ギル様の子育て日記   作:七瀬シアン

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もはや別キャラだけど暴走するギルガメッシュは書いてて楽しいです

地味に内容を追加し、誤字修正しました


お城とおじさん

「……何のようだ」

 

「いきなり消えたと思ったらこんなところで何をしているんだい?」

 

引っ越しを実行してから一ヶ月ほどがたった頃、ギルガメッシュと恭介の引っ越し先には初めての来訪者が現れた。

 

「貴様はどこにでも沸くな。まぁ、よい。今日は気分が良いのでな」

 

「ははは、ここは元々はアインツベルンのものなんだけどねー」

 

来訪者の切嗣は乾いた笑みを浮かべた。

 

「見よ! あのボロボロだった城内は我自ら改装してくれたわ!」

 

アインツベルン城、もとい元アインツベルン城は見事なまでに様変わりをとげていた。

壁には金箔が壁紙がわりに使われ、床は大理石に変わっていた。

天井にはキラキラと輝くダイアモンドのシャンデリア、家具も全て高級品である。

 

「……城自体よりも中身の方が総額だとするんじゃないかな」

 

「ふん、外面などたいして興味ないわ。まだまだ狭いがこれくらいは許容範囲だ」

 

「相変わらずだね……」

 

その豪快っぷりに切嗣はただただ呆れたようだった。

 

「恭介くんは?」

 

「む? ふん。すぐに恭介のことを気にかけるとはわかっているではないか! そう焦らんでもすぐに合わせてやろう。恭介のあまりに気高く雄々しい姿におののくがいい」

 

カツカツと音を立てながら先を歩くギルガメッシュの後を切嗣は付いて歩く。

その途中で中庭が目に付いた。

 

「アーチャー、あの中庭に植えてある木はなんだい?」

 

「知恵の実だ」

 

「……アダムとイヴの?」

 

「うむ。一口その実を食せばこの世の全てを知るであろう。もっとも、人間ごときの脳が耐えうるわけがないがな」

 

「何でもありだな……ではなぜ植えた?」

 

「見栄えがいいからな。緑も愛してこその王だ」

 

「観賞用か……」

 

何とも言えない感覚を胸に抱えたまま、目的の場所にたどり着く。

物々しい巨大な扉が目の前にあった。

 

「こんなの、ここにあったかな?」

 

「我が作った」

 

ギルガメッシュが扉を押すと、扉はゆっくりと開いていく。

広い部屋に玉座が置いてあり、そこに恭介は座っていた。

豪華絢爛な内装、それに引けを取らないありありとした存在感。

まさに王と呼ぶにふさわしく、だが幼いその少年の目は……

 

「恭介くん!? 大丈夫か!?」

 

少年の目は死んでいた。

それはもうこの世の全てに絶望したような何も映さない暗い瞳だった。

 

「な、なにをしたんだ、ギルガメッシュ!?」

 

「ふはははは、どうだ! まさに王にふさわしい! みよ、この素晴らしき風貌を! 讃えよ、恭介を! 恭介に似合う服を見繕うこと9000着、ようやく見つけた最高にして至高の衣だ! まさに恭介のためにだけあるものだ!」

 

「9000着!? 今日だけでか!?」

 

「王たるもの、妥協はせん! 恭介も喜んでくれているではないか! ……恭介? きょ、恭介ぇええええええ!? ど、どうしたというのだ……? な、なぜかようなまでに衰弱している!? だ、大丈夫か!? し、しっかりしろ! しっかりするのだ、恭介ぇええええええ!」

 

「今更気がついたのか!?」

 

てんやわんやの大騒ぎの末、恭介は我を取り戻した。

3000着を越えたあたりから記憶がないらしい。

 

「おきがえ、もう、やっ!」

 

「だいたい、9000着もどうやって着替えさせたんだい?」

 

「人工生命体を使った。恭介をこんな目にあわせるとは……即刻処分を------」

 

「ぎる、むりやり、めいれい!」

 

「む? いや、しかし我は……お、我か!? マスターの安全を第一に行動するモノだったから安心しきっておったが、所有者は我であった! なんということだ……す、すまぬ……すまぬ、恭介……」

 

自身が恭介を苦しめていたと理解したとたん、膝から崩れ落ちる。

その場で四つん這いになり謝るギルガメッシュ。

 

「もう、しない?」

 

「二度とするものか! 親が子を苦しめるなど……なんたる失態……っ!」

 

悔しそうに拳を握り締め大理石の床を殴打するギルガメッシュ。

そうとうな硬度を有する大理石が割れる。

ギルガメッシュは腐っても英雄であった。

 

「なかなおりー」

 

そんなギルガメッシュの拳を恭介は両手で包む。

先程までの何も映さない瞳はギルガメッシュをしっかりと映していた。

 

「お、おぉ! おぉおおおおおおおおおお! 恭介! 我を許してくれるというのか!? なんと広く深い慈悲の心よ! 恭介ぇええええええ!」

 

ひしっと抱き合う、否、ギルガメッシュが一方的に抱きしめる。

広い部屋にはギルガメッシュの声だけが反響していた。

 

「(大変だなぁ……)」

 

切嗣は心の中で呟いた。

 

「よし、用はすんだな、貴様はk-------」

 

「ぎる、おじさんあんないしたい!」

 

「帰らずに城内を見る権利をやろうではないか! 泣いて感謝せよ!」

 

帰れと言いかけ180度方向転換するギルガメッシュ。

この光景を見るのは何度目になるのかなと考え切嗣は苦笑する。

 

「ここ、おすすめ!」

 

「おお、最初にここを進めるとは、さすが恭介。わかっているではないか! 心して聞け。ここは巨大シアターのフィルム室だ! そこに設置し下の階のスクリーンに映す。席は1000席ほど用意した。このようなアナログなものにぜずとも鑑賞は可能だが手間をかけてこそモノは輝くというもの」

 

「ぽけもん、たのしい!」

 

「一作目から最新まで全てある。恭介のお気に入りだ。我としてはそれを見る恭介がお気に入りだ」

 

「……これは、驚いたな。サイレント映画のフィルムまであるじゃないか」

 

切嗣はフィルムを手に取りしげしげと見つめていた。

 

「無論。やるならば我は徹底的に集めるからな。欲せば自然と集まる。トーキー映画にはトーキ映画の、サイレント映画にはサイレント映画の良さがある」

 

「さすがはコレクター、ランクEXといったところかな?」

 

「……酒のせいで余計なことを口走ったか」

 

苦々しい表情のギルガメッシュに楽しげにフィルムを見つめる切嗣。

ふたりが話している間に恭介はフィルムを映写機にセットし、映画を観ていた。

 

「……恭介が映画を見終わるまで1時間半ほどまて。我は写真を撮ってくる」

 

「ブレないね、君は……」

 

カメラのレンズを磨くギルガメッシュに切嗣は呆れたように言った。

その後、蛇口からワインが出て驚いたり、巨大プールで溺れたりと楽しむだけ楽しんで切嗣は帰っていった。

 

「また我の恭介写真集の写真が増えたな!」




人工生命体どもの失態により恭介の心が危うく死ぬところであった。
いや、我の命令も悪かったのだが……
だが、危険な線引きぐらいは理解できるはずであろうが!

とにかく、あのような危険なものは処分せねば……
そういえば現像された写真を渡されていたな、コレを書きながら見てみるか。

うむ、うむ。
どの恭介も素晴らしい!
とくにこのインディアンな衣装の恭介は気に入った。
雄々しくじつに男児らしい。

……この外装、呪われてなかったか?
だが恭介に異常はなかったと記憶している。
この我がそういうのだ、間違いはない。

だがなにかが引っかかる……
って何だ、これは!?
チャイナ服だと? こちらは女児の幼稚園服ではないか!

ええぃ、ふざけるな!
だれがおなごの格好をさせろと……
ふむ、ふむ。

……これはこれで恭介の可憐さが際立っているな。
まぁ、よい!
今回は大目にみようではないか。

ふむ、今度はワンピースに麦わら帽子か。
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処分は勘弁してやるとするか。
命拾いしたな人工生命体ども。
恭介の可憐さに感謝するが良い!
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