マ「平等に行きましょう」
タ「抜け駆けも禁止や」
ク「順番を決めましょうね~」
テ「ニッシッシ、ヤッチャウモンニー」
ブ「最初はタマモクロスさんです」
担当ウマ娘達の好意で、今日から昼飯はコンビニ弁当からオサラバできる。
忙しくてトレーナー室で昼食を済ましていたが、ウマ娘達が順番にお弁当を作ってきてくれるようだ。
トレーナー室には色々な物がある。
その中で、窓際にあるデスクの高級ゲーミングチェアに腰を掛ける。
トレーナー業は多岐にわたり、特にデスクワークは多い。
腰を痛めた私を見かねて、初任給でタマが買ってくれたのだ。
トゥインクルシリーズの給料は6割運営に、3割ウマ娘に、1割トレーナーに入ってくる。
貧乏な実家に仕送りをしないといけない彼女が、理由あるが故のドケチな彼女が買ってくれたのは、人生でもトップレベルで嬉しい思い出だ。
そう思っていると、彼女が入ってきた。
「待たせたなー! 邪魔するでぇ!」
ニコニコと大きいタッパを抱えながら、眩い笑顔ときたn、デカい声で彼女は近寄ってくる。
「そこまで待ってないよ、今日はありがとうね」
「ちゃうちゃう! そこは待っといて―な! 楽しみにしといてー」
「楽しみではあったよ」
「そ、そうか? そ、そうかぁ……って色付く訳にはいかんな」
「?」
彼女は部屋に備え付けられた電子レンジで温め始めた。
「――ほい、うちが丹精込めて作ったたこ焼やでぇ」
タッパの中に敷き詰められたたこ焼が、美味しい臭いと湯気を部屋中にまき散らす。
「うん、ソースの匂いも合わさって美味しそうだ」
「せやろ! 作り過ぎてオグリに半分食わせたら喜んどったで」
「そう言えば同室でしたね」
彼は紙皿に数個取り分けると、たこ焼を割って中のタコを取り出した。
「何してんのや?」
「いや、申し訳ないけどタコ嫌いなんですよ。だから中はタマに食べてもらおうかと」
「なに言ってんねん! タコの無いたこ焼きなんてただの焼きやろ!!」
「そ、それはそうなんですが……ダメですか?」
「あんなぁ……タコの無いたこ焼きはオグリの出てないダービーみたいなもんやで」
タマがそう言うと彼は落ち込んでしまう。
「ん? ……あっ」
タマは気付いた。
彼は二年連続で世代最強のウマ娘を担当し、そしてダービーに出せなかった。
クリークも含めると三年連続である。
ダービーに出られなかった世代最強ウマ娘はしばしば言われるのが、出ていたら間違いなく勝てていたよねっていう評価である。
そうすると叩かれるのはトレーナーだ。
だが、そこで叩かれた件はそこまで彼にはショックでは無かった。
当然の批判だし、その時の運もある為にしょうがないのだ。
何が一番辛いのかと言うと、他のウマ娘たちに業を背負わせたことである。
マルゼンスキーが顕著であったが、圧倒的すぎる存在感故に彼女が出ないレースで勝ったウマ娘は、「マルゼンスキーが出ていないから勝てただけ」「所詮は敗者復活戦」と言う風に言われてしまう。
タマはまだ本格化していなかったと言う言い訳も可能だった。
クリークの年ではオグリがそう言った立場になったが、クリークが直接対決でオグリに勝ったことも合わさってマルゼン程は言われない。
そんなこともあって、彼はダービーには苦い思いがある。
「ま、まあええんちゃう? 焼きで上等や! うちが作ったからにはタコなんか無くても美味いわ! さあ遠慮なく食いな」
「タマ……ありがとうね」
中を取り、タマに渡した彼は残った焼きを食べ始める。
「もぐもぐ――美味いね、たくさんあるしお腹が膨れて良いよ」
「せやろ!!! 毎日でも作ったるで!?」
「うぉっ、どうしてそんなに食い気味?」
掛かり始めるタマモクロス。レースなら負けパターンだ。
「毎日は遠慮したいかな? 胃がもたれちゃうよ」
「そ、そうか……そやな……関西人でもないしな……毎日はきついわな」
タマモクロス、同棲アピール失敗!