『この強化合宿全体についての感想を書きなさい』
雑賀佳史の答え
「この合宿ではAクラスと合同だったこともあり、普段とは違うハイレベルな勉強が出来た。残念ながら保健体育の成績が上がらなかったが、他の教科は軒並み上がり、最終日には現時点の実力も確認できた。
P.S 学年変えて下さい」
教師のコメント
「クラスを変えて下さいというお願いはたまに耳にしますが、先生の教師人生で学年を変えて下さいと言われたのは初めてです。三年生のある女子生徒が狂喜乱舞しそうなお願いではありますが不可能です」
風祭将の答え
「老婆こわい」
教師のコメント
「自業自得です」
木下優子の答え
「 」
教師のコメント
「白紙!?」
「ふぁ……あふ……」
「流石に眠いぞコラ……」
昨日泊まった場所の関係上で朝食は明久達ととることになったのだが、やはり昨日の鉄人との拳の語り合い(一晩中)が堪えたのか、明久と雄二は非常に眠そうだった。
「十割自業自得だろうが。あのまま女子を突き出しときゃ良かったのに」
現にゆ……木下姉は速攻で鉄人に捕縛されてたし。……布団ごと。
「そんな事言われても……ふあぁ……」
「俺達の信用度で信じてもらえるとは思えねぇし……くぁ…やっぱり眠い……」
否定できないのは何故だろうか。
しかし、明久も雄二も先程から全くあくびが止まる気配がない。結構重症のようだ。なんせ普段から塩水が豪華な食事だと豪語しているほどの極貧生活を送っている明久が朝食に一切手をつけていないのだから。
「全く……そんなんで今日の夜は大丈夫なのか?」
「いや、大丈夫も何もお前が参加してくれれば……」
「やだよ面倒くさい」
何が悲しくて社会的に死にに行かなくちゃならないのか俺にはわからん。犯人も絞れてるし、時間かかっても犠牲は雄二のささいなヘタレ心だけだし。
「だよなぁ……くあぁ……」
「何か気合いが入るものがあれば別なんだけどね……」
「そうだな………ふおぉぉぉぉぉぉぉ!!」
「ど、どうしたの雄二!?」
突然、先程まで机に突っ伏していた雄二が奇声をあげて覚醒した。徹夜だったためにへにょりと萎びていた髪も元通り某超野菜人の如く逆立っている。……何があった?
「……効果は抜群」
「康太?」
後ろから康太が現れて、俺と明久にも何かの写真を渡してきた。
「ふおぉぉぉぉぉ!!」
明久まで野菜人になってしまった。
恐る恐る写真を見てみると、そこには浴衣姿の瑞希と秀吉が。しかも瑞希に関しては少し胸元をはだけさせていた。……瑞希に一体何があったんだ? いやマジで。
「すごいよムッツリーニ! 僕は今君を凄く尊敬してるよ!」
「……………(グッ)」
「いや、確かによく撮れてるが……覚醒までするほどじゃねぇだろ」
俺がそう言うと、明久達は信じられないというように俺を見てくる。
「佳史!? お前はこれを見て何も思わないのか!?」
「むしろ俺はお前が霧島以外の写真に食い付いたほうが意外だよ」
「佳史、それでも君は男なの!?」
「うるせぇバカ。バカにバカと言って何が悪いんだバカ。バカは黙ってバカやってろ
「ボロクソ!? 佳史貴様今明久って書いてバカって読んだな!?」
「それがどうした
「ぐぅっ……! 寝起きの佳史は本当に酷い……!」
低血圧なめんな。
しかしムッツリーニの写真技術は素直に凄い。いくら徹夜のテンションとはいえ、霧島以外の女子にそうそう興味を持たない雄二がここまで反応したんだ。この学校の普通の男子なら興奮してタガを外すのはまず間違いないだろう。
「驚いたぞムッツリーニ。まさかここまで凄い写真を撮るとは」
「……会心の出来」
「これで増援も期待出来るってもんだ」
「……これ、他の皆にも見せないとダメかな?」
突然、明久がそんな事を言い出す。
……まぁ、無理もないか。好きな人のあられもない姿を見せたいという奴はそうそういないだろうしな。……ただ単に写真が欲しいということもあるだろうが。
「明久。俺たちの目的を忘れるな」
「う……」
雄二に睨まれて少したじろいだ明久だが、少しすると溜め息をついて雄二に写真を手渡した。
「よし」
『この写真を男子全員に回すこと。女子及び教師に見つからないように注意! 尚、パクったヤツは坂本雄二と雑賀佳史の名の下に死など生温く感じる私刑を執行する』
ガシッ
「勝手に人を巻き込むなゴリラ」
「ちょっと待て盗まれないために仕方な頭蓋骨が割れるように痛ぇぇぇぇぇぇぇ!!!」
とりあえず勝手に人の名前を使ったゴリラに私刑を執行する。しばらくは床でピクピクしていた雄二だったが、復活すると息も絶え絶えになりながらも須川に写真を手渡した。…………あ、須川が覚醒した。
「し、死ぬかと思った……翔子の倍は威力があったぞ……」
「自業自得だクソゴリラ」
「お前本当に寝起きの機嫌は最悪だな!?」
低血圧なめんな。
……と、しばらくは俺に文句を言っていた雄二だったが、しばらく放っておくと諦めたのか席に着く。
「……ハァ、まぁいい。今はそんな事に時間を割いてる暇はねぇしな」
「何だ? また覗きに参加しろってか?」
「それもある。けど今となってはもう一歩先の交渉をするしかなくなったんだ」
「もう一歩先?」
俺が繰り返すと、雄二は重々しく頷く。明久の方を見るが、明久もわからないのかキョトンとしていた。
「……で? 覗きに参加する以外に俺に何を求めるんだ?」
とにかく、聞いてみないことには始まらない。
「ああ。佳史、お前には……
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~Akihisa side ~
「本気でテストを……?」
「ああ。特に文系科目だ」
いきなり何か訳のわからないことを言い出した雄二に対して眉を寄せる佳史。
そりゃそうだ。テストなんて普通は全力で受ける。成績次第で教室の設備が変わるこの学校なら尚更だ。
それでも雄二は表情を崩さない。なにを考えてるかはわからないけど、ふざけてるわけじゃ無いみたいだ。
「高橋女史を何とか出来るのは現状お前しかいないんだ。お前が参加するかしないかで覗きの成功率は20%は変わる。だから頼む!」
頭を下げながらその上で手を合わせる雄二。
確かに、高橋先生のあのヤバイ点数に少しでも食らいつけるのは佳史くらいしかいない。ただでさえ学年の成績トップクラスの人たちは女子ばっかりなのにそこに高橋先生まで入ったら本当にヤバイ。
「……………」
でも、佳史は頷かない。
「……あの写真で動かなかったら、佳史はホモだという噂が流れる」
ナイスフォローだよムッツリーニ! これで流石の佳史も……
「そんなもんどうにでもなる。エロ本の一つでも買えばその噂も収まるだろ」
なん……だと……?
噂を消すためにそんな苦行を!? 僕には出来ないよ! 今でさえかなり一目を気にしてあらゆる手を使ってこっそり
流石は鋼鉄の理性を持つ佳史だ……。一筋縄じゃいかない。
「で、でも! 木下さんの裸が見れ「どうでもいい」………」
……………何か、ゴメン。木下さん。
「……仕方ない、事情を知ってる身としては佳史にあまり使いたくない手なんだが……」
もはや打つ手なしと思った時、雄二がそんな事を呟いて佳史にもう一度目を向ける。
「唯の寝起き写真(in木下姉の財布にあったやつ)をFクラスにばらまくぞ?」
「貴方の意思のままに。マイマスター」
僕達の今までの苦労はなんだったのか。
「…………優子ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ……!!」
……それと、本当にゴメン。木下さん……。仲直りは手伝うからどうか許して下さいお願いします……