全然成長(精神的)しないギルガメッシュ
「アーチャー! どういうことだ!?」
「騒々しいぞ、雑種。一度共に盃を交わしたからといってなんども粗相が許されると思っているわけではあるまいな? 早朝から自宅に押しかけるなど言語道断! 恭介が起きてしまうではないか!」
早朝の急な切嗣の訪問にギルガメッシュは鬱陶しそうに対応した。
「む……それは済まない。だが、これだけは答えてくれ。一体何をした?」
「実に知性の欠片もない質問よ。考えることを放棄したものは等しくその身を滅ぼす」
「……朝、玄関の前にイリヤがいた。いや、なぜか豪華なベットで寝ていた。こんなことをするのは君くらいだろう?」
「知らんな。俺が貴様のために動くと? 付け上がるなよ、雑種」
「だが-----」
「くどいぞ。我は知らぬと言った」
ギルガメッシュは何かを言おうとした切嗣の言葉を遮る。
「我は恭介の朝食の用意がある。貴様に構っている時間はこれ以上ない。早々に帰れ」
「……すまない……いや、ありがとう」
一度謝罪を口にした切嗣だが、それを訂正し礼を述べた。
「ふん。親なら守りきってみせよ」
それだけ言い、ギルガメッシュは扉を閉めた。
「しかし、キリツグめ、どうして我と恭介の自宅を……気に食わん、引っ越すか」
どのような手段を用いたのかはわからないが、切嗣に自宅の位置がバレたのがギルガメッシュは気に食わないらしい。
「と、いうわけで引越しだ! 恭介!」
「あーい!」
豪華な朝食を食べながら、ギルガメッシュは恭介に向かい言う。
わかっているのかわかっていないのか、恭介は元気に返事をした。
「長いことここで寝食を共にしてきたがお別れだ。いざ出るとなると……感慨深いな」
「んー?」
「ふふふ……思い出す、恭介の世話に四苦八苦していた時を……ああ、初めて名前を呼んでもらったときはどんなに嬉しかったことか……」
うむうむと頷きながらギルガメッシュは恭介との思い出を振り返る。
家自体には大した思い入れはないらしい。
「それにこのボロ屋を出れると思うと心も晴れやかだ!」
家自体には一切の思い入れはないらしい。
「さて、どのような家にするか……最悪、宝物庫から取り出しどこかに置くとするか」
どうやら宝物庫には家まで入っているらしい。
もっとも、彼の宝物庫にあるものが、ただの家であるわけがないのだが……
「さぁ、恭介! 荷物を持て! 我らの新しい門出だ!」
「あーい!」
ギルガメッシュの声に恭介は元気よく答え、二人は家を後にした。
不動産屋に行くのが普通なのだろうが、そこはギルガメッシュというところか最初からその選択肢はないらしい。
「空家ならば会社を買収。人がいれば金をばらまく」
「ひとにめいわく、めっ!」
「安心しろ、恭介。大抵のことは金で解決できる。何とも貧しいオケラどもよ」
ふははははと笑うギルガメッシュに恭介の言葉は届かないらしい。
地味に耐性が出来上がってきており、最近では恭介ですら彼を止めることはかなわない。
「最低条件として、霊脈が通っているところにせねば……何があるかわからんからな」
「うー……ぎる、はなしきかない」
「何を言う、恭介! 我は常に恭介のことを考えておるぞ!」
「…………」
「きょ、恭介……なぜそのような目で我を見る!? きょ、恭介ぇええええええ!」
「ぎーる、うるさい」
「な、なんと!? これが反抗期というやつなのか!? ふふふ……だがそれもよし! なんでも頷くだけでは人形と変わらんからな! だが、もし道を違えそうになったときは我が止めてやらねば……これが親と子のターニングポイント、というやつだな! 久しぶりに育児の本を熟読せねば……引越しに反抗期、また忙しくなりそうではないか! ふははは、ふーっはっはっは!」
「はなし、きかない……」
恭介は一人暴走するギルガメッシュを遠い目をしながらみた。
キリツグめ、なかなかに悟いやつめ。
娘と再開でき、満足であろう。
全部潰すつもりだったのだが、何人かには逃げられたな。
我も酔いが回っていたということか。
これが問題にならなければいいが……
あとは引越しだな。
我にかかればそのようなものすぐに見つかる。
問題は恭介の反抗期だな。
あれの対処の仕方はわからん……
真っ向から向き合うのが親というもの、か。
ふむ、なかなかにいいことが書いてある本ではないか。
今日はここで終わるか。
本日は高級ホテルに宿泊しているため、恭介との風呂が楽しみだ!