最強の生物は絆された   作:悪魔野郎

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助けに来ました……浮気ですか?

□ベヘモット視点

 

我が主ながら馬鹿だと思う。

まさか、一応準神クラスでも壊すのに数回は殴らないといけない代物である迷宮の壁を海魔法の再生の阻害とステータスの力業で突破するとか……普通は考えない。

 

実際に主が壁を壊す時に殴る回数は100を越えているし(敏捷も高いので階段を探すよりも結局早いが)一撃一撃が下層の魔物でも即死級の威力を誇る為、体力がガンガン持っていかれてるはず。

 

一応、一枚突破するごとに私が代わって突破したりしているがやはり主が心配だ。この肉体は壊れてもしばらくすれば直るし、海魔法の応用で水が大量にあればすぐに復活することすら可能なのだが。主は一応、体に傷が付くし痛みを感じないわけでもなく肉体は一度壊れればもうお仕舞いだ。

その為『一度休んだら?』と言ってみたら『死体か生存を確認するまでは止まるわけにはいきません』と言って聞かない。変なところが頑固なのは昔からだが流石に指が潰れる程殴り続けているので流石に海魔法で拘束して強制的に休ませた。(一応、僕が進めておいたが)

 

まあ、三日目でダウンして一日中眠ってたけど

そして、七日目。中々ハジメに付けておいた魔力に追い付かないため──とうとうキレた。

 

「……ベヘモット。五秒間使用」

 

『え?』

 

□まふゆ視点

 

私はしびれを切らして【神器解放】を使用する。とはいっても不完全のものだが。【神器解放】は本来なら海属性などの神の領域に踏み込む力(概念魔法レベルの力)を使用者の性格や戦闘スタイルに合わせた神の武器を具現化する技能だ(使用者の力が上がれば上がる程強力になる)本来なら干渉不可能のものに干渉したりと無効の無効を可能とする力を基本的に持っているが極めれば特殊な性質を持たせることが可能だ。それはおいといて今回はまふゆ自体にまだ【神器解放】を行える程の技量が備わっていないため、神の力(神力とする)を存在しているものに纏わせると言う方法で無理矢理生成した。

しかし、纏わせたもの(今回は鉤爪)は数十秒で崩壊するし使用後は魔力枯渇などの代償が発生する。

しかし、効果は絶大だ。一気に二十階分の壁を切り裂く。これでようやく九十九階層目だ。

 

……よく考えたらこれハジメ切り裂いていませんよね? 

 

『……なにしてんの』

 

……多分、大丈夫です。肉を切った感覚はありませんでしたし。もしやってたら香織に殺されてしまうので無いと思いたいです。

 

さて、私の状態は結構ひどいですね。魔力枯渇(ベヘモットのものなのでベヘモットが代償を支払ってますが)とステータスの半減はキツイですね。本来の神器ならもっと効果時間が長いのでしょうか? 

流石にこのまま下に降りるのはリスキーなのでしばらく休みましょう。

 

~三十分後~

 

「ステータスもまあまあ戻ってきましたし。大丈夫でしょう」

 

『魔力枯渇……キツイ』

 

「……ごめんなさい。ベヘモット」

 

そして、最後の一枚を砕いた。

 

そこにはヤマタノオロチを思わせる怪物と少し変な気配の金髪美少女を担いた白い髪のハジメ君が音速に近い速度で宙を駆け回ってるところだった。

もちろん、化物ステータスを持つ私とそれに準じるステータスを持ってると思われるハジメとは言葉を交わす暇はもちろん無い。だがゲーマー同士の謎テレパシーが働きこう会話した。

 

『何でお前居るんだよ!』

 

『何で美少女が居るんですか!』(強くなってることについてはどうでも良い)

 

だが、二人ともお互いを分析する。

 

『迷宮の壁を壊す超パワー? いや、あの壁は錬成の負担が化物だった。なら魔法を合わせての突破が妥当だ。なら白をタンクの奴もろとも単独で任せられる!』

 

『ハジメくんは【錬成師】なら持っている銃は本物。しかし、普通の銃ではないですね。錬成以外の魔法の痕跡を感じますし電気系によるレールガンかな? それならここまで突破できる要素も分かる。じゃあ、守らなくても良いね。少女の守りを優先してもらって私はあのモンスターを潰す』

 

お互いの戦力をほぼ看破しそれぞれの目的の動きをする。

 

ハジメは落ちてきた壁(錬成可能鉱石のみ)を錬成して動きを止める。そして、黒い頭を潰しにかかる。

 

まふゆは動きを止められたモンスターに触り魔法の詠唱を始める。

 

「慈愛の海よ。母なる海よ。全ての生命の源にして恐怖の体現者である我らが母よ」

 

「今ここに冥界の門を持って我らが母に捧げる供物を持って宣言する」

 

「願わくは新たな生命の可能性を」

 

「アドソープション・エレクトリックアニマ」

 

海属性の魔法の特性の一つ。エネルギーの減衰を()()()()のみに特化した魔法。これの質の悪いところは簡単に言えば即死魔法と言う所だろう。

あらゆる肉体の生命活動の強制停止。

どれ程優れた回復魔法だろうが回復出来ず、その気になれば生きた屍と化すことすら可能になる魔法。

これ程の魔法が何故現代に残ってないのには理由がある。まず、魔力が圧倒的に足りない。人間一人殺すのに一流魔術師十人分の魔力を必要とするのだ。割に合わない為に運用は不可能と烙印された。まだまだある。それは本来の詠唱がとてつもなく長い上に詠唱遅延(あらかじめ詠唱しておくこと)の可能時間も短く直接触り五秒以上触る条件などの面倒な所も多い。

 

化物ステータスを持ってる上で海魔法を使用できる彼女にとってはただデカイだけで動きが素早いわけでないのなら、敵ですらない。

 

しかし、彼女は即効で終わらせた理由はある(そもそも、魔力が少い状態で強力な魔法を使うべきではない)なぜなら──

 

『ヤバいヤバい。女たらしの相がよく出ているハジメさんを生きてるなら早く回収しなければ香織のライバルが増えるのは目に見えていたので最速で来ましたが、あの少女完全にハジメくんに惚れてますよね? あーどーしーよー。香織の殺気を向けられるのは嫌ですし雫の負担も増やしてしまいますからね。少女の報告をしないと言う手もありますが後々面倒になりそうですしねぇ。……後ろから刺されませんよね? 私。そもそも、ハジメくんの幸せを考えるならどれが正解なんでしょうか?』

 

かなりガチで焦っているからだ。彼女が唯一恐れるものは香織や雫などの親友からの失望だ。もちろん、ハジメの幸せをゲーム仲間として願っているが香織にこんな報告すれば絶対に暴走するから色々大変なことになるのは目に見えている。

そんな、軽く絶望するような状況を彼女は……諦めた。

 

「香織ちゃん。後ろから刺さないでくださいお願いします」

 

「? 何を言ってるの?」

 

「マスター。マスターの手を煩わせたゴミ(ハジメ)を保護しませんと」

 

「……ベヘモット? 今、幻聴が聞こえた気がしたのですが」

 

「いえ、気のせいです」

 

何か扉が開いてるのでハジメを担いで進む。

そこには質素な家が建っていた。




さて、ベヘモットはハジメが嫌いです。理由はまふゆに手を煩わせた事とその過程に魔力枯渇の二連続と言う地獄を見たからです。
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