最強の生物は絆された   作:悪魔野郎

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小数点の彼方でも

「まふゆ!どうしたの!」

 

私の叫びに反応して真っ先に雫が扉を開いて入ってくる。……ありがたいのだけど腰の剣は普通に怖いです。

 

「……すみません雫。ちょっと混乱してました。……とりあえず、子供服持ってきてくれませんか?」

 

ショタ……男の子になったベヘモットを雫に見せる。

 

「え?まふゆ?誰の子供?まさか、まふゆのーー」

 

「少し冷静になってください。ほらヒッヒヒフー」

 

「そのかけ声は少しおかしくないかしら?!」

 

なんやかんや落ち着いた雫を見て安心しているとドタドタと人が私の部屋に入ってくる。思春期待った中の高校二年生の彼らと若干妄想癖のある先生が見たらどうなるかそれは次の言葉の通りだ。

 

「「「まふゆ(我らの女神に)ちゃんに子供が出来たぁぁ?!?!」」」

 

「雫。貴方が一番対処が楽でしたよ」

 

「……ええ。ありがとう。弁解手伝うわ。……私もよく分かってないけど」

 

そのあと、全員に説明や子供服の調達と色々面倒になったのは言わずもがな。

 

まふゆは大の生物好きだ。アリを踏まないように歩いたり、カブトムシに蜜をあげたり、時には熊と友達になるくらいの程だ。そんな彼女のペットであるベヘモットが人となったらどうなるか。それはーー

 

「あーいーうーえーおー。言ってみて」

 

「あーいーうーえーおー」

 

「うちの子、天才じゃない!?」

 

「まふゆ。キャラが壊れてるわよ」

 

この通り親バカと化す。実際にベヘモットの今の姿はとてもかわいらしい。fateのジークを子供化させたイメージだ。

 

「それで?今日も訓練に行かないの?」

 

「食事のマナーとか箸の使い方とかも教えたいですしね。せっかくハジメさんに頼んで矯正用の子供箸を錬成して貰いましたし」

 

そんなことを言う私に雫は少し困ったような表情をする。

 

「そもそも、私が生物をあまり殺したいと思うような性格じゃないのは知ってるでしょう?ーーそして、貴方も」

 

「……そこまで察しられると逆にやりづらいわよ」

 

苦笑いをしながら訓練所に向かう雫を見ながらふと思う。

 

『どーしたの?』(『』は技能によるベヘモットとまふゆの会話です)

 

「……いや、香織と雫は死ななそうだけどあの二人はどうかなーと思ってね。勇者は完全な死亡フラグの塊の気がしますし、龍太郎は単純に馬鹿ですし。香織と雫は……()()()()()()()の予感な気がしますしね」

 

『?』

 

「気にしないでください。ほら、また豆落としてますよ」

 

そんな苦戦しているベヘモットを見て和んでるとふと思い出した。

 

「そう言えば、彼もこちら側でしょうね。あの目は()()()()だ」

 

そして、しばらくしてベヘモットが探検(迷宮で無双して遊んでる)してるのでブラブラ歩いていた。ちなみに配下扱いのベヘモットの倒した魔物の経験値は私に流れてくる為(ベヘモットの場合は本体じゃない上にレベルアップの概念がない)かなりのスピードで私のレベルは上がってる。

まあ、訓練や実戦をしてない私のステータスプレートを見ようとする者はよっぽど勘の良い者かふざけている奴じゃない限り見ようとしないだろう。だから大事にはならないのだが。

 

目の前の馬鹿共(檜山達)をどうするか検討中だ。そもそも、ハジメさんは優し過ぎる。舐めきってる檜山達なら踏み込みのタイミングで落とし穴を作るだけでも対処出来るし。守るだけなら周りの物で盾を作れば良いのだ。

それをしないのはやる価値が無いからだ。彼は劣等感を持っているわけではない。ただ、面倒なのだ。自分が少しずつ耐えれば済む話ならどうでも良い。つまりは無関心なのだ。

檜山は香織を彼に奪われたと考えているが彼は彼女を恋人にしたいとか考えてないだろうし、そもそもそれは一つの答えで本当は無意識に見下してる彼が嫌いなのだ

 

正直、チート勇者やまだ見ぬ魔王よりも目の前の弱者の刃を持った強者が一番怖い。

まあ、そのような事もあり私なりに彼を認めているし大事なゲーム仲間だ。しかし、ステータスや技能をバレる訳にはいかない。

仮契約した猫で雫と香織を呼んでるからそれで許して貰おう。

 

私はこの時にはもう彼の事を認めていたし、ぜひ香織とくっついて子供を抱かせて欲しいと思っていたが、その可能性は少ないようだ。

 

□雫視点

 

ハジメ君が奈落に落ちて王城に戻った時のことだ。

門にはまふゆとベヘモットが立っていた。

彼女は昔から凄かった。大概の事は一目見れば覚えていたし、勉強も得意だった。超人と言うのは彼女の為にあるのかもしれないと思ったほどだ。

そんな彼女と友達となった切っ掛けはまふゆが間違って私の部屋に入ってきた事だ。周りの態度と真逆のかわいらしい部屋に彼女は『良い部屋ですね』と答えた。それから、まふゆはお土産としてぬいぐるみ等を持ってきてくれたりよく遊びに来てくれた。ふと何でこんなにも仲良くしてくれるのかと聞くと『雫、私は打算で動くような人でなしですが信頼を置く友達はちゃんと自分の心で選んでます。貴方は大変良い友達ですよ』とお茶を啜りながら平然と答えられたのでとても嬉しかったのを覚えている。

彼女との付き合いはかれこれ小学生頃からあるから大体の彼女の気分は分かる。今はーー

 

「ハジメはどこだ?」

 

かなり怒っていらっしゃいます。

彼女が怒ったときは本当に手をつけられなくなる。前に香織(本人は気絶してたので知らないが)がワゴン車に引き込まれた時は瞬時に車のタイヤをパンクさせて。事故らせて救出すると思いきやそのまま犯人を半殺し(まふゆに言われて見なかったが)にして香織を助け出して犯人をそのままで帰ったこともある。

 

「……すまない」

 

光輝の謝罪に聞く耳を持たずに檜山に近づく。

 

「……ハジメは貴方に殺された?」

 

「はぁ?何を言ってーー」

 

次の瞬間、檜山は宙を舞った。

 

「質問だ?君達は負けてなくなく帰ってきたのか?死人を出して?しかもそんな死んだのが確定してるみたいに」

 

彼女の威圧が全員を恐怖させる。中には気絶した者も少なくない。

 

「……すまない。怒りすぎた。私がハジメの死体の回収または生存を確認してくる」

 

「まっ待て!君のステータスや技能は前衛でも無いし配下がたった一人しか居ないじゃないか」

 

光輝はまふゆにそう言うが

 

「母なる海よ。その慈愛を持ってここに停滞を」

 

世界に語りかけるように詠唱する。

 

「願い届くのなら新たな可能性と力を」

 

そして、世界は停滞した。

 

「【衰退する世界】」

 

【衰退する世界】は海魔法の魔法特性の運動エネルギーの減衰に特化した魔法【ハイエンド・キネティック・レジスト・ウォール】を()()()()()()()()()()()()()()()()()()()だ。その効果は百分の一だ。(効果範囲が広いので本来より弱ってるが)つまりはステータスの敏捷が一万は無ければまともに動くことすら不可能である。

 

「う……ご……け」

 

「この状態でもまともに話せるようになったらちゃんと話し聞いてやる負け犬

 

そう言って、彼女は普通に歩く。まるで時が止まったような世界で平然とその姿は神を思わせた。

 

「0.01%のガチャに立ち向かうゲーマーだぞ?小数点の彼方から持ってこないといけないレベルの可能性で十分過ぎるほどだ」




まふゆは怒ると口調が変わります。そして、殺し方もエグくなります。男口調なのは前世に関係してるのかも
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