忘れた頃に更新です。
こんなんなってもまだ見てくれている方がいて感謝です。
「しかし、ドが付くほどの田舎よな」
見渡す限りは田んぼに山しか目に付かない。
嫌そうに呟くギルガメッシュだが、その表情はまだ見ぬ恭介の笑顔を考えるとほころぶのであった。
「ふっ、草花を愛でるのもまた一興か」
カメラのチェックをしながら足元に生えている花を見る。緑の絨毯に咲く花はさながら自然のカーペットであった。
「恭介が、恭介が草花と戯れる姿が目に浮かぶ……あぁ……なんと、なんと素晴らしい……っ!」
「しかし、このような山に上って恭介が転んでしまったらどうすればいい!? あぁ、恭介が、恭介が泣いてしまうではないか! 恭介が、泣いてしまったら……写真に撮らねば……はっ、いかんいかん。我としたことが一瞬とは言え恭介が傷つくことを良しとしてしまった……? なんたる、何たること……っ! 恭介、あぁ、恭介……我を、我を許してくれ! 恭介ぇええええええええ!」
ギルガメッシュの叫びが山にこだまし、鳥が一斉に羽ばたく。
「いかにハイキング用の山とはいえ、疲労もあるだろう。ここは給水ポイントを100メートル置きに設置し、休憩所を500メートル置きに設置しておこうではないか。頂上では弁当が食べやすいようにテーブルを設置し、甘いものが食べたくなった時のために甘味屋を作っておくか。あとは……」
次々と便利になっていく山にもはや最初の面影はほとんどない。山道はコンクリートで舗装され、小石などは全く見当たらない。さらには時折目に入る近代的な建物、その一角だけがどこからか切り離され貼り付けられたような違和感さえ覚える。
とにもかくにも、これで怪我の心配はなく、安全なハイキングになることだろうとギルガメッシュは確信し、満足げに頷いた。
「完璧だ、さぁ、こい、恭介! 陰ながらお前の写真を撮り尽くしてくれようぞ! フハハハハハハハハ!」
ということがあったのが1時間前である。今、ギルガメッシュは地べたに正座し、わが子へと頭を下げている。
「ぎる、めっ!」
「し、しかしだな、恭介! 我はお前のためを思って-------」
「めっ!」
「ぬぅ……すまん」
ハイキング開始ポイントに到着した途端いきなり設置されている給水ポイントに幼稚園一行は非常に困惑した。その後100メートルごとに設置されているそれに、恭介の顔は曇り、極めつけにコンクリートで舗装された山道を見て恭介はついに親の名前を叫んだ。
その瞬間、恭介はいきなり頂上に移動(というかワープ)し、目の前にはギルガメッシュが両手を広げたっていたのだ。
「おぉ、恭介よ! 我がいなくてさびしかった!? 寂しかったのか!? 良い良い、みなまで言うな。さぁ、我の胸へと飛び込んでくることを許そうぞ!」
「ぎる、せいざ!」
「……なに? しかしいかに恭介といえども我に------」
「せ・い・ざ!」
「……うむぅ」
そして少し前へともどる。
さすがのギルガメッシュも本気で怒っている恭介には従う他ない。もちろん嫌われたくないためである。
「もとにもどす!」
「なに!? それは危険だ! 何より我が30分もかけて-----」
「もどすの!」
「……わかった」
非常に惜しみながらギルガメッシュは涙目で山を下へと戻していく。
「これで、良いか、恭介……」
「ん!」
ギルガメッシュの言葉に頷く恭介。そして恭介はギルガメッシュに花を渡した。
「む? これは……?」
「あげる! おかえり、ぎる!」
恭介が渡したのはこの山で咲いていた利用価値のないただの花である。しかし、その言葉とともに渡された花は非常に意味のあるものだ。
「お、おぉぉおおおおおおおお! 恭介! 恭介ぇぇぇえええええええええ! なんと、なんとお前は親孝行で出来た息子なのだ! 我は、我は非常に感動している! 恭介ぇぇえええええええ!」
号泣しながら抱きついてくるギルガメッシュに恭介は苦しそうに少しだけ呻いた。
ああ、恭介はなんと出来た息子なのであろうか。
我に! 我におかえりといって花をくれた!
これほどまでに感動したのは久しぶりだ。
今日は夜通し『恭介の軌跡〜我と恭介のメモリー〜』の編集と鑑賞をしようではないか。
スケジュールが押しているので日記はこれで終わるとしよう