはしゃがみこみ、トラも限界なのかうつ伏せに倒れた。

 

 

グサッ

 

 

突然、ニアが水勢剣流水と時国剣界時を地面に突き刺した。

 

 

ホムラ

「ニア?」

 

ニア

「此処で御別れだ、世話になったね。」

 

ビャッコ

「お世話になりました。皆さんの旅の御無事を、祈っております………」

 

ニア

「じゃあね………」

 

 

ニアとビャッコはレックス達に別れを告げ、その場から静かに離れる。

 

 

レックス

「楽園に行きたいんだ!」

 

 

だがレックスが突然叫び、ニアとビャッコは足を止め振り返った。

 

 

ニア

「え?」

 

レックス

「約束したんだ、ホムラを楽園に連れていくって………俺、命を分けて貰ったホムラの願いを叶えてやりたい!だけど、ホムラを狙おうとしている奴らは多い。それって巨神獣の数が減って、住む場所が失くなって、それで争いが起こって、争いに勝つためには強い力が必要で、だからホムラを………楽園の存在が証明されれば、そんな争いは無くなるかもしれない。だけど………」

 

レックスはふと、左手に持つ火炎剣烈火に写る自分を見る。レックスの脳裏に、先程のメレフとの戦いの光景と、防戦を強いられ手も足も出なかった自分の姿が過った。

 

 

レックス

「さっきのメレフって奴と戦って分かった。俺の力だけじゃ、ホムラを守れない………だから、力を貸して欲しいんだ。」

 

 

レックスは顔を上げ、ニアに問い掛けた。

 

 

ニア

「楽園って、アンタ本気でそんな与太話信じてんの?」

 

レックス

「ホムラから故郷は楽園だって聞いた。ホムラは今此処にいる。なら楽園だって………だろ?」

 

ニア

「何だよ、そのモーフみたいな三段論法は………じゃあもし、ホムラが嘘付いてたら?楽園に行くと見せかけて、ある日頭からボリボリ食われちまったらどうすんのさ?」

 

レックス

「ホムラはそんな事しない!」

 

ホムラ

「頭からとか無理です!お腹壊しちゃう………」

 

天馬・レックス・ニア・トラ

「えっ!?」

 

 

ホムラの予想外の返答に思わずギョッとするレックス達。

 

 

クリス

「そうそう、粉々になった頭蓋骨や歯の欠片が食道や胃に刺さってチクチク………」

 

 

共感しているのか頷くクリス。

 

 

クリス

「っておい!マジに受け取ってどうする!?」

 

 

と思いきや、ホムラにツッコミを入れた。

 

 

ニア

「………プクク、アハハハハ!」

 

 

二人のやり取りがツボに入ったのか、ニアは突然大爆笑。一頻り笑い終えると、水勢剣流水に目を向ける。

 

 

ニア

「翠玉色のコアクリスタルは天の聖杯の証しか………」

 

 

シャキン

 

 

そして、ニアは自身が突き刺した水勢剣流水を引き抜いた。

 

 

ニア

「いいよ、面白そうじゃないか。アタシも見てみたくなったよ、楽園!」

 

レックス

「ニア………!」

 

ニア

(緑溢れる天空の大地か。伝説が本当なら、アタシらだって………)

 

 

こうして、ニアはレックス達と共に旅をする事を決めた。一行は止まり木の下で火を焚き、野宿をすることにした。

 

 

レックス

「イテテ………」

 

 

ホムラはレックスの右腕の怪我を治療し包帯を巻いていたが、どうやらレックスは傷が痛む様だ。

 

 

ホムラ

「ごめんなさい!強く巻きすぎました?」

 

レックス

「えっ?いやいや、全ッ然大丈夫!」

 

 

レックスは大丈夫な事をアピールするため右腕を回す。

 

 

レックス

「ほら、こんなに回したって痛くも痒くも(ズキッ)なガッ!?くぅぅ………」

 

 

が、案の定右腕に痛みが走った。

 

 

天馬

「無理しちゃだめだよ………」

 

レックス

「ごめん………でも、だいぶ痛みもひいてきたよ。」

 

ホムラ

「ニアが調合してくれた薬のおかげですね。」

 

ニア

「ニヒヒ。」

 

 

ニアは笑いながらピースする。

 

 

クリス

「………ん?ホムラ、お前も怪我を………」

 

 

クリスはホムラの右腕に傷を見つけた。その傷は丁度、ホムラが治療したレックスの傷と同じ場所。

 

 

レックス

「ホントだ、大丈夫?」

 

ホムラ

「大丈夫、かすり傷ですから。」

 

レックス

「ちょっと見せて、俺がやるよ。」

 

 

レックスは薬と包帯を手に取り、慎重にホムラの怪我を治療する。

 

 

ホムラ

「ありがとう、レックス。」

 

レックス

「いいさ、このくらい………」

 

 

一生懸命に治療をするレックスと、優しく見つめるホムラ。治療が終わると、ホムラの右腕に包帯が巻かれていた。

 

 

ホムラ

「うん、良い感じ。………ね、レックス?」

 

 

ホムラはレックスに身を寄せ、レックスの右腕に自身の右腕を近づけた。

 

 

ホムラ

「同じですね?」

 

レックス

「えっ?ああ、うん………同じだ、ホムラと。」

 

 

ヒュゥゥ~

 

 

突然、レックス達の側を風が通り抜けた。風は焚き火を揺らし、火の粉が夜空にキラキラと舞い上がる。それはとても綺麗な光景だった。

 

 

天馬

「うわぁ………」

 

ホムラ

「キレイ………」

 

レックス

「ああ、キレイだ………やっぱ、ホムラが起こした焚き火だからかなぁ?」

 

ホムラ

「えっ?」

 

レックス

「ああっ!いや、その、変な意味じゃなくて………焚き火起こすの上手だなぁって言うか、え~っと………」

 

クリス

「別に誤魔化す事じゃないだろうに………」

 

ホムラ

「フフッ」

 

 

慌てて誤魔化すレックスを見て微笑むホムラと、呆れながらも微笑むクリスだった。

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

~イーラ基地~

 

 

その頃、アルスト某所にあるイーラの基地にはシンとメツが居た。そこには和風の青い鎧をした赤縁眼鏡の青年《ヨシツネ》と、黄金の翼を持つ少女のブレイド《カムイ》も居た。

 

 

ヨシツネ

「現在、天の聖杯はグーラ領をトリゴの街から離れる様に移動しています。」

 

メツ

「街を離れてだと?そっちには何も無いだろ?」

 

ヨシツネ

「そのまま外に出るのかもしれません。ああそれと、例の定期便も出港した様です。」

 

メツ

「アーケディアでの洗礼か、律儀な奴らだ。」

 

シン

「その件は俺が対処しよう。お前達は天の聖杯を追え。」

 

ヨシツネ

「了解。ところで、ニアはどうします?どうやら彼女は今、天の聖杯と行動を共にしている様です。」

 

シン

「お前の好きにしろ。」

 

 

シンは静かにその場から歩き出す。

 

 

メツ

「シン、あまり無理をするなよ?」

 

シン

「ああ………」

 

 

シンは静かにその場から去った。

 

 

ヨシツネ

「天の聖杯………一度この目で見ておきたいと思ってました!」

 

メツ

「ならお前は運が良いぜ?天の聖杯以上に、もっと面白いモノが拝める。」

 

ヨシツネ

「天の聖杯以上に面白いモノ?」

 

メツ

「ああ、俺もシンも今まで見たことなかった未知の力、その名も………仮面ライダーだ。」

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

~グーラ 造船所~

 

 

翌日、レックス達は旅人の止まり木を離れ、グーラの外れにある造船所跡に来ていた。

 

 

『三匹の子ブタ!フムフム………習得一閃!』

 

 

天馬は月神に子ブタ三兄弟ブックを読み込ませ、トリガーを引き三匹の子ブタを召喚。

 

 

天馬

「みんな、頼んだよ?」

 

 

子ブタ達は早速周囲の瓦礫を集め、木を伐採し、岩を採掘し、何かを作り始めた。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

~旅人の止まり木~

 

 

遡ること数時間前、旅人の止まり木で朝を迎えた頃。レックスはニア達にあるものを見せた。

 

 

トラ

「それ、何だも?」

 

レックス

「サルベージャーの必携アイテム、《雲海羅針盤》。雲海の地図みたいなもんだよ。今日って何年の何月だっけ?」

 

ホムラ

「ええっと………神暦4058年9月5日です。」

 

 

レックスはホムラの教えてくれた日付を羅針盤に入力する。すると、羅針盤が動き出した。

 

 

セイリュウ

「羅針盤によれば、世界樹には此処グーラからが一番近いようじゃの。」

 

天馬

「問題は雲海を渡る船だね。どうしよう………」

 

クリス

「船が無いなら作れば良い。材料さえ手に入れば、ワンダーライドブックの力を応用して作れる筈だ。」

 

トラ

「それならトラ、良いとこ知ってるも!グーラのお尻のところに、今は誰も使ってない古い造船所があるも。近くには森もあるから、材料もきっと手に入るも!」

 

レックス

「よし、じゃあ先ずはそこに行こう。」

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

~造船所~

 

 

レックス達は雲海を渡るため、ワンダーライドブックの力を使って船を作ろうとしていた。

 

 

レックス

「船が出来るまでどのくらい?」

 

クリス

「分からん。朝までには完成する筈だ。」

 

ニア

「じゃあさ、みんなで手分けして食べ物探さない?いくら世界樹に一番近いって言っても、どのくらい掛かるか分かんないし。取り敢えず今夜の分と、明日船で食べる分だけでもさ。」

 

天馬

「そうだね。じゃあ、俺とクリスは近くに集落が無いか探してみるよ。」

 

ニア

「アタシとビャッコは森で山菜を探してみる。」

 

レックス

「なら俺とホムラは桟橋で魚釣りだ。トラとハナは船を守ってて。」

 

トラ

「了解だも、レックスのアニキ!」

 

 

一行は手分けして食べ物集めに向かった。そして数時間後………

 

 

天馬

「見て見て!こんなに沢山分けてもらえたよ!」

 

 

天馬とクリスは小麦粉、卵、チーズ、パン、ジャガイモ、ネギ、ブロッコリー、ソーセージ、そして油と、沢山の食材を持って戻ってきた。

 

 

ニア

「こっちも沢山手に入ったよ!」

 

 

ニアとビャッコも沢山の山菜を持って戻ってきた。

 

 

レックス

「俺達も一応釣れたは釣れたんだけど………」

 

 

だがレックスとホムラは浮かない顔だった。レックスが持ってるバケツを覗き込むと、中には大きくて活きの良いタコが三匹入っていた。

 

 

ニア

「ゲッ!?タコじゃん!」

 

天馬

「おっ、タコだ!」

 

 

タコを見てテンションが上がる天馬に対し、レックス達は何やらテンションが下がっている。

 

 

ニア

「アンタ、何でそんなに嬉しそうなんだよ………」

 

天馬

「何でって………もしかして、みんなタコ嫌いなの?」

 

レックス

「嫌いって言うか、そもそもタコは食べないんだよなぁ………」

 

 

日本では当たり前に食べられているタコだが、実は外国では《悪魔の魚》と呼ばれ忌み嫌われていたという歴史がある。レックス達の反応を見るに、恐らくアルストにも同じ様な風習があるのかも知れない。

 

 

天馬

「そうなんだ………ねぇホムラ。」

 

ホムラ

「はい?」

 

天馬

「今夜の料理番、俺にやらせて。俺がタコを使った美味しい料理を作ってあげる。」

 

ホムラ

「タコを使った………?」

 

レックス・ホムラ

「美味しい料理?」

 

 

それから少し時が過ぎ夕方、一行は桟橋近くで焚き火をしていた。

 

 

天馬

「さてと、それじゃ始めるね。」

 

 

天馬の目の前には小麦粉、卵、ネギ、油、そして予め塩揉みしてボイルしたタコ。さらにボールと、半球が幾つもある鉄板が置いてあった。

 

 

トラ

「天馬のアニキ、いったい何をする気だも?」

 

レックス

「タコを使った美味しい料理を作ってくれるみたいだけど………あれをどう料理する気なんだ………?」

 

 

期待より不安が勝っているレックス達には目もくれず、天馬は小麦粉と卵をボールに移し、水を加え混ぜ合わせ生地を作る。更にネギを輪切りに、タコをぶつ切りにしていく。

 

 

天馬

「紅しょうがと天カスが無いけど、まぁ大丈夫かな?」

 

 

焚き火を挟み込む様に丸太を置き、その間に例の鉄板を置く。半球内に油を塗り、中に生地を流し込む。更に生地の中にぶつ切りにしたタコとネギを入れ、最後に鉄板全体がヒタヒタになるまで生地を流し込む。そして待つこと数分………

 

 

天馬

「さぁ、よ~く見ててよ?」

 

 

天馬は右手に針を持ち、タコが入った生地を鉄板から剥がし、くるりとひっくり返す。鉄板から剥がし、くるりとひっくり返す。天馬が作っていたのは《タコ焼き》だった。

 

 

ハナ

「おぉ、綺麗に丸くなってますも。」

 

 

初めて見る光景に興味津々のレックス達。全部をひっくり返し全体に火が通ったところで、天馬はタコ焼きを皿に盛り付け、ソースの代わりに塩を振りかけた。

 

 

天馬

「お待ち堂さま、天馬特製タコ焼きだよ。冷めないうちにどうぞ。」

 

 

恐る恐るレックス達はフォークでタコ焼きを射し、そして一斉に口に運んだ。

 

 

レックス

「もぐもぐ………ん?美味い………美味いよ天馬!」

 

セイリュウ

「ぬおっ!?コイツは、今まで食べたことの無い味じゃわい!」

 

トラ

「もももっ!?ホントにこれがさっきのタコかも!?」

 

ホムラ

「外はカリ、中はトロ、とっても美味しいです!」

 

ニア

「まさかタコがこんなに美味しくなるなんて、恐るべし………」

 

ビャッコ

「ええ、とても美味しゅう御座います!」

 

 

天馬のタコ焼きはレックス達に大好評。天馬も喜んでもらえて嬉しかった。

 

 

レックス

「もしかして、これって天馬の世界の料理?」

 

天馬

「そうだよ。」

 

ニア

「天馬の世界?どう言うこと?」

 

天馬

「えっ?………あ、そう言えばホムラやニア達には言ってなかったね?実は俺………」

 

 

天馬はホムラとニア達に、以前レックスとセイリュウした話をした。

 

 

ホムラ

「宇宙から来たんですか!?」

 

ニア

「嘘!?マジで!?」

 

トラ

「もももっ!?」

 

 

案の定みんな仰天した。

 

 

天馬

「マジだよ。最初は一人で、暗い廃墟をさ迷ってて、途中で不思議な本を見つけたんだ。その時にクリスと出会って、その後はいつの間にかアルストでレックスとセイリュウさんに助けられて………。」

 

ビャッコ

「なるほど、色々大変でしたね………。」

 

ニア

「そう言えば、一個聞きたかったんだけどさぁ………。」

 

 

ニアはそう言うとフォークと皿を置き、水勢剣流水を手に取った。

 

 

ニア

「天馬の月神も、アタシ達の聖剣も、まるで天馬に呼び寄せられる様に出てきた。しかもアタシ達の聖剣に関しては雲海の中から、オマケにメレフと戦った時、天馬の身体から新しいブックまで出てきた………クリス、あんた確かレックスより先に天馬に会ってるんだろ?何も知らないなんて事は無いよね?」

 

 

ニアはクリスを警戒する様に睨み付ける。

 

 

クリス

「………天馬と初めて会った時、俺は天馬にあるものを預けた。俺の中に眠っていた、かつての剣士達の全てだ。」

 

レックス

「剣士達………それって、俺達が今持ってる聖剣の?」

 

クリス

「そうだ。俺の変身するカリバーの他にも、かつて世界を守るために戦った剣士達が居た。その剣士達の全て、つまり聖剣とワンダーライドブックの全てを、俺のコアクリスタルごと天馬の身体に一時封印した。そしてこの間の古代船で、俺はその封印を解き、闇黒剣月闇を自らのアーツとして実体化。この時、ワンダーライドブックの全てを俺自身の身体に移した。」

 

天馬

「だからあんなに沢山ブックを持ってたんだね。」

 

クリス

「恐らく月神が天馬に呼び寄せられたのは、天馬に月神の剣士となる資格があったからだろう。そして剣士達の全てを得た天馬に月神が反応し、新たなワンダーライドブックが生まれ、雲海中に散らばった聖剣を呼び寄せたんだ。」

 

レックス

「じゃあ、俺達が変身出来るのは………」

 

クリス

「レックス達にも、剣士になる資格があったと言うことだ。聖剣とは剣士を選ぶもの。ブレイドと同じく相手にその資格がなければ、聖剣は力を発揮しない。」

 

ビャッコ

「………それにしてもクリス様、貴方随分と聖剣や剣士について詳しいのですね。何処でその様な知識を?」

 

クリス

「どういう訳か、天馬と会った時から頭の中にあったんだ。何故かは俺にも分からない。」

 

ビャッコ

「そ、そうですか………」

 

 

その後、一行は食事を終え眠りについた。そして翌朝………

 

 

ブヒー!ブヒー!ブヒー!

 

 

ニア

「何だようるさいなぁ………」

 

レックス

「どうした?ふああぁぁ~………」

 

 

一行は子ブタ達の鳴き声で目を覚ました。寝ぼけながら鳴き声がする方を見ると、造船所のドックに立派な木造の帆船がった。

 

 

ハナ

「ご主人、これは!?」

 

トラ

「ふ、船だも!?」

 

 

たった一晩で船を作ってしまった事に、眠気が覚めるほどに驚くレックス達。

 

 

ニア

「凄い………たった一晩でこんなデカい船作っちゃうなんて。」

 

 

子ブタ達は「えっへん!」と言わんばかりに鼻を鳴らした。

 

 

『西遊ジャー!フムフム………習得一閃!』

 

 

その後、天馬が西遊ジャーニーブックの力で船底に雲のフロートを付け、出港の準備が整った。

 

 

天馬

「準備完了!」

 

レックス

「よし………出港だ、みんな!」

 

トラ・ハナ

「アイアイサー!キャプテン!」

 

 

いつの間にか船乗り気分のレックス達。

 

 

ニア

「何でレックスがキャプテン?まぁ楽しいから良いけど!」

 

 

ニアも舵輪の前に立つ。

 

 

レックス

「帆を開け!」

 

天馬・クリス

「帆を開けー!」

 

 

バサッ!

 

 

レックスの掛け声を合図に、天馬とクリスが同時に帆を開く。帆はグーラからの風を受け、ゆっくりと造船所を離れる。

 

 

ホムラ

「動きました!」

 

 

レックスは雲海羅針盤とグーラの地図を取り出し、現在地と世界樹の方角を調べる。

 

 

レックス

「ニア、取り舵一杯!10時の方向へ!」

 

ニア

「取り舵一杯、ヨーソロー!」

 

 

ニアは舵輪を左に勢いよく回す。船は進路を左に変え、帆は追い風を受け速度を上げ始めた。

 

 

レックス

「目指すは世界樹、全速前進だ!」

 

 

「「オー!!」」

 

 

船はグーラを大きく迂回し、世界樹目指して真っ直ぐ突き進む。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

~雲海上 世界樹付近~

 

 

そして出港からおよそ数十数時間、一行を乗せた船は世界樹の直ぐ近くまで来ていた。

 

 

レックス

「これが世界樹………」

 

天馬

「凄い、まさかここまで巨大だったなんて………」

 

ニア

「こんなに近くで見たのは初めてだよ………」

 

 

世界樹の予想以上の迫力に圧倒されるレックス達。だが肝心の世界樹周囲は雲海が滝のように流れ落ちていた。

 

 

レックス

「近くに来たのは良いけど、どうやって行けばいいんだろう?」

 

天馬

「此処から先は船で行くのは無理だね………レックス、クリス、ブレイブドラゴンとジャアクドラゴンで空から行こう。」

 

クリス

「良いだろう。」

 

レックス

「OK、分かった。」

 

 

レックスはブレイブドラゴンブック、クリスはジャアクドラゴンブックを手に取る。二人はブックの表紙を開き、ブレイブドラゴンとジャアクドラゴンを召喚した。

 

 

レックス

「よし、それじゃ………」

 

ホムラ

「ダメ!逃げてレックス!」

 

 

突然、ホムラが叫び出した。

 

 

レックス

「ホムラ、どうしたの?」

 

 

ゴゴゴゴゴゴ………!

 

 

ニア

「な、何だ?」

 

 

辺りに轟音が響き渡り、雲海の中から巨大な竜の様な怪物が現れた。

 

 

ホムラ

「《サーペント》!」

 

レックス

「えっ、サーペント………?」

 

 

サーペントは船に気付き、レックス達を見る。

 

 

天馬

「マズい!クリス、マストを切り倒して!ブレイブドラゴン、ジャアクドラゴン、力を貸して!」

 

 

天馬の咄嗟の判断で、クリスは月闇でマストを切り落とし、ブレイブドラゴンとジャアクドラゴンは船の後方に回った。

 

 

天馬

「みんなしっかり掴まって!面舵一杯、全速離脱!」

 

 

天馬は舵輪を右に勢いよく回し、船を急速で反転させる。即座にブレイブドラゴンとジャアクドラゴンが後ろから船を押し、急いでサーペントから離れる。だがいくら逃げてもサーペントは追いかけてくる。

 

 

ホムラ

「やめてサーペント!どうして?私の声が聞こえないの!?」

 

 

ザバーン!

 

 

サーペントは尻尾を大きく雲海に打ち付け、船を吹き飛ばした。

 

 

レックス

「ダメだ、逃げ切れない!」

 

 

だが突然、サーペントは船を追うのを止め世界樹の方へ戻っていった。

 

 

天馬

「どうしたんだ?あいつ、急に………」

 

ハナ

「皆さん、前!」

 

 

ハナが何かに気付き進行方向を指差す。ハナが指差す先には、グーラとは違う巨大な巨神獣が居た。

 

 

ビャッコ

「アレは!」

 

セイリュウ

「《インヴィディア》の巨神獣!」

 

 

インヴィディアは口を大きく開け、雲海を吸い込み始める。同時に船もインヴィディアの口に吸い込まれ始めた。ブレイブドラゴンとジャアクドラゴンが正面に回り船を押し戻そうとするが、吸い込む力が強すぎて歯が立たない。

 

 

レックス

「ヤバい!食われる!」

 

 

ゴゴゴゴゴゴ!!

 

 

レックス達はインヴィディアに飲み込まれ、インヴィディアは口を閉じ雲海の中に消えた。

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。