「こいつ…」
「赤さん、退いて!」
正体不明の女の子を睨み付けたまま動かないでいると、いきなり私と彼女の周囲が爆発に包まれた。先輩がカンテラを投げたらしい。
魔法少女の身体能力を活かして、後ろに大きく飛ぶ。変身しながら、先輩とマジ子が居る所に着地した。
「赤ちん!」
「悪い、助かった!」
「いえ。それよりも、あの女の子を…!」
魔力の残滓に包まれた眼前を、チーム全員で睨む。反応は消えてないから、先輩の攻撃で倒せてはいない。
不気味な相手だ。出し惜しみなんてしてる場合じゃない。念の為に、うわさ調べの時に、ソウルジェムを浄化しておいて助かった。お陰で、魔力が潤沢な状態で戦える。
パイルを構える。ありったけの魔力を込めて、いつでも「乗算」を発動しながら放てるように、集中した。
『……………』
流石に真剣にならざるを得ないのか、先輩もマジ子も黙っている。それくらい、あの女の子の得体が知れないってことなんだ。
『!!』
相手の魔力反応が、急に動いたのを感じる。私も急いで、反応のある方に、顔とパイルを向けた。
「居た!」
上。上空だ。そこに居た。あの女の子が、高く飛び上がって、こっちに迫ろうとしてる。けど…!
「貰ったぁ!!」
限界ギリギリまで魔力を込めて、「乗算」まで発動させた、私のパイルの一撃が放たれた。集中しまくってた甲斐があったのか、狙いもドンピシャ。衝撃波は、あの子に当たった。
でも、「やった」って思ったのも束の間。敢えなく地面に落下したと思ったら、すぐに女の子は立ち上がった。今の一撃なんて、何でもないことだったみたいに…。
「…!!」
思わず目を見開いた。耐えられた?私が出せる、最大出力を?あんな…どう見ても、可愛らしい女の子にしか見えない存在に?
呆然とする。じゃあどうすればいいんだ。もう魔力はすっからかんで、太刀打ち出来るような術なんて…!
「!!速っ…!」
その隙を、女の子は見逃さなかった。すごい速さで、一直線に私に向かってきて、既に至近距離だ。
先輩もマジ子も、速さに反応しきれなかったらしい。驚いた顔で、こっちを見てる。
私の胸の辺りに、何かを押し当てられたような感触を覚えた。急いで、自分の体に目を向ける。
手のひらがあった。私に、優しく押し当てられてる。当てられた手の持ち主に、顔を向けた。切なそうな顔をした女の子が、真っ直ぐに私を見つめてる。直後、重い衝撃が、私を襲った。
私の身体は、軽々と吹き飛んだ。
「がっ…ごほっ…!」
吹っ飛んでから、地面で少しバウンドして、私の身体は勢いを止めた。何とか息を整えて、私をこんなにしたやつの居る方を見る。
女の子は変わらず、悲しいんだか嬉しいんだか分からん顔をしながら、また私のところに来ようとする。すぐに立ち上がりたいけど、まだダメージが残ってるのか、上手くいかない。
「ああもう、貴女!赤さんに近寄るのはおやめなさいな!」
女の子を追いながら、先輩がカンテラを投げた。コントロールは完璧で、女の子に当たる。
「………」
無言で、不機嫌そうな顔になる女の子。爆弾をモロに食らったのに、傷一つなかった。
「おらー!赤ちんに手を出すの禁止ー!」
同じく追ってきたマジ子も、自分の武器を思いっきり投げた。でも結果は先輩と同じ。当たるけど、女の子を不機嫌にさせるだけで終わる。
何気に、あいつが戦ってるのは初めて見たな…。つーか、投げたのがアタッシュケースって…。武器になるようなもんなのかそれは…?
その後も二人は、何とか私に女の子を向かわせないように、武器を投げ続ける。あの子はダメージを受けてるようには見えないけど、その場から動かなくなった。足止めにはなったらしい。
「!」
でも、そんな状況に痺れを切らしたみたいで、機嫌の悪い顔はそのまま、私に背を向けて、二人の方、まずは先輩の所に向かって行った。相変わらず速い…!
「先輩!マジ子!」
ようやくマシになってきた体を起こして、二人に向かって思わず叫ぶ。あいつは怖いくらいに強い。戦えば、タダじゃ済まない。何とかやり過ごしてくれれば…!
「…!確かに速いですが!」
先輩が、いつもよりかなり大きいカンテラを作り出す。さっきの私と同じで、出来る限り魔力を込めた武器で、一気に勝負を決めるつもりなのか。
やがて、女の子が先輩のすぐ側まで迫る。私にやったのと同じ、キツい一発を食らわせるつもりだ。
「そんなスピードで突っ込んでくれば、避けられませんわよ!」
先輩がカンテラを投げた。良いタイミング。避けるのが困難な位置まで、あの子を引きつけたんだ。
「………」
「!?うそ…」
そんな先輩の作戦も、女の子には通じなかった。女の子はカンテラを上手いこと掴んでいて、爆発するのを防いでいた。なんて反応の良さ。
女の子はすぐに、カンテラを先輩に投げ返す。
「そんなっ……!」
叫び声を上げる暇もなく、先輩は、自分の作った武器の爆発をモロに浴びた。爆風で吹っ飛んで、地面に叩きつけられた先輩の姿が見える。ボロボロになって、苦しそうに呻いてた。
マギレコ本編の出来事
・やちよも現れ、戦闘が続く。絶交階段のウワサ登場。