知られることのない話   作:まるイワ

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3-2 マジ子のこと

 

 

先輩の部屋で寝て、少しお互いのことがわかった。その後は普段通り。眠ったら夜が明けて、いつも通り朝を過ごして、私も先輩も、学校に行った。

 

らしくないことしてるんじゃないかって、思う。一緒に寝てるのもそうだけど、自分のこと話したり、先輩に対して踏み込んだり。何でそんなことする気になったのか、自分でもわかんない。あの海浜公園での戦いが影響してるのかもとは、何となく思うけど。

 

 

(自分のことなのにな…)

 

 

休み時間だってのに、自分の机に突っ伏しながら、考えごと。答えは出そうにないけど。

 

結局、昼飯を食うのも忘れて、ああでもない こうでもないって考えまくって、気が付いたらホームルームが終わってた。

 

 

 

 

 

 

 

 

放課後になって、大東学院の校門へ。今日は参京区に集まる予定になってるから、さっさと向かうことにする。

 

 

「あ。赤たんだぁ」

 

「ん…。ミィさんじゃん」

 

 

名前を呼ばれた。声のした方を向けば、見知った顔。綺麗な銀の髪に、特徴的な髪型。明らかに歳下なのが分かる、幼い雰囲気と、小さな背丈。

 

本人が自分のことをミィって呼ぶから、私も許可を貰って、ミィさんって呼んでる。一応本名も聞いてるけど、呼び方は変えてない。名字から考えると、調整屋さんの関係者なのかも。

 

休み時間、校内をブラついてる時にたまたま会って、それからは時々こうやって話す。私が魔法少女だってのは知らない…はず。

 

 

「帰るの?」

 

「待ち合わせ。参京で」

 

「そっか。友達と遊びに行くんだぁ」

 

「みたいなもんかね。友達…ではねえかも」

 

 

チームではあるけど、別に仲良しでもないと思う。特にマジ子のやつは、知り合って間もないわけだしな。

 

 

「そうなの?」

 

「そうなの。えっと…わりぃ、そろそろ行くわ」

 

 

こうして話してるのもいいんだけど、予定がある以上、校内に長居も出来ない。ミィさんには悪いけど、無理くりに話を切り上げる。

 

 

「あ、そっか。待ち合わせだもんね。ごめん」

 

「いいって。気にしないで」

 

「うん!じゃーねー、赤たん!」

 

 

元気に手を振るミィさんに、私も振って返す。今度こそ、学校を出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

参京区にある、とある中華料理屋。今日はそこに、チームで集まっての夕飯。先輩の提案で、マジ子の歓迎会も兼ねることになった。

 

 

「えー、では…マジ子さんの加入と、チーム結成を祝って」

 

「イエーイ!かんぱーい!」

 

「騒ぐなって」

 

 

乾杯の音頭すらグダグダなのを他所に、各々が頼んだ料理を食べ始める。私は炒飯と餃子。味は相変わらず50点。

 

 

「つか今更だけど、何でまたここ?」

 

「お嫌?」

 

「嫌じゃねーけどさぁ…。もっとあるだろ、美味いとこっつーか」

 

 

例えば北養区にある洋食屋では、すっげえ美味いオムライスが食べられるって聞くし。たまにはそういうのをさぁ…。

 

 

「ここも充分に美味しいですわよ。私的には、『神浜うまさファイブ』に堂々のランクインを果たしてますわ」

 

「勝手にわけわかんねーランキング作るな」

 

「んー…ま、美味いっちゃ美味いよね。不味いっちゃ不味いけど」

 

 

言い方…。でもそうだよなぁ。やっぱどっちつかずなんだよ。とりあえず腹は膨れるんだけど。

 

 

「ってーかさ、アタシ、こうやって友達と一緒に帰りにご飯食べんの初めて。マジで新鮮」

 

「友達じゃねーけどな」

 

「マジ子さん、社交的に見えますし、遊びに行くお友達くらい居そうですけど」

 

「いやー、友達は居んだけどさー。こうやって、帰りに色々するような感じじゃないってーか」

 

 

お友達にも、自分の予定だ都合だってのはあるんだしな。こいつの通う栄総合は、芸術とか芸能に力を入れてるって聞くし、真剣に打ち込んでる人も多いんだろ。

 

 

「休みの日とか一緒にって思うんだけどさー、中々……ん。あ、ごめん、なんか来た」

 

 

話してる途中で、マジ子のスマホが鳴ったらしい。何処からか取り出して弄り出す。

 

 

「姉ちゃんからだった。んもー、一々うっさいんだから…」

 

 

用は済んだらしい。スマホをスリープさせて、愚痴りだす。

 

 

「姉ちゃん居んの?」

 

「そー。ここの区に住んでて、アタシも世話んなってんだー」

 

「へえ。ちなみに、ご実家は?」

 

「見滝原!」

 

 

他の街かよ。てことはマジ子の姉ちゃんは、結構長いことマジ子の面倒を見てるってことになる。大変そうだな…。

 

 

「姉ちゃんはさー、いっつも私に勉強しろとか、もっと将来のこと考えろとか言ってさー。マジで面倒くさいの」

 

「心配してくれてるんですわよ、マジ子さんのこと」

 

「そーかなぁ…。大体、先のことより今を大切にしてさ、遊んだり楽しんだりする方が、マジで大事じゃない?アタシまだ高一なんだしさー!」

 

 

要するに、先送りってことかそれ…?やっぱり馬鹿だこいつ。将来に明確なビジョンを持ってない私が言うことじゃねえかもだけど…。

 

 

「あのー…ちなみにマジ子さん、成績の方は…?」

 

「んぇ?成績?やー、もう全然!バカだもんアタシ!」

 

「あ、そうですか…」

 

「あ!そういや数学の宿題あったんだ、ヤベー…!でも、どうせ分かんないからいっかぁ」

 

「………」

 

 

チームメンバーのバカさ加減に、流石の先輩も絶句。また年頃の女の子にあるまじき顔してるよ…。

 

その後は何故か「勉強で悩んでるの?なら、文武両道で最強な、この私にお任せだー!」なんて言いながら店員さんが絡んできたりして、もう滅茶苦茶。

 

騒がしい中で残った飯を食いながら、そういや、マジ子の抱えてる事情も、家族絡みなんだよなって気付いた。

 

 

 

保護者に心配かけるだけかけて、自分は好き勝手。私とマジ子の嫌な共通点が見えて、残りの炒飯が不味くなったように感じた。

 





マギレコ本編の出来事

・第3章【神浜うわさファイル】開始。みたまに勧められ、いろはが水名女学園で、神社の噂について聞き込み。
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