七つの魔剣が支配する~夜明けの魔法使い~    作:HAL1993

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第2話~新入生~

 暴走したトロールが制圧されたことでパレードは元通りになるかと思いきや、むしろ悪化しそうになった。

 逃げ出した新入生の混乱と騒音。トロールと新入生の戦いの雰囲気、トロールが致命傷を与えた魔犬(ワーグ)二頭の血の匂い。

 これらの要素は徹底的に管理された魔法生物達をも強く刺激する。

 逃げ出す学生達を見てその後ろを追いかけなかっただけでもよく調教されているが、しかし限界も見えていた。

 特に竜種などの危険な魔法生物達に限ってより興奮しやすい。次に何かの刺激があれば恐ろしい教師による暴力も忘れ、己を解放させる可能性が高かった。

 

 そして、とうとう起こった。

 グルルと慌てふためく新入生を見下ろしていた赤竜は興奮のあまり翼を広げ、とうとう空を見上げると口を大きく開いて咆哮を轟かせようとする。このままでは彼の声が魔法生物達の大反乱のきっかけとなるだろう。

 そうはさせまいとルネが一歩躍り出た。杖を腰のケースから抜き、呪文と共に掲げる。

 

静まれ(セサエヴィタ)

 

 これ一つでトロールの騒ぎにつられて興奮した魔法生物達の昂りが収まった。

 ゆらゆら揺れる彼の杖先から流れ出る波動が魔法生物達を落ち着かせていく。ひりひりと高まっていた興奮が嘘のように鎮まっていった。

 

「先生方。魔法生物達の移動をお願いします」

 

 呪文で興奮を抑えつけたルネは駆けつけた教員達に助けを求める。

 

「ああ、分かった。感謝するMr.(ミスター)サリヴァーン。ほら行くぞ!」

 

 咆哮しようとした赤竜もきょとんとした顔になるときょろきょろと辺りを見回し、その隙に素早く対応した教員達の手によって魔法生物達はパレードの先へと移動させられていく。倒れたトロールも早々に教員達によって回収された。

 呆気にとられた新入生達にルネは杖を腰のケースに戻しながら声をかける。

 

「ごきげんよう。お怪我はありませんか?」

 

 オリバー=ホーンは背後から不意にそう話しかけられ振り返った。

 

「ルネ=サリヴァーンです」

 

 自分の胸にほっそりとした手を優雅に置き、そう名乗った貴族然とした美しい少年にオリバーは一瞬戸惑った。彼が余りにも有名人だったからである。

 

 優れた魔法使いには利己的な人物が多い。自分の研究分野以外には関心を抱かず、他人や身内が死のうとも研究に没頭する冷たい人物ばかりなのだ。

 そんな優れた魔法使いが格下の自分達を助けてくれたというのも意外だったし、こうして挨拶してきたのも意外だった。

 オリバーの反応が遅れたからか、無視されたと思ったルネは少し悲しそうな顔をする。彼は慌てて自分も挨拶を返した。

 

「そうか、君があの……。光栄だ。俺はオリバー=ホーン。Mr.(ミスター)サリヴァーン、かの天球儀(てんきゅうぎ)の開発者に声をかけてもらえるとは。『異界観測法』『人工霊体精製術』『黄金へ至る道』は興味深く読ませてもらったよ」

 

 そう握手を求められ、ルネは嬉しそうに微笑んで求めに応えた。

 

「どうもMr.(ミスター)ホーン。私の著作を多く読んでもらって実に嬉しいですね」

「同世代の天才に興味がないわけない。君と同学年で嬉しく思っているよ。君がどれだけ世に貢献しているのか。それを考えると憧れるばかりだ。特に君のおかげで異端狩り(グノーシスハンター)達は大助かりだろう」

「君もとても優秀で器用な魔法使いだ。彼らとは初対面なのでしょう? なのにあそこまで綺麗に魔法を束ねるとは見事です」

「みんなが上手く魔法を使ってくれたおかげだ」

「それもあるのでしょうが、だとしても素晴らしい技量ですよ。そう謙遜することはありません」 

「君のような優秀な魔法使いに褒められると照れるな。こうしてキンバリー始まって以来の天才と話せているだけでも驚きだというのに」 

 

 オリバーの言う通りルネ=サリヴァーンはキンバリー始まって以来の期待の新入生であった。

 入学前に彼ほど既に多数の実績を上げている生徒はこれまで皆無だったからである。

 その才能は天球儀(てんきゅうぎ)だけでも十分に歴史に残る偉業。特に異界からの脅威に対抗する異端狩り(グノーシスハンター)にとっては。

 

 天球儀(てんきゅうぎ)が作られる前は異端狩り(グノーシスハンター)達は天文学による占術で異界からの侵攻を予知していた。その原理は星辰を読み解き、未来を読み取るというものだ。

 これは雲の形から明日の天気を導き出すような不安定さで、当たり外れの差が激しい正確さに欠けるものだった。それでも異端狩り(グノーシスハンター)が占術に頼ってきたのはそれ以外に異界の動きを読み解くものがなかったからである。

 

 しかし天球儀(てんきゅうぎ)は星辰から未来を読み取る不安定な()()ではなく、この世界を中心として異界そのものを正確に観測し、その動きを()()する高度な魔法道具である。

 おかげで侵攻の規模や正確な位置が異端狩り(グノーシスハンター)達の貴重な情報源となった。

 

 この魔法道具が彼らの本部に配備されてから五年が経過するが、的中率は百パーセントを誇っている。

 その原理は「神の目(トラルファマドール)」という術式を基礎に成り立っているらしい。

 

 それはオリバーには理解できないものだったが、ルネのおかげで異端狩り(グノーシスハンター)は適切な人員を適切な位置に配置できるようになったのは紛れもない事実である。

 正確な予測によって小規模な侵攻に大軍団を動かすことも、大規模な侵攻に小隊で対応するという悲劇は回避されたのだ。

 

「それに、その年齢で錬金術における『賢者』として認められている魔法使いは歴史を見てもいたかどうか」

「ふふ。同じ新入生同士なのですから、そう持ち上げないでください。キンバリーで評価されるのは入学後の実績です。今は私も君も同じ位置ですよ」

 

 ルネの言う通りオリバーはまるで最上級生と話しているかのような振る舞いだった。

 それは単に尊敬されているのか、遠ざけようとされているのか。流石のルネも判断しかねた。

 

「すまない。ただこれは魔法使いとしての純粋な敬意だよ──ん」

 

 ふとオリバーが耳を澄ますと目の前の少年からは微妙に異音がした。

 腹や喉が鳴っているなどの生物的な音ではない。無機物の軋む音に似たキリキリという音である。

 音に気づいたことにルネも気づいたようだ。申し訳なさげに言った。

 

「褒めてもらって光栄ですが、君達の活躍に手を貸せずに申し訳なく思っています。察しの通りこの体は自動人形(オートマトン)。私の生身は工房から大講堂の方へ向かっていまして。ついさっきまでこちら側は意識すら覚醒させていなかったのです」

 

 異界の動向を正確に観測する天球儀(てんきゅうぎ)だけでなく、人工霊体を持った最高性能の自動人形(オートマトン)の作り手としてもルネ=サリヴァーンは有名だった。

 その自動人形(オートマトン)に自分の意識を移し、肉体と同じレベルでの魔法の使用すら可能にしている。自分の意識を他人どころか無機物へ移すことも、人工霊体の作成も、自動人形(オートマトン)での魔法使用もどれもかつて呪文学と魔道工学上不可能と言われた絶技である。

 オリバーはその実物を見たことはなかったが、しかし先ほどの魔法を考えるとそれは事実であったようだ。

 

「いや、構わないさ。それに他の魔獣達の暴走を抑えてくれた。呪文一つで見事なものだ。しかも自動人形(オートマトン)の身で」

 

 杖や魔法で脅すこともなく、凶暴な魔法生物達を鎮めた。オリバーはルネの実績について複数知っていたつもりだったが、その知識から呪文学や魔道工学、錬金術に重きを置いた魔法使いと思っていたため、魔法生物関係の分野にも明るいとは思っておらず素直に同年代の天才を称賛する。

 

 今までの偉業は数知れず。これからの偉業も大いに期待できる逸材。間違いなく未来の魔法界を担う重要人物だ。

 

 しかも傑出した魔法使いにありがちなエキセントリックな性格というわけでもなさそうだった。現に彼は力になれなかったことに終始申し訳なさげである。

 明るくきらきらした瞳でじっとオリバーを見つめ、力ある自分が真っ先に行動しなかったことを恥じながら言った。

 

「ありがとう。しかしトロールの件は加勢できなくて申し訳ない。罪滅ぼしといってはあれですが、代わりにこの魔法の才能を使わせてほしい」

 

 ルネはオリバーから視線を移し、地面に座り込んだ巻き毛の少女を見た。オリバー達が救った命だ。どういうわけかルネは知らないが、疾走するトロールの足元に倒れ込んでいたこの少女を助けるために彼らは奮闘したのである。

 

「立てますか?」

「あ、ううん。腰が抜けて……それに足も」

 

 巻き毛の少女が腰に手を置き、そして目線で右足首を示した。その誘導通りにルネの視線は腰と右足首に向けられる。

 カチリと自動人形(オートマトン)の目が鳴った。少しルネは黙考し、巻き毛の少女を安堵させるように穏やかに言う。

 

「右足首を捻ったみたいですね。ああ、無理しなくていいですよ。私が治しますので。それで君は?」

 

 立ち上がろうとした少女を留めたルネがサムライ少女の方に向くと、ちょうど彼女の手から刀が滑り落ちるところだった。カランと石畳とぶつかる音が鳴った。

 サムライ少女はぷるぷる震えながらも感心しているようだった。

 

「し、痺れたでござる……雷で洗ったかのごとく。まったくなんたる頭蓋(しゃれこうべ)の硬さ」

 

 彼女の髪色は既に黒に戻っている。魔力循環が落ち着き、髪の変色反応が収まったのだ。

 真っ白な色が段々と黒に染まっていく。ルネは貴重な映像を一瞬で頭の中の城塞の一室に保存した。一目見ただけでも彼にとっては十分だ。白が黒に戻っていく様を何度でも始まりから終わりまで、また詳細に思い起こすことができた。

 こうした思考を一瞬で終え、ルネは愛想よく笑みを浮かべる。 

 

「はは。それはそうでしょう。トロールは空も飛べませんし火も吹けません。ましてや魔力も技術として扱えませんが、生物としての屈強さは凄まじいのですよ。骨だけでなく呪文で傷一つつかない皮膚や怪力を生み出す筋肉も恐ろしい。トロール以外の魔法生物もみな意外と頑丈なんですよ。

 それに魔力で力を増していたとはいえ、魔法なしで挑むとは勇ましい人ですね。伝聞でしか知らないサムライそのものだ。君の場合は話に聞くサムライとは違って魔力を使っていましたが」

 

 笑ってそう言った。

 改めてルネは痺れで手を震わせる少女の異常さを思う。強い魔力の手助けがあったとはいえトロールを鉄の棒きれで殴り倒すとは。

 

 彼女が落とした刀を見てそう思った。それはこの辺りでは珍しい片刃で反りのある剣、いわゆる刀であったが、そこに切れ味はない。

 これは学校による人種差別的な対応ではなかった。ルネもオリバー達も腰に杖剣を帯びているが、元々その剣に刃はないのだ。

 いくら杖剣を持つのが現代魔法使いとはいえ、学生が刃のあるものを持たされることはなかった。それは自由主義を掲げるここキンバリーでも同じである。

 

 もちろん呪文一つ唱えれば鋭い剣に変えることもできるが、校則では一応禁じられていた。例外もあるが。

 校則に則れば、トロールと戦うのであれば杖剣に鋭さを戻しても良かっただろうがサムライ少女はその呪文を知らないようだった。よって刃のない鉄の棒でトロールを殴らざるを得なかったのである。

 

 作用があれば反作用がある。分厚い皮膚、筋肉、そして硬い骨で守られたトロールの脳天に刃を叩きつければ誰だってこうなった。

 魔力がなければ彼女の骨に亀裂が入るだけだったろう。

 

「むう。次は気をつけるでござる」

「はい。気をつけてくださいね」

 

 ルネはぷるぷると震える彼女の手をじっと観察しつつにっこり笑いながら言った。

 

「ふむ。折れてはいないようだ。確かに痺れただけのようですね」

「しばし待たれよ。今は小石すら握られぬが、すぐに痺れも抜けよう」

「待つ必要はありません。すぐに治しましょう、君も」

 

 最後に巻き毛の少女に視線を向けてそう言うと、ルネは指をぱちんと鳴らした。呪文も唱えずに。

 サムライ少女は頭に疑問符を浮かべながら指が鳴る音を聞いていたが、自分が想定したよりもずっと早く痺れがなくなっていることにすぐ気づいた。

 

「む? むむ? 指が動くでござる。なんと不思議な。これもまじないにござるか」

「あ、私も動ける」

 

 巻き毛の少女は足首の痛みどころか力の抜けていた足腰まで立ち上がれるようになっていた。

 

「貴殿、感謝いたす」

 

 手を握ったり開いたりしながらサムライ少女は気さくそうににかっと笑っていた。

 

「私も。ありがとう。今の、治癒魔法?」

 

 巻き毛の少女の疑問にルネは的確に答える。

 

「ええ。無詠唱呪文(ノースペルマジック)杖なし呪文(ノーワンドマジック)は得意ですから」

 

 にっこりと笑って言った言葉にサムライ少女以外の魔法使いは二の句が継げなかった。サムライ少女は聞き慣れぬ単語にきょとんとしていたようだ。

 

 これはこの世の理である。常識として魔法に必要なのは呪文を唱えることと杖だ。瞬時に出せるのは呪文未満の魔法行使であり、これは呪文を伴った魔法に大きく威力や規模で劣るもの。

 魔法使いの基本中の基本だが、実はルネが口にした無詠唱呪文(ノースペルマジック)はまだできないこともない。魔法陣の用意などの事前準備が必須条件となるが。

 

 先ほどのように気軽に、しかも治癒魔法のように複雑な魔法を呪文の詠唱もなしに扱える魔法使いは歴史上いたかどうかすら怪しい。

 杖なし呪文(ノーワンドマジック)に至っては奇跡だ。無詠唱呪文(ノースペルマジック)を何とかして扱おうとする際にも杖は不可欠である。

 この二つの単語はルネが作ったものではないが、ルネ以前の魔法使いが挑んでは諦めていった不可能に近い技術だ。

 

「といっても基本的には私も呪文を唱えたり、杖を振ったりするのですが」

 

 ルネはすらりと杖を抜くと肉の塊にしか見えない魔犬(ワーグ)二匹の血濡れの体にその先を向けた。

 

繋がり治れ(サナヴルネラ)

「アッ!? ……アアアアア」

 

 死んだと思っていた魔犬(ワーグ)がびくりと痙攣を起こし、折れた手足や体を突き抜けた骨、潰れた体が全身を震わせながらも治っていく。

 その際に彼らの喉から漏れる奇妙な鳴き声が響いた。痛みに唸っているというよりは妙な感覚がそのまま声になっているといった感じだ。

 一般常識的な治癒魔法とはあまりにもかけ離れた光景に絶句するオリバー達。

 確かに治癒魔法は腕を斬られた魔法使いの腕をくっつけたり、生やしたりすることも可能な技術である。

 しかしここまでのものだったか。トロールに潰され、無残に殺された魔犬(ワーグ)がみるみるうちに元の姿に戻っていく。

 

「まさか──死者蘇生?」

 

 ミシェーラが細い指を口元に当て、動揺を隠せずに言った。

 魔法界における確実に不可能と言われる事象の一つだ。未だに挑む魔法使いが後を絶たず、同じだけ諦めた魔法使いがいる絶壁のような分野が死者の復活である。

 しかしルネはそれを否定する。そしてミシェーラだけでなく誰にでも伝えるように言った。

 

「いえ、Ms.(ミズ)マクファーレン。()()私は()()にそこに到達してはいません。今のはただ私の治癒魔法が並外れて強力であるというだけです。先ほど申し上げた通り魔法生物は頑丈です。とてもしぶとい。トロールほどではありませんが魔犬(ワーグ)もそう言えます。私はその頑丈さを頼りに彼らを癒してあげただけなのですよ」

 

 彼が杖を収め、説明口調を切り上げる頃には魔犬(ワーグ)達はすっかり元通りの姿に戻っていた。

 二匹が確実に死亡したと思っていた学生達には死者蘇生にしか見えなかったらしく、目を丸くしてこの光景を見ていた。

 

「もし今後魔法生物を扱う方がいましたらそう簡単に彼らの命を見捨てないであげてください。しっかり魔法を学べば、このように致命的な損傷も治してしまえるのですから」

 

 ルネは魔犬(ワーグ)二頭の顔をそれぞれ撫でる。

 彼らは自分の体に何が起こったのか分かっていないのか辺りをきょろきょろしていた。

 

「心配ですか? ご安心ください。私の治癒魔法は特別製なのです。先ほどの治癒で君達の寿命は削られていませんよ。生まれたままの寿命を全うし、それまでよく働いてください」

 

 人語を解さない相手に親し気に語ったルネは彼らの頭を愛しそうに撫でると、最後に優しく「行きなさい」と命じる。

 敬意を込めているのだろうか。魔犬(ワーグ)達は厳つい見た目からは信じられない「わふん」という媚びた声を上げ、先ほど魔法生物達が向かった先へと駆け出して行った。

 

「先生方も戻ってこられたようだ」

 

 魔犬(ワーグ)が駆けた方から魔法生物を誘導していた教師達が戻ってきた。

 彼らも死んだと思っていた魔犬(ワーグ)の元気な姿を見てぎょっとしていたが、ルネが軽く手を振ったことで事情は理解したようだ。

 彼らは普通の学生よりもずっとルネが出してきた著作を読み込み、また彼自身の成果物や彼の技能を目にしている。 

 天才が何かやったに違いない。そう判断すると教師たちの行動は早かった。

 

 トロールの騒ぎで散り散りに逃げた新入生達を呼び戻し、改めて列を組んでゆく。いつまでもここでもたついていては入学式の行程が遅れてしまうからだ。

 既に二十分ほど遅れている。ルネは教員の指示通りに列の最後尾に並んだ。

 

 そしてルネの本体は校庭での交流を経験しながら、もう大講堂の前に到着していた。もちろん彼はオリバー達とのやり取りを知っているし、ここまで来る道筋で眺めていた校庭の景色も確かに知っている。どれも同時進行でルネが経験したことだ。

 今活動している他の自動人形(オートマトン)達の記憶すら同時に経験していた。

 背伸びするとようやくこちらに行進してくる新入生の列が見えた。

 

「ああ、楽しみです」

 

 特定のことに関して言ったのではない。強いて言えばこれからの全てに対しての率直な感想の吐露であった。

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