今日はミホノブルボンがお弁当を作ってくれるようだ。
「楽しみやな~」
「そうだね」
なぜかタマがいるが、それはトレーナーが呼んだからだ。
彼はプライベートにはあまり干渉しないので、ブルボンの料理の腕の程が分からなかった。ので、タマに毒m、味見をしてもらおうと呼んだのだ。
「ブルボンは真面目だがどこか危なかっしいからね、心配だよ」
「だからウチを呼んだんかい」
「うん、頼むよタマちゃん」
そう言って頭を撫でる。
「子供扱いはやめーい! てかちゃん付けすな」
「じゃあチャンタマ」
「誰がキ〇タマやねん!」
「!?」
突然の下ネタに驚く。
そういうこと言うキャラでは無かったように思うが。
「まあウチがキ〇タマと言うのは分からんでもないがな~」
「!?」
「ウチはこう見えてもチームのキ〇タマ筆頭やしな!」
「!?」
何を言っているのか理解が追いつかない。
「た、タマはキ〇タマって何を指してるのか分かってる?」
「んあ? あれやろ、ポ〇モンの高く売れる奴やろ?」
「ああ、そっちね……ん、そうだね」
下ネタ的な意味では無かったようだ。
恐らくは一番お金を稼ぐ的な意味だと思われる。
微妙な漫才を繰り広げていると、ガチャっとトレーナー室の扉が開いた。
「十二時ジャスト、ミホノブルボン参りました」
そう言って頭を下げる。
「悪いね」
「オーダー『昼食を作る』完遂、これよりマスターに食べてもらいます」
てきぱきと風呂敷を広げ、中からは重箱が出てくる。
中にはたくさんのオカズと、小さいおにぎりが敷き詰められていた。
「なんかあれやな、定規で図ったかのような揃った大きさやな」
卵焼きから野菜、おにぎりに至るまでがサイズ一定に整えられていた。
「まあ味には影響はないよ、はいあーん」
「あーん、もぐもぐ……普通に美味いわってあんたが先に食わんかい!」
トレーナーはタマにあーんした箸をそのまま使い、どんどん食していく。
「うん、すっごく美味しいよ」
「……これって関節キッスやんけ……ウチってなんも意識され取らんのやな……」
味が若干薄目ではあったが、とても美味しかった。
レシピ通りに作ったのだろう。
「よろしければ好物、並びに偏食の程をお伺いしたいのですが」
「ブルボン達が作ってくれたら何でも食べるよ」
「マスター……」
無表情ではあるが、尻尾は爆速で振られるミホノブルボン。
「ウチのタコは食わんかったやん」
「タコはNG」
「なんでやねん!!」
ブルボンはこの時羨ましかった。
自分もマスターとこんな風に会話してみたいと思った。
ので、一歩前に踏み出してみた。
「ま、マスターはタッコ悪い(格好悪い)ですね」
(え、私は馬鹿にされたの!?)
(なんや急に? いきなりの罵倒はあかんやろ)
滅多にないブルボンの冗談も、二人には通じていなかった。
通じておらず、ブルボンはショボーンとしてしまう。
「ぶ、ブルボン? その、あの……美味しかったよ! ごちそうさま」
「うん美味かったで! ごっそーさん」
意味は分からなかったが、取りあえずご機嫌取りに行く二人。
「はい……ありがとうございます……」
「そ、そうだ! こ、今度のレースの賞金を見たかい? すっごい額だったね」
「せ、せやな~、さっすがはブルボンやで」
落ち込みっぷりが半端ないので流石に焦る二人。
「はい……」
((あかん……))
「せ、せや! もう次勝てばウチを超してあんたがチームのキ〇タマや!! ウチと同じでデカい胸張りや!!」
「タマはデカくないだろうに」
「なんやて!?」
「き、きん!?」
ここにきてブルボンは初めて驚愕の表情をする。
「せや、あんたはキ〇タマや。トレーナーにたっぷりと還元しいや」
「還元?」
「別に良いのに、タマからたっぷり貰ってるから」
「たっぷり!?」
「まあな! マルゼンは(距離が)短いからな、(賞金が)ひっくいねんな」
「短い!? 低い!?」
ぶるぶると震え出すブルボン。
「なんやねん未来のキ〇タマ? サイボーグ言われとるからって別にバイブ機能まで付けんでもええやろがい」
「ば、バイブ……」
「でも(二つ名で呼ばれるのは)気持ち良いからしょうがないよねブルボン」
「気持ち良い……」
「きも、ばい、きn――ぴがー、ぷすぷす――逃亡開始!!」
顔を真っ赤にし、ブルボンはとんでもないスピードで去って行った。
「ぶ、ブルボーン!? ええ!?」
「自己最速出とったな」
「ど、どうして?」
「ん? ああ、分かったで」
「なに?」
「下ネタと勘違いしたんやろ」
「え?……ああ、と言うかタマは知ってて言ってたの!?」
「キ〇タマ知らん高校生はおらんやろ」
腕を組んでドヤ顔のタマ。
「初心(ウブ)やな、初心ルボンや」
「なにも上手くないよ」
「なんやて!?」
ミホノブルボン、同棲アピール失敗。
「ブルボンには悪いことしたな~、次のウチの出番ではフォローしたるか」