今度こそ、定期更新させたい…!
「……」
『撃破されました』
俺ほどの激戦の終わりはあまりにも呆気ないものだった
全身全霊を尽くし、あらゆる技を使い、頭を捻らし、魔王のフリーダムに一撃を入れ、なんとかギリギリ倒した……つもりだったが、魔王が最初から二機同時操作していることを失念していた。
「はぁーー!そんなん、アリかよ!」
爆散したシャドウグレイズから投げ出され、地面に寝っ転がりながら、地団駄をつく。
『普通のGBNならば、違反行為ですが、それが通用しないのがここでは?』
「ウッ……」
最もだ、現にカゲトとて、プログラムの改竄やら、ステージオブジェクトの不正利用等、普通ならアウトな行為だってやっていた。
「……はぁ、そりゃそうだが、こんな頑張った意味が…
てか!なにが『魔剣ダインスレイブ!』…だよ!痛た!恥!…釣られて変なテンションになってた…」
冷静になり、思い返してみれば、恥ずかしい台詞をガンガン吐いてたことに気付き、頭を埋めた。
柄じゃない戦闘行為、悪知恵を働かせ続けたそれは、何よりもカゲトに大ダメージを与えてたようだ
『そのわりには、楽しそうでしたね』
「……うるさい、なわけあるかよ」
そんなはずあるわけもない、こちらは本来の目的を達成できず、無駄な労力だけのとり越し苦労だったのだ。
無意味な戦闘行動など、なんの利益もない、そんな行為が楽しいわけなど……
強いて言うならば、そう
「悔しい、か……」
いつもなら、ミッション一つをミスった程度のことなど、気にも留めず、さっさと次のミッションへと行っていた。
だが、カゲトの全力をとしても敵わなかった強敵を前に、思わずそんな彼には似合わぬ感情を抱く
「てか、そんなことよりもだ!どうするんだよ!?
オルタナティブカードの手掛かりが……」
ふと重要な本来の目的を思い出し、頭を抱える。
これでは何のためにハードミッションに挑んだのかすら分からない。
「貴様!」
「ぬわっ!?」
一人永遠と後悔するなか、唐突に先程まで通信越しに響いてた声がフィールドに響く
驚き振り返ると、そこには魔王のジャスティスが。
そこから魔王の声が高々と発せられる。
片腕は隠し武器の一撃で破壊したが、それ以外はほぼ無傷、やはりどう足掻いても勝機はなかったようだ。
「あ、えぇ、と、これには訳があって…
…いや、なくね?ん?いや、てかなんでこうなって…」
何かが魔王の琴線に触れてしまったのかと、思い、必死に取り繕うとするも、どうすれば良いのか、カゲトには全く検討も及ばない。
というよりも、実際、カゲトにもなんでこんな事態になったのか、把握してない為、どうしようもないのだ。
「貴様、名をなんという?」
ジャスティスがスピーカーから、その主の声を響かせながらカゲトの目の前に降り立つ
「え?あ、はい、ダイバーネームはカゲトだが…」
なにをされるか分かったものではないが、こうなった以上仕方ない、腹を括って正直に話すことにする。
「…………」
「……えーと、あのー?」
沈黙する魔王のジャスティス
どうすれば良いかと、困惑するなか、唐突に目の前のジャスティス光となり消え去り、その主が現れる。
「あれが…魔王…?」
豪勢なドレスをはためかせ舞い降りる少女
漆黒のドレスに、全身にはまさにRPGにでてくる魔王のようなトゲトゲしい飾り、頭には悪魔のような角、そして…
「…えっ?なっ…」
通信越しに声を聞いていたはずなのに、いざその姿を見ると、相変わらず変な声が出てしまう。
「そうとも!我こそが最強の魔王!さぁ!この我が身に驚愕せよ!」
あの、独特の謎すぎる言い回しで高々と叫ぶ魔王と呼ばれる少女。
(…話し方が普通なら文句無しの美少女なんだけどな)
一瞬、その姿に驚いたものの、直ぐ様冷静さを取り戻す
確かにその姿はカゲトが女性慣れしてないのを加味しなくとも、十分に美しいもので、ロビーを歩けば声が掛かること間違いないだろう
最も、その話し方が異色すぎてその先はお察しではあるが
だが、逆にその芝居掛かった話し方のほうが、カゲトにとっては話やすくて助かってはいる。
「それで、その、魔王様は俺に一体…」
「フフフッ…違うな…歓喜せよ!
貴様にはその蛮勇を表して我が真名を賜ろうぞ!
心して刻むと良い!その魂に!」
「えっ?あぁ、ダイバーネーム教えてくれるのか、えーと、ありがとうございます?」
流石に何を言いたいのかが、分かってきた気がする。
魔王の中二語録を必死に頭の中で変換し、答える。
「我が名は、レナエル=ヴァン=シュヴァルツシルト=レーゲルシュタイン!電脳世界を征する究極の魔王ぞ!」
「えっ?あ、え?なんて…!?
レナ…?シュヴァルツシルト?長いって…」
ただでさえ人の名前を覚えるのが苦手なカゲト、その耳に飛び込んで来たトンでもなく長いそれに、困惑する。
というか、GBNのダイバーネームの最大文字数だって、優に越えている、そう思って相手のプロフィール画面を出そうとするも、そんなことしたことないので操作が分からない。
「して!その…先ほどの奥義!あれは…」
「んっ?あぁ、オルタナティブカードのプログラム弄っただけだが…」
操作方法を思い出すのを諦め、魔王の質問に答える。
奥義、というのはカゲトが魔王の機体入れ替えをパクったことだろう
「ほほぅ!やはり鍵盤の使い手か!
あ、あの一撃!すごいかっこよ…ゴホン!我を射ぬくとは大したもの、称賛に値するぞ!」
「んっ?あぁ、まぁ、な…?」
誉められているのか?
どんな状況なのか、分からず反応に困る
というか、一瞬魔王の口調が崩れたような気もしないが、
そんなことを思いつつも、誉められては悪い気もしない
少々得意げに返事をしつつも、やはり慣れない賞賛に頬を歪ませる。
「そう!
我の魂との共鳴、宿命の饗宴!
魔界に降臨して幾年、ここまで魂を燃え上がらせるとは……」
「あー、うん、成る程!」
大袈裟な身振り手振りで捲し上げる魔王とは対照的に、カゲトはどうすればよいのか、と曖昧な相づちをうちながら、愛想笑いを浮かべる。
「我と魂を通わせる決闘、やはり、預言者の信託は真であったか!
フハハハ!我が認めたのだ、末代まで、その栄光を刻むと良い!」
「そう、か、まぁ、俺も…」
そう言われると、つい、仕舞いこんだ言葉が喉元まで出かける。
心が揺れ動いたのは、カゲトとて同じであった。
しかし、そうやって、自分の思いを気軽に口にするなど……
「って、そんなことよりも、その魔王がなんで俺を狙って……」
その言葉を飲み込んで、強引に話を元に戻すカゲト
そうだ、そもそも、何故こうなったのか、なにもカゲトには理解出来てない。
まずは、現状を確認しなくては何も始まらない。
「むっ?汝が我に挑んできたのであろう?
飛び入りでこの我に挑む蛮勇、見事であったぞ!」
「んー、あれ…?」
どうも話が噛み合わなくて頭を傾ける。
カゲトから見れば、ハードミッションをしていたら急に魔王が乱入してきたはずだ、自分の方から仕掛けるなど、そんなつもりなど初めから毛頭もなかった。
「それじゃあ。オルタナティブカードの力を使って、ステージに介入したのは…?」
あの裏GBNごとの介入の際、カゲトのものではないオルタナティブカードの反応を探知した。
それが魔王によるもので、魔王がカゲトを狙ってやってきた、そう予想していたが、どうも、魔王の口振りからして、それは間違いなようだ。
「魔眼の力か、やはり貴殿もその力に魅入られし者、その道理に言葉は最早不要であろう?」
魔王が掌を掲げると、出現する一枚の黒いカード
それは、カゲトの持つものと似ている、しかし、そこに刻まれた数字は……
「我は、Ⅳの刻を司りし力を持つ者なり」
「No4のカード…」
掌で廻る4の数字を持つオルタナティブカード
懐から取り出したカゲトのカードに刻まれた9の物とは、数字以外は同じに見える、しかし、その力は全く違うようだ。
「我の眠れる魔眼の力は我を持ってしても御しきれぬ、禁断の力…
故に、この介在は我の望んだものではなかった
しかし!預言者の神託が貴様を指し示すのならば、刃を交わし合うのは宿命!」
「……ん?えーと、だからその、あの転移はカードによる偶然だけど、さっきも言ってた預言者?ってのが、俺を指名してた…?
って、まさか!?」
頭をフル回転させ、魔王の言葉を翻訳して理解する。
ますます訳が分からない…と、言いたい所だがカゲトにも心当たりがある。
そもそも、今回の魔王探しの発端となった謎のメッセージ、それは確かに魔王の出現を"予言"したとも言える…
「"A"からのメッセージ……」
「ほぅ!汝にも予言が降りていたのか…!
始まりの頭文字を持っ予言者が、我のもとに、魔眼の力を持つものが表れ、我に仇なすと、神託を託した…」
どうやら、魔王のもとにもカゲトと同じようにAなる人物のメッセージが届き、それでカゲトと戦うことになったようだ。
「つまり、全部Aってやつの掌で無意味に戦わされた…ってことかよ…」
あのメッセージを読んだ時点でこうなるのは必然だったようだ。
その事実にガックリと項垂れ、地面に座り込むカゲト
自分の力で謎を解明させるどころか、最初から良いように使われていただけとは…
「むっ…否!我にとっては意義のあるものであったぞ」
同じく利用されていたというのに、魔王は何故か満足げな顔を浮かべながら、項垂れるカゲトのもとへと寄る。
「…その、我と真正面からぶつかり合い、魂を滾らせ、我が半身を貫いたのは汝が始めてだったぞ!
あ、だから、その…」
先ほどまでの大仰な演技かかった話し方は何処に行ったのか、モジモジしながらカゲトに手を差しのべる
「なんだ…その…俺も、柄じゃないが、結構、…」
急変した魔王の態度に驚きながらも、その魔王の言葉に釣られるかのように、カゲトもボツボツと心の奥底に仕舞おうとしていた言葉を出す。
こういう時、どうすれば良いのか分からないが、意気地を張っても仕方あるまい、正直にその手を出す。
「楽しかったぞ、魔王
…まぁ、次は負けないからな」
だから、こちらも意気地を張らずに正直に言葉を口にする。
初めてだった、他人とバトルしてここまで心を揺り動かされたのは。
魔王の手を握り立ち上がると、全く似合わない笑顔を浮かべる
「あ...!う、うむ!…そうであろう!我が魂とのぶつかり合い!それは、何事にも勝るのだからな!」
一瞬、無邪気な笑顔を浮かべながらも、すぐさまに調子をカゲトのその言葉にしたり顔で微笑み答える魔王
「……お、おう」
なんだか、魔王を前にするとなんだか調子が狂う。
そんな複雑な魔王の姿とその笑顔に思わずドキッとしてしまう。
そそくさと、手を引っ込めると、気を紛らわすように、ポチポチと端末をいじり出す。
「それと契約者よ!我が真名を託したであろう?
忘れたとは言わせんぞ!」
「あ、え?契約者?てか覚えられるかよ!
あー、クソ!なんなんだよ…ほんと調子狂うな…」
ただでさえコミュニケーションが苦手なカゲト
カゲトにとって魔王のその態度はなんともドギマギしたり、普通に話せたりと自分でもよく分からない複雑な気持ちだ。
「フハハハハハ!良いだろう!ならば、貴様を我が眷属に加えてやろうではないか!
魂の盟約を!この素晴らしき魔王の全てをその魂に永劫に刻み付けるが良い…」
「……えーと、ん?」
ここに来て理解できない言い回しがきて、首をかしげるカゲト
そもそも、今までのフィーリングで理解していたのも合っているか定かではないものだが、今回のは聞きなれない単語で頭の中で意味を翻訳できない。
「………むっ?」
「あ、えーと、もう一回お願いします」
一瞬流れる気まずい沈黙
「あ、だから、その…我のフレンドに……」
「あー、成程、フレンドか、ってフレンド!?」
理解すると同時に思わず声があがる
道理で頭の中で変換できないわけだ、カゲトは今まで一度もフレンド申請されたこともないし、フレンド欄もずっと空だった
それ故、フレンド登録するなどという考えは頭の中になかったようだ。
「あ、うむ、そうだが…」
「…………」
「……?」
沈黙するカゲト、首を傾げる魔王
二人の間に再び沈黙が流れる
「えーと、フレンド登録ってどうやるんだっけ?」
そう、フレンドのいないカゲトにはその操作が分からない。
GBNのことを知り尽くしたつもりではあったが、まさか、そんな初歩的なことを見落としていたとは自分でも思ってなかったようだ。
「……我に聞くな!」
食い気味に答える魔王
「えっ?」
「…………」
まさか、と思いながらも再び流れる微妙な空気
どうやら、フレンドがいないのはお互い様だったようだ。
このビルドダイバーズシャドウの世界観を使用してくれた外伝作品、『ビルドダイバーズシャドウズ外伝 The_Lost_Destiny』をA-keyさんが投稿してくれました、是非こちらもどうぞ…
https://syosetu.org/novel/291954/
シャドウズの世界観を使用した作品や外伝は歓迎なので、相談等、いつでも受け付けますよ!