知られることのない話   作:まるイワ

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ひとまずこれで書き溜めは尽きたので初投稿です。


1-6 私と貴女で決めたこと

 

 

 

 

(いや。いやいやいやいや。ちがうだろ。そうじゃねえだろ。)

 

 

自分にそう言い聞かせて、全身を無理矢理に再起動させようとする。私の腕、私の脚、私の体だ。だったらさっさと動くんだよ!

 

 

(確かに私と先輩ってバラバラだけど、それでも生き残ってきたし…。まぁ、お互いミスだって何回もやらかしてきたけどさ…)

 

 

何とか動いたけど、ガクガクと震えてしまう手脚。辛い。苦しい。やめてしまいたい。隣を見ると、先輩も頑張って立ち上がろうとしていた。多分私と同じで、すっごいしんどいんだろうな。

 

 

(そもそも、仲良しこよしが出来ないから何だってんだよ。出来なきゃ組んじゃいけませんってか?そんなわけ…)

 

 

何くそと思って四肢に精一杯力を込める。立とうとする。でもダメだ。どうしても足りない。あと少し、あと少し何か、私達を奮い立たせてくれるものがあれば…!

 

 

(でも他のチームの子って皆仲良さそうだったしなぁ…連携もばっちりっていうか…。しかも強かったし…。私達とは違うよなぁ…)

 

 

その「何か」を探さなきゃならないのに、浮かんでくるのはチームがどうのという話。そんなこと考えてる場合じゃないのに、そこから頭を切り替えられない。そんなレベルまで追い詰められてるってことなのか。

 

 

(それじゃあ、なにか。仲良しなんて域にも達してない私達は、一生このままだってか。魔女は満足に狩れない。狩れてもどうせおこぼれが大半で、最後にはどっかで野垂れ死に。それが関の山だってか?)

 

 

終いには「ルミナスも出来ないやつらにゃ無理無理」なんて、見えない誰かにそう言われてる気がして、だんだん腹が立ってきた。いや、ルミナスってなんだ。どっから湧いたワードなんだ。

 

 

「ふざ、けんな……」

 

 

思わずそう呟いたら、なんか力が漲ってきた気がする。そしたら何かもっと腹が立ってきて、思いっきり叫んでやりたくなった。

 

 

『ふざけんなああああああああああ!!!』

 

 

私も先輩も、そうやって叫んで一気に立ち上がった。ついさっきまで指の一本すら動かせなかったはずなのに、怒りのパワーってのは大したもんだよ。鼻だの口だのから血が出ているのも、気にならない。

 

 

「せぇんぱあああああああああい!!!」

 

 

湧き上がる衝動をそのままに、相方のあだ名を叫びながら、魔女の元へ全速全開で走る。身体が動いたとはいえ限界には違いないけど、幸い魔女は私達の大声に驚いて、足を止めている。今度こそ決めなきゃいけない。それしか考えられなかった。

 

 

「ぬあああああああああああああぃ!!!」

 

 

先輩も、普段の言動や態度が嘘みたいな咆哮を上げた。あの人の方を振り向かずに、パイルを地面に向ける。残った魔力のほとんどを注ぎ込んで、そのまま打ち込んだ。

 

 

「っ!!」

 

 

地面に叩きつけられた魔力の衝撃波が、その反動で私の体を空中に浮かせた。無意識に体が、何かを蹴るような体勢を取り始める。脚が、振り抜かれる。

 

その瞬間、私の脚の位置にドンピシャで、先輩のカンテラが降ってきた。

 

 

「くったばりゃあああああああああああ!!!」

 

 

締まらない叫び声で気合を入れつつ、今出せる最大の力でカンテラを蹴り飛ばした。魔女に向かって一直線にすっ飛んで行きながら、カンテラに込められた魔力が、今にもはち切れそうなくらい膨れ上がる。

 

許容量を超えたのか、カンテラの外装にヒビが入って、魔力の光が漏れ出す。魔女はそれを見てようやく危機を察したみたいで、慌てて逃げ出そうとする。今更遅いんだよ!!

 

背を向けた魔女にぶち当たって、カンテラが派手に大爆発を起こした。離れているはずのこっちにまで風と熱が伝わってくるような気がして、顔をしかめた。

 

 

「ふっ…!っ…!!」

 

 

地面に着地する。ただでさえボロクソなところに更に衝撃を加えたもんだから、脚が酷く痛んだ。言葉にならない。ほんと、締まらないなぁもう…。内心ボヤく私を他所に、魔女の結界は崩れていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「何とか終わりましたわね…。はぁぁぁぁぁぁぁぁ………」

 

 

先輩がすっげえデカい溜息を吐きながら、ぎこちない足取りで私の方に歩いてきた。お互いに変身を解く。

 

 

「おつかれ…」

 

「お互いに、ね。…そういえば、あんなやり方もありますのね。ちょっと驚き」

 

「あ、わかる。私もぶっつけ本番で上手くいくとは思わんくてさ」

 

 

魔女に着弾したカンテラが起こした、あの大爆発。先輩が使う武器は、普通ならあんな威力は出ない。だから使ったんだ。私の固有魔法を。

 

 

「『乗算』…でしたっけ。それによって、カンテラに込められた私の魔力を、更に大きくした」

 

「そんな何回も使えるわけじゃないのがアレだけどな…」

 

 

魔力に乗算を使った場合、増えた分の魔力は減らない。それでも固有魔法を使うにはもちろん魔力が必要だし、おまけに乗算をかける対象によって、消費される魔力が違うときてる。パイルだってそれなりに魔力を込めなきゃ動かないんだから、我ながら使いづらいよなぁって思う。

 

 

「貴女、あまり使いませんわよね」

 

「自分の元々の魔力が増えるわけじゃないし…。使った分、ソウルジェムの濁りが早まること考えたら、頼ってばっかなのもどうなのって思うし」

 

 

話しながら、路地裏を二人で調べる。ポツンとグリーフシードが落ちてるのを見つけた。よかった、ちゃんと倒せたんだな。

 

 

「…お使いになったら?」

 

「え、グリーフシード?」

 

「私も貴女も、滅茶苦茶にボロボロですもの…。ソウルジェムだってきっと相当濁ってますわよ」

 

「んー…」

 

 

それもそうか。お互いこんな死にそうになって魔女を倒して、その結果が実質実入り0。しかもまた私のせいで。そんな現実に内心へこんで、無言でグリーフシードをソウルジェムに押し当てる。程々に浄化して、先輩にグリーフシードをパスした。

 

こんな窮地に陥らなきゃ息が合わないなんて…。命が幾つあっても足りないって、こういうことなんだろうな。

 

 

「…あの、さ」

 

「?なんですの」

 

「あの…えー…その……ごめんなさい!」

 

 

素直に謝った。言いづらいって思ったけど、今日のは久しぶりに洒落にならないミスだった。こればっかりは、殴られても仕方ないって思う。

 

 

「………はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……」

 

 

私の謝罪を聞いてすぐ、先輩は本日二度目のデカい溜息を吐く。まぁ、当然だと思う。

 

 

「あのですねぇ、赤さん」

 

「うん」

 

「貴女が私の言うこと聞かなかったことなんて、今までに何回あったと思ってますの」

 

「はい…」

 

 

半分どころか全部当たってる。耳が痛い。

 

 

「そりゃ、今回は本当に死んでしまうかと思いましたけど!あの子、また勝手にって思いましたけど!」

 

 

本音だ。間違いなく。自分がやらかしたという事実をこうして突きつけられることが、こんなにも恥ずかしくて、罪悪感に塗れたものだったなんて、私知らなかったよ…。

 

 

「……ですけれど、終わってみればこうやって二人とも生きていて、貴女は変に意地張らないで、素直に謝ってくれました。それでいいじゃありませんの」

 

「先輩…」

 

 

天使だ。天使がいらっしゃる。私の過ちを正すだけではなく、許しまで下さった。なんてこった。私は天からの使いと組んでいたってのか。

 

 

「その代わり、帰りの荷物は全部持って下さいね」

 

「は?いや、何だ、いきな……あ、冷食…」

 

「そういうことです。頼みますわね」

 

「あぁ…うん…」

 

 

天使様は厳しかった。やっぱり具体的なお咎めは無しとはいかないらしい。しゃーない。これも自分の撒いた種。受け入れなきゃな。……ん?

 

 

「ねぇ…先輩」

 

「なんですの?早く帰りますわよ。私もうお腹ぺこぺこで…」

 

「魔女はもう倒しちゃったからいいけど、結局、他の魔法少女が追ってたかもってのは…」

 

「へ?あっ……」

 

 

気付いたらしい。もう間もなく夜になろうって中で、私と先輩は無言で見つめあった。すごい渋い顔しながら。

 

 

「………帰るか」

 

「ですわね………」

 

 

二人して考えないことにした。どっちからともなく歩き出して、ゾンビかよってくらいフラフラになりながら帰宅した、私と先輩だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「チーム作るか」

 

「異議無し」

 

 

家に着いて、制服も脱がないまま、とても年頃の女子がするべきではない体勢でリビングのソファーに沈んだ私達は、本格的にチーム結成を決めた。

 

決して、二人だと万が一報復があった時にどうにか出来ないから、メンバーを増やしたいとかではない。決して。

 

 





マギレコ本編の出来事

・いろはが結界でモキュ発見。使い魔の群れにやられて気絶。公園で目を覚まして、ももこと出会った。
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