予め行っておきますが………
酷い文章ですのであしからず。
「ギャァァァあああ!!」
「どうしたァァああ!!」
今日も彼女を呼ぶ声がする。雫は叫び声が聞こえてきたクラスまで走らないように超★速歩き(普通に走るより速いんじゃね?)で急行すると、スパーンと扉を開き中に駆け込む。反動で扉が戻ってきたりはしていない。
「えぇ……?」
そしてその中で見た光景は、彼女が思わずそんな間の抜けた声を上げてしまうほどに反応に困るものだった。
まず1つ。床が水浸しであること。これは直ぐ側で割れている花瓶が原因であろう。そして部屋の端による女子生徒たち。これはまあいい。ただ、彼女の目の前でひっくり返っている男たちは何がどうなるとこうなるのだろうかというほどにきれいにおりかさなっている。下の人重そう。ドンマイ!
「どったの……?」
全く状況が読み取れない雫は、教室の端で苦笑いをしている女子たちに視線を送る。彼らは殴り合いの喧嘩をするような仲ではないし、そもそもこんな現場に実際に鉢合わせるとは思いもしなかった。漫画かアニメかここは?あ、小説だわ。
「あはは……実は……」
一人の生徒が一部始終を説明する。
なんでもゴキ……この世に存在すること自体が罪であり価値すらない黒い物体が出たらしい。慌てて何人か男子生徒が退治しようとしたらしいのだが、とりあえず箒で武装した一人が花瓶をひっくり返し、床は水浸しに。例の物体を追いかけていた男子たちが見事に足を滑らせすっ転び、
「今に至ると……。」
はあ、大きくため息をつく雫。暴力沙汰の事件とかではなかったことに安堵しつつも相変わらずな様子に呆れも見える。
「……あれ?ゴキはどうなった?」
「「「「あ。」」」」
ふと雫が思い出したように言うと、その他全員も顔を見合わせ、今更思い出したように口をあんぐりと開ける。
「…………探し出せええエエエ!!!!」
その日学校では全校生徒全教員総出でゴキブリ退治が行われ、それから数年の間はゴキブリの出現情報は皆無となったそうな。
さて、今でこそこんなふうに周りを纏め上げたり様々な方面から慕われている雫だが、一昔前、正確には小学校低学年頃の真夏の日差しが眩しい雪の降る夜のこと。
簡潔に言うと彼女は虐められていた。それはもう結構手ひどく。
元々剣術道場の長女として生まれた彼女には剣術の才があり、家族に進められ門下生として修行を積んでいた。彼女自身の才能と努力により年上相手にでも互角以上の戦いをするほどだった。美少女剣術として雑誌に取り上げられたこともある。ただ、それ故に身体能力も高く、学校で重い荷物を率先して運んだり、体力仕事などを引き受けているうちに「男女」だとか、「ゴリラ」だとか言われるようになってしまった。
いやめっちゃいい子じゃんふざけてんのかてめーら。
それに服装も自然と動きやすいパンツスタイルでいることが多くなり、オシャレを楽しむことが少なくなったのも一つの要因だろう。
そういったストレスからなんとなく自身のあり方に疑問を覚え始めたあるとき、彼女の目の前に救世主が現れる。天之川光輝なるキラキラネームマン転校生だ。彼は優しく、相談にも乗ってくれた。いつだって自分のことを肯定してくれた。
しかし悲しきかな。それは魔法が見せた幻影だったのである。しかもたちが悪いやつ。
ある日雫は虐めのことを光輝に相談した。彼ならなんとかしてくれるのではないか。そう思っていた自分がいたのだ。今思えばぶん殴ってやりたいと思う。さて、その日道場へとやってきた光輝は「いじめられることはもう無い。彼女たちもそう言っていた」と、雫に伝えた。そしてルンルンで学校に向かった雫。
はっきり言おう。虐めのグレードは上がっていた。
理由は光輝に色目を使ったことらしいが、色目ってなんだよ。お前らそれ昼ドラとかのドロドロしたおばさんとかが言うセリフやぞ。光輝くんは私を好きなはずなのにってませすぎだろテメーら。体育の着替え男女混合でやるような年だぞ。大丈夫か色々と。
さてさて、本筋であればここでもう一人の幼馴染と出会ったり光輝の尻拭い役に回ったりするのだが、この世界線の雫は他の世界線とは一味も二味も三味も違った。
彼女に何が起きたのか。
そう。
吹 っ 切 れ た の で あ る 。
力が強くて何が悪い。おしゃれして何が悪い。可愛いものが好きで何が悪い。男っぽくて何が悪いっ!
いや悪くないっ!!
そのとーり!
次の日雫は部屋の模様替えを行い、全ての元凶である道場を辞めるべく会社で言う退職届を書き殴って師範の父親と祖父の顔面に殴りつけると、近場の建設現場から鉄パイプを一本失敬して学校へと赴いた。泥棒?知らんな。そして画鋲が敷き詰められた上履きから画鋲を当たりに振りまき、落書きだらけの机と破られた教科書を主犯の生徒のものとすり替え、花瓶を教卓に置き鉄パイプを肩に担いで席につく。入ってくる生徒全員にガンを飛ばし、近づいてこようものならパイプを床に振り下ろして威嚇する。先生が話を聞いても全く信用されていないために無言の拒絶攻撃。あまりの威圧に先生は泣いた。ただならぬ雰囲気にとうとう光輝が雫にワケを聞きに来たので虐めのことを話したのだが、彼はいじめっ子たちが言った言葉を信じているようで、「雫の思い違いじゃないか?」などと抜かしたため、高感度が下向きにカンストしてもはや関わることすらしなくなった。適当にパイプで追い払った。
娘の急な変わりように家族は目をひん剥いた。特に殴りつけられた父と祖父はガチでショックで寝込んでぶっ倒れるほどだった。しかししばらくして家族は気がついたのだ。
雫の部屋にはいつの間に買い揃えたのか可愛いぬいぐるみやメルヘンチックな小物などがおいてある。一体どうしたというのだ。今までこんなもの………………………………………………………………………………………………………………………………あれ?普通じゃね?逆に今までの部屋が殺風景過ぎたために違和感しかなかったが、年相応の可愛いもの好きな小学生の部屋と言える。
まさか自分たちは娘を追い詰めていたのでは?剣術の才能に目がくらみそれにしばりつけて欲しいものをほしいとすら言えないようにしてきたのは自分たちではないか?それに気がついた八重樫家はその日お通夜状態だった。
そして帰ってきた雫を家族総出で抱きしめた。なんか目つきが悪くなってたり口調が荒くなってたり鉄パイプ担いでるような気がしたがそんなもの無視して抱きしめた。イイハナシダナー。
こうして雫は自分の信念を貫き通せる強さを手に入れ、幼馴染の尻拭い役と言う大変不……もうそれは世界の終わりのごとき名誉な立場を脱却することに成功したのである。
さて。そんなこんなで数年の時を空の彼方にふっとばし中学へと進学するときが来た。そして雫はあることに気がつく。
あれ?このまま進学したらまた3年間光輝プラスα(脳筋ゴリラとなんか頭にお花畑がある女神とか呼ばれてる人)と一緒に過ごさなきゃいけないのでは……。
うん。
い や だ ★
と言う訳で思い立ったが吉日。使い方あってるかなこれ。
ともかく雫は家族にその主を話すと、家族は割とすぐに了承してくれた。一応虐めのこととかもあったからか、そういうことを雫が言ってくるのは想定内だったらしい。わお決断が早い。
と、言う訳で八重樫一家は引っ越す……といっても隣町の学校に通うために3年間だけ借家で暮らすだけなのだが、とにかく引っ越した。
が、よしこれで完璧……というわけには行かなかった。
入学早々雫がとある男子生徒に絡まれたのだ。えぇ……そんなことあり得るのかよ、というツッコミを心のなかでしている読者諸君。これはフィクション。作者の好きなように世界を改竄できるのだよ(黒い笑み)。この学校、なぜか知らないが自称ワルが何人か在籍しており、この男子生徒はそのうちの一人だった。てか自称ワルって恥ずかしくないんかな。多分大人になると黒歴史だね。ドンマイ!
はてさてこの男子生徒、このあとどうなったかというと、まあ教えるまでもないだろう。
勿論雫にこてんぱんにやられた。ザマァ。道場は辞めたが彼女の戦闘能力は53万なのだ。そこんじょそこらのチンピラにやられるようなヤワな女ではない。
そこで終わればなんか強い女子生徒がいる、で終わったのだが、そこで雫元々の面倒見の良さが火を吹いた。その自称ワルくんの怪我の応急処置、そしてアフターケア、そしてくだらないことに暴力を使うことへとお説教までもを行ったのだ。いやオカンじゃん。このあと男子生徒は雫の舎弟を名乗るようになったとかなんとか。
次の日、その噂はまたたく間に学校中に広まった。しかも盛大に尾ひれがついて。結果彼女は「姉御」と呼ばれるようになり、なんか頼られるリーダーのような立ち位置に入学数日にして就任したのである。わあすごい快挙。彼女はあまり嬉しそうではないがな。
しかしまあ頼られること自体は嫌いではないのか、今もこうして生徒会会長何ぞをやっているわけなのだが。
かくしてヤンキー雫は生まれた。こんなひどい文章で彼女のことが伝わったのかは定かではないがとにかく生まれた。その口調や態度、戦闘スタイル(?定期)から怖いヤンキーのように見えるが、その人望から全校生徒全会一致により生徒会会長に選ばれるようなすごい姉御だ。
姉御が今後どんな人生を歩むのか。それは、
彼女が進みたい方に進むんじゃね?知らんけど。