悪辣金庫の見張り番   作:都理化無徒

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驚愕の声、動じぬ最強

「「ミーミルゥ?!」」

 

思わず叫んでしまった。待て目の前にいる人間…隊長はなんて言った?ミーミル、ミーミルと言ったか?

 

「隊長、聞き間違えでなければ私の耳にミーミルと聞こえたのですが…」

「そうだ、俺は確かにミーミルと言ったぞ。世界的犯罪組織のな」

 

同じく珍しく叫んだエリーゼが動揺した声で問いただす、しかしながらアスカルドの言った言葉は一語一句変わっていない。

 

ミーミル、主に武器や薬物などの密輸及び密売果てには人身売買までにも手を出しているという噂も存在する凶悪な組織だ。しかしながらこれだけの事をしておきながらも()()も捕まったことがないのだ。このご時世警察などの調査技術が進み昔に起きた迷宮入りの事件も幾つか解決されている。それなのに構成人数ですら明確とされていない。

今回はそんな相手に襲撃をかけるとこの男は言うのだ、正直に言って危険すぎる。しかし不明な情報が多いのに何故今回のことが分かったのだろうか、そう思い自分はアスカルドに問いかけた。

 

「隊長、罠の可能性は疑わなかったのでしょうか?これまで尻尾をだしてこなかったというのに、いきなり手がかりが出てくるというのは些かできすぎているのではないのでしょうか?」

「ついさっき言ったはずだぞ、情報の確度は高いとな。すまないが情報の出処についてはきいてくれるなよ?」

「それはどうしてもでしょうか」

「どうしてもだ、これ以上は絶対に言えん」

「わかりました、では任務について説明をお願いします。」

「物分かりがよくて結構、今回の任務だが目標は金庫の技術が使われた新型制御装置の回収、まだ試作機の段階らしい。一つも残らず回収するのが絶対条件だ。他を優先するのは決して許さない。手段は余程のことでないならば問題無し、処理は上がやるとのお達しだ。襲撃のポイントについてだが、マリク市の中心に位置する場所にある建設途中のマンションだ。」

 

アスカルドがマリク市を中心とした細かな地図とマンションの見取り図を取り出し、その場所を指し示した。

かなり大きなマンションが建設されるらしくかなりの面積を持っていた。建物自体の完成度は七割くらいだろうか。

 

「見ての通りかなりデカい、階層は完成すれば三十階だが建設途中のため二十階までで地下には駐車場が……」

 

アスカルドは今回の襲撃場所についての説明を始めた。先の通り階層、駐車場の有無、部屋数、広さ、高さなどとまるで下見をしてきたかの様に流暢に説明していく。説明を始めてから十分ほどだろうかアスカルドはマンションの地理的情報の説明を終えた。

 

「まぁこんなもんだろう、二人とも質問はあるかね?」

「今回の相手の人数、現れる場所については?」

 

説明を終えたアスカルドに対しエリーゼが質問をする。

アスカルドはこれから説明するつもりだったのか、まぁ焦るなと言ってエリーゼの質問に答えた。

「このマンションの周辺で行われる予定らしい、しかし車を使っての瞬間的なものかもしれないし、大きく外れたポイントかもしれん。だから周辺を片っ端から探すしかないがさすがに無理がある、ということで今回は技術班から申し出があってな、探索系の新型の試作機を作ったからついでに試してこい、と言っている。」

「技術班、ですか。」

 

エリーゼは顔を少し引き攣らせた。

カン高い笑い声を上げる技術班の室長を筆頭とする顔を思い浮かべる。基本的に彼らは仕事に関しては恐ろしく優秀なのだ、命令をキッチリ守り、良案があるのならば提案をして話し合いをした上で改良を施すなどと言った理想的な働きをしてくれるのだが、それは仕事限定の話なのだ。

 

ここでは自由時間では自由な行動が許可されている。寝てもいいし、ゲームしてもよし、街に繰り出すのもいいなどの余程の出過ぎた行為でない限りは許可されている。

彼ら技術部は自由時間になった途端に作業室へと駆け出すのだ。

 

彼らはとても優秀だがなまじできすぎたのか神に仕事とある一つパラメーターに全振りするかわりに人間性を少し削った、そう表現できるほどに彼らは熱中している。

 

それが何のことかというと()()である。しかもとびっきりの性能かロマン極振りの。

 

開発することに関しては問題ない、寧ろ推奨したいぐらいだ。しかしそれの性能テストを自分らではせずにこちらに押しつけてくるのだ、出来るなら断りたいがそれが難しい。何故か使用の申請が通っているし、置いていったソレが何故かストレージに入っている、しかも何故か求める性能がドンピシャなものが多い。しかもそれで助かった事もあるため、断るに断れない。

そこまではいいまだ譲歩はできる、だが特大の落とし穴があるのだ。

とびっきりの性能の代わりにとびっきりのデメリットがつくのだ。主に操作性と燃費の悪さだ、整備も作った本人しか出来ない代物もザラにある。そんな連中が申請してきた試作機を使うのだ、彼女の反応も無理はない。

 

「デメリットについてはどうなのでしょうか?まさかないなんて事はないですよね?」

「それについての説明はこの話が終わった後、試作機の受け取りの際に技術班のところに行ってくれ。」

「わかりました、ところで今回の任務についてですが、()()としてかそれとも()()としての任務かお聞かせ願えますか?」

「今回は()()としての任務だ、もう一方の方で取り扱ってもよかったんだが知っている通り委員会からの依頼だ、よって今回は二人で行ってもらう。」

「「了解」」

 

と二人の声が合わさった。それを見たアスカルドは先程まで固かった表情を緩ませ頷き、再び表情を引き締め二人に簡潔に言い放った。

 

「任務の開始時刻は20時頃とする。任務は厳しいものとなりそうだが必ず新型試作制御装置を回収するように、諸君らの活躍に期待する。」




次話は九時投稿です
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