ラスト・ナンバー 101人目のアタシ『最高に美味しいイチゴのケーキのプレゼント!』(2022年式波・アスカ・ラングレーの誕生日記念LAS短編) 作:朝陽晴空
新世紀エヴァンゲリオン for Children(本編完結)のhttps://syosetu.org/novel/260681/
リメイク前作品、チルドレンためエヴァンゲリオンの外伝をリメイクしたものです。
★今更ですが、復帰してからの新作用のWeb拍手ページを作成しました。
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<第三新東京市郊外 加持邸 リビング>
使徒戦役と呼ばれる使徒と人類との戦いが終わってから10年後。
アスカとシンジは打ち解けたシンジの伯父と伯母と一緒に大きな家である加持邸で暮らしていた。
使徒とネルフとの戦いの途中でリョウジは事件に巻き込まれ命を落とした。
ミサトは10年前、娘と息子を連れて外国へと移り住んだ。
戦争で孤児になった外国の子供達に、平和を守る大切さを教えると言うリョウジの遺志を継ぐためだった。
シンジとアスカとレイは住み慣れた家を引き継ぎ、まだ保護者が必要な年齢だった3人はシンジの伯父夫婦に家族のやり直しと同居を頼んだ。
伯父と叔母がすっかり寝静まった夜更けに、アスカとシンジとレイはリビングのテレビで赤ん坊のシンジとアスカを抱いて、ゲンドウやコウゾウと平和について話すユイとキョウコ達の様子を撮影した録画映像を見ていた。
ゲンドウ達は、子供達のために平和を守って行かなければならないと理想を語っていた。
「アスカ、こんなに夜遅くまで起きていると体に障るよ」
「うん、でもこの映像はシンジとレイ一緒に観たいから」
高校を卒業したアスカとシンジとレイは、平和維持機関ネルフの一員として働く事となった。
新ネルフは使徒との戦いの最後の大戦で罪人となってしまったエルデ=ミッテ博士から『機械に心を持たせる』ノウハウを受け継ぎ、新しいエヴァンゲリオンを造り出した。
シンジが再創造したこの世界でも、残念ながら平和を乱す戦争は起きている。
抑止力のための新エヴァンゲリオンだとは言え、兵器の必要ない世界をシンジ達は願っていた。
「アタシとシンジはいよいよママとパパになるのね。待ってて、また直ぐにパイロットに復帰して平和を守るから」
妊娠が判明したアスカは新エヴァのパイロットを降ろされ、長い産休を取る事になった。
パイロットである事が胎児にどんな悪影響を及ぼすかわからないからだ。
「アスカの分は僕とレイが頑張るよ」
「うん、それよりも元気な赤ちゃんを見せて、アスカお姉ちゃん」
シンジの言葉にレイも同意してキラキラした瞳でアスカを見つめた。
次の日の早朝、今日こそはアスカに家事をやらせないと早起きしたシンジとレイだったが、台所で伯母と一緒にお弁当を作っているアスカを見て困り顔で笑った。
「ダメだよアスカ、無理をしちゃ」
「私も寝ていて良いって言ったんだけどね、聞かないのよ」
シンジの伯母もそう言ってため息を吐いた。
「妊婦は適度な運動をした方がいいのよ。ゴロゴロしてたらおデブさんになって、シンジに2人目の相手をしてもらえなくなるわ」
アスカは産後も体型を維持して、シンジが2人目の子供を希望するような魅力的な女性で居たいようだ。
「少しぐらいふっくらしたって、僕はアスカを抱きたいって思うよ」
シンジはそう言って背中からエプロン姿のアスカを抱いて、しっかりとお尻にも当ててアピールした。
シンジの伯父夫婦も今の若い男女はこうなのかと口を酸っぱくせずに流していた。
「お兄さん、早く朝ご飯が食べたいんだけど」
シンジがアスカを抱いていたら朝食は永遠に完成しない。
レイが冷静な声でそう言うと、シンジはアスカから身体を離した。
朝食を食べ終えたシンジは玄関でアスカに見送られる。
「ほらシンジ、忘れ物よ」
「カバンの中は確かめたけど、今日必要な物は全部入っていたよ」
シンジがアスカの質問に首をかしげて答えた。
「んもう、いってきますのキス」
「あ、そうか、一番大事な物を忘れるところだったね」
シンジはそう言ってアスカを抱き寄せてキスをした。
同じ玄関に居るレイはジトッとした目でそんな兄姉の2人を見る。
「あのゲンドウもついに孫を持つのか」
「忙しいお父様よりも先に伯父様が抱く事になってしまうかもしれませんね」
シンジの伯父が玄関から戻って来たアスカにそう言うと、アスカはそう答えた。
ネルフに出勤するための車を運転するのはレイの役目だった。
「今日も安全運転で頼むよ」
「大丈夫、制限速度ギリギリで走るから」
助手席に座ったシンジがレイに話し掛けると、レイは平然と答えた。
シンジが運転すると信号が赤になってしまう交差点も、レイはスレスレで走り抜けるのだ。
レイが運転すれば出勤時間が大幅に短縮されるのは事実である。
「ミサトさんみたいなことしないでよ」
「加持特佐にはお姉ちゃんの妊娠の事、知らせたの?」
「適齢期なんだから早く子供を作れって毎月の様にモールス信号が届いてたよ」
車の中でシンジとレイは声を上げて笑った。
「お姉ちゃんの出産予定日はいつごろなの?」
「去年の12月4日に止まったから、今年の9月10日になるんじゃないかって」
「まだ男の子か女の子か分からないの?」
「うーん、後半月ぐらいすれば分かるって」
アスカはまだ妊娠初期で、胸が張ったりお腹が膨れ始める頃だった。
「そう……それでお姉ちゃんにあの事は話したの?」
「いや、今は言えないよ」
レイに尋ねられたシンジは、首を横に振った。
アスカはもう少しで妊娠9週目と言う大事な期間に差し掛かろうとしている。
8週目まで心拍数の聞こえていた赤ん坊の心臓が止まっていたなんて事もありえるのだ。
「お姉ちゃんを気遣う気持ちは解るけど、お兄さんが勝手に決めたら起こると思うわ」
「でもレイや伯父さんや伯母さんもアスカの側に居てくれるし、きっと平気だよ」
「私じゃ怒ったお姉ちゃんを止められないからね」
レイがそう言うと、シンジは苦笑いを浮かべた。
<第三新東京市 総合病院>
時は過ぎ出産予定日が近づくと、アスカのお腹はすっかりと大きくなっていた。
医師の診断を聞くアスカの隣には、この日は非番のレイが立っていた。
魔の9週目を超えて赤ん坊が元気に育っている事を聞くと、アスカとレイは顔を見合わせて喜んだ。
「お姉さんは生まれて来る女の子の名前はもう考えているの?」
「シンジに相談しないで勝手に決めちゃったけど、ミライって呼んでるの」
「そう、良い名前だと思うわ」
レイはアスカの母親のキョウコ、自分がアスカの名前繋がりでミライと名付けたのだと推測したが、レイはアスカより熱心に姓名判断の本を読み漁っていた。
「碇ミライはみんなから好かれて協調性もある、情熱的な女の子になるって姓名判断では出ているわ」
「ふーん、占いはそんなに信じるほどじゃないけど、アタシとシンジの長所を受け継ぐなら、良い事じゃない」
レイの話を聞いて、アスカは上機嫌になった。
ただし波乱万丈で辛い人生を送ると言う姓名判断の部分は告げなかった。
碇ミライちゃんは英雄にもなる人物……か、どんな人生を送るのだろうとレイは想像を巡らせた。
家に帰ったアスカが娘のミライは元気に育っていると報告すると、シンジや伯父夫婦は喜びの表情を見せた。
しかしシンジはもっと大喜びすると思ったのに、反応が薄い事をアスカは感じ取った。
ミライと勝手に名前を決めてしまった事にもつっこまない。
何かに悩んで上の空だと言う事は分かっていた。
「白状しなさい、アタシに何か隠しているでしょう。独りで抱え込んでしまわないで相談する、それがアタシ達の約束でしょう?」
アスカに言われたシンジは、大きく息を吸い込んで深呼吸してから話し始める。
「今年の1月、パギブシニア共産国の首相が変わった事は知っているよね」
「ええもちろん、アタシも産休中だけど平和維持機関ネルフの一員なんだから、それくらいは分かるわよ」
「そのパギブシニア共産国の首相が、隣国のミロスハグー社会主義国を武力併合しようと画策しているらしいんだ」
「えっ、戦争を起こそうって言うの!?」
セカンドインパクト後のバレンタイン休戦条約の後、世界ではここ数十年、戦争は起きていない。
シンジが創り出したこの世界で、戦争が起こるなどアスカにはショックだった。
「それで新エヴァを戦争の抑止力として近くの国に待機任務に就かせる辞令が出ているんだけど、僕は断ろうと思うんだ」
「でも、お父様はその必要があると判断したから、シンジに辞令を出したんでしょう?」
「うん、パギブシニア共産国の政治体制が変わるまで注視する必要があるって。でも、僕は世界の平和も大事だけど、アスカと生まれたばかりのミライと離れ離れになりたくない!」
シンジが苦しげな顔でそう叫ぶと、アスカは堂々とした態度で笑い飛ばす。
「そんな事を気にしていたの? アタシ達は問題ないってば」
「そうだよね、伯父さんや伯母さんが側に居てくれるから安心だよね」
「違うわよ、アタシ達もシンジについて行くって言っているの」
アスカはそう言ってシンジに向かってウインクをした。
<第三新東京市 共同墓地>
そして9月の出産予定日通りに、アスカは元気な娘、ミライを出産した。
アスカとミライの体調を気遣って、シンジは赴任の日を来年の春まで先延ばしてもらった。
代わりにレイが先行してパギブシニア共産国の国境近くへと新エヴァのパイロットして監視任務に付いていた。
シンジとミライを抱きかかえたアスカは出国前に共同墓地へと向かった。
ここには使徒との長い戦いで命を落とした人々が葬られている墓地である。
エヴァ量産機を足止めするために散って行ったオーバー・ザ・レインボーや戦略自衛隊の隊員達。
ゼーレの傭兵部隊により殺されてしまった剣崎キョウヤ、加持リョウジ、加賀ヒトミ。
エヴァンゲリオンのダイレクトエントリー実験の犠牲になってしまったユイとキョウコの墓もあった。
墓地の中の小高い丘に登ったシンジとアスカは墓地に眠る人々に語りかけるように話し出す。
「使徒が居なくなっても、残念ながら人間同士の戦いは続いています」
「だけど、アタシ達はいつの日かエヴァが無くても平和な日が来ると信じて努力するわ」
シンジとアスカはそこまで言うと、深呼吸をして、アスカの胸に抱かれたミライを見つめながら声をそろえて宣言する。
「チルドレンのために!」
シンジとアスカの言葉に答えるかのように優しい春の風がシンジとアスカとミライのほおをなでた。
自分達の言葉が墓地に眠っている人々に届いた返事だと感じたシンジとアスカは再び声をそろえてお礼を言う。
こうして自分達が生きていられるのも、皆が使徒との戦いに命を懸けてくれたお陰だ。
「ありがとう」
シンジとアスカはミライを気遣いながらゆっくりと丘を降りて行った。
そしてパギブシニア共産国の隣国で暮らす事になったシンジ達は、久しぶりにミサトの訪問を受けた。
玄関先でミサトを出迎えたアスカは、笑顔でこんなやり取りを交わすのだった。
「How are you?」
「I'm fine, Thank you!」
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