ギル様の子育て日記   作:七瀬シアン

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夏っていうかもう、秋ですね。
更新、お待たせして申し訳ない。

基本ギャグもどきみたいな感じの話ばかりですが、水面下では色々と話は進んでいるという。

まぁ、全部ギルガメッシュがぶち壊してくれるのでどうあがいてもみんな幸せにしかなれないんですけどね!

どうすんだこれ、聖杯戦争できないぞ……


夏祭り、兄の思いと、妹と

 

「今日と明日、夏祭りがあるだろ? どうせお前らも暇なんだろ? あれ、みんなでいかない?」

 

夏の風物詩にして子供たちの夏休み中の三大イベントといえば、そう、夏祭りである。

ここ、冬木市においても夏祭りは開催される。いつものように公園で遊んでいた恭介たちもみんなで遊びに行こうという話になるのは必然であった。しかし、それを最初に言いだしたのは、意外にもたまにしか顔を覗かせない間桐慎二だった。

 

「慎二がそんなこと言い出すなんて珍しいな」

 

「おまつりー!」

 

「イリヤもイリヤもー!」

 

不思議そうに聞き返す士郎、はしゃぐ恭介とイリヤ。

 

「べつに? どうせ家とここでしか遊ぶ予定のない衛宮たちにひと夏の思い出をプレゼントしてやろうかなって。特別に夏祭りには僕の妹を連れててってあげるよ」

 

「ん? 慎二に妹なんていたのか?」

 

「……まだ、完全に認めたわけじゃないけど……でも、アレみちゃうとさ、プライドがどうのこうのとか、そんなこと言ってられるようなことでもないしさ……だけど、あいつは……」

 

何かブツブツと思いつめたような小さな声でしゃべりだす慎二に何かを察した士郎は、慎二に、”慎二は妹思いのお兄ちゃんだな”とからかうように言い、慎二は顔を赤くしてそれを否定するのだった。

 

その後、夕方近くまで公園で遊び、いつもより少し早めに4人は帰宅した。

 

「なに? 友と夏祭り?」

 

「おまつりー!」

 

「ふむ……まぁ、いいだろう」

 

家に帰った恭介はなぜか浴衣姿のギルガメッシュにお祭りに行きたいとお願いをした。目をつむり、しばし考え込んだあとギルガメッシュはそれを承諾した。

 

「我の用意した”ドキドキ! 恭介と我の夏の思い出〜夏まつり編〜”の計画書はおじゃんだが。友は一生の宝よ。いってくるが良い。この我が許そうぞ、恭介」

 

「あーい!」

 

「ついては、夏祭りで遊ぶお小遣いを渡すわけだが、我は王の前に親。社会勉強の意味も込めて、心苦しいが……非常に心苦しいが! 心を鬼にして! 断腸の思いで! 清水の舞台から飛び降りる思いで! これだけしか渡さん。それで、上手くやりくりするが良い」

 

「…………?」

 

「ふっ、我が憎いか? しかし、親として……そこは譲れん。恭介の喜ぶ顔は狂おしいほどに見たいが、ここは我も心を鬼にするところ。夏祭り、楽しんでこい」

 

そのまま恭介の顔は見ずに背を向けて居間を出て行くギルガメッシュ。あとに残ったのはテーブルの上に置かれている札束ひとつ。つまり100万だけである。

 

「……おーい?」

 

お金の価値がよくわからない恭介でもこれは流石に多いと悟り、夏祭りに集まったみんなに色々と教えられ、恭介は正しい知識を身に付けるのであった。

 

「まったく。やっぱりあいつの金銭感覚はおかしいって! 普通子供に100万ももたせます!? 誘拐されるに決まってるじゃん!」

 

「まぁ、ギルは恭介が大好きだからさ」

 

「度が過ぎるっていってんの! あのねぇ、僕なんか自腹だよ? コツコツ貯めた貯金崩してるの!」

 

「……俺もじいさんからイリヤと合わせて1万もらったんだよね」

 

「もう、嫌なんですけど、こいつらのバカ親!」

 

ぎゃあーぎゃあーと喚く慎二にお祭りの物は全部奢るという条件でなだめたあと、先程から少し離れたところでこちらの様子を伺っている少女について士郎が尋ねる。

 

「で、あの娘が慎二の妹?」

 

「いっても聞かないんだよ。まぁ? そこまで面倒見てやるほど僕も優しくないし?」

 

「シンジのいじわるー」

 

「おはなししたーい」

 

「なにさ、お前ら、僕が悪者みたいに……仕方ないな……」

 

さほど嫌がりもせずにすんなりと少女の元に向かう慎二に、三人は素直じゃないなと思いつつも様子を伺う。少女と何度か話し、慎二の態度が少しずつおかしくなっていく。ついには自分の頭をかきむしり、むりやり少女の腕を掴み連れてきた。

 

「コイツが! あー……その、僕の妹の桜だ。仲良くしてやってくれ。てかしろ! お前、僕にここまでさせたんだ。絶対に楽しかったって言わせて帰るからな! ほら、挨拶!」

 

「……え、えと……よろ、しく……おねがいします」

 

「名前は!」

 

「さ、さくら……」

 

慎二に促されるまま戸惑いながら頭を下げる桜。それをみて舌打ちをする慎二。なんともよくわからない兄と妹だ。

 

「俺は衛宮士郎。よろしく!」

 

「はいはーい。私、イリヤ! 衛宮イリヤ! よろしくね!」

 

「きょうすけ! んーと……きょうすけ!」

 

「「「(……そういえば、恭介の苗字知らないな)」」」

 

桜への自己紹介を聞きながら士郎、イリヤ、慎二はちょっとした疑問を抱え、そんなことを知らない桜は全員にもう一度頭を下げた。

 

「で、なんでそんなに桜に突っかかるんだ?」

 

「なにもう人の妹を呼び捨てにしてくれてんの?」

 

「ははっ、気にしてないくせに」

 

「ふんっ。あいつを見てるとイライラするんだ。僕の役目も、存在意味も、全部奪っていった。才能ていうか、素質ていうか? そういうのが僕には全くなくてあいつにはそれが有り余るほどあるんだよね。でさ、前にギルガメッシュに言われたじゃん?」

 

「あー……えっと、数こなせ、みたいなやつ?」

 

「君、ほんとに記憶力悪いね。凡俗であるのなら数をこなせ。才能が無いのなら自信をつけよ、だよ」

 

「慎二が記憶力いいだけじゃないのか?」

 

「まぁ、それで。あいつがいつも連れてかれてる蔵を覗きに行ったんだよね。修行してると思ってたからさ。覗き見してこっそり訓練しようと思ってたんだ。そしたらさ、修行とか、訓練とか、そんなもんじゃなかった。正直吐き気すら覚えたよ」

 

「…………」

 

 

「でも次の日には何もなかったかのように振舞うんだ。笑えるだろ。あいつにとってあれは当たり前のことで、辛いのも自分だけが堪えればいいと思ってる。腹立つだろ? 俺、一応、これでも兄貴だぜ? なのに頼られもしない。まぁ、僕の態度にも問題はあるとは思うけど」

 

「慎二……」

 

「そんなわけで、俺はあいつを見ているとイライラする。で、言葉も強くなる。ほら、僕って嘘つけないタイプの人間だからさ。思ったこと口に出ちゃうの。あいつに優しい言葉かけるなんて無理だね」

 

「で、今のことは桜にいったのか?」

 

「は? いう訳無いじゃん」

 

「嘘はつけないんだろ?」

 

「いう必要なんてないことでしょうが」

 

「……あのな、慎二」

 

「なにさ」

 

「全部、後ろで聞かれてるぞ」

 

「はぁ!?」

 

士郎に言われ慌てて後ろを向く慎二。先程までかなり後ろの方で色々と遊んでいたはずのイリヤと恭介、桜の三人はいつの間にかシンジたちの後ろにぴったりとくっついていた。

 

「お、おまえ……まさか、全部、き、きいて……」

 

「に、にいさん!」

 

桜を指さしながらぷるぷるす震える慎二に桜は泣きながら抱きつく。

 

「や、やめろ! ああ、もう泣くな! 泣くなっての!」

 

「兄さん、わたし……私!」

 

「ああ、もう! ……最初から、頼ってくれれば、もっと……って衛宮! なにニヤニヤしてる! ああ、もう、どうしてこうなる! って、おい、まて、衛宮、衛宮妹、恭介。なぜ先に進む! まて、待てよ! お、おーい!」

 

困る慎二を放置して三人は先に進み、それに対して慎二が叫ぶ。

今更遊びがどうのこうのという雰囲気ではなく、各々帰宅するのだった。




恭介の様子を伺っていたらそんな雰囲気にすらならなかったな。
ふざけるでない! 我は恭介のかわいい写真を撮らねばならぬのだ!
今日なんかたったの186枚しか取れなかったぞ!

シンジめ……いや、元はといえば、あの娘が悪い。
自己主張をせぬ者に未来はない。

……だがそれ以上に、我が子をそこまで追い詰める者は親ではない、いや、人ではない。

そのようなものに生きてる価値などあるか? いや、ない。

ふふふっ、明日こそは恭介の写真を存分に取る。
そのためには、まずは掃除だな……
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