ラスト・ナンバー 101人目のアタシ『最高に美味しいイチゴのケーキのプレゼント!』(2022年式波・アスカ・ラングレーの誕生日記念LAS短編) 作:朝陽晴空
※好きな曲を聴きながら好き勝手に書いたLAS短編です。
※2021年は間違いでは無いです。
1.《あるときある街いつもと同じ並木通りで》
僕は碇シンジ、第三新東京市の第壱中学校に通う中学二年生だ。
毎日、並木通りを通学路として通っているんだけど、そこで僕は後ろから走って来た女の子とぶつかってしまった。
「どいて、どいて~! どきなさ~い!」
僕は避けきれずにその走って来た女の子とぶつかってしまった。
「痛た~ぁっ! どいてって言ったでしょう!?」
その金色の髪をした女の子は僕の通っている第壱中学校と同じ制服を着ていた。
見た事無い子だなと僕は思った。
女の子は股を開いて倒れている事に気が付いてサッと手でスカートを押さえた。
「アンタ、スカートの中見たでしょう?」
「み、見てないよ?」
その女の子は僕の腕をつかんで僕の腕時計を見ると、急いでいる様子で学校の方へ走り去って行った。
まるで漫画でよくある転校生と出会う話だなと僕は思った。
2.《誰もが遠のくものばかりを夢見るけど》
転校生と言えば、先月転校して行ってしまった綾波の事を思い出した。
読書と言う趣味が合って、放課後は図書室で毎日のように一緒だった。
僕は綾波の事が好きだったかどうかわからなかった。
ずっと一緒に居る事が当たり前だと思っていたからだ。
でも、こうして遠く離れてしまうと、また夢でも逢えたらいいなと思ってしまう。
綾波とは手紙を出し合う約束をしたけど、だんだんと手紙を出す頻度が少なくなって行った。
僕は学校で席が隣同士になったあの転校生の女の子、惣流アスカに誘拐された。
不慣れな学校を案内して欲しいと、僕はアスカに学校中を連れまわされた。
委員長の洞木さんも居るのに、どうして僕に頼むのだろう。
アタシのパンツを見た償いよ、と言われると僕は断り切れなかった。
アスカはみんなの目を注目を浴びるほどスタイルも良くて可愛い女の子だ。
ドイツ人のクォーターだと言うアスカは綺麗な青い目をしていた。
僕もそんなアスカの姿に見惚れてしまった。
3.《それは春の日の淡い日差のように》
アスカが転校して来たのは、春の日の淡い日差しが降り注ぐ、一学期の祖業式の日だった。
アスカのお父さんがなるべくクラスに溶け込めるように気を遣ってくれたのだとアスカは話してくれた。
僕は自然とアスカの手を優しく握るようになっていた。
そんな僕とアスカの見たクラスメイトたちは、机に相合傘の落書きをするとか、僕たちの仲をからかうようになった。
4.《あふれる想いに君の笑顔が揺れてる》
ある日僕はアスカに近所の公園へと呼び出された。
公園の池の前で待っていたアスカの表情は暗いものが浮かんでいた。
「シンジ、アンタもやっぱりアタシと居ると格好が付くから一緒に居るの?」
怒った顔をしたアスカに詰問された僕は驚いた。
アスカの話によれば、今まで自分に優しくして来た男子は、アスカの外見に惹かれただけの人間ばかりだったと言う。
僕もアスカの外見しか見ていないのでは、とアスカは僕を責めているのだ。
どうして突然そんな話になったのか。
僕とアスカの仲を妬んだクラスメイトが、アスカが転校してくる前に僕と綾波が親しかったのを告げ口したらしい。
綾波とアスカとは性格も違う。
いつも名字で呼び合う控えめな綾波と、名前で呼び合うアスカは月と太陽みたいだ。
「ねえ、本当の所はどうなのよ!」
アスカは僕の前から身体を逃がして、僕に背中を向けて池の前に座り込んだ。
池にはアスカの流した涙が雫となって落ち、水面に波紋を広げる。
「僕はアスカが好きだよ! まだ会ってそんなに時間は経ってないけど、明るいようで実は寂しがり屋で、勝ち気でプライドが高いように見えて、本当は優しいアスカが!」
僕はアスカに分かってもらえるように、さらに具体的な説明を続けた。
日が暮れた公園で寂しそうな顔をして独りでブランコに乗っていたアスカ。
中学生にいじめられていた小学生を助けた後、ハンカチを差し出して傷の手当てをしてあげたアスカ。
おばあさんを背負って横断歩道を渡っていたアスカ。
僕は学校が休みの日、学校では見た事の無いアスカの一面を見ていたんだ。
「アンタ、アタシをストーキングしてたの?」
「偶然だよ! だって家が近いからしょうがないじゃないか!」
またアスカは涙を流し始めて、僕は焦った。
アスカの落とした雫は水面にいくつもの波紋を広げている。
でも僕はアスカの涙を止める必要が無いことに気が付いた。
池の水面に映し出された揺れるアスカの顔は、嬉しそうな笑顔だったからだ。
5.《君の小さな夢》
僕とアスカの仲を引き裂く作戦が失敗したからなのか、ちょっかいを出して来る学校の人たちは居なくなった。
アスカも大量のラブレターや告白を断る手間が省けたと上機嫌だ。
毎日のように堂々と登下校をするようになった僕とアスカは色々な事を話した。
その中で多くの話題を占めるようになったのは、僕と母さんの事だ。
学校のある日は毎朝僕を迎えに来るようになって、母さんと嬉しそうに話す。
あまり鋭いとは言えない僕も気が付いてしまった。
「……アスカはお母さんと一緒に暮らしたいんだよね」
「うん、別にパパが嫌だって訳じゃないのよ。でも、お医者さんが言うにはママの病気は難しい病気なんだって」
いつか母親が退院して同じ家で暮らす、それがアスカの叶えたい小さな夢なんだろう。
僕は当たり前のように母さんと父さんと暮らしている。
アスカの夢が早く叶うように僕は祈った。
6.《しまった扉の鍵が開かない》
そのまま僕とアスカは順調に交際を重ねて、結婚が出来る年齢になった。
だけどアスカは学生結婚は早いと言って僕との同棲生活すらも拒んでいる。
自分が出て行けば、アスカのお父さんは家で一人になってしまう。
僕が惣流家に婿入りすると言う手もあるけど、アスカはシンジにそこまで迷惑を掛けられないと拒否している。
本当はアスカも僕と結婚したいと言外に匂わせているのは感じている。
固く閉ざされたアスカの心の扉を開く事は僕には出来ないのだろうか。
7.《それは君の手にそっと還りつくだろう》
でも僕も何もしないわけには行かない。
僕は雪が舞い散る冬空の下で、手袋越しにアスカの手を握って医学の道を志す事を決意した。
アスカのお母さんを、アスカの家へと帰すためだ。
8.《あふれる願いに君の笑顔を重ねて》
クリスマスイヴの夜、僕はアスカの家に食材を持ち込んでクリスマスを祝う夕食会をした。
バウムクーヘンを食べながら、明るい窓辺から遠い夜空を眺めていた僕は、話す機会をうかがっていた。
そしてアスカに、僕もアスカのお母さんの病気を治すため、医学の道に進むと打ち明けた。
「シンジ……本当にいいの?」
「僕がやりたくてやっているんだ、構わないよ」
僕とアスカは同じ願いを持つ同志となった。
その時の輝くようなアスカの笑顔に、僕は希望を重ねた。
9.《やがて鐘が鳴り花の色が変われば》
僕とアスカが勤めている病院に、近くの教会の鐘の音が聞こえて来る。
時計を見ると、もう昼の12時だった。
何かに熱中していると時間が経つのは本当に速く感じる。
初夏にはグレーだった鉢植えのニチニチソウも、秋口の今はブルーへと変わっている。
光陰矢の如しだった。
あれから血の滲むような努力をした僕とアスカは、アスカのお母さんの病気を治すどころか、他の難病の治療法も確立してしまった。
エジソンは1%の閃きが大事だと話していたらしいけど、もっと努力より閃きのパーセンテージは多いんじゃないかと思う。
それとも辛辣な言い方になるけど、エジソンが『本当に』話していた通り、1%の閃きを持たないで99%の無駄な努力をしていた人が多かったのか。
僕とアスカは期待の新人ともてはやされたけど、ただ本当に今までと違う治療法を閃いただけなんだ。
10.《あふれる光は君の笑顔を照らして》
でもアスカのお母さんを治す事が出来たのは僕だけの力じゃない。
同じ医学の道を志す仲間たちの力が不思議な力に導かれるように一つになったからこそ出来たんだ。
そしてまた、新しい治療法が生み出されて行く。
僕が自分の診療室の窓を開けると、病棟から出て来たアスカがこちらを見上げている。
「シンジーっ! 一緒にご飯食べよう! 中庭で食べると気持ちいわよ!」
一番高い位置にある太陽の光は、アスカの笑顔を照らしていた。
《》の部分が歌詞の一部引用です。
歌詞の全文はググって下さい。
タイトルの2021年と11月、バウムクーヘンがヒントです。
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