「呼んだかな?」
「た、橘……」
「ん?友達かな?」
連絡を受けた俺は早速能力で寮へ(学園都市くらいの短い距離なら能力で跳んでいける)そして今到着し、五階のこの場所に着地した。
……さて、この状況を一言で説明するのは困難を極めるだろう。
しかしあえてそれをするのが俺クオリティー。
簡単に説明すると
教会の図書館は血まみれで倒れており、上条は金髪だが赤く染めた長めの髪の少年(背は高いが恐らく上条よりも年下だ)と、生きた炎の二人(匹?)と対峙していた。
恐らくこの少年は教会からの回し者だろうが、生憎ソレは俺の獲物である。
「で、どこまでお話ししてたんだ?」
「生憎だけど僕は彼女を回収しないといけないんだ……退いてくれないか?といったところまでかな?」
「ははぁ~ん……それで上条がキレたと……あんまり怒ると体によくないぞ……」
まずこの炎は魔術によるものと見て間違いはない、上条を見るに能力は一度試したのだろう……しかし消えていないとするとだ……ルーンを消してないんだなこれは……そして察するにそのルーンは大量にあると見た。
なら、それを対処するまで……
「上条、よく聞け……」
「な、なんでせう?」
「この寮全体にある珍妙な模様の書かれた紙切れ、又はそれに準ずるモノを破壊しろ……何、その模様の一部だけ消すだけで良い……」
「た、橘は?」
「アホが……俺があのアホ共をあしらっといてやるから問題を解決してこいって言ってんだよ……美味しいとこ持ってけって事……」
「わ、わかった……」
「はよいけ……あんまり能力は見られたかねーんだ……」
人前で“あまり”能力は使ったことない……使ったとしても本当に一部なので俺の能力は精々衝撃波を出す程度に思われているだろう。
ともかく色々と説得して上条にルーンを任せた俺はとりあえず教会の図書館に近寄る少年を何とかすることにした。
「おっと、何しようとしてるのかな?」
「邪魔しないでくれないか?」
「それは無理だね……生憎だが教会の図書館は俺の獲物だ」
「なら力ずくで行かせてもらうよ……イノケンティウス!!!」
人型の炎……魔女狩りの王……ね。
狩人の俺にそんな無粋な魔術はナンセンス……そう思わないかい?
「おっと……」
「な………何をして!?」
「ラ サント ヴィエルジュ ダンブラスマン(聖母の抱擁)……こんな老け顔の抱擁はお嫌かな?」
聖母の抱擁……全てを包み、愛し、赦す抱擁……
「イノケンティウスの炎が……小さく……」
「炎の剣は止しといた方が良いと思うな……俺だったらそうするね。じゃないと君は丸焦げ……もしかしたら灰すら残らないかもね」
遂に炎が消えた……上条のやつ……なんとか間に合ったか……
「ホースであちこち派手に水ぶっかけちまったけど……はぁ……不幸だ……」
「イノケンティウスが……まさか……クソッ」
こちらに向かってきた……ヤケクソか?
だがまぁ……チェックメイトな。
「残念、今日の君はマジでアンラッキー……ついてないのさ本当に……」
先程の着地によって貯蓄された運動エネルギーを神父(神父だってことはさっきわかった)の腹に狙いを定めて解放する。
神父はそのまま寮の外へと派手に吹き飛んだ……ここ五階だぜ?うわ、痛そう………
「何はともあれ、事件解決の巻……それにしても弱かったな……くすぐりおばけのが手強かったな」
おっと、そういや教会の図書館はっと……うわこりゃ酷い……ザックリいってるなこりゃ……
こりゃ……死ぬな。うん。
まぁ……流石に現段階では監視対象である獲物に死なれるってのも何か……なぁ。
どれ、MOTTAINAI気もするが……生命エネルギー解放するか……上条、そして白いの(教会の(ryは一々面倒なのでこう呼ぶことにした)この代償は高くつくぞ。
「この世に神はいるのか……多分、いるだろう…ま、多分だがな」
成程、生命エネルギーってのは青いのか……ひとつ賢くなったなおめでとう俺。
白いの の、傷は消え去り、傷跡もなくなった。
ついでにあちこちにあった痣やらなんやらも綺麗さっぱりなくなった。
爪やら髪は伸びないらしい……伸びると思ったんだがな……。
軽くだが裂けてしまっている部分、外側のみを修復しておくことにした……こう見えて裁縫は得意でね……。
「橘、インデックスは!?」
「ん、白いのなら俺の部屋で寝てるぞ……お前の部屋よか快適だからな……」
綺麗さっぱり治したといっても怪我人は怪我人……こんな夏のくそ暑い時にクーラーもない部屋に寝かせておける
かっての……
とは流石に部屋の家電が全て(勿論クーラーも)壊れた上条が可哀想なので言わない……
「そ、そうか……怪我は?」
「治してやった……感謝しろよ?」
「よ、よかった……」
「このツケは高いからな~」
「え゙!?」
「当たり前だろ……不治の病も治せるかもしれなかったんだぞ?」
「そ、そうなのか……」
「そうだ…………ま、部屋入れや……流石に暑い」
「お、おう……」
何か忘れてる気がしなくもないが……こういうのは大抵気のせいだ。うん。
「…………う……ん?」
「…………起きたか」
「だ、誰!?」
「うっせ……こちとら命の恩人だぞ」
しかも寝床を貸してやってるっていうね……
「上条起きろ、てかお前まで寝てんじゃねぇ……よっ」
「うげっ……」
軽く頭を叩いたら奇声を上げて飛び起きた。
「あ、インデックス……大丈夫か!?」
「はぁ……まぁ、ごゆっくり……飯はそこに作り置きしてあるからご自由にどうぞ……」
何とも言えない雰囲気に押され、外に出る事にした……
もう真夜中でかつ俺の部屋な訳だし、納得いかないが……
「…………ん?」
何か光った様な……
「気のせいか……」
にしてもタチコマどこをほっつき歩いてんだ……晩飯いらないのかねぇ……
「ん……電話?」
カノンの着メロ……まさか……ね
「はい……ゼロ タチバナ」
『もしもしもしもし?あ、ゼロく~ん?』
「…………ンだよドライ……てかお前生きてたのかよ……しっかり殺したと思ったのに……」
『んふふ~ん、アタシは殺せないよ~?』
「ウゼェ、死ね……」
『無理♪君を追いかけて追いかけて……ンフッ♪』
「キメェ……胸の無駄な脂肪どうにかしてからおとといきやがれ死ね」
『え~……君の為に大きくしたのに……』
「知らねぇ、死ね」
『え~?男の人って大きいのが良いんじゃないの~?』
「少なくとも俺は違ぇ……死ね」
確かにそんな話を傭兵の同期としたような気もしたが俺は小さい方が良い……
『じゃ、君好みの女になっちゃ「うっせぇ……次現れたら消炭にしてやる……」
正直この女は読めない。
名前はドライ(本名かどうかは知らんが……)俺と同年代……
ファーストコンタクトは傭兵時代……敵側として現れた。
その時はあっさりと殺したつもりだったのだが……事あるごとに現れては俺に殺されている。
言っていることが支離滅裂で、やることすることが理解できない。
そして、そしてだ……
なぁ、わかるだろ?
「何より気味が悪い……」
「あ?なんだって?」
『ですから、今度の土日先生に付き合ってほしいのです』
「なんでよ」
『先生の……友達のですね……』
「はっきり言ってもらえませんかね?」
『友達の結婚式に付き合ってもらえませんか?』
「はい?」
『せ、先生は大人なんですけど……学園都市の外だと補導されてしまうのです……』
「それで?」
『ほ、保護者としてですね……』
「おいおい……免許証を提示するだけでも良いじゃねぇか……」
「俺が同行するまでもないだろ?」
『提示してもそう簡単に信じてもらえないのですよ!!!』
「あぁ……成程……なんか理解できる気もする……」
「とりあえずご愁傷さま……」
『いちいちそんな事で時間をとられてたら間に合わなくなっちゃうのです……』
「それで俺……か……」
「…………言外に俺がそれくらい老けて見えるとでも言いたいのかね己は」
『ち、違います!!!先生に男友達がいなかったから……ってそうじゃなくて、付き合ってくれるのですか?それとも予定が入ってるのですか?』
「いや、まぁ……暇だけど……」
「土曜の……何時?」
『え?あ、えっと……午前十時に、いつもの喫茶店前で……』
「あ、おう……午前十時にいつもの喫茶店前な」
「服はそれっぽい服で良いよな?」
『大丈夫なのですよ~』
その後話し合いは数十分続いたらしい……
橘はこの事案について小萌に別の企みがあることなぞ知りもしないだろう……
そもそも保護者的な役割なら女友達でも良いだろうに……