ラスト・ナンバー 101人目のアタシ『最高に美味しいイチゴのケーキのプレゼント!』(2022年式波・アスカ・ラングレーの誕生日記念LAS短編)   作:朝陽晴空

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ミサトに誕生日に欲しい物を聞かれてアスカと答えたシンジの話。
舞台設定はTVアニメ版・新劇場版本編です。

2022年碇シンジ誕生日記念その1 六月の花嫁 リメイク版はpixivの方に予約投稿します。

https://www.pixiv.net/users/4696197



アスカの全てが欲しい(2022年碇シンジ誕生日記念その2)

「シンちゃん、今日は誕生日でしょう、何か欲しい物はある?」

 

 夕食の席でミサトに尋ねられたシンジはキョトン顔になった。

 ミサトに指摘されるまで、今日が自分の誕生日だと言う事を忘れていた。

 学校でもシンジの誕生日を祝ってくれるクラスメイトは居なかった。

 自己紹介で生年月日を話した訳でも無いし、数字マニアのケンスケも男子の誕生日には特に興味が無いようで触れまわったりしなかった。

 

「アンタ、今日が誕生日だったの!? そんな大事なことは早く言いなさいよ!」

 

 シンジの隣ではアスカがアタフタしている。

 

「別に、聞かれなかったから」

「せめてアタシにだけはコッソリ教えなさいよ!」

 

 アスカは自慢の髪がぐしゃぐしゃになるほど頭をかきむしっている。

 ミサトはシンジの生年月日を知っているはずなのに、当日になって誰かに言われて思い出したといった感じだろう。

 そして今はアスカの反応を見て楽しんでいる。

 

「僕が欲しい物なら通販サイトの『Sahara』の欲しい物リストに入れてありますけど」

「んもう、シンちゃんってば、ああいうものじゃなくて、もっとハートのこもったものよ!」

 

 シンジのリストには吸引力の変わらないサイクロン掃除機や、食器洗い機、切れ味の鋭い包丁、焦げ付かないフライパン、炊飯器など中学生には手が出せない家電が並んでいる。

 これは薄給のミサトにも手が出せない。

 何しろ育ち盛り中学生2人を預かっている。

 まさかシンジとアスカからお金を借りるわけにもいかない。

 どうして作戦部長にはパイロットのように危険手当が付かないのか。

 ヤシマ作戦も宇宙から飛来する使徒を受け止める作戦の成功もミサトの昇給に直結しなかった。

 

「クエッ」

 

 さも当然と言ったように、葛城家で一番の浪費家が寝床から目覚めて席に着いた。

 貴重な魚介類を大食いして、自分はこの家では長兄だとシンジとアスカに物怖じしない。

 まさかイクラや電気代がここまで値上がりするとはミサトは思わなかった。

 しかも麦の生産量が減ってビールも100円も値上げとトリプルパンチだ。

 

「確かに欲しいものと言うより生きて行くための必需品ですよね」

「そうそう、もっとシンちゃんが心の底から欲しい物を言うべきよ♪」

「それなら、アスカを下さい」

「いいわよ♪」

 

 ガツン!

 アスカは盛大にズッコケて額に頭を打ち付けた。

 

「アンタ達バカァ!? 実はレーザーディスクでした、何て冗談はナシよ!」

「僕はアスカの事を同じエヴァのパイロットで、単なる同居人だと自分に言い聞かせていた」

 

 シンジが真剣な表情でそう言うと、アスカも襟を正してシンジの方を向いた。

 

「だけどアスカと同じ家で暮らして、同じテーブルでご飯を食べている間に自分の気持ちに気が付いたんだ。アスカにとって都合の良いヤツのままでは居たくないって」

「ア、アタシは別にそんなつもりは……」

 

 アスカが顔を赤らめてそう言うのを見て、シンジは脈があるとついに一歩を踏み出した。

 

『君が欲しい、全部欲しい』

 

 シンジにそう言われたアスカは、ハッと息を吞んだ。

 自分もシンジの全部が自分のものにならないのなら、この世界で他に何もいらないと思った事があったからだ。

 命懸けで自分を救ってくれたシンジに、アスカも存在価値を見い出していた。

 

「アスカの足のつま先から頭のてっぺんまで、自分のものにしたい」

 

 積極的にアプローチを掛けて来るシンジに、アスカはタジタジだった。

 

「もう学校でも友達だとか、同僚だって言い訳しないで、正々堂々と恋人になって欲しい」

 

 顔を真っ赤にしたアスカが頷くと、シンジは嬉しそうにアスカの手を取った。

 

「お達者で」

「クエッ」

 

 すっかりお邪魔虫となったミサトとペンペンがリビングを出ると、シンジはアスカをソファに押し倒した。

 

「アスカに断られたらどうしようかと思ったよ。信頼できるエヴァのパイロットと家族を失くすと怯えていたから」

「それはアタシも同じよ。今日はシンジの誕生日だから、アタシのスペシャルをあげる」

 

 重なり合うシンジとアスカのシルエットを、部屋の外からミサトやペンペン、トウジやケンスケ、ヒカリ達は見守っていた。




本当はアスカ誕生日記念でやるネタだったので、シンジがアス化しています。
自サイトの作品に満足が行かず、リメイク作品を考えていましたが、1,000字を超えたのでハーメルン様に投稿しました。
歌詞のフレーズも使いたくなりましたので。
「全てのアスカが欲しい」とならなくてよかったですね。

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