《完結》魔王「拾った汚いガキを最高にカッコいい勇者にするはずが、いつの間にか娘になってたんやが?」   作:やーなん

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まだ一話の短編なのに、異様な伸びに戦慄する作者。

投稿小説の欄をたまたま見る。

この小説がR18カテゴリになってる。
作者「ふぁ!?」

R18の日刊ランキングに載っている。
作者「ふぁ!?」

自分がR15ではなく、R18のカテゴリのタグをミスクリックしてしまったことに気づく作者。

急いで元に戻す。

釈明の為に二話目を投稿する(今ここ

……誓って、エロとかで釣ろうとしたわけではありません。
この前置きの事実を知って、第一話のタイトルやあらすじや内容を見ましょう。

これ、エロ小説の導入でも全く問題ない内容やんけ!?
運営さんからお叱りとか……来ませんよね?(戦々恐々



魔王「このガキ生意気なんやが?」

 

 このガキ、急になに言い出しとるん? 

 訳わからんから、一旦下がらせたわ。

 

 そんで、原因は、単純だったわ。

 

「……? 魔王様のご用命通りでは?」

 

 こてん、と小首を傾げるこのほむほむの所為やん。

 いや、わてかて言葉が足らんかったかもしれんけど。

 

 わて、前世がかなり訛りの強い地域出身やねんな。

 それがクセになっとんよ、だから自然と魔王としての威厳を出そうとすると口数が減ってしまうわけや。

 

 それより、どうするんや。

 あのガキ、わてに挑む勇者になるどころか、どういうわけか、わてを親父やと言いおったわ。

 わてはそんな風に言われる覚えないで。

 

「彼女は魔王様に侍るに相応しい、四天王の候補になるでしょう。

 勇者の資質を持つ人間を、あえて現地の人間に向ける。

 魔王様の与える試練に、リェーサセッタ様もご満足なされてるのでは?」

 

 せやかてなぁ。ああ、リェーサセッタ様ってのはわてのお母んの事な。人間だった頃からの本名らしいけど、大分訛ってるのが定着しとるんよな。お母ん前に愚痴っとったわ。

 

 あと、語呂がいいのか知らんけど、わてら魔王の直近の配下は四天王って称されるんよ。

 大体はお母ん達の神官や、そこにおるほむほむみたいなお目付け役、自由枠が後二人。偶に様式美で五人目も居る場合もおる。

 順当に行ったら、あのガキはその五人目に当たるやろうな。最初から馴染みの四天王従えて来てんねん、わては。

 

 わては好きやで、人間どもが頑張って四天王を倒して、わての居城に踏み入ったらまさかの五人目が出てきて戦慄するとか。

 それが壮絶な過去を持った同じ世界の住人やった、とか熱い展開やん? 

 お母んはそう言う展開も好きやで、ポイント高いやん。あのヒト性格悪いから。

 

 この世界での勇者の基準は知らんけど、あのガキの資質はざっと見た感じかなり上々。トップクラスやと思う。

 これで五人目がザコかったら、萎えるやん。中ボスにしても弱かったらゲームでもおもろ無いやろ? 

 

 どうせなら、わてに怒りと憎悪を向けて、復讐を胸にわての居城から脱出して、この世界をめぐりながら実力を付けて、最終的に仲間とかと一緒にわてに挑みに来てくれれば理想やったんやけれど。

 そしたらわては古典に則って、世界の半分をやろう、とか語り掛けるんよ。まあ様式美やな。

 いやぁ、想像しただけでワクワクするわ。悪役の面目躍如やな。

 

 はぁ、せっかくあのガキが逃げた後、世界中に配置する予定だった配下どものパターンを考えとったのに。

 他の勇者候補の現地人どもも、わてが挨拶しとるのにまだ同族同士で殺しあっとるし。

 言っとくが、十年って期限はギリギリやかんな? 

 

 お前ら人類が手を取り合って一致団結し、わてらを倒す為牙を研いで雌伏の時間を過ごし、わてらの送り出す刺客を撃退しながら実力を積み上げ、決戦を挑んで勇者たちを送り出す為の期間っては、大体概算で十年くらい掛かると思われとる。

 こらぁ、十年と言わず、五年でお母んはこの世界を見限るかもな。そうなったらつまらないやんか。わいらまだ、あのデカい木をぶっ壊しただけやで? 

 

 だからと言って、勇者達を鉄砲玉みたいに使い捨てるんのもアカン。

 誰かを生け贄して救われる世界に、価値があると思うか? 

 それで胸を張って、試練を乗り越えたってほざく厚顔無恥がおったら八つ裂きしたるわ。

 

 たとえ、わてらに破れ死ぬとしても、大事なモノの為にわてらに挑む者は最高の敬意を持って遇さねばならん。

 それを現地人の方が軽んじるんなら、そいつらの価値もその程度っちゅうこっちゃ。

 

 

 ……せや、どうせやから現地人どもに圧力掛けよか。

 ほむほむ、適当に一国を制圧させて、わてらの脅威を再認識させるんや。

 

「了解しました。魔王様の御意のままに」

 

 ほな、よろしくな。

 

 

 ……さて、と。あとはあのガキ、どないな扱いにしよか。

 さっき言った通り、四天王の番外枠で現地人の迎撃に使ってもええんやけど。

 

 ほな、やること無いし、どないなもんか見てみんとな。

 当人の資質を見て判断しよか。

 

 

 わては城内の訓練場に足を運んだ。

 ところで、どないして見知らぬ世界に赴任するのに都合よくわてらが城で生活できるんや、と思うやろ? 

 そないな細かいこと気にする奴おるかって? 

 まあまあ、世間話やん聞いてきな。

 

 この城な、出来立てホヤホヤの新品なんよ。

 わての上司はお母んやけど、もう一柱、上司がおるんよ。

 お母んが邪悪の女神にして悪そのものなら、それに並び立つかの御方は、文明の女神。人間の文明そのもの。

 

 わてら魔王がお母んに産み出されたんなら、ほむほむはかの御方に創られたんやな。

 わてらのお母んが人間の頃からのダチ同士でな、お互いの事業に協力しあって共同統治みたいなことしとるんよ。

 

 この城を作ったんのもかの御方の眷属たるほむほむ達や。

 そう、複数形(・・・)なんよ。

 何が言いたいんかというと。

 

「おや魔王様、いかがなされましたでしょうか」

 

 わての目の前に、出撃した筈のほむほむがおるんよ。

 さっき出撃したほむほむも、この訓練場のほむほむも、同一人物。

 人類の文明の最果てを見渡す、かの御方の写身にして化身。

 天上におわしながら、無限の端末を用いて地上に干渉するのが、文明の女神メアリース様なんや。

 

 せやから、実質わての部下を管理しとるんはほむほむ達なんな。

 

「スズを見に来たのですか?」

 

 わてが配下の剣士と打ち合ってるガキを見やると、ほむほむが聞いて来た。

 あのガキ、スズいう名前なんか。

 

「流石は魂の質を視認できる魔王様です。

 彼女は鍛えれば鍛えるだけ伸びる」

 

 遺伝子によってどれだけ背が伸びるか決まっとるように、人間の才能は魂に依存しとる。

 その点、スズはざっと世界中を見渡した限り五指に入るわ。

 こんな上質な魂の持ち主が、なんであんな田舎におったんやろな。ええ拾いものしたわ。

 

 メアリース様の権能は、文明を与えること。

 

 争ってばかりな野蛮なサル並みのこの世界の現地人も、ほむほむの教育に掛かれば立派な文武両道の文明人に早変わりや! (ブーメランぐさー

 数多の世界で、神に武芸や魔法を教わったって英雄は数知れず。

 

 スズもまた、人間の文明を知り尽くした神の化身によって最適な師とトレーニングを与えられているんや。

 最高の才能と至上の環境。これで強くならんかったらウソやもん。と言うかメアリース様の沽券に賭けて、強くなるやろ。あの御方プライドメッチャ高いし。

 

 これが何であんなこと言い出したんやろか? 

 

 

 …………ははぁ、読めたで。

 

 このガキ、わいらにビビって媚び売ったな? 

 子供ってのは案外したたかな生き物やで。

 このガキが咄嗟に、わいに服従する方向で状況判断したんや。

 

 だから、わいはこいつを試すことにした。

 わいはスズを呼んで、こんな言葉を投げかけた。

 

 お前や、お前の住んでた村を襲った盗賊ども。

 あいつらは食うに困って悪事を働いただけで、衣食住が整っていれば善良な人間で居られたんや。

 その悪を、お母んは赦す。

 

 愛する者の為に手を汚す? 

 社会の裁けない悪をローグとなって裁く? 

 カリスマ的な思想を持つ悪党が社会に一石を投じる? 

 

 ────っぷははは!! そないなもんは、幻想やがな!! 

 

 悪とは、基本的にバカで間抜けで行き当たりばったりの粗暴なだけの凡人なんや。

 

 嘘を隠す時に嘘を吐くように、殺人鬼は殺人を隠す為に殺人をするんや。

 知能犯の計画的な華麗なる芸術的犯行なんてものが、現実に存在しないのと同じことやな。

 怪盗が物語の中にしか居ないのと同じや。

 

 ヒトは、悪役に幻想を抱く。

 社会に唾吐く悪党を、衆愚に吞まれないカッコよさがあると勘違いしとる。

 

 悪に染まれば、ヒトは特別になれると勘違いしとる。

 ちゃうちゃう、それは特別やちゃんねん。

 

 そりゃあ、堕落言うんや。

 目の前の現実から逃れる為の、逃避やがな。

 

 そないなこと、悪そのものたる存在を親に持つ者が言って良いんかって? 

 ええんや。なにせ、他の誰でもない、悪そのものたるお母んこそが、バカで間抜けで行き当たりばったりで粗暴なだけの人間だったんやからな!! 

 

 はははは、マジうけるわ!! 

 

 ……お前ら、そないに黙らなくともええやん。

 

 え、スズお前、あの盗賊ども恨んでないんか? 

 はあ、わいと出会えた以上の幸運は無い? 

 それマジで言ってるんか? 

 

 ……まあ、ええわ。

 勇者育成計画は初っ端から躓いたが、別の計画を立てればええ。

 

 ほな、別のアプローチを考えなあかんな。

 それじゃあな!! 

 

 

 

 §§§

 

 

 王命が下った。

 この世界の国の一つを攻め落とせ、と。

 

 その勅命に、血に飢えた異形どもが沸き立った。

 この世界ルートシアは、基本的に人間種しか存在しない。

 

 王の命令に応じた者達は、人間ではなかった。

 ゴブリン、オーク、リザードマン、トロール、オーガ、ミノタウロス、サイクロプス、獣人、ハーピー、エルフ、ドワーフ、デーモン、サキュバス、バフォメット、鬼、と多種多様な異形の存在ばかりだ。

 

 彼らは、至高なる文明の女神メアリースに“人類”と認められた市民権の有る者達だった。

 だが、彼らの血に流れる魔の本能が、戦いや虐殺、凌辱や略奪を望む。

 

 勿論、彼らは全体からすればほんの一部だ。

 彼らの多くの同胞が、今も女神によって安息が保障された平和な世界で穏やかに暮らしている。

 

 だが、それでは満足できない!! 

 戦いたい、戦いたい、自分の力を戦場で試したい!! 

 自分より弱い奴を踏みにじり、絶望の表情を見たい!! 

 か弱い女子供を組み伏せて、凌辱の限りを尽くしたい!! 

 

 そんな歪んだ願望の持ち主が、魔王の配下として配属され、その欲望と邪悪の限りを許される。

 

 スズの剣の師匠となった燃えるような赤毛の鬼人も、そのような手合いだった。

 彼女は必死になって、元の世界では猛威を振るった流派で免許皆伝を受けた師範だったというその男の技を実戦で学んでいく。

 

 技を磨くだけでは飽き足らず、己の技量を戦場で試さずにはいられず、名誉も市民権も捨てた男は、狂喜の笑みを浮かべてスズを切り刻む。

 怪我だらけになって倒れ伏すスズに、人造の女神の化身が治癒魔法で復活させる。

 

 すると交代と言わんばかりに、次はまた別の戦いの師が現れる。

 自分が調合した毒や酸の人体実験をしたいが為に、大学教授の位階を返上したバフォメットの魔術師だった。

 

 彼の毒と酸を用いた魔法で、スズのその身に直接毒物の恐ろしさを叩きこむ。

 猛毒に苦しむ彼女を機械的に淡々と解毒の魔法で治癒する女神の化身。

 

 彼女を鍛え、苦しませ、育て上げる。

 それも一国を落とせと言う命令と同等の、彼らの使命だった。

 

 スズはボロボロになりながらも、一歩一歩、その身で学んで成長していく。

 虐待に等しいが、効率のみを求めた経験値稼ぎがこの光景だった。

 

 次は一対一での戦い、一対複数との乱戦、それらの戦い方をその身で学ばせ、覚えさせていく。

 

 彼女の意識は浮き沈みしたが、やがて次の師が目の前に現れないことに気づいた。

 

 あの方が、あの御方が現れたのだ。

 彼女も周囲に倣って、跪いた。

 

「スズよ」

「はい、魔王様」

 

 竜の唸り声のような、重低音が静寂の訪れた訓練場に満ちる。

 

「お前の住処を襲い、両親や知人を殺し辱め、お前をもこのような境遇に陥れた者達は、ただ食うに困った愚か者に過ぎぬ。

 我が母たる神は、邪悪を司る偉大なる御方。

 己が生きる為に行う悪を、我が母は赦しになる」

 

 スズは黙って、魔王の言葉を聞き届ける。

 

「路上で暮らす子供が、パンを盗み日々を食つなぐ。

 学校で気の弱さからイジメに遭う子供が刃物を手にして逆襲をする。

 中身のない説教やパワハラをする上司を殴り飛ばす。

 愚かで無謀な命令しか出せない指揮官を、後ろから撃ち殺す。

 ……自分の尊厳や命を守るための悪を、我が母はその偉大なる慈愛にて赦すのだ」

 

 試されている、とスズは思った。

 

「それはなぜか? 悪とは短絡的でその場しのぎの愚かな所業を言うのだ。

 他ならぬ我が母が、ただの人間だった頃の逸話がそれを示している」

 

 その魔王の言葉に、その場が凍り付く。

 その逸話は、スズも授業で習った。

 まさに短絡的で愚かで場当たり的な所業ばかりだ。

 だからこそ、かの女神は他者の痛みを知っている。

 

「故にお前を襲った賊どもも、我が母はお赦しなるだろう」

「私は、彼らを恨んではいません」

「……ほう」

 

 魔王の瞼が細められた気配を、スズは感じ取った。

 嘘では無かった。それが彼女の選んだ道だった。

 

「悪いのは、この世界です。

 至高なる文明の女神たる、メアリース様の恩恵無きこの世界が。

 短慮な邪心を赦すリェーサセッタ様の、大いなる慈愛に甘えるこの世界が」

 

 可哀想(・・・)、だと彼女は思った。

 こんな戦乱ばかりの世界に産まれてしまったこの世界の人々が。

 

「本来なら、この世界で死に絶え、メアリース様の下で生まれ変わらなければ得られぬこの恩寵を、生きたまま得られる幸運は他にありません」

 

 スズは十代前半程度の年齢とは思えないほどの賢しさで、そう答えた。

 そうなるように、彼女は高度な教育を受けた。

 

「だから魔王様の下で、この世界の人類を皆殺しにして、転生を司るメアリース様の恩寵で満たされた平和な世界へと生まれ変わらせてあげたいです」

 

 これで正解の筈だ、とスズは胸中を秘めて答えた。

 自分は役に立てる筈だ、と有能だと彼女は示そうとした。

 

「よかろう、精進せよ」

 

 魔王アテルは、それだけ言うとローブを翻した。

 ホッと、スズは安堵の息を吐いた。

 まだ見捨てられていない、その事実に彼女は安堵した。

 最善を、最善を選び続ける。そのように教育された。

 

 先ほど謁見の間で言葉狩りのように口にした言葉も、また最善を求める彼女の本能と、その心の奥の寂しさが言わせたことだった。

 魔王が認めた、どのような絶望の淵でも活路を見出す、勇者の才能。

 

 彼女は神の化身に教育されるに足る、素質を示していた。

 

「では、次の訓練に移行しましょう」

 

 この城内で、少なくとも三十人は確認した同じ顔の人造の女が、女神の化身が淡々とスズに告げる。

 

「はい、お願いします」

 

 次の異形が、次の狂人が彼女の前に現れる。

 彼女の素質の全てを開花させる為に、緻密に計算された暴虐で彼女を成長させる為に。

 

 親の愛を失った少女は、心を閉ざしながら今はまだ耐えていた。

 

 

 




もう、なんていうか、笑ってください。
エロを期待してこの小説を読んでくださった読者の皆様には悪いですが、この小説にそう言う描写を入れる予定はありません。期待させてしまったのなら、本当にごめんなさい。作者のミスです。

お詫びと言っては何ですが、来月は初頭は仕事が休みで暇なので、執筆作業を頑張りたいと思います。
三話の構想もすでにできてます。近いうちに投稿します。

この度はどうか、平に、平にご容赦を。(ノД`)・゜・。
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