知られることのない話   作:まるイワ

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本編ではそろそろ絶交階段との戦いが近いので初投稿です。





2-7 一休み

 

南凪区にある、海がよく見える場所。それが海浜公園。イベントが開かれることもあるみたいだけど、今は時期じゃない。三人揃って公園まで歩いて、私は着くなり適当な場所に腰を下ろした。

 

 

「……………」

 

 

溜息すら出てこない。体育座りのまま、夕陽の光が反射する海を見つめて、ボーッとする。

 

 

「赤ちーん!」

 

 

元気な声。振り向くと、マジ子が飲み物を持って、先輩と一緒に歩いてくるのが見えた。

 

 

「はい、お待たせー。シュワシュワだったよね?」

 

「ん。あんがと」

 

「いーの。付き合わせちゃったから、お詫び!」

 

「そーかい…」

 

 

隣に座ってくるマジ子から、缶ジュースをもらう。炭酸飲料なのは、私のオーダー。すぐに飲み口を開けて、グイッと呷る。炭酸の刺激が、疲れを和らげてくれた気がした。

 

 

「ぷふー……」

 

「いい飲みっぷり。喉、乾いてたんですわね」

 

「お陰様で」

 

 

でも、こんなに疲れるまでやっても、うわさとやらのことは何も分からなかったんだよな…。なんか癪だ。

 

 

「アタシも飲もーっと。んっ……っ……ぷひー」

 

 

自分用に買った飲み物を、マジ子が飲む。無駄に幸せそうな顔しやがって。

 

 

「今日はありがとね、赤ちん!先輩も!」

 

「なんだよいきなり。そりゃ、手伝いはしたけど」

 

「結局、マジ子さんが求めた結果は出ていないみたいですしね…」

 

「んーん!いーの、そんなこと。二人がアタシをチームに誘ってくれて、うわさ調べも手伝ってくれて…それだけで、マジで嬉しかったから!」

 

 

ニッコニコでそう言うマジ子。本音なんだろうな。こっちはまだ、こいつの上澄みすら知らないけど、本人の言葉で、心からそう言われたんなら、悪い気はしない。

 

そう思いながら立ち上がって、海の方へ少しだけ近付いた。思いっきり、息を吸い込む。

 

 

「馬鹿やろおおおおおおお!!」

 

 

海に向かって、思いっきりそう叫んだ。

 

 

「なになに、いきなりどしたの赤ちん?」

 

「海に馬鹿野郎って…。また月並みですわねぇ」

 

「いいんだよ、馬鹿野郎で」

 

 

叫んで転がってる内に、内心で色々と思うところがあったんだ。羞恥心とか、苛立ちとか、人じゃないものを見る目をしてた通行人達や、こんなことやらせた二人へのあれこれとか。

 

それらとその他諸々を引っくるめたものに対しての、「馬鹿野郎」だ。

 

 

「いいシャウトだったよ、赤ちん!でもさー」

 

「ん?」

 

「やっぱバカヤローよりも、こういう時は、愛を告白する方がよくない?」

 

「んん?」

 

 

え、いきなりなに。愛とか告白とか。何でそうなる。どっから出てきたんだ。

 

 

「だってさー、今、こんなだよ?綺麗な夕陽!海!公園!って感じ。ロマンチックなシチュじゃない?」

 

「何言ってるんだこの馬鹿…」

 

「まぁ、確かに言われてみれば」

 

「先輩!?」

 

 

この女、何を…。あれか。疲れてるんだろ?そうなんだろ?今日も魔女といっぱい戦ったもんなぁ!

 

 

「ちゅーわけで、赤ちん!あの夕陽に向けて、一発どーぞ!」

 

「どーぞじゃねんだよ、この馬鹿!第一、何に対して告白するんだっつーの」

 

「貴女、この前食べたお弁当が美味しくて、リピーターになりそうって言ってましたわよね?ならもうそれでいいでしょ」

 

「雑!」

 

 

何だよ、マジで美味いんだぞ、千秋屋の唐揚げ弁当は!つーか弁当に対して告白って、それただの弁当好きじゃねえかよ…。いや、好きになったのは本当だけど…。

 

 

「ほーら!赤ちん!」

 

「あーもう、アホらし…。分かったよ…それで満足すんだな?」

 

「ん!」

 

 

元気よく頷くマジ子。ほんと、何食って生きてたら、いきなりこんな場所で、唐突に愛を叫ぶとかいう発想が出てくるんだ…。やっぱ馬鹿だこいつは!

 

夕陽の方を向いて、さっきみたいに息を吸う。流石に眩し過ぎるから、目は閉じておいた。半ばヤケクソで、思いっきり叫んだ。

 

 

 

 

 

「好きだあああああああああああ!!」

 

 

 

 

 

千秋屋の唐揚げ弁当がな。ほんと、つくづく何やってんだ、今日の私は…。

 

思いっきり叫んだから、すっきりはした。したけど、それと同時にこう、自分自身への憐れみっていうか、恥ずかしさっていうか…。堪えられなくなって、熱くなった顔を俯かせた。

 

 

 

 

 

 

少しの間そうしていて、もういいやって、顔を上げようとした時だった。

 

 

誰かが急に、私の両肩に手を置いたのが分かった。

 

 

マジ子がまた、申し訳なさから私に謝りに来たのか?それとも、先輩が私を慰めにでも来てくれた?

 

 

どっちでもいい。悪態の一つでも吐いてやろうって、目を開けて、顔を上げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……………は?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

知らない美少女が、目の前に居た。

 

 





マギレコ本編の出来事

・レナが合流。3人で建設放棄地へ。レナがかえでに謝った。
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