本編ではそろそろ絶交階段との戦いが近いので初投稿です。
南凪区にある、海がよく見える場所。それが海浜公園。イベントが開かれることもあるみたいだけど、今は時期じゃない。三人揃って公園まで歩いて、私は着くなり適当な場所に腰を下ろした。
「……………」
溜息すら出てこない。体育座りのまま、夕陽の光が反射する海を見つめて、ボーッとする。
「赤ちーん!」
元気な声。振り向くと、マジ子が飲み物を持って、先輩と一緒に歩いてくるのが見えた。
「はい、お待たせー。シュワシュワだったよね?」
「ん。あんがと」
「いーの。付き合わせちゃったから、お詫び!」
「そーかい…」
隣に座ってくるマジ子から、缶ジュースをもらう。炭酸飲料なのは、私のオーダー。すぐに飲み口を開けて、グイッと呷る。炭酸の刺激が、疲れを和らげてくれた気がした。
「ぷふー……」
「いい飲みっぷり。喉、乾いてたんですわね」
「お陰様で」
でも、こんなに疲れるまでやっても、うわさとやらのことは何も分からなかったんだよな…。なんか癪だ。
「アタシも飲もーっと。んっ……っ……ぷひー」
自分用に買った飲み物を、マジ子が飲む。無駄に幸せそうな顔しやがって。
「今日はありがとね、赤ちん!先輩も!」
「なんだよいきなり。そりゃ、手伝いはしたけど」
「結局、マジ子さんが求めた結果は出ていないみたいですしね…」
「んーん!いーの、そんなこと。二人がアタシをチームに誘ってくれて、うわさ調べも手伝ってくれて…それだけで、マジで嬉しかったから!」
ニッコニコでそう言うマジ子。本音なんだろうな。こっちはまだ、こいつの上澄みすら知らないけど、本人の言葉で、心からそう言われたんなら、悪い気はしない。
そう思いながら立ち上がって、海の方へ少しだけ近付いた。思いっきり、息を吸い込む。
「馬鹿やろおおおおおおお!!」
海に向かって、思いっきりそう叫んだ。
「なになに、いきなりどしたの赤ちん?」
「海に馬鹿野郎って…。また月並みですわねぇ」
「いいんだよ、馬鹿野郎で」
叫んで転がってる内に、内心で色々と思うところがあったんだ。羞恥心とか、苛立ちとか、人じゃないものを見る目をしてた通行人達や、こんなことやらせた二人へのあれこれとか。
それらとその他諸々を引っくるめたものに対しての、「馬鹿野郎」だ。
「いいシャウトだったよ、赤ちん!でもさー」
「ん?」
「やっぱバカヤローよりも、こういう時は、愛を告白する方がよくない?」
「んん?」
え、いきなりなに。愛とか告白とか。何でそうなる。どっから出てきたんだ。
「だってさー、今、こんなだよ?綺麗な夕陽!海!公園!って感じ。ロマンチックなシチュじゃない?」
「何言ってるんだこの馬鹿…」
「まぁ、確かに言われてみれば」
「先輩!?」
この女、何を…。あれか。疲れてるんだろ?そうなんだろ?今日も魔女といっぱい戦ったもんなぁ!
「ちゅーわけで、赤ちん!あの夕陽に向けて、一発どーぞ!」
「どーぞじゃねんだよ、この馬鹿!第一、何に対して告白するんだっつーの」
「貴女、この前食べたお弁当が美味しくて、リピーターになりそうって言ってましたわよね?ならもうそれでいいでしょ」
「雑!」
何だよ、マジで美味いんだぞ、千秋屋の唐揚げ弁当は!つーか弁当に対して告白って、それただの弁当好きじゃねえかよ…。いや、好きになったのは本当だけど…。
「ほーら!赤ちん!」
「あーもう、アホらし…。分かったよ…それで満足すんだな?」
「ん!」
元気よく頷くマジ子。ほんと、何食って生きてたら、いきなりこんな場所で、唐突に愛を叫ぶとかいう発想が出てくるんだ…。やっぱ馬鹿だこいつは!
夕陽の方を向いて、さっきみたいに息を吸う。流石に眩し過ぎるから、目は閉じておいた。半ばヤケクソで、思いっきり叫んだ。
「好きだあああああああああああ!!」
千秋屋の唐揚げ弁当がな。ほんと、つくづく何やってんだ、今日の私は…。
思いっきり叫んだから、すっきりはした。したけど、それと同時にこう、自分自身への憐れみっていうか、恥ずかしさっていうか…。堪えられなくなって、熱くなった顔を俯かせた。
少しの間そうしていて、もういいやって、顔を上げようとした時だった。
誰かが急に、私の両肩に手を置いたのが分かった。
マジ子がまた、申し訳なさから私に謝りに来たのか?それとも、先輩が私を慰めにでも来てくれた?
どっちでもいい。悪態の一つでも吐いてやろうって、目を開けて、顔を上げた。
「……………は?」
知らない美少女が、目の前に居た。
マギレコ本編の出来事
・レナが合流。3人で建設放棄地へ。レナがかえでに謝った。