ガンダムビルドダイバーズ シャドウズ   作:クロノ09

5 / 12
03 舞い降りる魔女

「オラオラ!堕ちな!」

 

ビームライフルを連射しながらその巨体をブースターで浮かべながらこちらへと突っ込んで来るのは小太りの男の駆るメッサー

 

突然の二対一のバトルの巻き込まれたカゲト、現状は最悪ではあるが、どうやらメッサーを駆る男の方は素人のようだ、先ほどからナノラミネート持ちのコチラのシャドウグレイズに効き目の薄いと判っているはずのビームライフルによる単調な攻撃ばかりが続く

 

 

だが、男が単純な戦法をとるのにも訳がある。

 

「この…!」

 

なんとかビームを避け、レールガンをメッサーに向け放つも、男は焦る様子もなく、そのまま突っ込み続ける。

 

そのままシャドウグレイズのレールガンが直撃するも、メッサーの表面には傷一つついていない。

特別な改造を施し、メッサーの防御力を上げているのか思える光景だが、しかし男のメッサーは完全な素組み、それはすなわち…

 

「ブレイクデカール!厄介なツール使いやがって…」

 

ブレイクデカール、それはガンプラのデータを書き換え性能を不正に劇的に増加させる違法ツール

GBNでは有志連合戦の後のセキュリティパッチ適応により使用不完全となったはずだが、ここはGBNであってGBNではない、どうやらそのパッチは適応されてないようだ。

 

「ヘヘッ苦労して探した甲斐があったぜ、これでこっちは無敵!」

 

「探した…?って割れかよ!どこまでも…」

 

表向きでは使用禁止のツール、それを使ってるからにはなんかヤベー闇取引でもしたものかと思えば、どうやらネットから無料配布されていたのを拾ってきた様子、カゲトのイメージしてた裏世界のイメージが崩れるも、今はそんな場合ではない。

 

「うっせぇ!ガキが!」

 

続けざまにメッサーがこちらへとビームを放つ

 

「チィ…ならば!」

 

この程度のジャブならば問題はない

シールドでビームを弾くと、お返しに背部のミサイルポットから小型ミサイルを放つ

 

 

あの巨体と近接戦闘は不利だ、なんとか二機と距離を取りながら一機ずつ各個撃破していくしか勝機はあるまい。

 

「んなっ…!?」

 

ばか正直に一直線に突っ込んでくるメッサーにミサイルが迫るも、その奇策が通じるのは一対一の場合のみだ

 

「だから言った、油断するなよ」

 

いつのまにかに上空に回っていたグスタフカールのライフルにより意図も容易くミサイルは打ち落とされた

 

(薄々そんな気はしてたが、あの長身男のグスタフカールの方がやり手か…)

 

兄貴、と呼ばれることだけはあるらしい

タイミング的には一発くらいは当てるつもりだったが、そう簡単には物事は進まないものだ。

 

(今のコイツの装備は背部のミサイルに手持ちのレールガンにバックパックリニアキャノン…

クソ!奥手の一つでも用意しておくべきだった

いや…だったら……)

 

カゲトのシャドウグレイズは換装機であり、素の状態では戦闘に特化してるとは言い難い、その上今の装備はオーソドックスな構成、高火力武装を積んでこなかったことが悔やまれる

しかし、ド派手な必殺技は無くてもカゲトには一つ秘策がある

 

「へへっ…油断したぜ…だが、次はねぇぞ!」

 

「落ち着け、数ではこっちが有利だ、確実に仕留める」

 

続けざまに放ったシャドウグレイズのレールガンを防御すると、上から降りてきたグスタフカールはメッサーとともにライフルを構え、それぞれ左右に飛び去る。

 

「っ…!どっちを…」

 

両機とも推力は同等、ならばどちらを迎撃すべきか…?

その一瞬の迷いが仇となる。

 

グスタフカールが左手からグレネードを放つと同時にメッサーがライフルを投げ捨てビームサーベルで突撃する

 

「一気に…」

 

「決めてる!」

 

左右から迫る二機の攻撃、最早回避は不能だ。

 

「チィッ!覚悟決めろ、俺!」

 

ミサイルポットのタイマーをセットしパージ、それと同時にショルダーアーマー回転、ビームサーベルの軌道の先へと滑り込ませる。

 

「なに!?」

 

「んな!?やりやがるなコイツ!」

 

轟音とともにパージされたミサイルポットが迫り来るグレネードごと爆発する。

右腕のナノラミネートアーマーが剥がれるのを無視しながら、その爆発の勢いで左でビームサーベルを振りかぶったメッサーに向けタックルをかます。

 

「ほぅ、だが、これで終わりだ…」

 

しかし、それだけでは打破は出来ない。

 

(間に合うか…いや…!)

 

ぶつかりあい態勢を崩すシャドウグレイズとメッサーとは対称的に、グスタフカールは右腕に装填されているグレネードをこちらへと向ける。

 

勢いでメッサーを蹴り飛ばすも、グスタフカールに背中を向けてる以上回避は不可能

 

「まだだ!ぶっ飛べ!!」

 

それでも、カゲトは意地で食らいつく

彼らしくもないが、この未知の世界を探求するという目的を果たすために、カゲトとて全力だ。

慣れない大声とともに、隠しコマンドを入力、

するとバックパックアームが反転し、真後ろにリニアキャノンをお見舞いする

 

「なに…!?」

 

そこにいたのは勿論、絶好の攻撃のチャンスだったはずのグスタフカール、放とうとカバーをパージした腕部のグレネード装填部に吸い込まれるかのようにリニアキャノンの弾が炸裂する。

 

「あと少し、畳み掛ける!」

 

まだ終わらない、二機が密集して意表をつけたこの好機を逃す手はない。

 

続けざまにコマンドを入力すると、爆風で破損したセンサーを近接モードに切り替え、割れたバイザーフェイスの奥からツインアイが輝く

 

「なっ?ガンダム!?量産型じゃねぇのかよ!」

 

「いや、グレイズだ!」

 

そこは譲れない、ツインアイをしてればなんでもガンダムだと思えば大間違いだ

 

おもむろに手を放ったばかりのリニアキャノンの砲身に伸ばすとそれをもぎ取り、乱雑にグスタフカールへとフルスイング

 

「なっ…!?キャノンで…!?」

 

「殴るんだよ!」

 

吹き飛ばされるグスタフカール、代わりに砲身はグニャリと曲がってしまったが、どっちにしろ問題はない

 

カゲトのシャドウグレイズは決して主人公機ではない、それ故、主人公らしかぬ戦いをしたって良いのだ

 

その異質なツインアイを輝かせながら、いつの間に伸ばしてた1本のケーブルをグッと掴む

 

「フッ!今更そんなもんでなにが出来るってんだ!」

 

ようやく持ち直したメッサーがミサイルの爆発により壊れた右腕を庇いながらも、ゆっくりと立ち上がる

 

良く見ると後ろのグスタフカールも被害は腕一本、二機とも戦意喪失にはまだ程遠い

 

「ここはルール無用なんだろ…ならば、こっちだってな」

 

カゲトとしては好ましくはないゴリ押し戦法だが、この際そんなこと気にする余裕はあるまい

 

「大丈夫ですかい、兄貴?

ヘヘッ、何をしようと無駄なんだよ」

 

目の前のグレイズは折角の好機だというのに立ち止まったまま、なれば今度こそ確実に叩き潰すのみ、とメッサーが一人グレイズを切り裂こうと、ビームサーベルを…

 

「…あり?なんだ?」

 

突如としてメッサーの動きが固まる

あとほんの少しで目の前のグレイズに攻撃が届くというのに、メッサーはビームサーベルを掲げたままの間抜けな格好でまるで氷付けになったかのように固まっている

 

「なんとか成功、か?」

 

腕のガントレットから延びていたケーブル、それが繋がっていた先はメッサーの足先、先ほどタックルした際に打ち込んでいたのだ。

 

「動けってんだ!クソ!何した!」

 

「その割れツールのブレイクデカール、質の悪いパチモンだったからな、そういやそれのソースコードは昔弄ったことあったし、それ経由でステータスを弄ったまでよ」

 

小太りの男のメッサーが使用していたブレイクデカール、それは実は本物ではなく、ガワだけ似ているパチモンだったようだ、精巧に作られた本物ならともかく、フリーサイトに落ちてたようなツールならば、カゲトのシャドウグレイズに搭載されたハッキングケーブル、そこから直接プログラムを弄り、逆利用することが出来たのだ。

 

「見たか!これが天才ハッカーの実力よ!」

 

思ったより上手くいったからか、謎のテンションで高々に叫ぶカゲトだが、内心はぶっちゃけギリギリである。

 

 

(まぁ、ハルの補助なしの戦闘しながらだと、流石にギリギリだったがな

雑にAGI値しか弄れんかったし)

 

かっこつけてステータスを弄った…と言っておきながらも実際は行動速度をマイナスのデバフをつけまくり、実質動きを止めたまでのこと、それに…

 

「残念ながらこっちはその手には…」

 

確かにこれでメッサーはどうにかなったが、長身の男のグスタフカールは腕を失ったものの無事、今はカゲトを警戒し、一度下がりライフルを拾い上げコチラを伺っている

 

(マズイな…こっち動けないだよな…)

 

メッサーに繋がれた、シャドウグレイズのケーブル、今はこれを通してメッサーのエセブレイクデカールを通して動きを止めているが、これ以上離れてケーブルが途切れば、メッサーは自由の身となり確実にやられる。

 

その上コチラは全部の武器を使い切ってしまっている。

動きは止められても勝つ手段がないのだ。

 

(どうする?詰みじゃねこれ?

いや、勝てなくても逃げられさえすれば…)

 

そうとも、別にカゲトは極論この勝負に勝つ必要はない

あの男達からなんとか逃げれば良いのだ

 

しかし、そのためにはバトルを終わらせる必要がある

無論降参したところでまともな目には会わないだろう

ならばいっそ…

 

(二機とも巻き込んで自爆、引き分けに持ち込めばワンチャン…)

 

これしか道はあるまい

あとはグスタフカールが近づいてきた所で動けないメッサーを巻き込んで派手にドカンとやるのみ

 

2.8.8.7、と隠しコマンドを打つとコンソールに浮かび上がる真っ赤なボタン

これを押せば大爆発、うまく二機を巻き込めると良いが、正直上手く行く気はしない。

 

半分ネタで仕込んだ自爆システムがどれほど有効かわかったものではないし、敵側にもまだ何か策があるやもしれない、しかし、この状況のカゲトではこの打開は不可能だ

 

(クソ!そう上手くはいかんか

せめて上手く爆ぜてくれよ…)

 

そんなカゲトとは違い、冷静にシャドウグレイズを見つめていた長身男のグスタフカールだが、痺れを切らしてか、武器を構え、警戒しながらもジリジリと迫ってくる

 

「クソー!兄貴!やっちまって下さい!」

 

「あぁ、任せろ

確実にカードを回収させて貰うぞ」

 

その距離がだんだんと狭まっていく

グスタフカールの攻撃が先か、シャドウグレイズの自爆か、やり直しの効かない一大事に、自爆ボタンの上のカゲトの指が緊張で震える

 

(どうする…本当にこれしか…)

 

いや、自爆以外に手はあるのではないか、そう思いたいが、なにも打開策はない

 

ダメだ、諦めも肝心だ

そう切り替え、有効範囲にグスタフカールが来る瞬間を……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あら、楽しそうじゃない、私も混ぜて貰えるかしら?」

 

「へっ?」

 

「なに…!?」

 

響くのは少女の声

 

その瞬間、迫りつつあったグスタフカールの胴体に深々と刃が突き刺さる

 

何が起きたか理解出来ないまま、グスタフカールは目の前で一人爆炎に包まれる

 

「兄貴ーーー!

よくも兄貴を…!って…」

 

憤慨する小太りの男、しかし、ふと自身の機体を見ると、止まってはずの機体が動いてるではないか、

しかし、それは一瞬の杞憂だった

 

動いたのではない、崩れ落ちているのだ。

いつの間に胴体には体を二分する綺麗な切り口が、そのままメッサーの上半身が地面へと落ちると、グスタフカール同様、轟音とともに爆ぜる。

 

先ほどまでの混沌としたバトルフィールド、そこには唖然と立っているカゲトのシャドウグレイズだけが一人ポツンと残されいた

 

 

「……はっ?」

 

何がどうなったのか、全く理解が追い付かない

先ほどまで絶体絶命だったはずなのに、敵だった目の前の二機が一瞬にして刻まれ、爆発した

意味がわからない

 

「あら?野暮だったかしら?」

 

「なっ!?」

 

再びの少女の声、振り向くとそこにはいつの間に一機の機体が巨大な鎌を構え、佇んでいた。

 

黒と紫のカラーリングに、ドラムフレーム、特徴的な脚部構造、そしてツインアイを覆うバイザー、見たことのない機体だ

 

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

「兄貴!アレは…」

 

「なんでヤツが…クソ!徹底だ!」

 

呆然とするカゲトを尻目に男二人組は自分達を撃破した機体を見るや否や、あわてふためき、足早にログアウトし消えていった。

 

「なんだ、つまんないのー」

 

「あの、えーと…ありがとう?なのか…?」

 

恐る恐る、目の前の機体へと声をかけるカゲト、それ同時に男達が去ったからか、バトルシステムが解除されお互いの機体は電子の海へと還り、ダイバー姿が顕となっていく。

 

「フフッ…お兄さんやるじゃない♪

あんな技、初めてみたわ」

 

フワリとワンピースドレスを靡かせ、謎の機体の主の少女が地面へ降り立つ。

腰まで伸びた紫の髪を揺らしながら、カゲトの方へとゆっくりと、振り向く

 

(…かわいい)

 

まずカゲトの心に出た感想はそれだった。

いくらでも盛れるダイバールックとはいえ、ここまでの美少女を実際にみたのは始めただった。

 

少女には可憐ながらもどこか不思議な印象を感じる

決してカゲトの女性耐性が低くチョロい訳ではない

 

「あ、えーと、その、あなたは?」

 

しかし、同時に疑問が大量に浮かび上がる

意を決して、久方ぶりの女子との会話に望むカゲトであった

 

 

「あら、ごめんなさい、名乗ってなかったわね

そうね、私の名前、今は…確かミヤ…ってところかしら?」

 

ニコリと笑い、手をさしのべる少女、ミヤ

 

「あ、あぁ、俺はカゲトだ、よろしく…」

 

記憶を引っ張りだし、ややぎこちない握手をするも、どうも不恰好だ

 

 

(ミヤ…?)

 

その一方で、少女の名前にどこか聞き覚えのあるような気がして、必死に記憶を洗い出すもなかなか出てこない

思い違いだったか、そもそもカゲトは人の名前覚えるのが苦手なのは言うまでない。

 

 

「そんなことよりも、お兄さん、いきなりあんな奴らに絡まれるなんて、大変だったわね」

 

「…まぁ、な、全く…」

 

ほんと、災難だった

念願の裏GBNへとようやくやってきたというのに、いきなりアンフェアなバトルを仕掛けられるなんて、意味がわからない

 

「あ!そういえば、あの機体で助けてくれたのはミヤさんなのか?

あんな機体、初めて見たし、凄い動きだったが…」

 

「フフッ、ミヤで良いわよ

二体一はアンフェアだと思って、つい参加しちゃったわ

私、こう見えても結構強いからね♪」

 

「あ、おぅ…」

 

ニコリと微笑むミヤ、危うく落ちかけるのを必死にこらえ、平常心を保つ

 

そんなカゲトを察してか、悪戯げに笑いながらも、ミヤはカゲトの回りをくるくる回りながら口を開く

 

「そうそう、お兄さん凄いわね

ここに招待状も、特別許可も使わずに来た人なんて初めてみたわ」

 

「…普通は違うのか?

てか、そのー、ミヤは結構ここに詳しくて?」

 

 

「お兄さんのご明察の通り、私、ちょっとここには詳しいわよ

そうね、お兄さんは鍵の形から鍵穴、ひいては扉そのものを特定して入ったようなものだからね、すごいじゃないの♪」

 

「ま、まぁそれ程でも…あるがな…!」

 

少し調子に乗るも、実際カゲトが裏GBNへとアクセスした手段はかなり高度なものであるのは事実らしい。

徹夜した甲斐があったものだと、自身げに胸を張る。

 

 

 

「通常のサーバーと違いこの裏GBNは独立されたサーバーに存在するから、ダークウェブ上のアドレスを参照する必要があるしね、普通の人はそこにすらたどり着かないし、ましてや、暗号キーの解読やらと…誇るべきことよ」

 

スラスラとそう語りながらカゲトにディスプレイを見せるミヤ、そこにはカゲトが解析した暗号がズラリと並んでいる

 

 

「ふふふっ…!何せ俺は天才ハッカーだしな!

…っと、つまりは俺は不正入場なのか?」

 

さらに調子に乗ってそう高々にいうも、もし不正ならば折角苦労してここまで来たというのに、それが水泡に帰すかもしれないという事実に震える

 

 

「いや、お兄さんだってセキュリティを突破してる訳だし、立派なゼロダイバーの仲間入りよ

それに、ここにはルールはない、入った以上問題なしがここのスタンスよ」

 

「ゼロダイバー?」

 

 

聞きなれぬ単語に首を傾げるカゲト、さっきから疑問だらけだが、なんとかミヤの説明で食らいついてはいるのは流石の理解力だろうか

 

「この裏GBN、正式にいうとゼロサーバーにアクセスしたダイバーは総じてそう呼ばれるのよ」

 

確か都市伝説では裏GBNは存在しない0番サーバーに存在する影のような存在だとか、ならばゼロダイバーという名は非常にしっくり来る

 

 

 

 

「さて、話を戻すと、この裏GBNはお兄さんの知ってる噂の通り、なんでもありな無法地帯…

フフッ…welcome to underground!歓迎するわ♪」

 

バサッと裾をならしながら派手そう声をあげるミヤ

なにが楽しいのか、困惑するカゲトを尻目にニコニコと笑いながら手を振り上げると、パンッと、音を立てながらいつの間に目の前にあったクラッカーから紙吹雪が舞う

 

「ぬぉ!?びっくりした…」

 

尻餅つきそうなるのをなんとか堪え、今一度周りを見る

ハプニング続きだったが、自分の力で噂のこの世界にいけたという事実に実感が沸いてようやく感動してきた

 

今まで地味なバグ程度しか、発見できなかったが、こんな大きな素晴らしい進歩、カゲトには初めてだった。

 

「良い反応♪

さてさて、これも何かの縁、私が色々教えてあげるわ」

 

ミヤがパチン、と心地よく指を鳴らすと目の前に別のゾーンへ繋がっているであろうゲートが出現する

思えばここは辺りに何も殺風景な場所だ、きっとゲートを通して様々な街などと繋げているのだろう

 

「……ずいぶんと、この世界を使いこなしてるな」

 

ミヤの技術に感心するその目は子供のようにキラキラしている

カゲトにとってこのような未知の連続が楽しくて仕方ないのだ

 

「まぁ、ね。

言ったでしょう、私、結構詳しいって

さぁさ、行くわよ…」

 

ミヤに急かされるように恐る恐る目の前のゲートに足を踏み入れる

ここから先、まだまだ自分の知らないことが、そしてまだ誰も知らないGBNの謎が待ち受けてると考えると、さっきまでの杞憂など吹き飛び、好奇心に胸が踊るカゲトだった…

 

それが、災厄の一歩とも知らずに……

 

 

 

 

 

 

 

 

─同時刻 ?????

 

 

「まさか、ガキに痛い目会わされた上にアレすら出てくるなんて、聞いてないですぜ、兄貴ー!」

 

「チィッ…流石に甘く見すぎたか…」

 

薄暗い部屋の中、ボツボツと声を響かせるのは先ほど、カゲトに二体一のバトルを仕掛けた小太りと長身の二人の男達

 

男達が話すカードとは、勿論カゲトが手にした黒い"alternative"のカード

 

とあるルートからそれを二枚手に入れた男達、予定ならば今頃取引相手に引渡し、直ぐ様に巨額のビットコインが支払われ、豪遊生活が待っているはずだった。

 

しかし、何故かその計画は突如発生したカゲトとのバトルにより、カードの所有権が移ったことに、水泡と化した。

 

「それに、あのナインがカード集めをしてるとは聞いてないぞ…」

 

そう、男達が所有していたカードは二枚、一枚がカゲトの手に渡り、保険としてもう一人が運んでいたもう一枚すらも、偶然出くわしたあのナインという男に奪われたのだ。

 

「裏アリーナのランク9、日々莫大な金が動くあそこで不動の9位を誇るあの化物を敵に回したのは非常に不味いぞ…」

 

裏アリーナ、そこは本来禁止されているはずの賭けバトルのRMTが日常的に行われている場所、そのランクには個人の腕以外にも様々な思惑や企業の影が影響してるとされている。

そこでの9位は、裏社会にて取引を生業とする彼らからしては絶対に敵に回したくはないのだ。

 

「こうなれば仕方ない、せいぜい利用させて貰うぞ、オルタナティブ、それに 連中も…」

 

苦虫を噛み潰したような表情しながら男は渋々と懐から何かを取り出す。

 

男が手にしてるのは、求めていたソレとは対称的に、真っ白な名刺だった…

 

 

 

 

 




キャラ募集、感想等も是非ともTwitterの方へ…
https://twitter.com/KuronoF0009?t=5-hABlR7eqUfaE5A3nTIAQ&s=09
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。