アホばっかのバカ達へ~アホメンパラダイス~   作:黒やん

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第43問

「どうだった?」

 

「……佳史の予想通り。今まで以上にテストに熱をいれていた」

 

昼過ぎのFクラスの教室。そこでは雄二がムッツリーニに報告を受けていた。

ムッツリーニの任務はBクラスの動向の確認。それも今雄二が報告を聞いた限りでは万事上手くいっているようである。ついでに明久をDクラスの偵察にも向かわせているのだが、そちらは清水がいる限りFクラスへの強硬姿勢を崩すことはまずないだろう。

 

「ただいまー」

 

「おう、明久か。どうだった?」

 

「相変わらずスゴい敵意だったよ」

 

苦笑しながら言う明久を見て、だろうなと軽く返す雄二。雄二自身単なる確認だったのだ。予想通りでしかない。

 

「さて、後は佳史が上手くやってくれれば万事解決なんだが……」

 

「それなら問題ないぞい」

 

雄二が野性的な笑みを浮かべたところに、秀吉が教室に入ってくる。秀吉は佳史とペアにされていたのだが、何故かそこには佳史の姿はない。

 

「秀吉、策は? それと佳史はどこに行ったんだ?」

 

「うむ、快く了承をもらったぞい。佳史は佳史で先にB クラスに向かうそうじゃ。ワシもすぐにDクラスに向かおう」

 

「おう、任せた」

 

雄二に簡単に報告を済ませると、秀吉は急いで教室を出ていく。恐らくは宣言通りDクラスへと向かうのだろう。

そんな秀吉を見送りながらも、明久とムッツリーニは雄二に怪訝な顔を向ける。

 

「雄二、いつものことだけどそろそろ何を企んでるのか教えてよ」

 

「……説明不足」

 

「企むと言うな策を考えていると言え。……まぁ、確かにお前達には教えておいてもいいな」

 

雄二が座る向きを変えて明久達に向き直ると、明久達も座布団に腰を下ろす。

 

「簡単に言うなら、試召戦争のタッグ戦だ」

 

「タッグ戦?」

 

「ああ、BクラスとDクラスを連続で、しかもFクラスだけで撃退するのは骨が折れるからな。だったら少しでも楽をしたいと思っただけだ」

 

勝てないと言わない当たりが自信家の雄二らしいが、実際に無理とは言い切れないのが何とも言えないところか。

確かに、BDの連合を撃退したとなればFクラスに仕掛けてくるクラスはそうそういなくなるだろう。だが、問題もある。

 

「へぇー……でもさ雄二」

 

「何だ?」

 

「今の僕たちに仲間になってくれるクラスなんてあるのかな?」

 

そう、問題はそこである。今のFクラスはあくまでも覗きの実行犯の中心人物の集まりだと言う風評が払拭出来ていない状況なのだ。ただでさえ男子の発言力が落ちているこの状況では味方をしてもらえるクラスを探すだけでも一苦労だろう。いや、もはや味方をしてくれるクラスが存在しないという可能性の方が高いのだ。

 

「いや、大丈夫だ」

 

「へ?」

 

「勝ち目のない戦いに出るほど俺達はバカじゃねぇってことだよ」

 

「え? ちょっ、雄二!?」

 

そうとだけ言い残すと、雄二もまた教室を出ていくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それで? Fクラスのバカ共は補修の特別課題をやっていると思い込んでいたんだな?」

 

「ああ」

 

報告を聞いて満足そうに頷く根本と、根本とあまり会話したくないのか報告を済ませるとそそくさと自分の席に戻っていく男子生徒。報告を聞いた根本は口元にやらしい笑みを浮かべながら髭のある顎を撫でる。

 

「(このまま行けば今日の放課後までには補給が終わるな……。なら放課後に宣戦布告して、明日の朝に一気に押し潰すのがベストか……)」

 

普段は卑怯な手を好む根本だが、このように戦力差が明らかな場合は正攻法も取る。そんな風に誰を使者(死者)に送るか思案していた時だった。

突然教室の扉が勢いよく開き、そこから誰かが真っ直ぐに根本の机へと向かっていく。

 

「…………」

 

「何の用だ? 雑賀」

 

「……Fクラスは、Bクラスに試召戦争を申し込む」

 

突然の佳史の発言にざわめくBクラス。それは根本も同じだったが、その表情はすぐに昏い笑みへと変わる。

 

「へぇ? ただでさえバカなFクラスが点数も補充していないのに格上のクラスに挑むのか?」

 

「大きなお世話ありがとうよ。……但し、この戦争には条件もいくつかある」

 

「条件?」

 

「……一つ、今回の試召戦争は三クラス以上の乱戦、もしくはタッグ戦とする」

 

「……なに?」

 

三クラス以上の乱戦。それはともすればFクラスが集中的に攻撃される諸刃の剣。というか根本からすれば誘ったクラスの数だけ味方が増える魅力的な提案なのだ。

 

「他には?」

 

「戦争開始は明後日の朝10時からとする」

 

「……まぁ、いいだろう」

 

その条件ではFクラスが補充を終えてしまうが、味方が増えるなら全く問題なあ、と根本は判断する。

 

「そして、最後に……クラス全員が味方する必要はない、という点だ」

 

「へぇ……なら、Aクラスから5人、とかでもいいって訳だ。いいだろう、その条件で戦争しよう」

 

その返事を聞くなり、佳史はすぐに教室を出ていった。

 

「(この戦争、もらったな。とりあえず2年全てに参戦要請を出すか……最優先はA とC、次にE。Dは勝手に参加するだろう)」

 

そうして根本は、頭をフル回転させるのだった。

 

 

 

 

 

「(姫路はE、秀吉はD、島田はC、雄二はA……。もうすでに根回しが終わってるくらいか。他の奴らは補充して、あいつらも交渉が終わり次第補充に戻る。

根本、お前のやり方は遅すぎる。兵は拙速を尊ぶ、それは謀も同じだ。……今回、BクラスとDクラス以外はFクラスと敵対しない。いや、出来ないんだよ)」

 

佳史は、ゆっくりと新校舎の階段を登って行った。

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