アホばっかのバカ達へ~アホメンパラダイス~   作:黒やん

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なくしたバカテス五巻見つかったどー!!(訳:更新遅くなりすみませんでした!!)













第52問

「…………」

 

「…………」

 

「……あー、吉井。保健室に行ってこい」

 

「なんでみんなそんな反応するんですか!?」

 

四時間目。明久が真面目に授業を受けているのを見た鉄人に割と本気で心配され、明久は本日四回目の反応を返す。今日、かつてないほど真面目に勉強している明久は、かつてないほど教師達に心配されていた。

……まぁ無理もない。昨日まで授業中は寝るかゲームするか漫画読むかだった明久が、唐突に真面目にノートを取りながら話を聞いているのだ。教師からしてみれば怪しいことこの上ない。また何か企んでいるか、それとも尋常でない高熱が出ているか。まず考えるのはこの二つくらいだろう。

ただ、残念なことに今回はそのいずれにも当てはまらない。何故なら明久の理由は姉の来襲一択だからだ。……ドンマイ明久。いや、割とマジで。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うぅ……なんでこんなことに……」

 

「今回ばっかりは同情するぞ、明久」

 

放課後。結局弁当やら制服やらで『女でもできたか?』と怪しまれた明久は、勉強会という建前で半ば強引に家宅捜索へと踏み込まれていた。

メンバーは雄二、康太、秀吉、瑞希、美波、そして優子に俺である。俺は何とか逃げようとしたのだが、明久に見逃すか! と言わんばかりの握力で肩を掴まれたのと、教室に優子が乱入してきたことで今帰れば優子(へんたい)と二人きりの密室空間という最悪の状況が成立してしまうので泣く泣く明久の家に行かざるをえなかったのだ。正に前門の(あきら)、後門の(ゆうこ)である。ガッデム。

 

「まぁあれだ。正直この状況だと諦めた方が楽だぞ? どのみち家にいたらあの人が帰って来るだろ」

 

もちろん、帰って来ないのがベストではあるが。

 

「うぅ……やっぱり? でもなぁ……姉さんは非常識だし、何するかわからない怖さがあるんだよ……」

 

「……否定はできないな」

 

「僕、どうすればいいんだろう」

 

「祈れ。何かの神様に」

 

「もう僕に出来るのは神頼みしかないの!?」

 

仕方あるまい。変態の行動は俺も予想すら出来ないのだ。

 

「おい、何やってんだ? 早く鍵を開けろ。みんな待ってんだからな」

 

そんな風に明久と密談していると、雄二から催促の声がかかる。話していて気付かなかったが、どうやらいつの間にか明久の部屋の前に着いていたらしい。

 

「ねぇ雄二。やっぱり場所変えない? ほら、僕の家散らかってるし」

 

「そうか。仕方ないな。そんなに裸Yシャツの屈辱を味わいたいのか?」

 

「なしてっ!?」

 

「何でもくそもねぇ。今のお前に許されている選択肢は大人しく鍵を開けるor裸Yシャツだけだ」

 

「……涙目で上目遣いだとありがたい」

「坂本くん、ボタンは上から二つあけでお願いします」

 

「売る気!? ……もう、わかったよ、開けるよ」

 

『ボタンを?』

「鍵を!」

 

……最近のこの変態の増殖率は何なのだろうか。真面目に瑞希と美波の将来が心配になった瞬間だった。え? 康太と優子? 手遅れだよ。

そして明久がしぶしぶドアを開けると、初っぱなから言い訳できないものが置いてあった。

 

「これは……」

「もはや言い逃れはできんのぅ」

「……決定的証拠。スモーキングガン」

 

明久宅の玄関に干してあったのは、玲さんのものと思わしき下着……まぁぶっちゃけてしまえばブラだった。少なくとも、健全(?)な男子高校生の一人暮らしに置いてあるものでは決してない。

……早速これとか、隠すのは無理だろ明久。

 

「いきなりフォローしきれない証拠がぁぁぁぁ!!」

 

「……明久くん、駄目じゃないですか」

 

明久が早くものたうちまわって悶えている中、今まで静かにしていた瑞希が前に出る。自然と俺達の視線を集める瑞希だが、俺には見えてしまった。……目からハイライトが消えていることに。

 

「このブラ、明久くんに合っていませんよ?」

 

『コイツ認めない気だ!!!』

 

瑞希のやつ、明久に彼女が出来たと思って現実逃避しながら病んでやがる! 安心しろ瑞希、大丈夫だから! 普通にお前の深読みしすぎなだけだから!

そう言いながらずんずん明久の家に踏み込んでいく瑞希。そしてトラップ2は早速リビングのテーブルの上にあった。

 

「ん? これは……」

 

「ハンペンですね」

 

「いや、ハンペンが生でテーブルの上に置いてある家庭ってどんなだよ」

 

「何か言いましたか佳史くん?」

 

「なんでもないです」

 

プレッシャーが半端じゃなかった。マジで。

でもそれハンペンじゃねーよ。紛れもなく化粧用のコットンパフだよ。優子が時折俺の部屋に住もうと持ち込んでくる荷物で見たことあるもの。処分する度に見かけるもの。

そしてトラップ3はすぐそばにあった。

 

「こいつは……」

 

「………………」

 

「瑞希?」

 

「うぅ……もう否定しきれません……」

 

「なんで!? 何でブラとかコットンパフは良くて弁当はダメなの!?」

 

瑞希、KO。決まり手、女性向けのヘルシー弁当。いや、確かに明久がカロリーオフのヘルシー弁当はありえんけども。そして別に明久に彼女がいるわけでもないけれども。

 

「……はぁ、明久。もう諦めろ」

 

「佳史……でも……」

 

「おい、ちょっと待て。佳史お前訳を知ってるのか?」

 

俺達の会話を耳ざとく聞きつけた雄二。それを見て諦めたのか、明久はがっくりと肩を落とすと皆に説明し始めた。

 

「……なるほどな」

 

「明久くんのお姉さんのものでしたか……」

 

「アキにお姉さんがいたのね」

 

「良かったわね、美波に瑞希」

 

良くねーよ。主に俺と明久が。バカか優子。

 

「でも、どうして吉井くんはお姉さんの存在を隠そうとしたのかしら?」

 

「それは……実は、僕の姉さんはかなり……いや、ものすごい珍妙な性格をしているというか何というかどう言ったらいいのか……」

 

視線をあっちこっちにさ迷わせて冷や汗を流しながらしどろもどろになる明久に冷たい6つの視線が突き刺さる。

 

「めんどくせぇ言い訳なんかしてんじゃねぇよ。バカは正直にゲロっちまえ」

 

「雄二、キミはいつか僕が直々に殺す。……ええと、単純に言えば……」

 

尚も言いよどむ明久を見て、俺は溜め息を吐いて目頭をほぐす。すると、ガチャリというドアの開く音と共に背中に柔らかい感触が押し付けられた。

……おのれ、一番入り口よりに突っ立っていたのが間違いだったか。

 

「いらっしゃいケイくん。お風呂にします? お風呂にします? それともわ・た・し、ですか?」

 

「気色悪いこと口走ってんじゃねぇよこの駄姉痴女が」

 

そのまま背中にアホを乗せて腕を掴んで背負い投げをする。しかしそこはアホで変態とはいえハイスペック痴女。綺麗に一回転すると明久の隣に着地する。

 

「……あら? いらっしゃい皆さん。すみませんが、これからケイくんとしっぽりねっちょりしなくてはいけないのでこの愚弟を連れて行ってくれませんか?」

 

「とりあえず、佳史は渡しません。佳史としっぽりねっちょりギシアンするのはアタシです」

 

条件反射のようにアホ……もとい玲さんに挑発をかますバカ……もとい優子は置いておき。一連の玲さんの行動にあぜんとしている他のメンバーを見て、明久は深く、そりゃもう深く溜め息を吐き、絞り出すように声を出した。

 

「……見ての通り、佳史のストーカー予備軍です……」

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