「アルベト、各階層守護者に連絡し六階層の闘技場に集合するよう伝えよ。」
「はっ!」
そう言い立ち去ったアルベトを見ながら、深い溜息を吐く。
「どうなってるんだ…一体」
サービス終了と共に強制ログアウトされずにNPC達がまるで意思を持ったかの様に動き始める異常事態、アルベトに対して行った実験で匂いやユグドラシルで出来なかった細かな表情そしてR18行為に当たる事をしてもBANされなかった事から続編にあたるユグドラシル2の可能性は消えた…そして考える限り現実的ではないがもっとも現実的な考えが。
「異世界転移ってやつか…」
そうだとすれば帰る手段を考えなければ……だが帰ったとしても待っているのは仕事漬けの毎日でしかも帰りを待ってくれる人など誰もいない、帰る意味などあるのだろうか?
そう考えた後にあぶらげの顔が浮かぶ、自分とは違い帰りを待ってくれる人がいるかも知れない、もし帰りたいのなら彼女の為に探さなくては…一度会って相談しよう。
「確か…第六層の最奥だったよな」
そう思い出す様に言いながら、最寄りの円形闘技場まで転移する。
「とぅ!」
闘技場に着いたモモンガの前にそんな声と共にこの階層の守護者の一人、アウラが観客席から降りてきた。
「ようこそモモンガ様!今日はどのようなご用事でしょうか?」
「あぁ…実はだなあぶらげさんの所に行こうと思ってな」
「わー!あぶらげ様の所ですか⁉︎」
キラキラとした視線を送るアウラに、第六層に拠点たる神社を置いあり直接転移が出来ない都合上良くアウラや弟のマーレに合っていたのだろう。
「そうだな…アウラよマーレと共に会いに行かないか?」
「えっ⁉︎ご一緒して良いんですか⁉︎」
「あぁ勿論だとも、それにお前達が来たらあぶらげさんも喜ぶだろう」
お待たせしました…とマーレがはふ…はふと息を切らしながらやって来て、遅い!と叱られる所を何とか宥め、3人は最奥の神社に進む。
道中の重苦しい雰囲気を出す薄暗い森の中をNPCである怪異らに茂みの中から見られながら暫くすれば寂れた朽ち果てた無数の鳥居が姿を現す、その中を歩いていけば突然開けた場所に代わり目的地の神社に到着した。
ギィ…ギィ…と木が軋む音を聞きながら、モモンガは本殿の扉を開く。
「……あぶらげさん?」
其処には誰も居なかった。
「某の攻撃を逸らすとはやるでござるな!」
夜の森を当てもなくあぶらげは歩いていると何処からともなく飛んできた攻撃を鞘に入ったままの刀で逸らすと、前方からその様な声が響く。
ズン…ズン…と足音を響かせながら姿を現したそれにあぶらげは素っ頓狂な表情をする。
「デカイハムスター?」